総合型選抜(旧AO入試)大学入試ガイド|直前の対策では間に合わない場合も

総合型選抜(旧AO入試)とは?特徴や選考方法・対策法紹介

総合型選抜は、大学が求める人物像(アドミッション・ポリシー)や学位授与方針(ディプロマポリシー)に合致している人物かどうかが問われる大学入試の形態です。

親世代のイメージでは、大学受験と言えば、テストの点数で受験する「一般選抜」ですが、テストの点数だけでなく、様々な基準で評価をしましょう、というのが総合型選抜の考え方です。

そのため、選抜方法は大学・学部によって様々であり、総合型選抜での大学入試を考え始める時期が遅い場合は、準備が間に合わないケースもあります。

増加を続ける総合型選抜。テスト入試は47.53%まで減少(2024年度データ)

出典:総合型選抜、学校推薦型選抜|大学入試の特徴と対策の考え方

文部科学省による2024年度の統計によると、テストの点数で受験する「一般選抜」での大学入学者は47.53%にまで減少し、学校推薦型選抜と総合型選抜での入学者が、合わせて5割を超える状況となっています。

中でも、総合型選抜は、AO入試から切り替わった2021年度に大きく増え、以降も目に見えて増加を続けています。

2024年度の総合型選抜での大学入学者数は、実に98,520人にも達しています。

総合型選抜の特徴|大学・学部に合った人物かどうかが問われる

高等教育機関入学者の選抜 – 文部科学省」資料によれば、旧来のスタンダードであった、テストの点数で選抜する「一般選抜(一般入試)」は、学力検査偏重であり、弊害の多い入試方式であるとされています。

そこで、テストの点数だけでなく、様々な基準で選抜を行うための方法として増加してきたのが、学校推薦型選抜(推薦入試)であり、総合型選抜(旧・AO入試)です。

総合型選抜では、各大学・学部が掲げるアドミッションポリシー(求める人物像)に則り、受験生がその大学・学部にふさわしいかどうかを、様々な方法で選抜します。

選抜方法に決まりはなく、大学・学部ごとに千差万別であるのが特徴です。

一部には、実績さえあれば学力やテストの点を一切問わない総合型選抜も存在するほどです。

しかしながら一定の傾向はあり、基本的には次のような項目で選抜が行なわれるケースが多くなっています。

  • 調査書(学校の内申、学校内外での活動実績)
  • 共通テストや、大学独自テスト
  • 志望理由書等

このため、ほとんどの場合で学力も問われます。総合型選抜は、勉強をしなくていい入試方式ではありません。

このほか、英語を重視する大学・学部で、英検◯級の取得を出願条件としたり、芸術系の大学・学部で実技や作品提出を課したり、さまざまです。

小論文、プレゼンテーション、面接、セミナーに参加してのディスカッションやレポート作成が含まれる場合もあります。

対策のポイント:あらゆる選抜が「アドミッションポリシーに合致しているか」で評価される

総合型選抜では、すべての判断基準は「アドミッションポリシーに合致しているか」となります。

たとえば、アドミッションポリシーに「環境問題への深い関心がある」と記載されていたとします。

調査書には、高校での成績のほか、学校内外での活動を記載しますが、ここに「バドミントン部で全国大会出場」と書いたところで、アピールにはなりません。アドミッションポリシーとはなんら関係しない内容だからです。

環境問題への深い関心があるかどうかが問われているわけですから、たとえば、「高校3年間、ビーチクリーンのボランティアに継続参加してきた」というような実績こそ、評価されるわけです。

志望理由書や活動報告に書く内容や、プレゼンテーションや面接で伝える内容も同様です。

学力検査(テスト)であっても、「標準的な学力がある」「〜を学ぶためにふさわしい学力がある」など、これもアドミッションポリシーが基準です。

総合型選抜では、様々な評価項目があります。

レポート、小論文、プレゼンテーションなど慣れない選抜項目があると、それらをきちんとこなすことをまず考えてしまいますが、まず何を書くか、何を話すか、何を伝えるかが最も重要です。

どんなに小論文をうまく書いたり、プレゼンテーションでしっかり喋れたとしても、内容がアドミッションポリシーとは筋違いであれば、まったく意味がないからです。

総合型選抜(大学入試)でのレポートの書き方

総合型選抜の対策の進め方

  1. 将来(大学卒業後)のイメージを固める
  2. 将来を見越して、成長のために最適な大学・学部を探す
  3. 志望校を決定したら、選抜方式のリサーチを進める
  4. アドミッションポリシーをよく分析し、評価される実績を作る

たとえば、「GMARCHくらいの有名大学には入学したい」など、知名度やステータスを優先した大学選びをする場合には、総合型選抜での大学入試は困難です。

こうしたケースでは、自分にあった総合型選抜が存在するかどうかは、運でしかなくなってしまいます。

たまたま見つかることがないとは言えませんが、可能性、確実性は低くなってしまいます。

将来のイメージから逆算して志望大学を決められれば、総合型選抜は成功に近づく

総合型選抜での大学入試を目指すのであれば、真っ先に固めなければならないのは、将来(大学卒業後)のイメージです。

それも漠然とした夢ではなく、具体的な目標であることが望ましいです。

将来の具体的な目標が決まれば、そのために大学でどのような知識やスキルを身につける必要があるのかが、明確になります。

丹念にリサーチして、成長の場として最適な大学が見つかれば、総合型選抜は半分以上が成功したも同然です。

選抜内容とアドミッションポリシーを分析して準備を進める

志望大学が絞れたら、選抜内容を確認し、アドミッションポリシーを分析して、合格を目指した準備を始めます。

出願に、評定平均や、英検取得などの条件が課されている場合は、これをクリアできるように高校生活の目標を定めます。

もう一つ重要なのは、アドミッションポリシーの観点から、効果的なアピールになると思われる実績づくりができるかどうかです。

総合型選抜では、将来の目標から逆算して、その大学・学部に入りたい理由をアピールするわけですが、ただ頭で考えているだけなのと、実際に行動を起こしているのでは、説得力がまったく違います。

なんとなく高校生活を送ってきてしまうと、出願直前になって振り返ったときに、総合型選抜でアピールできるような活動実績がまったくないという事態にもなりかねません。

こうした観点から、高校選びをする中学2年生・3年生の段階では、ある程度の進学・キャリアのイメージを固めておき、高校では計画的に実績づくりの活動ができる形が、総合型選抜の理想です。

また、中学受験をして、進学に強みを持つ中高一貫校に入学する場合は、中高6年間、強度の高い勉強をし続けることが決まってしまいます。

早ければ、中学受験のために塾に通い始める10歳〜には、将来をある程度イメージする必要が出てきます。

親世代の時代とは状況が大きく変わっており、かなり早い段階から将来のイメージが求められるのが、現代の大学入試です。

驚いてしまいますが、頭を切り替えて、大学入試に備えましょう。

対策が遅れたときは一般選抜に切り替えるのも選択肢

総合型選抜では、中学生時代、あるいは高校入学後の早い段階で、将来をある程度イメージできるのが理想ではありますが、すべての人がそのようにできるわけではありません。

総合型選抜での大学入試の可能性に気づいたのが高校2年生くらいまでであれば、まだやりようによってリカバリーは可能でしょう。

ただし、高校3年生になって、総合型選抜の出願が始まる直前に、始めて総合型選抜を意識するような場合には、なかなか効果的なアピールは難しい場合があります。

特に、実績や行動力を重視するタイプの総合型選抜は、かなり厳しいでしょう。

やり方によって、表面を取り繕うことができないわけではありませんが、2年・3年かけて準備してきたライバルに勝てるかという視点で考えれば、かなり分が悪いのが現実です。

逆に、高校の成績や、テストの点数での評価が中心となるような総合型選抜の場合は、学力に自信さえあれば、あまり気にせずにチャレンジしてもよいでしょう。

いずれにしても、総合型選抜は、早ければ夏休み前に出願が始まる、年内入試です。

総合型選抜がだめだったとしても、一般選抜に切り替えることができますので、対策が遅れて間に合わない心配がある場合は、そのつもりで準備をしましょう。

高校の成績はほぼ必ず問われる!定期テスト対策は手遅れになる前に

高1から将来イメージ必須!自分から率先して成績向上に取り組めるようにサポートを

総合型選抜において、必ずと言っていいほど問われるのが、調査書に記載される、高校の内申です。

中には、評点平均で足切りするケースもあり、基準を満たしていなければ出願すらできない場合もあります。

どのような選択肢を取るにしても、高校1年生からしっかり学校の成績を取ることを意識する必要があります

現在では観点別評価が取り入れられており、定期テストの点数はもちろんのこと、提出物、授業での意欲、発表や実技など、様々な項目で成績がつけられます。

そのため、高校入学時から、学校の成績の意味を、お子さんとしっかり確認しておく必要があります。

将来の目標がイメージできているのなら、自分から率先して成績向上に取り組めるはずです。

逆に、目標が宙ぶらりんな状態であれば、学校の成績を上げる意義がわからず、「勉強しなさい」と言ったところで効果がないケースがあります。

こうした観点からも、早期に将来のイメージを固められるよう、家庭でサポートしてあげましょう。

定期テストで平均点以下の場合は早期に対策を

成績が低迷してしまう場合は、圧倒的大多数が、演習の不足が原因となります。

すなわち、学校から出される宿題・課題、定期テスト勉強での問題集の周回、自主的な復習など、学校外(主に自宅)での勉強です。

習った知識を定着させ、テストで得点できる実力に変えるためには、必ず、実際に問題を解く「演習」を繰り返す必要があります。

学校の授業をしっかり受けているだけでは、高校レベルになると、どんな秀才であっても、良い成績を取ることができません。

これは学習習慣の問題であり、家庭学習が苦手な場合には、放っておいて解決することではありません。

高校での成績は、高校1年生から見られるケースが多いですので、総合型選抜で足を引っ張るような事態とならないよう、早めの対策が必要です。

王道は、学習塾の利用です。

成績不振からのリカバリーや、苦手分野の克服には、それぞれの事情に合わせて指導計画を立ててくれる、個別指導タイプの学習塾、家庭教師等が向いています。

集団指導塾では、独自カリキュラムで授業が進むため、ついていけない生徒に合わせた指導はできない仕組みです。

中高一貫校生の成績低迷の悩みは、専門の個別指導塾WAYSで解決可能

中高一貫校生が総合型選抜での大学入試を目指す場合に、ネックになりやすいのが、学校の成績を上げる難しさです。

特に、進学に強みを持つタイプの中高一貫校では、中学入学当初から、大学入試を意識した内容の濃い授業が展開され、なおかつ授業の進みも速いことが一般的です。

当然、定期テストの内容も難しくなっており、高得点を取る難易度が高くなります。

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