【生物】難関大学を志望する中高一貫校生のための大学受験対策パーフェクトガイド

難関大学において、数学・英語に続いて合否に影響するのが理科です。

本記事では、生物の難関大対策を、中高一貫校で15年の指導歴を持つ現役教師が紹介します。

生物の難関大対策のポイントは、以下の4つです。

  1.  教科書・参考書を利用し、生物の内容を理解・暗記することが最も重要
  2.  高1・2で、定期テスト対策を怠らない
  3.  志望大学に合ったレベルの問題集(入試標準レベル+入試応用レベル)を完成させる
  4.  過去問で志望校対策を行う

そして、①〜④を自身の状況に応じて学習計画に落とし込み、定着を図ることです。

そこで本記事では、難関大学向けの生物の参考書や問題集と、難関大対策のスケジュールを余すことなく紹介します。

お子さんが生物の難関大対策で悩んでいたら、本記事を参考にしてアドバイスしてあげてください。

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このページの目次

難関大学の生物対策とは

難関大学とは

本記事で想定している難関大学とは、入学偏差値の高い大学です。

国公立大学では旧帝大、東工大、神戸大、各大学の医学部医学科が該当します。

また、私立大学では慶應大学や早稲田大学、その他、医学部医学科が難関大学に含まれます。

難関大の生物とは

もしかしたら、「生物は暗記科目」と考えてはいないでしょうか。実は、生物を単なる暗記科目として捉えることは危険です。

大学入試で出題される生物の問題は、大きく分けて3種類あります。

  • 基礎の生物現象の理解や知識を問う、知識問題
  • 知識を基にした論述問題
  • 実験・考察問題、また、実験・考察に関する論述問題

これらは、論理的思考力や判断力が求められ、暗記だけで対応できる問題では決してありません。

ただし、暗記が不要なわけではありません。

知識問題、論述問題、実験・考察問題の全てで知識が必要です。

そして、求められる知識量は膨大です。そのため、高校3年間の生物の勉強のうち、2年以上は基礎的な知識・理解の定着に費やすことになります。

【高1・2生の難関大生物対策】学校の授業+定期テスト対策が難関大対策に直結する

高1・2は学校で教科書の内容を勉強する時期です。

中高一貫校では定期テストがハイレベルで、入試標準レベルの問題も出題されます。そのため、学校の授業とテスト対策が受験勉強に直結します。

STEP①学校の授業+講義系の参考書を活用して、生物現象を理解する

前述したように、生物を単に「暗記科目」と考えてはいけません。暗記以上に、生物現象の複雑なプロセスの仕組みや、原理を「理解」することが重要なのです。

また、難関大であろうとも基本的には教科書の内容がベースに問題が作られます。極論を言えば、教科書の内容を全て理解できていれば良いのです。

ただし、教科書に書かれた文章は、初見では理解しづらい部分があるため、学校の授業を大切にしましょう。

先生の噛み砕いた表現で、生物現象を学ぶことができる貴重な機会が学校の授業です。極力、授業内で理解できるように集中して授業に取り組みましょう。

授業の後には、教科書を読み復習することをおすすめします。しかし、それでも理解しづらいようであれば、講義系の参考書を並行して読むと良いでしょう。

講義系参考書は、噛み砕いた表現や多くのビジュアルを用いて解説されており、教科書に比べるとわかりやすい参考書です。

おすすめの参考書は、以下の通りです。

「改訂版 大学入試 山川喜輝の 生物基礎が面白いほどわかる本」(KADOKAWA)

「改訂版 大学入試 山川喜輝の 生物が面白いほどわかる本」(KADOKAWA)

上記の参考書は、苦手な人でも分かりやすい内容になっています。

一方で、生物が好きで、なぜそういう現象が起きるのか?ということを詳しく理解したい人には「生物合格77講【完全版】2nd edition」(東進ブックス)がおすすめです。

ただし、高1・2には難しいような教科書を超える内容も記載されているため、この本を全て理解しようとすると負荷が大きいので注意が必要です。

STEP②生物知識の暗記=日々の復習+穴埋め問題集の活用

現象が理解できていても、知識の暗記がなければ、生物の問題は絶対に解けません。

そんな知識の暗記で大事なのが、インプットとアウトプットの両方です。

  • インプット=知識を覚えること。例えば、赤シートで隠しながら覚える、など。
  • アウトプット=学校で使っている問題集などの「基本問題」を解くこと。

暗記というとインプットが注目されがちですが、アウトプットとのバランスが大事です。暗記が苦手という人もいますが、苦手な人は、アウトプットを軽視する傾向があります。覚えた知識は、使うことによって初めて定着していくのです。

そこで、覚えることが苦手な人向けに、インプットとアウトプットのバランスが良い問題集を紹介します。

「必修整理ノート 生物基礎」(文英堂)、「必修整理ノート 生物」(文英堂)

穴埋め形式の問題集で、重要知識の穴埋めと確認問題がセットになっています。

また、生物の暗記は、必ず「単語+図」と、言葉とイメージをセットで暗記することが大切です。「フォトサイエンス生物図録」(数研出版)などの資料集を手元に置いて、図と一緒に覚えることを習慣づけると良いでしょう。

STEP③定期テスト対策=学校指定の問題集で100点を取るつもりで勉強する

生物の成績を伸ばすためには、覚えた知識と生物現象の理解と暗記を土台にして、問題演習を行うことが絶対に欠かせません。

特に、中高一貫校では、定期テストで大学入試を見据えたハイレベルな問題も出題されます。そのため、定期テスト対策が難関大受験の対策に直結します。

絶対にテスト勉強をおろそかにしてはいけません。

テスト対策は、100点を取るつもりで問題集を徹底的に勉強しましょう。

100点を取るつもりであれば、知識の抜け漏れを許さなくなります。また、分からない問題がある状態でテストに臨ことはなくなるため、先生に積極的に質問できるはずです。

使う問題集は、学校で使われている教科書傍用問題集で良いです。

多くの学校で、「セミナー生物」(啓林館)、「リードα生物」(数研出版)、「エクセル生物」(実教出版)が使われています。

これらの問題集は、いずれも基礎〜応用までバランス良く問題が掲載されています。定期テストレベルでは、この1冊に集中して取り組むと良いでしょう。

保護者の方ができるサポート

まずはお子さんと話し合い、難関大学を目指すという共通認識を持つことが大切です。

親が一方的に思いを押し付けてしまうと、かえって反発や依存につながる恐れがあるため、目標を共有しながら進めることがポイントです。

さらに、共通認識が持てたなら、受験における理科の位置づけ(数学・英語の次に重要)や、学習方針についてもお子さんと共有しておくと良いでしょう。

特に中高一貫校の場合、学校の授業や定期テスト対策がそのまま受験対策に直結します。学校の勉強と定期テストを絶対におろそかにしないことを確認しましょう。

難関大学を目指すためには、前述の問題集に取り組む計画を立て、自ら学習を進める姿勢が必要です。とはいえ、計画通りに進めても必ずしも結果が出るとは限らない場合もあるでしょう。

化学現象の理解が不十分であったり、知識不足であったり、学習計画が本人のキャパシティを超えていることも考えられます。

そのため、思うように結果が出ないときは、プロの客観的な視点を取り入れることが有効です。お子さん本人や保護者の方で原因を分析するのが難しい場合が多いのです。専門家に相談するのが賢明でしょう。

【高3生の難関大生物対策】標準〜応用〜過去問対策まで、自分で学習計画を立てて取り組む

高3以降は、お子さん自身の状況に応じて、学習計画を立てて勉強します。

やることは教科書傍用問題集→入試標準問題集→入試応用問題集→模試受験&復習→過去問対策です。

【高3になる前の春休み】これまでの学習内容の総復習に取り組む

生物は、基礎的な生物現象の理解と知識習得が本当に大事です。

高3になったからといって、基礎が固まっていない状態で、大学入試レベルの演習を始めると、かえって復習に時間がかかり効率が悪いです。

まずは土台を固めるために、これまで学校で使ってきた教科書傍用問題集、教科書、講義系参考書を使って総復習をすると良いでしょう。

【高3の1学期】基礎知識の徹底理解と暗記〜入試標準レベルの問題集に取り組む

この時期にやるべきことは主に2つ。

1つ目は、高1・2から引き続き、学校の勉強を大切にすることです。

学校にもよりますが、教科書の内容を学習している場合は、復習と定期テスト対策を。演習が行われる場合は、演習の復習を行いましょう。

難関大対策に成功しているお子さんは、学校の授業を利用しながら、足りないポイントを家庭学習で補っています。1日の大半を過ごす学校なので、学校の授業を有効活用しない手はありません。

2つ目は、自分で問題集を解き進めることです。

まずは引き続き、教科書傍用問題集に取り組みましょう。

2〜3周程度取り組み、基礎がある程度固まってきたら、入試標準レベルの問題集に取り組みます。

生物は基礎の理解と暗記が重要ではありますが、入試標準レベルの問題演習で力をつけることも大事です。そのため、6〜7月くらいには入試標準レベルの問題集を解き始めたいところです。

入試標準レベルのおすすめの問題集は「生物問題集合格177問【入試必修編】」(東進ブックス)です。

この問題集は、夏休みの終わり頃までには2〜3周程度解いておきたいので、どんどん演習を進めたいです。しかし、抜けている知識があれば、その都度、教科書や講義系参考書で復習することも重要です。

また、高1・2で使っていた講義系参考書は、引き続き活用できます。

ただ、難関大では求められる知識量が圧倒的に多いのです。前述した「面白いほどわかる本」を利用していれば、もう1つレベルを上げて「大森徹の最強講義126講 生物[生物基礎・生物]」(文英堂)を利用するのもおすすめです。

【高3夏休み】自分で学習計画を立て、入試標準レベルの定着・入試応用レベルの問題集に取り組む

夏休みは、二次試験で得点できることを目指して、入試標準レベル〜応用レベルに取り組みます。二次試験の対策をしていれば、共通テストにもつながるので、この時期は共通テストに特化した不要です。

学校の授業がなくなるこの時期にやっておくべきことは、以下の2つです。

  • 入試標準レベルの問題集の定着させる
  • 入試応用レベルの問題集に取り組む

まずは、入試標準レベルの問題集です。前述した、「生物問題集合格177問【入試必修編】」(東進ブックス)で演習を進めましょう。

入試標準レベルの問題集を2〜3週程度取り組むことができたら、次に、入試応用レベルの問題集に取り組みましょう。取り組み始める時期は、お子さんによって異なりますが、遅くとも夏休み後半には取り組み始めましょう。

おすすめの問題集は、「大森徹の最強問題集159問 生物[生物基礎・生物]」(文英堂)です。

【高3秋〜共通テスト】応用レベルの問題演習+特定大模試の受験のために、1・2回は過去問を解いておく

この時期に行うことは、主に4つ。

1つ目は、特定大模試の受験です。

大手予備校が特定大学(東大、京大、東工大など)の模試を実施しています。受験前に1〜2回程度は過去問を解いて受験に臨みましょう。

2つ目は、模試の復習です。

この時期は特定大学の模試以外にも、多くの模試が実施されます。模試を受験することで、お子さんの弱点が分かります。

ただし、分かった弱点を放置することほど愚かなことはありません。模試の受験は復習がセットだと考えてください。

3つ目は、これまで取り組んでいる標準レベル・応用レベルの問題集の演習です。

問題集を解き進めるのはもちろんですが、復習も大事です。模試で判明した弱点補強のために、すでに解き終わった分野も解き直すことも有効です。

最後に、共通テスト対策です。

共通テスト対策を始める時期は、お子さんの状況によって異なりますが、12月を目安に行いましょう。

まずは過去問対策。過去問は赤本など、各社が出版しています。

そして、過去問を全て解ききってしまった場合は、大手予備校が出している共通テスト模試「2025共通テスト総合問題集 生物」(河合出版)などを使うと良いです。

生物の共通テストは思考力が問われる良問です。ただし、物理の共通テストとは異なり、満点を取ることは難しい科目です。

令和6年度の共通テストでは、満点を取っている人は全体の0.05%です(物理は2%)。そのため、演習時に満点が取れないと悲観する必要はありません。

この時期に注意してきたいことが1点。

模試が増える分、成績が伸び悩む「スランプ」に陥るお子さんがいます。

スランプは、基礎の理解不足が原因の1つです。今まで使っていた講義系の参考書や、教科書を読んで基礎を見直しましょう。ある程度勉強が進んだこの時期に、基礎の見直しをすることで、理解が深まり、スランプ脱出のきっかけになることがあります。

また、スランプに陥ると、勉強方法に疑問を抱き、別の問題集に手をつけようとするケースがあります。スランプに陥ったとしても、問題集を変えず、信じて1冊の問題集をやり続ける方が良いです。

【共通テスト後〜入試本番】目標点が安定して取れるまで、過去問演習を

共通テストが終わったら、ひたすら過去問演習を行います。

過去問演習では形式や傾向に慣れることを目的に、時間を測って、目標得点を安定的に取れるまで練習します。

あくまでも目安ですが、医学科以外なら60〜70%、医学部医学科なら80%程度の得点率を目指します。

穴がある分野があれば、今まで使っていた問題集を使って復習します。 新しい問題集に手を出す意味は全くありません。

また、特に国公立大学であれば、論述問題も出題されます。論述問題の対策として、解答の添削してもらうことが重要です。先生に協力してもらい、積極的に添削してもらいましょう。

保護者の方ができるサポート

高3になると、お子さんが自律的に学習することが必須です。

特に中高一貫校の場合、学校の雰囲気が一気に大学受験モードに切り替わるので、保護者はお子さんを信じて見守るスタンスでいると良いです。

保護者の方ができるサポートとしては、以下の通りです。

  • お子さんと話し合ったうえで、前述のような情報を提供する
  • お子さん本人が落ち込んでいるときや迷っているとき、話を聞いてあげる
  • 模試受験や大学受験に必要な手続き

このように、保護者の方が直接サポートできることは、あまり多くありません。

そのため、どうしても目標の成績に届かず、お子さんが悩んでいる場合、お子さんや保護者の方だけでは解決が難しいです。プロの客観的な視点からのサポートをもらった方が良いでしょう。

難関大学の合否を分ける生物学習のポイント

志望大学の傾向に合わせて勉強する

生物は大学によって出題傾向が異なります。

国公立大学では、論述が出題されることが多いですが、難関私大では論述よりも、細かい知識が聞かれることが多いです。

また、大学個別によって、よく出題される分野が異なりますし、問題の難易度も異なります。

例えば東京・京都は非常に難易度が高い問題が出題されます。他にも東北大学や東工大の問題の難易度も、非常に高いです。一方で、北海道大学や九州大学は、入試標準レベル程度の問題が出題されます。

さらに、総合大学(色々な学部がある大学)の医学部医学科は、その他の学部と同じ問題であることがほとんどです。そのため、医学部でも地方大学の問題の難易度は高くないことが多いです。

ただし、医学部の単科大学(浜松医科大学など)は注意が必要です。医学部単科大学の問題は、難問・奇問が多く出題される傾向があります。

このように、過去問演習する際には、志望大学の傾向に合わせた演習が必須となります。

苦手な分野は別途対策をする

生物は、多くの受験生が苦手とする分野や、出題方式がおおよそ決まっています。そのため、以下のように、分野や出題方式に特化した問題集も出版されているのです。

ただし、これらを全てをこなす時間は、受験生にはありません。これらの分野や出題方式に、特に苦手意識を感じるなら、やっておくのも良いでしょう。

標準問題の定着度で差がつく

合格者と不合格者の得点を状況を分析すると、難問ではほとんど差がついていません。

一方で、入試標準レベルの問題で差がつくケースが非常に多いです。 たとえ東大でもこの傾向は変わらないです。

しかし、応用レベルの問題集をやらなくていいわけではありません。

応用レベルの問題の中にも標準レベルの問題が含まれ、応用レベルの問題設定の中で標準レベルの問題を見極め、確実に得点することが必要となるのです。

そのためには、標準レベルを「定着させる」ことが大事です。

自己分析の上で、学習計画を立てて勉強する必要がある

大学入試の合否は、数学と英語が大きなカギを握る大学が多いです。

必然的に勉強の主軸は、数学と英語が担います。 その分、生物の勉強は数学と英語の成績、学習状況を鑑みながら行うことになります。

まずは、どの問題集を使うかなど、方法論を把握することは非常に重要です。加えて、難関大対策とは、自己分析の上に、お子さん自身に適した学習計画を、立案・実行・修正する、といったプロジェクトなのです。

学習計画を立てるのが苦手でも大丈夫!中高一貫校専門の個別指導塾「WAYS」で生物の難関大対策を

中高一貫校専門 個別指導塾WAYS」は、お子さんの成績向上を目指す保護者の方にとって心強い味方です。

大学入試に向けて効果的に学力を伸ばすには、中高一貫校のカリキュラムに沿った学習が最も近道です。成績が伸び悩むお子さんにとっては、プロのサポートが重要ですが、学校のカリキュラムを尊重した指導が理想的です。

WAYSでは、中高一貫校専門としての知見を活かし、学校の授業を妨げることなく、効率的に学力を向上させる指導を強みとしています。

また、難関大学受験では、お子さんが自律的に学習する姿勢と、方法を身につけることが欠かせません。

WAYSでは、「わかる」よりも「できる」ようになる指導を心がけています。自分で問題を解決する力を育てる指導を行い、実力をつけるための効果的な勉強法もわかりやすく指導します。これにより、お子さんは授業の理解を深めながら、確実に学習スキルを向上させていくことができます。

WAYSの指導を受けた中高一貫校生の92.9%が成績向上を達成しており、多くの保護者から高い評価をいただいています。

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投稿者プロフィール

しみすけ先生
しみすけ先生
中高一貫校で15年間指導してきました。10年間は高校3年生の大学受験指導を、次の5年間は主に中学で指導してきましたので、大学受験を見据えた中学からの学力形成に知見があります。私自身も中高一貫校を卒業しました。
せっかく努力されて入学した学校なので、充実した時間を過ごせるよう情報発信という形でサポートしていきます。

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