中高一貫校の中学生のための英語先取り学習|入学準備&入学後で何をすべき?
中高一貫校で英語教師歴30年のベテランライターが、中高一貫校の中学生に必要な、英語の先取り学習について解説します。
大学入試を見据えると、英語の重要度は際立っています。積み上げ教科である英語は、中学生といえども手を抜けません。
中高一貫校生が先取り学習でするべきことを
- 中高一貫校入学前
- 中高一貫校入学後
の2つの時期に分けて解説します。
中高一貫校生のお子さんの先取り学習に関心がある保護者の方は参考にして下さい。
このページの目次
中高一貫校生が英語の先取り学習をする際の注意点
先取りをすれば必ずしも良い訳ではありません。
次に挙げる2つのポイントに留意しないと、思わぬ迷走を招く可能性がありますので、注意が必要です。
学校の授業を疎かにしない
進学校の中高一貫校では、学校の授業自体が先取りカリキュラムになっており、大学受験に有利になっています。
おおよその進度は下記の通りです。
- 中1〜中2:中学3年分の学習範囲
- 中3〜高2:高校3年分の学習範囲
- 高3:大学入試演習
中学生といっても、授業について行くこと自体が大学受験対策になっています。
授業は大事にしましょう。
先取り学習を自分で進めていても、学校の授業は復習のつもりでしっかり受けて下さい。
【中高一貫校の先取りカリキュラムはこちらの記事で詳しく解説】
また、先取りカリキュラムで進度が早いだけでなく、大学受験を見据えているので、定期考査の難易度は高めに設定されています。
授業は解説中心で、早いスピードで展開されます。演習は宿題や課題で自学でフォローするのが前提となっています。
演習量が不足すれば、定期考査などの点数が伸び悩む原因になります。
上を目指せば目指すほど確固たる基礎力が大事
誤解してはいけないのが、難問を解くには確固たる基礎力が大事ということです。
中高一貫校では、中学で習う土台の上に、高校からの応用が積み上がります。
中学では「ただ分かる」ではなく、「完璧に分かる」のレベルを目指しましょう。
特に英語は積み上げ教科です。中学英語で習う範囲で躓くと、高校英語で苦戦することになります。
実際に、私の中高一貫校での経験からも、中学英語がボトルネックになって英語が苦手な生徒が多いという印象を持っています。
中高一貫校に入学する前の「英語」先取り学習ガイド
中高一貫校に入学が決まってから、4月の入学式までに「先取りで英語の勉強をしたい」と考えている方に向けて、おすすめの先取り学習を紹介します。
英語は小学校時代の習い事の有無で、すでに大きな差が出来ています。
中には、中学卒業程度の「英検3級」に合格して入学する生徒もいるくらいです。
しかし、慌てなくても大丈夫です。英語は初学のものとして、中学英語のはじめから授業が始まります。
ペンマンシップ:英習字・運筆
小学校で習う英語は音声が中心ですが、中学からは文字も大事になります。
スペリングで苦労する生徒が一定数いるので、ペンマンシップで丁寧にアルファベットを書く練習をしましょう。
学校によっては、入学前教材として課題として与えられるケースがあります。指定がない場合は、市販の薄いテキスト一冊で十分です。
可能ならば、親が添削してあげるといいですね。間違ったまま書き続けると、間違って覚えてしまいます。
フォニックス:発音と文字の関係性を学ぶ音声学習
フォニックスとは文字の読み方のことです。
アルファベットの「A」は、「エー」というのは名前で、「ア」というのが音です。
名前と音を混同してしまいやすいのですが、アルファベットの音が大事です。
例えば、「bag」は名前読みすると、「ビー」「エー」「ジー」ですが、音読み「ブ」「ア」「グ」です。これを繋げて読むと「バッグ」になる訳です。(便宜上、カタカナ表記していますが、正確な音とは多少異なります)
フォニックスを習得すると、単語が読めるようになり、とても便利です。
実は、多くの学校ではフォニックスは教えていません。
全てを習得するのは難しいかもしれませんが、YouTubeなどで解説動画が充実しているので、そちらで勉強してみましょう。
学校指定教材を一通り目を通す
学校から配布された教科書などの教材類を、一通り目を通しておきましょう。
「こんな勉強をするんだ」「中1の終わりにはこのレベルになるんだ」とある程度、予測を立てて勉強に取り組むことができます。
多くの中高一貫校では、『NEW TREASURE』(Z-KAI)のような、中高一貫校専用教科書を使っています。また、文法書などの補助教材のレベルが非常に高いケースがあります。
基礎学力の習得が目標の公立中学校とは違い、中高一貫校では中学段階から大学入試を見据えた授業が始まります。
過度に心配する必要はありませんが、先を見据えておくと安心できます。
【中高一貫校の英語の教科書はこちらの記事で解説】
【「NEW TREASURE」の詳しい勉強方法はこちらの記事で解説】
英検の勉強をする
ここまで紹介した3つの先取り学習で十分だと思いますが、まだ余力がある人は、英検の勉強がおすすめです。
高校受験のない中高一貫校生にとっては、英検は英語学習の良いモチベーションになります。
中学卒業時点で、中高一貫校生の標準レベルで準2級、上級レベルで2級取得が目標となります。
5月に第1回検定試験があるので、それに向けて、5級(あるいは既に取得級がある人はその上の級)の勉強をしてみましょう。
解説本などの勉強から始める必要はありません。問題集を解く演習中心の勉強で十分です。
【中高一貫校生の英検に関してはこちらの記事で解説】
中高一貫校に入学後の「英語」先取り学習ガイド
ここからは入学後にする先取り学習について、重要度順に解説します。
英文法の先取り学習
英文法先取りのレベル
英文法の先取り学習はとても大事です。というのも、一度、英文法をマスターしてしまえば、以降の英語学習で困ることがなくなるからです。
逆に、いつまでも英文法を理解しないままにしているせいで、英語が苦手な人が本当に多いです。実にもったいないですよね。
先取りの目安は、中3終了時点で大学受験標準レベル(=非中高一貫校の進学校が高1で学習するレベル)の英文法のマスターです。
ポイントは、
- 中学レベル英文法から段階的に高校レベル英文法に進む(基礎を疎かにしない)
- 大学受験標準レベルを完璧にする(大学受験難関レベルに進む必要なし)
先取りを進めても「基礎が大事」ということはお忘れなく。
英文法先取りの教材
①学校の教材を使って先取り学習をする
学校の教材があれば、それを使って先取り学習をしましょう。
主な文法問題集として
これらの問題集は、多くの中高一貫校で使用しており、中学段階から自然な形で高校内容まで学ぶことが出来ます。
一方で、市販の問題集は、高校受験用が大半なので、中高一貫校生には不向きかもしれません。
自学でできるお子さんは、自学で進めるのがベストです。
勉強習慣がなかったり、家庭学習が苦手なお子さんの場合は、『中高一貫校専門 個別指導塾WAYS』のような個別指導塾や、家庭教師の活用を検討しましょう。
学校教材を使うメリットは、「先取り→授業で復習」という繰り返しができる点です。反復は学力UPの基本です。
先取りしているからといって授業を疎かにするのは絶対にNGです。
②映像授業を使って先取り学習をする
『スタディサプリ』などの映像授業を活用すれば、スムーズに先取り学習ができます。
スタサプは予習だけでなく、授業で理解が不十分だった単元を復習できるので、使い勝手はとても良いです。
③塾で先取り学習をする
ハイレベル層は、難関大学受験対策を得意とする学習塾で、先取りを進めるケースもあります。実力相応な人には非常に効果的です。
しかし、誰でも対応できる訳ではありません。レベルに自信のない人は、まずは学校の授業を優先して下さい。
ゆとりができてから、入塾を検討すれば十分だと思います。
レベルが合わずに、塾と学校の二重のカリキュラムが原因で、勉強が迷走してしまうケースがあります。要注意です。
【英文法の勉強方法はこちらの記事で解説】
英単語の先取り学習
英文法の先取り学習で出た、新出(未知の)単語を覚えて行くだけでも、十分な先取り学習です。
余力のある人は、英単語帳を使って、先取り学習を進めましょう。
先取りカリキュラムの中高一貫校生でも、中1〜中2は中学英語の内容なので、授業で習った単語を全て覚えれば単語帳は不要です。
しかし、中3からは高校内容に入るので、高校入門→高校標準レベルの単語帳を、先取りして覚えましょう。
中3からの英単語先取りのペース&教材は以下の通りです。
- 中3:高校入門レベル『英単語ターゲット1200』(旺文社)
- 高1:高校標準レベル『英単語ターゲット1900』(旺文社)『英熟語ターゲット1000』(旺文社)
中1〜中2で単語帳を使った先取りをしたい方は、次の3つがおすすめです。
①学校で配布された単語帳
学校で配布された単語帳があれば、それを使って先取り学習をします。
小テストがある場合はしっかりと受けるのですが、小テストよりも先を進めるのが大事です。
「自学で先取り」して「小テストで確認する」というペースで繰り返すのがベストです。
②キクタン中学英単語(アルク)
音声を使った学習ができるのがとても良いです。中学生のうちから発音は鍛えておきましょう。
③英検出る順パス単(旺文社)
英検5級から英検3級まで、自分のレベルに応じて活用しましょう。
英検用と思われがちですが、単語のチョイスは素晴らしく、中学生の英語の授業や教材に頻出する単語ばかりです。
参考:『英検5級出る順パス単』(旺文社)『英検4級出る順パス単』(旺文社)『英検3級出る順パス単』(旺文社)
【英単語の勉強法はこちらの記事で詳しく解説】
英検で先取り学習
中高一貫校生は高校受験がないので、勉強のモチベーションが上がらないという人は、英検を活用するのがお勧めです。
中高一貫校生が中学受験がなくて「中だるみ」してしまうのはよくあるケースです。
取得級の目安は以下の通りです。
- (標準)中1:5〜4級 中2:3級 中3:準2級
- (発展)中1:5〜3級 中2:準2級 中3:2級
中高一貫校の場合、中3で高校内容を学ぶので、標準レベルで準2級まで取得できます。
逆にそこまで行かなければ、中高一貫校生としては遅れていると思いましょう。
先取りという観点では、中3で2級取得を目指します。
実際に、中高一貫校専用教科書の『ニュートレジャー』や『プログレス21』の中3範囲の長文レベルは、高1レベルを超えているので、十分に取得可能です。
英検用の特別な対策は不要です。授業をしっかり受けて、英語力そのものを鍛え、直前期に対策問題集をしっかりこなしてください。
逆にこれで不合格だったら実力不足なので、英語力そのものを伸ばすことに注力しましょう。
また、単に合格するだけでなくスコアが大事です。たまたま合格しても本当の実力が備わっていないと意味がありません。
我が家の長男の英検体験談を紹介します。 中高一貫校に通う長男は、中3第2回で英検2級に合格しました。 何か特別なことをした訳ではなく、授業をしっかり受けて、直前に対策問題集をこなしただけです。(ライティングの添削だけは私が手伝いました) 他の同級生も合格しているので、中高一貫校生なら普通なことです。(それだけ中高一貫校の先取りカリキュラムが素晴らしいのですが) 同時期に中3生ですが、高1向けの進研模試を飛び級で受験しました。こちらも既に高校内容を学習しているので、特別なことではありません。 その時の偏差値が英語は60でした。 進研模試で偏差値60と言えば標準レベルです。中3で飛び級受験してるので、立派と言えなくもありませんが、英検2級取得していても、大学受験では標準レベルでしかありません。 英検は語彙力をつければある程度対応できます。しかし、大学受験の問題では文法を理解した上で英文解釈、英作文などの記述力が問われます。 英語力をつけるという観点からは英検は素晴らしいのですが、大学受験を見据えると、英検に過信することは禁物です。 大学受験では、英単語と文法の基礎力を固めたら、記述力を鍛える必要があります。 やはり学校の授業が大事だと痛感しました。
中高一貫校生なら中学生から大学入試を見据えた準備が必要
ここまで英語の先取り学習を解説しましたが、学校の授業をしっかりこなすのが最重要なのは忘れないでください。
学校の授業に余裕ができて初めて「先取り学習」です。
私のこれまでの30年間の中高一貫校で大学受験を見届けてきた経験から、おおよそのレベルを解説します。
先取り学習をする指標として参考にしてください。
どの程度の先取り学習が必要か?
志望校によって英語を仕上げる時期が変わってきます。ここでは順当に志望校に合格した生徒たちのレベルを紹介します。
最難関大(東大・京大・国公立医学部レベル):高1共通テスト同日模試で英語80%
難関大(旧帝大・早慶レベル):高2共通テスト同日模試で英語80%
最難関大・難関大の定義や点数に異論はあるとは思いますが、おおよその目安として、最難関大を目指すなら高1で難関大を目指すなら高2で英語を仕上げて欲しいのです。
そのくらいのペースで先取りすれば、順当に志望校に合格できるはずです。
英語は早めの仕上げが大事です。とりわけ、難関大理系志望者は、英語を早く仕上げることで、理数科目の対策に時間をかけることができます。
もちろん、最後に追い上げて逆転合格した人たちはたくさんいることは追記しておきます。
【中高一貫校から難関大を目指す英語受験対策はこちらの記事で解説】
どのレベルが必要か?
通っている学校の合格実績から見比べて、志望校はどのレベルの学力が必要かを見極めておきましょう。
例えば、国公立医学部志望で学校の国公立医学部合格(とその上のレベル)が10人程度の場合は、10番以内を目指さなければいけません。
先取りはしていても、学校の順位が10番から大きく下回るようでは、国公立医学部合格はままなりません。先取りのための先取りになってしまい、本末転倒です。
先取りばかりでなく、今習っている学習の理解度を大事にして、演習量を増やして、順位をしっかり意識するのも大事です。
お子さんが中高一貫校生で、「英語の先取りをして英語を得意にしたい」ならWAYSに相談してください。 WAYSは中高一貫校の先取りカリキュラムのアドバンテージを最大限に活かして、成績UPを実現します。 自学をサポートして、自然と勉強時間が伸びるので、92.9%の生徒は成績UPをしています。 WAYSの成績UPのノウハウ、料金体系、入塾までの流れ、大学合格実績などが書かれた無料Webパンフレットはここからダウンロードできます。
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投稿者プロフィール
- 中高一貫校指導歴30年のベテラン教師です。勉強が得意な生徒から苦手な生徒までたくさんの生徒を指導してきました。念願叶っての中高一貫校だと思います。充実した6年間を過ごして欲しいものです。ベテランならではの視点で悩みに寄り添ったアドバイスを心がけます。ちなみに2人の子供も中高一貫校に通っています。保護者としての目線も大事にします。
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