【大学受験】評定平均(内申点)の基礎知識|計算方法・評定UPのポイントを解説

生徒と先生

「推薦入試を目指すなら評定平均(内申点)が大事」

この言葉を聞いたことがある方も多いと思います。

しかし、「評定平均」「観点別評価」などと、聞き慣れない言葉が出てきて、いまいちわかりにくいと感じたことはありませんか?

今回の記事は、中高一貫校教師歴30年のベテランライターが評定平均(内申点)の基礎知識を解説します。

とりわけ、勤務校での具体例を交えて、わかりやすくなるように工夫しました。

また、この記事の最後には評定UPのポイントを解説しているので、お子さんの大学受験に役立ててください。

評定平均(内申点)の算出方法

評定平均(内申点)とは高校3年間の全科目の評定の平均

評定平均(内申点)とは?

大学受験では、一般的に「内申点」は「評定平均」と言い、高1〜高3(1学期)までの全科目の成績(=「評定」)の平均値のことです。

「評定平均」は次の簡単な計算式で算出できます。

(3年間の全科目の評定の合計値)÷(3年間の全科目数)=(評定平均値)

この「評定平均」を記載した「調査書」(内申書)を大学に提出します。

評定平均の具体な計算方法

評定平均の算出の仕方を具体例を挙げて解説します。

まず、高校1年次の科目と評価が次のようになったとします。

  • 現代の国語:4
  • 言語文化:3
  • 地理総合:4
  • 歴史総合:4
  • 公共:5
  • 数学I:4
  • 数学A:5
  • 体育:4
  • 保健:5
  • 音楽I:3
  • 英語コミュニケーションI:5
  • 論理表現I:5

このケースでは、全科目の評定合計値=58・全科目数=14になります。

仮に、高2・高3(1学期)の成績が次のようだとします。

  • 高2:全科目の評定合計値=51・全科目数=13
  • 高3(1学期):全科目の評定合計値=50・全科目数=12

これらを計算式に代入すると

(58+51+50)÷(14+13+12)=4.07 

小数点第2位以下を四捨五入して、4.1が評定平均値です。

評定平均の注意事項

評定平均の算出では次の点に注意してください。

  • 全科目の評定平均
  • 高校1年〜高校3年(1学期)までの評定平均
  • 10段階評価は5段階評価へ換算

それぞれ詳しく解説していきます。

あくまでも全教科・全科目が対象

「教科」とは学問の大きな括りのことで、

「国語」「地理歴史」「公民」「数学」「理科」「保健体育」「芸術」「外国語」「家庭」「情報」です。

「科目」とは学問の下の小さな括りのことで、例えば「数学」なら、

「数学I」「数学II」「数学III」「数学A」「数学B」「数学C」です。

3年間で履修した全科目なので、「保健体育」「芸術」などの実技系の科目も評価対象になります。

教科(科目)による比重はありませんが、大学(学部)によっては、「数学」は4.0以上などと指定するケースがあります。

高校1年〜高校3年(1学期)までの3年間の平均

高校3年次だけでなく、高校1年次からの全ての科目の評定が対象です。

志望校や推薦入試の意思が固まっていない高1の評定が、足を引っ張るケースが多いので、注意が必要です。

また、高3の10月に出願する関係から、高校3年次は1学期の評定のみで学年の評定が決まります。高3の1学期は相対的にウェイトが大きくなることを意味します。

10段階評価は必ず5段階評定に換算

10段階評価は必ず5段階評価に換算します。ただし、換算方法はそれぞれの学校の裁量によります。

例えば、

  • 単純に10段階を2で割る
  • 10.9→5 / 8.7.6→4 / 5→3 ・・・のような換算表を使う

などの方法があります。

各科目の評定の評価方法の解説

観点別評価の導入

2022年に「観点別評価」が導入されて、従来の評価方法が大きく変わりました。ここからは観点別評価について解説します。

参考:新高等学校学習指導要領と 学習評価の改善について – 文部科学省

観点別評価:3つの観点を3段階で評価して1〜5の評定を付ける

次の3観点から生徒の学習状況を評価します。

  • 「知識・技能」
  • 「思考・判断・表現」
  • 「主体的に学習に取り組む態度」

評価対象:ペーパーテストのみの評価から多角的な評価へ

従来はペーパーテストによる知識偏重な評価でしたが、観点別評価により、様々な活動が評価対象になりました。

  • 定期テスト
  • パフォーマンステスト:英語面接・グループディスカッション・プレゼン・レポート提出・体育実技など
  • 小テスト:英単語テスト・古文単語テスト・単元確認テストなど
  • 振り返りシート:学習の自己評価
  • 授業態度:発言や活動の積極性・授業ノートの完成度など
  • 課題提出:宿題・長期休暇課題など

どの活動が評価対象になるかは、各学校が公表するシラバスに記載されます。シラバスを公表しない学校でも、教科担当者が生徒に伝えるケースがほとんどです。

続いて、これらの評価対象を3観点から3段階で評価します。

  • A:十分満足できる状態
  • B:おおむね満足できる状態
  • C:努力を要する状態

到達度による評価で相対評価ではありません。最終的に、3観点の合計から1〜5の評価が決まります。

例えば、3観点が、

AAA→5 / AAB〜ABB→4 / BBB→3 / BBC〜BCC→2 / CCC→1

のような基準に従って、評価が決まります。

ここまでが、評定の算出方法ですが、評価対象・評価基準・換算方法などはあくまでも学校の裁量です。

実際の運用は学校によります。

観点を点数化したり、評価対象を傾斜して定期テストに重みをつけるなど様々です。

ここからは私の勤務校(中高一貫校・教科:英語)の具体例を紹介します。

【従来の評価】

定期テスト80%+平常点(授業態度・課題提出他)20%

【観点別評価】

「知・技」=定期テスト(知識技能問題)・実力テスト(知識技能問題)・小テストなど 

「思・表・判」=定期テスト(思考表現判断問題)・実力テスト(思考表現判断問題)・パフォーマンステスト・レポートなど 

「主体的態度」=振り返りシート・授業態度など

「知・技」=50%・「思・表・判」=30%・「主体的態度」=20%に傾斜して得点化します。得点に従って、1〜5の評価が決まります。

例えば「知・技」=80点・「思・表・判」=50点・「主体的態度」=90点とすると、

(80×0.5)+(50×0.3)+(90×0.2)=73点

点数で評価が決まり、73点だと評価は4になります。

定期テストのウェイトが大きいのですが、その他の項目もしっかり取り組まないと高評価は取れない仕組みになっています。

【ポイント4選】評定を上げる方法

ここからは評定の上げ方を次の4つのポイントから解説します。

  • 定期テスト点数UP
  • 普段の学習態度を真面目に取り組む
  • 受験科目以外も手を抜かない
  • 高校1年生から始める

お子さんの学習の様子から改善点があればアドバイスしてあげてください。

定期テストの点数UP:「分かる」が「解ける」になる勉強法

定期テストの点数が最重要なのは言うまでもありません。まずは定期テストの点数にこだわって下さい。

点数が思うように上がらないのであれば、「理解」だけにとどまって、「演習」が不足している可能性が考えられます。

「分かる」から「解ける」ようにする3つのポイントを押さえた勉強方法の確立が大事です。

  • アウトプット重視
  • 繰り返し重視
  • わかるまで諦めない

実はお子さん一人では効率よく勉強できない人が少なくありません。

「問題が解けないからアウトプットできない」「勉強時間が少ないから繰り返しができない」「質問ができる環境がないので勉強が進まない」

こうした問題を解決してくれるのが、個別指導です。実は評定UPのために個別指導を活用しているご家庭は少なくありません

もしも、お子さんが中高一貫校生なら、『中高一貫校専門 個別指導塾WAYS』のような、学校独自の教材やカリキュラムに完全対応してくれる専門塾が安心です。

英語の学習方法はこちらの記事で詳しく解説しています。

数学の学習方法はこちらの記事で詳しく解説しています。

授業態度・小テスト・提出物などをしっかり取り組む

観点別評価の導入によって、定期テスト以外の評価項目も重要になってきました。

基本的には授業内容と連動しているので、真面目に取り組めば、授業の理解度が上がり、定期テストの点数UPも期待できます。

評価対象になるものはシラバス(あるいはそれに準じるもの)に記載して、事前に告知するのが基本となっています。

受験科目以外の科目や実技科目も手を抜かない

全科目ともウェイトは変わりません。受験科目以外の科目や実技科目も手を抜けません。

実技科目や苦手科目は最初から諦めたり手を抜いたりする人がいますが、いずれもNGです。

真面目に取り組めば、少なくとも主体的な態度の評価が上がるので、極端に悪い評定にはなりません。

高校1年生からはじめて3年間継続する

評定平均は高1から3年間の平均値です。

高1の段階では受験に対する知識も乏しく、「評定が大事」という実感が持てずに、評定を疎かにしがちです。

少しでも早く対策するのがポイント。例え高1が過ぎていても、今からでも、学校の勉強を大事にしましょう。

少しだけ私の勤務校の体験談をさせてください。

指定校推薦についてです。早慶はハイレベルな争いになるのですが、実はGMARCHや関関同立レベルだと、偏差値が合格レベルに届いていない生徒で決まる傾向があります。

どういうことかというと、GMARCHや関関同立で合格レベルに到達している生徒は、校内選考が行われる9月の段階では早慶や旧帝大レベルを志望しているからです。

結果的に、一般入試の合格レベルに到達していない生徒で決まりがちです。これを捉えて、やっかむ声がありますが、決してそんなことはありません。

彼らは3年間、全科目を真面目に取り組んできたのです。十分に推薦に値すると個人的には思っています。

さらに、もう一つ下のレベルの大学だと、指定校推薦の枠が余ることが少なくありません。このレベルの生徒は実際に出願をしたくても、1〜2年生の評定が悪く基準に到達していないのです。

実は、学力が低いのではなく、スタートが遅いのが問題です。1〜2年の勉強で手を抜いてしまい、基礎が身についていないので成績が伸び悩んでしまいます。さらに、評定が出願の基準を満たせないのです。

改めて、学校の勉強(定期テスト)は高校1年生の時から大事にしておくことをお伝えしたいです。

【ポイント3選】近年の大学入試でのNG思考

「少子化」「大学全入時代」「新課程入試」など、時代の変化とともに大学入試も親世代とは様変わりしました。

一番大きな変化は、一般入試と推薦入試の入学者の割合がほぼ1:1になったことです。つまり、2人に1人が推薦入試で大学に進学しているのです。

次のような考え方はNGです。

  1. 推薦入試を考えていないから評定は関係ない
  2. 評定を上げても偏差値は上がらない
  3. 評定の基準を満たしているから大丈夫

推薦入試を考えていないから評定は関係ない

約50%の生徒が推薦入試(学校推薦型・総合型・内部進学)で大学に入学しています。

国公立大学では後期入試の定員を推薦入試に割り当てたり、関西圏私大では、併願可能な総合型選抜が定番化しています。

推薦入試の実態はこちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

推薦入試で半数が決まるということは、一般入試では定員の半数しか合格しないことを意味します。定員の厳格化と相俟って一般入試の難化につながっているとの見方もできます。

評定をしっかり取って、推薦入試の選択肢を残しておくのは非常に大事と言えるでしょう。

評定をあげても偏差値は上がらない

学校の授業と受験勉強を別軸で進めると、どちらも中途半端になるリスクが伴います。

授業で学習内容を理解して、演習によって力をつけるのは合理的です。

特に中高一貫校では先取りカリキュラムを進めているので、多くの学校では高校2年で高校の全ての範囲の学習が終わります。

授業をペースメーカに基礎力を養っておくと、スムーズに受験勉強に移行できるのです。

評定の基準を満たしているから大丈夫

大学受験の評定の目安は最低でも3.5以上と言われていますが、実際には評定は高い方が有利です。

指定校推薦なら、基準を上回るだけでなく、校内のライバルよりも優れていないと選考されません。人気大学ほど基準よりも高い争いになるので、少しでも上の評定を目指しましょう。

公募推薦や総合型選抜においても、実際の合否判定基準はわかりませんが、教師としての肌感覚では評定が高い生徒の方が、断然合格を勝ち取っています。

ある意味、志望理由書や面接は取り繕えますが、評定平均はその生徒の3年間の学習姿勢をしっかりと反映しているからです。

中高一貫校生の評定UPなら中高一貫校専門個別指導塾WAYS

WAYSの成績UPの秘訣とは?

『中高一貫校専門個別指導塾WAYS』は中高一貫校専門塾として500校以上の指導実績があります。その中で、数多くの生徒を志望校合格に導いてきました。

WAYSには成績UPの3つの特徴があります。

  1. 中高一貫校専門塾の豊富なノウハウ
  2. 圧倒的な指導時間
  3. できるようになるための指導法

こちらのページで中高一貫校専門個別指導塾WAYSの成績UPの秘訣を紹介しています

中高一貫校個別指導塾WAYSの評定UPの具体例

成績アップの事例

昭和女子大附属昭和高2:定期テスト得点UPでモチベーションもUP。評定9を目指す!

この生徒は高校2年の4月に入塾。入塾当初は36点だった数学が、3ヶ月後には87点までUPしました。

WAYSの特徴でもある長時間指導を上手に活用して講師と演習を積み重ねました。わからないところはすぐに解説してくれるので、効率よく学習ができるのもこの生徒には良かったようです。

WAYSの指導により学習に慣れてきて、これまで全くなかった学習習慣を確立しました。

定期テストの点数UPと相まってモチベーションも上がり、ますます学習量は増加。今では数学の評定9を目指して主体的に学習に取り組んでいます。

四天王寺高1:スピーディーな学習による演習量UPが定期テスト点数UP!

この生徒は中学3年生で入塾。高校1年で、英語39点→70点、数学28点→84点、化学36点→85点に点数アップをしました。

1日3時間勉強するなど勉強時間は確保していたようですが、漠然と手を動かすだけで効果的な学習ができていませんでした。

WAYSでは、講師がわからない問題をすぐに解説するので、テンポよく演習できます。1冊のテキストを3〜4周も繰り返せるまでになりました。

ここまで来れば、確実に成績が上がります。

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投稿者プロフィール

ひろ先生
ひろ先生
中高一貫校指導歴30年のベテラン教師です。勉強が得意な生徒から苦手な生徒までたくさんの生徒を指導してきました。念願叶っての中高一貫校だと思います。充実した6年間を過ごして欲しいものです。ベテランならではの視点で悩みに寄り添ったアドバイスを心がけます。ちなみに2人の子供も中高一貫校に通っています。保護者としての目線も大事にします。

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