大学受験の足切りとは?国公立大学の前期試験が受けられなくなるって本当?


大学受験には「足切り」といわれる仕組みがあります。
内容はわからなくても、何となくよい響きでないことはイメージできるのではないでしょうか?

足切りは一部の国公立大学で行われているもので、大学側の条件を満たしていない志願者に、二次試験の受験資格を与えないことをいいます。

なぜ、そのようなことが行われるのでしょうか?

そこで本記事では、大学受験の足切りが行われる理由や方法、足切りされないためにやるべきことをご紹介します。

国公立大学を受験予定の方や、足切りについて詳しく知っておきたい方は参考にしてください。

大学受験の足切りとは?

大学受験の足切りとは、正式名称を「第一段階選抜」といい、国公立大学の入試で行われます。
全ての大学で行うわけではなく、志願者数の多い難関大学や医学部などで実施されやすい傾向です。

通常、国公立大学は共通テストと大学ごとの二次試験の合計点で合否を決めます。
しかし足切りの場合は、共通テストの結果が出た時点で、大学側が定める条件に満たない受験生に二次試験の受験資格を与えません。

どんなに希望していても、二次試験を受ける権利すら与えられないのです。

足切りを行う理由

足切りを行う理由は二つあります。

一つは大学側の負担を少しでも軽減するためです。
二次試験後、大学側は合格発表までの短期間に全受験生のテストを採点しなければなりません。
その負担を減らすための措置です。

もう一つの理由に、試験会場の収容人数の問題があります。
想定以上の受験者数では、試験会場に収まらなくなってしまうため、収容人数を超えないように足切りを行います。

実施大学数と不合格者数

では例年どれくらいの人数が、足切りにあっているのでしょうか?

文部科学省発表の令和4年度および5年度の「国公立大学2段階選抜実施状況の概要(前期日程分)」によると、過去2年の結果は以下のようになります。

令和5年度 令和4年度
予告大学・学部 65大学175学部等 64大学173学部等
実施大学・学部 34大学56学部等 29大学53学部等
第一段階選抜不合格者 3,623人 3,029人

参考:令和5年度国公立大学2段階選抜実施状況の概要(前期日程分)
令和4年度国公立大学2段階選抜実施状況の概要(前期日程分)

足切りの可能性がある大学は、入試要項にあらかじめ実施の可能性があることが記載されています。
ただし予告をしていても、実際に実施するのは50~60%といわれています。

とはいえ、3,000人以上が足切りで涙をのんでいるのも現状です。

足切りの基準

足切りの方法は、3パターンあります。

  1. 共通テストの得点が基準点に満たない場合不合格とする
  2. 事前に定めた倍率に収まるよう、得点の低い方から不合格とする
  3. 1と2の両方を併用

志望校がどの方法で足切りを実施するのか、あらかじめチェックしておきましょう。

国公立の大学受験の流れと足切りのタイミング

国公立大学は1月中旬に共通テストを実施します。受験後は、自己採点した結果を考慮して2月上旬までに志望校に出願します。
足切りが行われるのは、出願締め切り後の志願者数が判明した段階です。

無事通過した受験生には、受験票が郵送されますが、足切りされた受験生には受験票は届きません。
その代わりに、足切りの対象となった通知が届きます。

【大学受験の足切り】よくある疑問

大学受験の足切りはおおむね理解できたでしょうか。
しかし何となく分かりにくい仕組みであることも確かです。

ここでは大学受験の足切りで抱きがちな疑問にお答えします。

足切りにあったらほかの大学を受験できるのか

足切りにあった場合、二次試験はほかの大学に変更する必要が出てきます。

しかし前述のように、足切りにあったことが分かるのは二次試験の出願後です。
前期日程で足切りにあった場合は、ほかの大学の前期日程は受験できません。

だからこそ共通テストの得点を分析し、足切りにあわないかどうか判断することが重要です。

足切りにあったら受験料はどうなるのか

足切りにあった場合、受験料は一部返還されます。

多くの国公立大学の受験料は1万7,000円です。
ここから、手数料などを差し引いた1万3,000円ほどが戻ってきます。

ただし、何もしなくても勝手に返金してくれるわけではありません。
指定される期日までに、決められた方法で大学側に請求してはじめて返金されます。

具体的な足切りラインは大学側が発表するのか

足切りの条件は入試要項に記載されていますが、具体的な数字は共通テストを行い、志願者数が確定するまで大学側も分かりません。

足切りが決定しても、学校側は足切りラインを発表しないため、大手の塾や予備校が発表する足切りの予想ラインを参考に判断するしか方法はありません。

大学受験で足切りにあわないための対策

せっかく願書を出し、志望校合格に向かって頑張っていたにもかかわらず、試験すら受けさせてもらえない状況は、何としても避けたいものです。
足切りにあわないために、できる限りの対策を行いましょう。

入試要項をしっかり確認しておく

足切りを行う可能性のある大学は、入試要項にその旨が記載されています。
例えば令和5年度の場合、東京大学・徳島大学歯学部歯学科は、以下のように定めていました。

東京大学:文科一類~三類が約3倍、理科一類が約2.5倍・二類が約3.5倍・三類が約3倍の倍率を超えた場合

徳島大学歯学部歯学科:入学志願者数が募集人員を大幅に上回り8倍を超えた場合

もちろん、足切りを心配しなくてもよいくらいの点を共通テストで取れることが理想です。
しかし万が一のこともあるため、事前にどのような状況で足切りが行われ、条件はどういったものなのかをしっかり確認しておきましょう。

共通テスト対策を万全にする

足切りにあわないためには、共通テスト専用の対策を取ることが重要です。

大学の中には、共通テストと二次試験を比べると、二次試験の方に得点の比重が高く設定されている大学もあります。
その場合、どうしても二次試験対策を重点的に取り組みたくなりますが、それで足切りにあっては本末転倒です。

少なくとも共通テスト前には、重点的に共通テスト専用の対策を行いましょう。

自己採点を正確に行う

共通テスト後は、予備校などが発表する解答を参考に自己採点を行いましょう。
マークのチェックを間違えてしまうと、足切りの対象かどうか一切分からなくなってしまうため、注意が必要です。

また、塾や予備校では、各大学の「足切り予想ライン」を公表します。
塾や予備校ごとに数値が異なることがあるため、複数の情報を参考に自分の立ち位置を確認しましょう。

これらの情報をもとに、最終的な志望校を決定します。

まとめ

一部の国公立大学で行われる「足切り」は、大学側の負担軽減と試験会場の収容人数などが実施の理由です。

全ての大学で行われるわけではありませんが、実施の可能性がある大学は入試要項にあらかじめ記載されているため、必ず確認しておきましょう。

足切りにあわないためには、共通テストで高得点を取るしかありません。
二次試験の対策だけでなく、共通テスト専用の対策を万全にし、試験に臨んでください。

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