中高一貫校の先取り学習とは?「大学受験に最適化」のメリット&デメリットを解説
中高一貫校は先取りカリキュラムが特徴です。
先取り学習のおかげで、大学入試の演習に多くの時間を費やせるのですが、進度が速く内容が難しくなってしまうので、落ちこぼれてしまう人がでてしまいます。
「どれくらい早いのか?」「どれくらい大変なのか?」の実感が掴めると対策しやすくなるかもしれませんね。
中高一貫校教師歴30年のベテランライターが中高一貫校の気になる先取り学習についてポイントを絞って解説します。
このページの目次
中高一貫校の先取り学習は英数メイン。公立比1.5倍の授業時間があるから実現可能
中高一貫校と公立中→高校の授業時間数の比較
中高一貫校(中学) | 公立中学 | |
数学 | 5-6時間 | 3-4時間 |
英語 | 5-6時間 | 4時間 |
国語 | 4-5時間 | 3-4時間 |
理科 | 3-4時間 | 3-4時間 |
社会 | 3-4時間 | 3-4時間 |
(注)学校や学年によって多少の差あり
中高一貫校の英数中心「先取り学習」&国理社中心「深掘り学習」の詳細
数学と英語は公立中の1.2〜1.5倍。時間数が多いので先取り学習ができるのです。
中2までに中学3年分の学習を終了して、中3から高校の学習を開始。高2で高校3年分の学習が終了、高3からは入試演習をするのが一般的な進度です。
国語・理科・社会は公立中と授業時間が変わらないので、先取り学習はしません。
しかし、入試を突破したハイレベルな生徒なので、単元によっては、高校の内容まで深掘りして学習することがあります。
例えば、中学理科の運動と力の単元では、中学生でも理解できる範囲で高校物理の内容まで学習します。
数学と英語の先取り学習の典型的ルート
数学
- 【パターン①】体系数学(中高一貫校用教科書)+準拠問題集
- 【パターン②】検定教科書+ハイレベル問題集
パターン①は、中高6ヵ年の内容を学習指導要領にとらわれない体系的な配列で編成した『体系数学』を使用。中学の時から高校内容まで先取りをします。
パターン②は、検定教科書を使って先取りします。中2までに中学3年分を終了し、中3から高校内容の学習を先取りします。
英語
- 【パターン①】中高一貫校用教科書+準拠問題集
- 【パターン②】検定教科書+ハイレベル問題集
パターン①は、中高一貫校用教科書で、中3で高校基礎レベル(=高校1年)の新出単語・英文法まで学習します。
パターン②は、教科書の進度は先取りしていませんが、ハイレベルな文法問題集を使って、英文法は高校基礎レベル(=高校1年)まで学習します。
中高一貫校用教科書についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
中高一貫校の先取り学習をメリットにできるかどうかは「家庭学習ができるか?」で決まる
先取り学習のメリット:大学入試演習を十分にできる
先取り学習では、高2終了の段階で、数学と英語の6年分の内容が終了します。国語・理科・社会は学年を問わず大学受験で大事な内容は早い段階から学習します。
1学年上の模試を受験したり、早い段階から受験問題集を解いたりと、自然な形で受験の準備が進んでいきます。
結果的に、大学入試対策の時間が十分に取れるので、受験では圧倒的に有利です。
非中高一貫校では、数学を短期間で詰め込まなければいけない、理科・社会の教科書が終わるのが共通テスト直前になるなど、対応に苦慮するケースが目立ちます。
実際に、2024年東大合格者数ランキングでは、トップ20校のうち、日比谷・浦和・横浜翠嵐以外は中高一貫校が占めています。
主要大学の合格者高校別ランキングは2024大学合格者高校別ランキング(大学通信ONLINE)で確認できます。
先取り学習のデメリット:「落ちこぼれ」や「浅い理解になってしまう」リスクも
先取り学習は進度が速くなるだけでなく、難易度も高くなります。
当然、授業についていけずに落ちこぼれる生徒がいます。
また、ただ先取りしているだけで、理解が浅くなることにも注意が必要です。
積み上げ教科の数学と英語は既習範囲を理解していないと、今習っているところがわからなくなります。そのままにしていると、どんどん先に進んでしまいます。
結果的に立て直すのが困難で、成績が浮上できない生徒のことを「深海魚」などと表現するくらいです。
先取り学習をメリットとするためには学習習慣が必須
中高一貫校生は中学受験で合格しています。その意味では、先取り学習についていけるかどうかは、学力の問題というよりは、勉強不足が原因の場合が多いです。
まして、先取り学習は授業だけでは成立しません。予習、復習や問題演習など、家庭学習に負うところが大きくなります。
勉強不足、つまり家庭学習が機能していない生徒は、先取り学習に対応できなくなる可能性が大です。
中高一貫校の家庭学習についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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中学受験に合格できた生徒のポテンシャルを引き出す指導
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その上で、学校で使っている教科書、問題集、オリジナルプリントを使った指導をします。
定期テストまでに学習範囲を3回繰り返します。学習範囲には宿題、課題、指定問題集までに及びます。
一般的な個別指導塾よりも長い120分という指導時間なので、中高一貫校の大量な学習範囲もしっかりカバーできるのです。
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家で全く勉強ができず、学習習慣が身についていなかった生徒の事例です。この状況だと、中高一貫校のハイレベルな先取り学習に対応できません。
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まずは学習時間を確保するようにWAYSがサポート。成績が伸びないのは、学力がないのではなく、勉強不足です。勉強量を確保することで勉強の遅れを取り戻しました。
勉強時間が増えることで学習習慣が確立できます。ここまで来れば中高一貫校の先取り学習にもきっちり対応できるようになります。
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投稿者プロフィール
- 中高一貫校指導歴30年のベテラン教師です。勉強が得意な生徒から苦手な生徒までたくさんの生徒を指導してきました。念願叶っての中高一貫校だと思います。充実した6年間を過ごして欲しいものです。ベテランならではの視点で悩みに寄り添ったアドバイスを心がけます。ちなみに2人の子供も中高一貫校に通っています。保護者としての目線も大事にします。
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