中高一貫校「英語」の教育・学習事典|カリキュラムの特徴から勉強法まですべてわかる

笑顔の中高一貫校生

進学系の中高一貫校、私立中学の多くは、英語は先取りカリキュラムを採用しています。

中学2年生までに、一般的な公立中学の3年生までの範囲を終え、以後は1年前倒しで授業が進み、高校2年生までに大学入試の範囲を終えます。

500校を超える中高一貫校の生徒を指導してきた専門塾が、中高一貫校ならではの英語の教育カリキュラムの特徴と、学習のポイント、生徒が抱えやすい学習面の問題について、網羅して解説します。

このページの目次

中高一貫校の英語教育の特徴、学習進度、難易度

中等教育の選択肢を増やす目的で設置されている中高一貫校は、学校ごとに千差万別のカリキュラムを展開しています。

その中でも、大学受験・入試を大きな目標とするカリキュラムをとる、進学に強みを持つ学校や、難関校に絞って、英語の授業の特徴や、進み具合、難易度について紹介します。

中高一貫校・私立中学の英語は授業についていければ大学入試につながる

大学受験・入試を目標とする中高一貫校・私立中学では、主に英語と数学で先取りカリキュラムを採用します。

高校2年生までに、大学入試の範囲を終えてしまうことで、高校3年生の1年間を入試の演習にあてられるためです。実力をつける十分な時間があるため、より難易度の高い大学を目指すことができます。

中高一貫校が大学受験に有利と言われるのは、このような先取りカリキュラムのためです。

一般的な公立の中学・高校の授業進度では、入試の直前にやっと学習範囲を終えるため、演習の時間を十分に取ることができないケースが多くなります。

学力は、シンプルに演習の量に比例するため、中高一貫校生に比べると不利になってしまう、という状況が現実としてあります。

中高一貫校・私立中学では、学校の授業についていき、定期テストで良い点数を取れさえすれば、それが大学入試へとつながっていきます。

中高一貫校・私立中学の英語は1.5倍速、英単語数も多い

一方で、先取りカリキュラムを取る弊害もあります。中学の場合、学習指導要領に沿った授業では、英語は週4時間程度ですが、中高一貫校・私立中学の場合は週6〜7時間が平均となります。

おおむね1.5倍の授業があり、それだけ授業が早く進みます。当然、1回の定期テストのテスト範囲も広くなります。

また使用教材も、難易度の高い検定外教科書を使用する学校が大半です。語彙数が大きく違い、検定外教科書では中1〜中3の3年間で1600語〜1800語のところ、検定外教科書では中1〜中2の2年間で2300語と、非常に多くなります。

それだけ学習の難易度は高くなるため、学校外での学習がしっかりできるかどうかが問われます。

【「中高一貫校・私立中学の英語の先取りカリキュラム」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校の英語教育に対応するためには、家庭学習が絶対に必要

6年間の課程を5年間で終えてしまうスピード教育を実現するために、単に授業数を増やすだけでなく、授業スピードも速める必要があります。

そこで、先取りカリキュラムをとる中高一貫校や私立中学では、授業で基礎事項を扱う時間を減らし、生徒が学校外で自学自習する前提としています。家庭で予習や復習をしっかりする必要があるわけです。

また、学んだ知識を定着させるために演習が必要ですが、これも授業時間内では十分でないため、宿題・課題でカバーします。

通常の中学・高校よりも多い宿題が出され、もちろんこれも自宅で取り組む必要があります。

大前提として、大学受験を目標とする中高一貫校・私立中学では、授業をよく聞いているだけでは好成績は望めない仕組みとなっている、という事実を理解しておく必要があります。

どんなに地頭の良い子だったとしても、家庭での学習(予習・復習・宿題)をおろそかにしていては、授業についていき、定期テストで良い点数を取ることはできません。

【「中高一貫校・私立中学での家庭学習の必要性」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校の英語で使用されている教科書・テキスト

実際に使用されている英語の教科書7種

中高一貫校専門 個別指導塾WAYS」では、全国500校以上の中高一貫校のデータを蓄積していますが、その中から実際に中高一貫校で使用されている英語の教科書の代表例をあげると、次のようになります。

検定教科書

検定外教科書(中高一貫校用教科書)

検定教科書とハイレベルな問題集をあわせて、授業レベルを上げるケースも見られますが(授業進度は公立と同じ)、やはり特徴的なのは検定外教科書の使用です。

検定外教科書は、中学1年〜2年で中学3年分の内容、中3で高校1年の内容を扱っており、教科書に従って授業を進めていくだけで、先取り学習となります。

扱う英単語は、NEW TREASURE(ニュートレジャー)を例にすると、中学3年間で3300語にもなります。検定教科書の中学3年間1600語〜1800語と比較すると、2倍近い、圧倒的に多い数字です。

【「中高一貫校で使用される英語の教科書・テキスト」についてのより詳しい解説記事】

代表的な検定外教科書:NEW TREASURE(ニュートレジャー)

「NEW TREASURE(ニュートレジャー)」は、逗子開成早稲田など難関校を始め、多数の中高一貫校で使用されている、代表的な英語の検定外教科書です。

「大学入試や実社会に対応できる英語力を身につける」との観点から、検定教科書に比べて英文の量が多く、英単語も多数登場します。

4技能「読む・書く・聞く・話す」をバランス良く伸ばせるほか、論理的思考力・コミュニケーション力を重視しているのが特長です。

難易度が高い分、しっかりと学習できれば、難関大学合格に必要な英語力が身につきます。

【「NEW TREASURE(ニュートレジャー)の勉強法」解説記事】

代表的な検定外教科書:PROGRESS IN ENGLISH 21(プログレス21)

「プログレス21」は、イエズス会のロバート・M・フリン神父によって作られたテキストです。「NEW TREASURE(ニュートレジャー)」同様に難易度の高い、英語の検定外教科書です。

当初はカトリック系の中高一貫校で使用されるケースが目立ちましたが(例:聖心女学院など)、宗教色のない鎌倉女学院や、公立の都立桜修館などでも使用されています。

【「PROGRESS IN ENGLISH 21(プログレス21)の勉強法」解説記事】

中高一貫校の英語でつまづきやすいポイント

中高一貫校では、中学英語が大きなカギ

大学受験を目標とする中高一貫校では、中学入学当初から入試を目指した授業が展開されます。

公立中学から公立高校へ進学する場合は、義務教育の基礎的内容から、入試を見据えた授業へ変わるため、ギャップが大きくなりますが、中高一貫校の場合は中学から高校の変化は大きくありません。

【「中学英語と高校英語の違い」についてのより詳しい解説記事】

言い換えれば、中高一貫校では、中学の始めから難易度の高い授業が展開されるということです。

最初から大きな山場であり、中学英語で、授業にしっかりついていき、定期テストで着実に点数を取れるように学習していくことが重要になってきます。

【「中高一貫校での中学英語の重要性と学習のポイント」についてのより詳しい解説記事】

「わからない」状態を放っておくとリカバリーが難しい

英語は代表的な積み上げ教科であり、一度わからなくなると、その先の授業がわからなくなります。

中高一貫校では、授業進度の早さもあり、「まずい」と思ったときには、リカバリーが難しくなっています。復習をしようと思っても、授業がどんどん先に進んでしまうためです。

こうした状況を回避するためには、毎日の学習習慣が重要になってきます。予習・復習をしっかり行い、わからないところがあれば早めに対応できる状態にしておく必要があります。

【「英語の日々の勉強方法」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校の英語の定期テスト対策

中高一貫校の英語は、授業進度が早いため、1回あたりのテスト範囲が広くなります。内容も難しく、覚えるべき英単語も多く、一筋縄ではいきません。

繰り返しになりますが、天才でもない限り、授業をよく聞いているだけでは好成績は望めません。日々こつこつと積み上げつつ、テスト前には効率よくテスト対策に取り組む必要があります。

出題形式と、問題形式ごとの対応策

まずは、定期テストに出る問題の種類を把握しましょう。大別すると4種類あります。

  1. リスニング問題
  2. 文法問題
  3. 長文読解問題
  4. 英作文問題

それぞれ、実力を向上させるポイントがあります。苦手に感じる分野があれば、要点をおさえた勉強をすることで、対策が可能です。

【「英語の定期テストに出る問題の種類と対策」についてのより詳しい解説記事】

英単語の暗記、勉強方法

英語学習の基本となるのが、英単語の習得です。

英単語の意味、読み方がわからなければ、文法もリスニングも、絶対にできるようにはなりません。

大学受験に必要な単語数は、3400語〜4300語です。これを、短期間でまとめて覚えてしまう方法が理想です。

量が多いため、毎日コツコツが最適解と思われがちですが、1日10単語を毎日欠かさず覚えたとしても、400日もかかってしまいます。

また、エビングハウスの忘却曲線の概念が示すとおり、人間の脳は、せっかく覚えたことも、一定の割合で忘れてしまうようにできています。

「毎日コツコツ」のペースでは、いつまでたっても英単語を習得できないということです。

画像の出典:エビングハウスの忘却曲線を自作してみた – さくら個別ができるまで
定着させるためには「繰り返し」が必要です。

以上から、英単語の暗記の最適解は、1セット100語などのまとまった量を、スピード感を持って繰り返すとなります。

【「英単語の暗記方法」詳細解説記事】

リスニングの勉強方法

定期テストでは、通常は教科書の習った部分から出題されます。しかし、リスニング問題の場合は、初見でなければ聞き取れるかどうかのテストにならないため、ほぼ確実に初見の英文が登場します。

つまり、リスニングの勉強のポイントは、いかに初めて耳にする英文を聞き取れるようになるか?です。

まずはテスト範囲の英単語をしっかり覚えなくてはならないのは、言うまでもありません。覚えていない英単語を聞き取ることは不可能です。

単に英単語を覚えるだけでなく、しっかり発音できるようにすることも大切です。スペルだけ分かっていても、発音できないなら聞き取ることができません。

英単語を暗記する際には、発音しながら覚えましょう。これは英単語を覚えやすくなる練習方法でもあります。

加えて、英文が話されるスピードに対応できるようにします。

オーバーラッピング(音声に合わせて音読しながら意味をとる)やシャドーイング(音声を後追いしながら音読して意味をとる)など、音読の練習が効果的です。

【「リスニングの勉強方法」詳細解説記事】

中高一貫校での英検

大学受験・入試を目標とする中高一貫校・私立中学では、英語力養成の一環として、英検の取得を推奨するケースがあります。

先取りカリキュラムの中高一貫校では、一般的な公立の中学・高校とは授業の進み具合が違いますから、目標とすべき英検の級も異なってきます。目安は次のとおりです。

  • 中学3年生:英検準2級
  • 高校1年生の終わり:英検2級

中高一貫校生は高校受験がなく、中学3年生時に受験勉強をする必要がないため、代わりに英検対策に時間を取り、中学3年間を終えるまでに英検2級を目指す戦略もあります。

中学の間に英検2級に合格できるということは、英語の土台が完成していることを意味します。大学入試の受験勉強に取り組むにあたって、大きなアドバンテージです。

たとえば、英語以外に苦手教科があった際に、そちらを対策する時間を十分に取れるということです。

【「中高一貫校生の英検事情や、勉強法・対策」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校の英語での学習塾の必要性

中高一貫校生でも塾の利用はスタンダード

令和3年のデータでは、私立中学生は53.9%、私立高校生は38.3%が学習塾へ通っています(文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」)。私立中学の多くは中高一貫校のため、中高一貫校生の塾利用の実態がわかります。

私立中学生の塾利用率53.9%は、公立中学生(70.4%)と比べるとはっきり少なくなっていますが、それでも2人に1人程度は学習塾を利用しており、塾利用がけっして珍しくない事実を示しています。

大学受験を目標とする中高一貫校では、塾は不要とも言われますが、これは何度もお伝えしているとおり、自学自習がしっかりでき、難易度の高い授業についていくことができる前提です。

家庭学習が苦手であったり、必要な勉強ができていないケースでは、学習塾の活用が現実的な選択肢となります。

また年齢的にも、思春期ならではの反発があり、親の干渉が難しくなってくる成長段階です。家庭のサポートが難しいということも、学習塾を活用する理由になりえます。

【「私立の中高一貫校生の通塾率、年間費用」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校生は「個別指導」かつ「専門塾」が最適解

中高一貫校では、学校の英語の授業についていき、定期テストで良い成績を取ることが、大学受験に繋がっていきます。

したがって、塾選びにも注意が必要で、学校の英語の授業を邪魔せず、むしろサポートできる学習塾でなければ、勉強が迷走する原因になりかねません。

また、中高一貫校で英語の成績が低迷してしまう場合、学校の授業に問題があるわけではなく、多くは予習・復習や宿題など、自宅での学習がしっかりできていないことが原因です。

これら中高一貫校特有の状況を整理すると、中高一貫校生が選ぶべき学習塾の条件が見えてきます。

  1. 学校ごとに異なる教材・授業、定期テストをサポートできること
  2. 自宅学習ができていない状況をカバーできること
  3. 学校の宿題・課題も指導対象としてもらえること

これらを勘案すると、決まったカリキュラムで大勢に授業を行う集団指導塾で対応することは不可能に近く、個別指導塾である必要があります。

そして個別指導塾の中でも、中高一貫校特有の事情にしっかり対応できる専門塾を選ぶ必要があるわけです。

【「英語が苦手な中高一貫校生、私立中学生の塾を選ぶポイント」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校専門 個別指導塾WAYS」は、500校以上の中高一貫校生の指導実績がある専門塾です。

学校によって教材が異なる中高一貫校のカリキュラムに完全対応しています。詳細はこちらでご確認ください。

大学受験・入試では中高一貫校生と言えども学習塾利用は多い

塾が必要ないと言われる中高一貫校ですが、大学受験時には状況が変わってきます。

特に、大学受験・入試を目標とする中高一貫校では、高3になる頃にはほぼ全員が通塾しており、「学習塾なしの大学受験は不可能ではないが、おすすめできない」というのが、現場教師の感覚とされます。(詳細はこちら

より高いレベルの大学を目指すにあたり、学力のギャップを埋めるという観点では、塾の果たす役割が大きいためです。

また、教師の長時間労働など、ブラックな労働環境が問題とされるケースが増えてきました。

こうした働き方改革の影響があり、教師がいくら生徒をサポートしたいと考えていたとしても、学校として方針を打ち出しにくくなっている背景もあります。

【「中高一貫校生の塾なし大学受験」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校の英語の入試・大学受験対策

一般論としては、中高一貫校生は大学受験で有利です。先取りカリキュラムで、大学入試の学習範囲を高校2年までに終え、高校3年の1年間を演習に費やして実力を伸ばせるためです。

しかしながら、英語はいちど苦手意識を持つと、難易度の高い授業についていけず、高校入学の段階で成績が低迷してしまっている場合もあります。

英語がまったくできない場合、なにか込み入った原因があるわけではなく、シンプルに「英単語」と「英文法」を理解できていないというところに集約されます。

やるべきことは、「英単語3000語」と「高校英文法」のマスターです。

  1. 英単語と英文法の学習で基礎固め
  2. 長文読解の学習で得点力UP
  3. 志望校対策で合格を勝ち取る

以上の段階を踏むことで、逆転合格を掴み取ることが可能です。やるべき勉強ができて、偏差値60を超えたら、GMARCHや関関同立レベルの大学合格も不可能ではありません。

もちろん、どうしても自宅学習が不可欠です。自学自習が苦手であったり、思春期の反発で親のサポートが難しかったりするようであれば、「中高一貫校専門 個別指導塾WAYS」で解決できる可能性があります。

【「英語がまったくできない偏差値40台からの大学受験勉強法」についてのより詳しい解説記事】

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500校以上の中高一貫校の指導実績があり、400件以上の成績アップ事例を掲載しています。

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中高一貫校専門 個別指導塾WAYS 編集部
中高一貫校生の定期テスト対策から大学受験・内部進学までをトータルサポートする個別指導塾。
中高一貫校用教材に対応することで各中高一貫校の定期テストの点数に直結した指導を行います。
低料金で長時間指導が受けられるため、家で勉強できない中高一貫校生でも塾の指導時間内で成績を上げることが可能です。
英語、数学をメインに指導を行っています。

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