【化学】難関大学を志望する中高一貫校生のための大学受験対策パーフェクトガイド
難関大学において、数学・英語に続いて合否に影響するのが理科です。
本記事では、中高一貫校で15年の指導歴を持つ現役教師が、化学の難関大対策を紹介します。
化学の難関大対策のポイントは、以下の4つです。
- まずは、基礎知識を理解し、覚える
- 教科書内容を学ぶ高1・2で、定期テスト対策を怠らない
- 志望大学に合ったレベルの問題集(入試標準レベル+入試応用レベル)を完成させる
- 過去問で志望校対策を行う
そして、①〜④をお子さん自身の状況に応じて、学習計画に落とし込み、定着を図ることです。
そこで本記事では、難関大学向けの化学の参考書や問題集と、難関大対策のスケジュールを余すことなく紹介します。
お子さんが化学の難関大対策で悩んでいたら、本記事を参考にしてアドバイスしてあげてください。
物理の難関大学受験対策はこちら
このページの目次
難関大学とは
本記事で想定している難関大学とは、入学偏差値の高い大学です。
国公立大学では旧帝大、東工大、神戸大、各大学の医学部医学科が該当します。
また、私立大学では慶應大学や早稲田大学、その他、医学部医学科が難関大学に含まれます。
【高1・2生の難関大化学対策】学校の授業+定期テスト対策が難関大対策に直結する
高1・2は学校で教科書の内容を勉強する時期です。
中高一貫校では定期テストがハイレベルで、入試標準レベルの問題も出題されます。そのため、学校の授業とテスト対策が受験勉強に直結します。
STEP①学校の授業+講義系の参考書を活用して、化学現象を理解する
化学は、物質の性質や化学反応式など、暗記すべきことが多い科目です。しかし、それ以上に大事なのは、化学現象がなぜ起こるのか?どのような仕組みで起こるのか?と化学現象を理解することです。
化学現象の理解が、化学の得意・不得意の差を分けることになります。
先生の噛み砕いた表現で、化学現象を学ぶことができる貴重な機会が学校の授業です。極力、授業内で理解できるように集中して授業に取り組みましょう。
ただし、先生の説明で理解できなかったり、異なる説明を受けるとさらに理解できるケースもあります。
その場合、講義系の参考書を並行して読むと理解が深まります。
おすすめの参考書
化学現象が「なぜ起きるのか?」を詳しく知りたい場合には、新研究がおすすめです。高校の範囲を超える説明もあるため、化学が得意な人向けの参考書です。
化学が苦手で、噛み砕いた表現で分かりやすく説明されたものを求める場合には、こちらがおすすめです。
STEP②化学知識の暗記=日々の復習+穴埋め問題集の活用
現象が理解できていても、知識の暗記がなければ、化学の問題は絶対に解けません。
そんな知識の暗記で大事なのが、インプットとアウトプットの両方です。
- インプット=知識を覚えること。例えば、赤シートで隠しながら覚える、など。
- アウトプット=学校で使っている問題集などの「基本問題」を解くこと。
暗記というとインプットが注目されがちですが、アウトプットとのバランスが大事です。暗記が苦手という人もいますが、苦手な人は、アウトプットを軽視する傾向があります。覚えた知識は、使うことによって初めて定着していくのです。
そこで、覚えることが苦手な人向けに、インプットとアウトプットのバランスが良い問題集を紹介します。
穴埋め形式の問題集で、重要知識の穴埋めと確認問題がセットになっています。
STEP③定期テスト対策=学校指定の問題集で100点を取るつもりで勉強する
中高一貫校では、定期テストで大学入試を見据えたハイレベルな問題も出題されます。そのため、定期テスト対策が難関大受験の対策に直結します。
絶対にテスト勉強をおろそかにしてはいけません。
テスト対策は、以下の点に気をつけて勉強しましょう。
- 100点を取るつもりで問題集を徹底的に勉強する
- 応用・発展問題など、分からない問題は積極的に先生に質問する
多くの学校で使われている代表的な問題集としては、以下のものがあります。
「セミナー化学」(啓林館)、「リードα化学」(数研出版)、「エクセル化学」(実教出版)
これらの問題集は、いずれも基礎〜応用までバランス良く問題が掲載されています。定期テストレベルではこの1冊に集中して取り組むと良いでしょう。
また、漠然と演習するのではなく100点を取るつもりで勉強しましょう。100点を取るつもりであれば、知識の抜け漏れを許さなくなります。また、分からない問題がある状態でテストに臨ことはなくなるため、先生に積極的に質問できるはずです。
保護者の方ができるサポート
まずはお子さんと話し合い、難関大学を目指すという共通認識を持つことが大切です。
親が一方的に思いを押し付けてしまうと、かえって反発や依存につながる恐れがあるため、目標を共有しながら進めることがポイントです。
さらに、共通認識が持てたなら、受験における理科の位置づけ(数学・英語の次に重要)や、学習方針についてもお子さんと共有しておくと良いでしょう。
特に中高一貫校の場合、学校の授業や定期テスト対策がそのまま受験対策に直結します。学校の勉強と定期テストを絶対におろそかにしないことを確認しましょう。
難関大学を目指すためには、前述の問題集に取り組む計画を立て、自ら学習を進める姿勢が必要です。とはいえ、計画通りに進めても必ずしも結果が出るとは限らない場合もあるでしょう。
化学現象の理解が不十分であったり、知識不足であったり、学習計画が本人のキャパシティを超えていることも考えられます。
そのため、思うように結果が出ないときは、プロの客観的な視点を取り入れることが有効です。お子さん本人や保護者の方で原因を分析するのが難しい場合が多いのです。専門家に相談するのが賢明でしょう。
【高3生の難関大化学対策】標準〜応用〜過去問対策まで、自分で学習計画を立てて取り組む
高3以降は、お子さん自身の状況に応じて、学習計画を立てて勉強します。
やることは入試標準問題集→入試応用問題集→模試受験&復習→過去問対策です。
【高3になる前の春休み】先取り学習、または、これまでの学習内容の総復習に取り組む
教科書の内容がまだ終わっておらず、東大や京大を目指す場合は、先取り学習で未学習の範囲に取り組みます。東大や京大を目指す場合、ほとんどの受験生が先行して学習を進めています。
その際には、講義系参考書や学校の問題集を活用すると良いでしょう。今後の授業では、学習した内容を復習するような感覚で臨めるよう、計画的に進めることが大切です。
または、東大や京大以外を目指すなら、入試標準レベルの問題集で、全体の総復習を行いましょう。
入試標準レベルの問題集は、「実戦 化学重要問題集 化学基礎・化学」(数研出版)がおすすめです。多くの進学校で採用されており、信頼されている問題集です。
入試標準レベルの問題集は「理論化学」から開始するのが良いです。
化学は”理論化学”、”無機化学”、”有機化学”の3分野がありますが、理論化学が全ての分野の土台となります。
【高3の1学期〜夏休み終わり】学校の授業を活用しながら、自分で学習計画を立て、入試標準レベルの定着・入試応用レベルの問題集に取り組む
二次試験で得点できることを目指して、入試標準レベルに取り組みます。二次試験の対策をしていれば、共通テストにもつながるので、この時期は共通テストに特化した不要です。
この時期にやっておくべきことは主に2つ。
1つ目は、学校の授業を有効活用(予習・復習)することです。
この時期は、教科書の内容を扱う場合や、問題演習が行われる場合があります。
難関大対策に成功しているお子さんは、学校の授業を利用しながら、足りないポイントを家庭学習で補っています。1日の大半を過ごす学校なので、学校の授業を有効活用しない手はありません。
やっておきたいことの2つ目は、足りないポイントを、自分で計画を立てながら学習を進めることです。
特に、夏休み終わりまでにやっておきたいことは、以下の通りです。
- 入試標準レベルの問題集の定着させる
- 入試応用レベルの問題集に取り組む
まずは、入試標準レベルの問題集です。問題集としては前述した、「実戦 化学重要問題集 化学基礎・化学」(数研出版)がおすすめです。入試標準レベルの問題種に取り組む際は、必ず理論化学から取り組みましょう。
入試標準レベルの問題集を2〜3週程度取り組むことができたら、次に、入試応用レベルの問題集に取り組みましょう。取り組み始める時期はお子さんによって異なりますが、遅くとも夏休み後半には取り組み始めましょう。
おすすめの問題集は、まず「化学の新演習 改訂版」(三省堂)です。
ただし、新演習は問題数も多く(330題程度)、また、重要問題集と重複している問題も少なくありません。重要問題集を使わずに、新演習だけを取り組むというのも良いです。
また、学校で重要問題集を使っている場合は、「化学[化学基礎・化学] 標準問題精講 七訂版」(旺文社)を選ぶのもよいでしょう。
こちらは、100題程度と新演習に比べて問題数も少なく、重要問題集よりもレベルが高い問題が中心に掲載されています。
ただし、重要問題集だけでも十分な問題量(280問程度)があります。地方の医学部学科目指すお子さんの場合は、入試問題も難しくないので、無理に新演習や標準問題精講まで取り組まなくても良いでしょう。
【高3秋〜共通テスト】応用レベルの問題演習+特定大模試の受験のために、1・2回は過去問を解いておく
この時期に行うことは、主に4つ。
1つ目は、特定大模試の受験です。
大手予備校が特定大学(東大、京大、東工大など)の模試を実施しています。受験前に1〜2回程度は過去問を解いて受験に臨みましょう。
2つ目は、模試の復習です。
この時期は特定大学の模試以外にも、多くの模試が実施されます。模試を受験することで、お子さんの弱点が分かります。
ただし、分かった弱点を放置することほど愚かなことはありません。模試の受験は復習がセットだと考えてください。
3つ目は、これまで取り組んでいる標準レベル・応用レベルの問題集の演習です。
解き進めるのはもちろんですが、模試の復習とセットで、弱点補強のためにもう一度問題集を解き直すことも有効です。
最後に、共通テスト対策です。
共通テスト対策を始める時期は、お子さんの状況によって異なりますが、12月を目安に行いましょう。
対策としては、まずは過去問対策。過去問は赤本など、各社が出版しています。
そして、過去問を全て解ききってしまった場合は、大手予備校が出している共通テスト模試「2025共通テスト総合問題集 化学」(河合出版)などを使うと良いです。
問題演習量も大事ですが、復習がより大事になります。
ただし、この時期に注意してきたいことが1点。
模試が増える分、成績が伸び悩む「スランプ」に陥るお子さんがいます。
スランプは、基礎の理解不足が原因の1つです。今まで使っていた講義系の参考書や、教科書を読んで公式の導出や定義などを見直しましょう。ある程度勉強が進んだこの時期に、基礎の見直しをすることで、理解が深まり、スランプ脱出のきっかけになることがあります。
また、スランプに陥ると、勉強方法に疑問を抱き、別の問題集に手をつけようとするケースがあります。スランプに陥ったとしても、問題集を変えず、信じて1冊の問題集をやり続ける方が良いです。
【共通テスト後〜入試本番】目標点が安定して取れるまで、過去問演習を
共通テストが終わったら、ひたすら過去問演習を行います。
過去問演習では形式や傾向に慣れることを目的に、時間を測って、目標得点を安定的に取れるまで練習します。
あくまでも目安ですが、医学科以外なら60〜70%、医学部医学科なら80%程度の得点率を目指します。
穴がある分野があれば、今まで使っていた問題集を使って復習します。 新しい問題集に手を出す意味は全くありません。
保護者の方ができるサポート
高3になると、お子さんが自律的に学習することが必須です。
特に中高一貫校の場合、学校の雰囲気が一気に大学受験モードに切り替わるので、保護者はお子さんを信じて見守るスタンスでいると良いです。
保護者の方ができるサポートとしては、以下の通りです。
- お子さんと話し合ったうえで、前述のような情報を提供する
- お子さん本人が落ち込んでいるときや迷っているとき、話を聞いてあげる
- 模試受験や大学受験に必要な手続き
このように、保護者の方が直接サポートできることは、あまり多くありません。
そのため、どうしても目標の成績に届かず、お子さんが悩んでいる場合、お子さんや保護者の方だけでは解決が難しいです。プロの客観的な視点からのサポートをもらった方が良いでしょう。
難関大学の合否を分ける化学学習のポイント
安定した得点源になる”有機化学”を重点的に勉強する
有機化学は、化学の3つの分類「理論化学・無機化学・有機化学」の中でも、暗記と考える力の両方が必要になる分野です。さまざまな官能基の名前や反応を知っているだけでなく、それを基にパズルのように頭を使っていく必要があります。
だからこそ、苦手意識を持つ人も少なくない分野でもあります。
しかし、実は有機化学には典型的な考え方が多く、計算問題も他の分野に比べて少なめです。
そのため、一度コツをつかんでしまえば、確実に得点源にできる分野だと言えます。
計算ミスを減らす工夫をする
化学は計算問題も多く、複雑な場合が多いです。
どうしても計算はミスがしやすいため、計算問題を得点源にするのはリスクがあります。
しかし、少しでも計算ミスを減らす工夫は最低限行うべきです。
計算ミスを減らす工夫①
問題用紙の狭い計算スペースに、あちこちに計算式を書くと、自分が何を計算しているか分からなくなります。
多少時間がかかっても、きっちり順序立てて整理して計算過程を書くことで、自分が計算している過程を見失わずに済みます。
計算ミスを減らす工夫②
例えば、濃度計算では、単位ミスによる計算ミスが散見されます。
そのため、計算に用いる値の単位、求める答えの単位を明記することが重要です。
標準問題の定着度で差がつく
合格者と不合格者の得点を状況を分析すると、難問ではほとんど差がついていません。
一方で、入試標準レベルの問題で差がつくケースが非常に多いです。 たとえ東大でもこの傾向は変わらないです。
しかし、応用レベルの問題集をやらなくていいわけではありません。
応用レベルの問題の中にも標準レベルの問題が含まれ、応用レベルの問題設定の中で標準レベルの問題を見極め、確実に得点することが必要となるのです。
そのためには、標準レベルを「定着させる」ことが大事です。
志望大学の傾向に合わせて勉強する
要求される偏差値が高い大学で、必ずしも難易度が高い問題が出題されるわけではありません。
旧帝大の中でも、問題の難易度は異なります。
例えば東京・京都は非常に難易度が高い問題が出題されます。他にも東北大学や東工大の問題の難易度も、非常に高いです。一方で、北海道大学や九州大学は、入試標準レベル程度の問題が出題されます。
また、総合大学(色々な学部がある大学)の医学部医学科は、その他の学部と同じ問題であることがほとんどです。そのため、医学部でも地方大学の問題の難易度は高くないことが多いです。
ただし、医学部の単科大学(浜松医科大学など)は注意が必要です。医学部単科大学の問題は、難問・奇問が多く出題される傾向があります。
このように、特に過去問演習する際には、志望大学の傾向に合わせた演習が必要となります。
自己分析の上で、学習計画を立てて勉強する必要がある
大学入試の合否は、数学と英語が大きなカギを握る大学が多いです。
必然的に勉強の主軸は、数学と英語が担います。 その分、物理の勉強は数学と英語の成績、学習状況を鑑みながら行うことになります。
まずは、どの問題集を使うかなど、方法論を把握することは非常に重要です。加えて、難関大対策とは、自己分析の上に、お子さん自身に適した学習計画を、立案・実行・修正する、といったプロジェクトなのです。
学習計画を立てるのが苦手でも大丈夫!中高一貫校専門の個別指導塾「WAYS」で化学の難関大対策を
「中高一貫校専門 個別指導塾WAYS」は、お子さんの成績向上を目指す保護者の方にとって心強い味方です。
大学入試に向けて効果的に学力を伸ばすには、中高一貫校のカリキュラムに沿った学習が最も近道です。成績が伸び悩むお子さんにとっては、プロのサポートが重要ですが、学校のカリキュラムを尊重した指導が理想的です。
WAYSでは、中高一貫校専門としての知見を活かし、学校の授業を妨げることなく、効率的に学力を向上させる指導を強みとしています。
また、難関大学受験では、お子さんが自律的に学習する姿勢と、方法を身につけることが欠かせません。
WAYSでは、「わかる」よりも「できる」ようになる指導を心がけています。自分で問題を解決する力を育てる指導を行い、実力をつけるための効果的な勉強法もわかりやすく指導します。これにより、お子さんは授業の理解を深めながら、確実に学習スキルを向上させていくことができます。
WAYSの指導を受けた中高一貫校生の92.9%が成績向上を達成しており、多くの保護者から高い評価をいただいています。
WAYSの成績アップのノウハウ、料金体系、入塾までの流れ、さらには大学合格実績など、詳細を知りたい方は、今すぐこのページからWebパンフレットをご請求ください。お子さんの未来のために、効果的なサポートを選びましょう。
投稿者プロフィール
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中高一貫校で15年間指導してきました。10年間は高校3年生の大学受験指導を、次の5年間は主に中学で指導してきましたので、大学受験を見据えた中学からの学力形成に知見があります。私自身も中高一貫校を卒業しました。
せっかく努力されて入学した学校なので、充実した時間を過ごせるよう情報発信という形でサポートしていきます。
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