内部進学(内部推薦)の試験や条件を大学別に紹介!定期テスト対策が重要
中高一貫校に入学すれば、あまり勉強しなくても内部進学で、大学まで受験勉強せずに進学できると考えている方は少なくありません。
しかし、内部進学には試験や条件が設けられており、希望すれば必ず内部進学できるわけではないのです。
成績が悪かったり、遅刻・欠席などが多かったりする生徒は危険信号です。
本記事では中高一貫校における内部進学の実情と基準、内部進学するための対策や落ちてしまったときの対処法を解説します。
特に三者面談などで「進級や進学が危うい」と先生から注意を受けている方は本記事を最後までご覧ください。
このページの目次
内部進学(内部推薦)は全ての生徒が大学に行けるわけではない
内部進学とは、一般選抜を行わずに付属の大学へ進学することや、中高一貫校で中学から高校へ進学することです。
本記事では、高校から大学への内部進学について解説します。
一般的に、内部進学は大学受験に向けた勉強が不要なため、楽だと思われることも多いですが、実際は全員が内部進学できるわけではありません。
評定平均や実力テストの点数、課外活動や保有資格、出席日数など高校生活のあらゆる内容を基に、各学校が定める基準によって、内部進学の推薦枠を勝ち取る生徒が決まります。
学校によっては希望者のほぼ全員が内部進学できることもありますが、稀なケースであり、生徒の約半数しか内部進学しない学校もあります。
また、内部進学できても希望の学部へ進学するには、ハイレベルな中高一貫校の中で、高い成績を獲得しなければなりません。
そのため、内部進学が一般選抜よりも楽だとは言い切れない部分があります。
中高一貫校における内部進学の仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しているので併せてご覧ください。
内部進学の基準
前章で紹介したように、内部進学の基準は学校によって異なり、判断材料は高校の評定平均や実力テストの成績、保有資格や課外活動などです。
また、内部進学を希望するのと同時に、一般選抜を併願できる学校もあります。
本章では、WAYSに通う生徒が多く進学している大学を中心に、内部進学の基準を具体的に紹介します。
日本大学
日本大学では3つの内部推薦制度が設けられています。
学力到達度テストの結果に応じて内部進学先を判断する「基礎学力選抜方式」と、内申に重きをおいて判断する「付属特別選抜方式」、国公立大学と併願できる「国公立併願方式」です。
それぞれの制度について詳しく見ていきましょう。
基礎学力選抜方式
高校2年生以降の日本大学基礎学力到達度テストの結果に応じて、進学を希望する学部・学科へ推薦される制度です。
学力到達度テストは、高校2年4月、高校3年4月・9月の3回実施され、主に英語、数学、国語の結果で判断されます。
3回行われる学力到達度テストのうち、高校3年9月のテストの配点が大きいです。
そのため、最後まで諦めずに勉強すれば、希望通りの学部へ進学できる可能性があります。
基礎学力選抜方式は、内部推薦枠の約7割を占める選抜方式です。
付属特別選抜方式
高校3年間の評定平均や保有資格、部活動・生徒会活動など総合的な観点で、学部・学科ごとに評価する、内申重視の選抜方式です。
志望する学部のアドミッション・ポリシー(大学の教育理念などに基づき、受験生に求める能力や適正をまとめたもの)にマッチする学生を選抜する目的で行われます。
そのため、学部に合わせた対策が必要です。
付属特別選抜方式は、内部推薦枠の約3割を占める選抜方式ですが、全ての学部・学科で実施されるわけではない点に注意が必要です。
国公立併願方式
基礎学力選抜方式と同様に、日本大学基礎学力到達度テストの順位で、志望学部・学科への推薦が決まる選抜方式ですが、国公立大学との併願が可能です。
ただし、併願先は国公立大学に限られ、国公立大学に不合格となった場合は、必ず日大の推薦された学部へ進学する必要があります。
国公立併願方式は、募集枠が少なく、実施されない学部・学科があります。
日本大学の内部進学事情や、基礎学力到達度テストについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
学習院大学
GMARCHの1つである学習院大学には、付属校が2校あります。
それぞれ内部進学基準が異なりますので、順番に見ていきましょう。
学習院高等科
学習院高等科では、2023年度卒業生199名のうち、122名が学習院大学へ内部進学しました。
内部進学の合否は、高等科での学業成績、実力試験、各学科の指定科目の成績、出席・素行を踏まえて判断されます。
学業成績については、平均60点以上で、50点未満の科目が3年次において2科目以内であること、高校3年の9月と1月に行われる実力試験において平均40点以上を獲得することが必要です。
学習院高等科では、内部進学と他大学との併願は不可能です。
内部進学で希望の学部・学科へ進学するには、高校3年の11月下旬に志望する学部・学科を記入した届けを学校に提出します。
定員を超える志望があった場合、学業成績と実力試験の結果を総合して推薦順位を決定します。
ただし、この数年、多くの生徒が志望する学部・学科へ進学しているようです。
※参照:「Q & A」
※参照:「学校法人学習院 令和5年度事業報告書」
学習院女子高等科
学習院女子高等科から学習院大学には、2024年卒業生190名のうち、106名が内部進学しています。
内部進学の基準は、高校3年1学期・2学期の成績と、9月と1月に行われる実力考査の結果によって判断されます。
実力考査は国語・数学・英語・理科・社会の5教科で行われ、理科と社会は選択制です。
理系志望者は理科2科目・社会1科目で受験し、文系志望者は理科1科目・社会2科目を選択して受験することが多いです。
2回の実力考査の平均点が4割を超えないと、内部推薦の枠を獲得できず、ボーダーラインを下回ると追試が実施されます。
2回目の実力考査は1回目に比べて難しくなるため、1回目の実力考査で得点を稼いでおくのが合格の鍵です。
学習院女子高等科の内部進学基準について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
※参照:「令和5年度 学習院女子高等科進学状況」
青山学院大学
青山学院大学の系属校である、青山学院横浜英和中学高等学校の2023年度内部進学率は約70%です。
内部進学基準・条件は公表されていませんが、評定平均や課外活動はもちろん、英検取得が内部進学にプラスになる可能性があります。
英語教育を重視する同校では、校内で英検が実施され、中学で準2級、高校卒業までに2級取得を目指すカリキュラムが組まれています。
青山学院大学の文学部や国際経済学部などを目指す場合、内部進学の選考が始まる高校3年になるまでに英検2級以上を取得しておくと、選考で有利に働くでしょう。
なお、同じ青山学院大学の系属校である、浦和ルーテル学院中・高等学校では、2024年大学入試合格者45名中14名が青山学院大学へ内部進学しています。
青山学院大学横浜英和中学高等学校の内部進学基準や、各学部への進学者数などを詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
※参照:「進学実績」
中央大学
中央大学には4つの付属校があり、それぞれ内部進学の基準が異なるため、各校の基準を詳しく解説します。
中央大学附属中学校高等学校
中央大学附属中学校高等学校から、中央大学への2023年度進学率は86%です。
同校では、高校1年1学期から高校3年2学期までの成績と出席日数で、内部進学の合否が判断されます。
成績は、1年・2年の成績を各3200点満点、3年の成績を5800点満点で評価し、合計1万2200点満点中6100点以上であることが条件です。
なお、英検取得者には加算点が与えられ、英検2級200点、準1級300点、1級400点が加算されます。
出席日数は、授業日数の2/3以上の出席が内部進学の条件になります。
中央大学附属横浜中学校高等学校
中央大学附属横浜中学校高等学校から、中央大学への2023年度内部進学率は約70%です。
卒業生308名中216名が内部進学しています。
同校では、高校3年間の成績を総合的に評価して、内部進学の合否を判断します。
高校の成績評価で用いられる5段階評定制度において、100段階評価のうち40点以上の成績評価が必要です。
志望する学部・学科への内部進学は、成績上位者から順に選択できるようになっています。
中央大学高等学校
夜間定時制高校である中央大学高等学校から、中央大学への2023年度内部進学率は約70%です。
一般選抜の合格者も含めると、卒業生167名中149名(約89%)が進学します。
内部進学については、成績や特別活動、出席日数、保有資格、実力テストの成績などが総合的に判断されます。
ただし、成績が基準を満たしていない場合、他の条件を満たしていても、推薦資格は得られません。
また、保有資格については英検2級を取得していることが条件ですが、2級相当の実力を有していれば条件を満たすものとして扱われる場合があります。
中央大学杉並高等学校
中央大学杉並高等学校から、中央大学への2023年度内部進学率は92%です。
内部進学については、高校1年から3年までの全ての成績を合計した点数で判断されます。
総合成績が上位の生徒から志望する学部・学科へ推薦されるため、人気の高い学部へ進学するには、高校1年から気を抜かず良い成績を維持することが必要です。
また、中央大学杉並高等学校には、中央大学への推薦枠を獲得したまま他校を併願できる他大学併願制度があります。
ただし、受験できるのは国公立大学か、中央大学にはない学部(医学部・歯学部・薬学部・獣医学部・看護学部など)に限られます。
中央大学の内部進学基準や、各学部への進学者数などを詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
内部進学試験を勝ち抜くためには定期テスト対策と資格取得が大切
前章で紹介したように、内部進学するには、周囲のレベルも高い中高一貫校の中で好成績を獲得した上で、実力テストや学校ごとに定める加点要素にも取り組む必要があります。
本章では、内部進学の推薦枠を勝ち取るために重要な取り組みとして、定期テスト対策と英検などの資格取得について詳しく解説します。
定期テスト対策に取り組む
定期テスト対策にしっかり取り組むことで、評定平均アップと実力テスト対策の両方につなげられます。
内部進学では、高校1年からの成績が評価に含まれる学校が多いため、高校に進学したら気を抜かずに勉強し、好成績をキープすることが大切です。
授業スピードが速い中高一貫校において好成績を獲得するには、自宅での予習・復習と、問題集の反復演習が鍵を握ります。
自宅学習では、自学自習に委ねられることも多い、基礎基本となる内容の理解と、苦手科目・単元の克服に時間を割くことで効率的な学習が可能です。
特に英語と数学は、前の単元が次の単元を理解するための土台になるため、なるべく毎日自宅学習を行うようにしましょう。
少しでも授業内容についていけないと感じたら、一つ前の単元に戻って復習を重点的に行う必要があります。
中高一貫校の定期テスト攻略に向けた学習方法は、次の記事で具体的に解説しているので、併せてご覧ください。
英検などの資格を取得する
前章で解説した中央大学や青山学院大学のように、英検取得が内部進学の基準に含まれていたり、内部進学で有利に働くと考えられたりする学校もあります。
現在通っている中高一貫校で、英検取得を学校目標にしている場合や、国際教育に注力している場合は、英検取得を目指してみると良いでしょう。
また、WAYSの生徒で中高一貫校に通う中学1年生から高校3年生にアンケートを取ったところ、87.9%が英検を取得していました。
全体では準2級以上を取得している生徒が最も多く、中学2年で3級、中学3年で準2級を取得する生徒が多かったです。
英語が得意な生徒は準2級以上を、苦手意識のある生徒は3級の取得を定期テスト対策と併せて取り組んでみるとよいでしょう。
中高一貫校に通う生徒の英検取得状況について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
もし内部進学に落ちてしまったら一般入試か総合型選抜に切り替えよう
ここまで解説したように、内部進学は希望者全員ができるわけではありません。
万が一、内部進学に落ちてしまった場合、別の方法で進学先を見つける必要があります。
本章では、内部進学以外の方法として、一般入試と総合型選抜への切り替えについて解説します。
一般入試を受験する
一般入試に切り替えて、受験勉強に取り組むのが基本的な方法です。
内部進学の結果が出てから受験勉強を始めるのは大変に思われるかもしれませんが、内部進学の枠を勝ち取るために定期テスト対策を行っていた場合、勉強内容は大きく変わりません。
中高一貫校では、6年間のカリキュラムが大学受験に向けて組まれているため、授業内容をきちんと理解できていれば、一般入試でも十分通用します。
内部進学と一般入試を全くの別物として考えず、内部進学のために勉強してきた内容を活かして一般入試に取り組むといった考え方が大切です。
ただし、日頃から予習・復習をしていないなど、自宅で全く勉強していない場合は、一般入試で合格を目指すのは難しいでしょう。
総合型選抜を利用する
大学で学びたい内容が明確に決まっている場合、総合型選抜に切り替える方がよい場合もあります。
総合型選抜は、学力試験だけでなく、高校3年間の評定平均と小論文、面接試験、進学後に学びたい内容に関する活動実績や保有資格などを、大学独自の方法・基準によって、総合的に評価する選抜方式です。
近年一般入試で大学に進学する生徒の割合は減少傾向にあり、総合型選抜や公募型推薦を利用する生徒の割合が増加しています。
ただし、実力テストの点数で良い点数が取れずに内部進学に落ちてしまった生徒は、一般入試に切り替えても受験対策が追いつかない可能性があります。
大学で学びたいことが決まっていて、既にそのための活動を始めている場合は、総合型選抜に切り替えてみるのもよいでしょう。
一般選抜や総合型選抜などを利用する生徒の割合について、最新情報を知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
内部進学を勝ち取るために定期テスト対策をしよう!
内部進学では高校3年間の評定平均や実力テストの結果などで判断されることが多いため、定期テストで高得点を取ることが、内部進学を勝ち取るための近道になります。
中高一貫校のカリキュラムの中で、好成績を獲得できていれば、一般入試に切り替えることになっても、スムーズに受験対策にシフト可能です。
ただ、レベルが高く、授業進度も速い中で、定期テスト対策をするには学校以外に勉強時間を確保する必要があります。
自宅ではどうしてもやる気が出ない場合は、学習塾を利用して強制的に勉強時間を確保するのも一つの方法です。
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投稿者プロフィール
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中高一貫校生の定期テスト対策から大学受験・内部進学までをトータルサポートする個別指導塾。
中高一貫校用教材に対応することで各中高一貫校の定期テストの点数に直結した指導を行います。
低料金で長時間指導が受けられるため、家で勉強できない中高一貫校生でも塾の指導時間内で成績を上げることが可能です。
英語、数学をメインに指導を行っています。
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