
原子は物質を構成する最小の粒で、分子は原子が結びついてできた、物質の性質を持つ最小の粒です。
原子と分子の違いがあいまいなままだと、次に習う化学式や化学反応式でもつまずきやすくなります。たとえば「H2」と「2H」の違いは、水素分子1個と水素原子2個の違いです。
原子と分子の違いを比べた表と、分子をつくらない物質の例は、記事の後半で紹介しています。
ポイント
①原子は物質を構成する最小単位
②分子は物質の性質をもっている状態での最小単位
③元素は原子の種類を表したもの
④単体は1種類の元素からなる物質
⑤化合物は複数の元素からなる物質
なお、次の単元については、以下の記事をご覧ください。
○化学式・化学反応式
原子と分子の違い
原子と分子の違いは、次の表のとおりです。
| 比べるところ | 原子 | 分子 |
|---|---|---|
| 何を指すか | 物質をつくっている最小の粒 | 原子が結びついてできた、物質の性質を示す最小の粒 |
| 大きさ | ある分子と、その分子をつくっている原子を比べると、原子のほうが小さい | その分子をつくっている原子より大きい |
| 物質の性質 | 水素原子H 1個では、水素の性質を示さない | 水素分子H2は、水素の性質を示す |
| 化学式での書き方 | 元素記号で書く(H、O、Clなど) | 元素記号と、結びついた原子の数を組み合わせて書く(H2、O2、H2Oなど) |
| 例 | 水素原子H、酸素原子O | 水素分子H2、酸素分子O2、水分子H2O |
水素原子Hと酸素原子Oは、1つずつでは水の性質を持ちません。水素原子2個と酸素原子1個が結びついて水分子H2Oになると、はじめて水の性質を持ちます。
原子の性質と構造
原子の3つの性質
原子とは、物質を構成する最小単位の粒子のことです。分子も単体も化合物も、すべて原子からできています。
たとえば、水素(H2)の原子はHです。
原子の性質として以下の3つを押さえておきましょう。
・化学変化によってそれ以上分けられない
・化学変化によってなくなったり、新しく生まれたり、別の原子に変化したりしない
・種類ごとに大きさと重さがある
原子の構造
原子は、原子核と、その周りを回る電子とで構成されています。原子核には、陽子と中性子が存在します。

・陽子……+の電気を帯びた粒
・中性子……電気を帯びていない粒
・電子……-(マイナス)の電気を帯びた粒
陽子と電子の数は等しいため、原子は電気的に中性です。
元素とは
同じ種類の原子のことをまとめて元素と呼びます。
たとえば、水素原子Hのうち、中性子の数が異なるものが存在します。質量が変わってくるため、原子としては区別されますが、種類(元素)としてはどれも同じという扱いになるのです。
分子の性質
分子は、性質を表す最小単位の粒子のことです。
たとえば、水素分子H2は水素原子Hが2つ結びついてはじめて、水素としての性質を持ちます。
どれだけの原子がどのように結びついて分子になるのかは、元素ごとに異なります。
単体と化合物の違い
一種類の元素で構成されているものを単体、複数種類の元素で構成されているものを化合物と呼びます。
たとえば、酸素O2は元素Oのみで構成されているので単体です。
一方で、水H2Oは元素HとOで構成されているので、化合物です。
分子をつくらない物質
物質の中には、分子をつくらないものもあります。
水H2Oや二酸化炭素CO2は、1個ずつの分子として存在しています。一方、塩化ナトリウムNaClや酸化銅CuOは、そのような独立した分子としては存在しません。ナトリウムと塩素、銅と酸素が多数集まってできていて、「NaCl 1個」「CuO 1個」と切り分けることができないのです。化学式のNaClやCuOは、含まれる原子の数の比を表しています。
銅Cuや鉄Feなどの金属も、たくさんの原子が集まってできていて、分子をつくらない物質として扱われます。
元素周期表
原子番号順に元素を並べ、整理した表が元素周期表です。原子番号は、原子核にある陽子の数を表しています。
詳しくは高校化学基礎で学習しますが、ある規則性に基づいて並べられています。
下表は、覚えておくべき元素のみをピックアップしたものです。
簡単ではありませんが、原子番号1~20までに加え、鉄(Fe)・銅(Cu)・亜鉛(Zn)・銀(Ag)を暗記しましょう。

原子と分子を習う学年
中学校の学習指導要領では、原子と分子は中学2年の理科で習います。「化学変化と原子・分子」という単元です。原子と分子の次は、化学式や化学反応式を習います。
次の単元については、化学式・化学反応式の覚え方・楽な書き方の記事で解説しています。
お子さんに教える際のポイント
定義を整理して伝える
原子や分子など、目に見えないものを扱う単元ですので、ポイントを整理してあげてください。
①原子・分子の違い
②原子の構造(陽子・中性子・電子)
③単体と化合物の違い
④元素と原子の違い
元素周期表の覚え方
元素周期表の暗記は、正攻法でやると骨が折れます。
原子番号1~20番までに関しては、次のように覚えるとよいでしょう。
水兵リーベ(水素の「水」、ヘリウムの「兵」、リチウムの「リ」、ベリリウムの「ベ」)
僕の船(「B」の「ぼ」、「C」の「く」、「N」+「O」の「の」、Fの「ふ」、Neの「ね」)
七曲がり(「Na」の「な」、「Mg」+「Al」の「まがり」)
Ships(「Si」の「Shi」、「P」の「p」、「S」の「s」)
クラークか(「Cl」+「Ar」+「K」の「クラーク」、「Ca」の「か」)
概要が理解できれば問題演習を重ねよう
教えてもらっている状態で問題が解けたとしても、独力でできなければ意味がありません。
分かった気になっているだけ、ということもあります。きちんと定義を理解したうえで暗記しているか、反復して確認しましょう。
なお、元素周期表の暗記チェックについては、化学反応式の基本問題などを使うことも可能です。
おすすめの問題集は『中2理科をひとつひとつわかりやすく。改訂版』(Gakken)や『中2 ハイクラステスト 理科』(受験研究社)です。前者が基礎から標準レベル、後者が標準以上レベルです。
学校教材を使った定期テスト対策や、1回120分の指導の進め方を、Webパンフレットでご紹介しています。
お子さんの理解が進まないパターン3選とその対処法
教えてもなかなか理解してもらえない
原子・分子、陽子・中性子・電子、単体・化合物の違い、原子・元素の違い。
目に見えず、イメージしにくいものを理解しなければなりません。
定義の意味を何度も伝え、確認してあげてください。
元素周期表も暗記です。
教えるとその場ではできるのに、お子さん一人で問題を解くと間違いが多発
このパターンは、さらに次の2つに分けられます。
1、理解したうえで暗記することができていない
少し違う角度から問われると対応できなくなります。言葉の定義を繰り返し確認しましょう。
2、教えられた時は分かった気になっている
どこでつまずいているのかを分析し、理解できていないポイントを再説明して暗記するよう促してあげてください。そのポイントが理解・暗記できているかを測れる問題をチョイスして演習するとよいでしょう。
教えようとすると、ちょっとした間違いを指摘しただけで機嫌が悪くなり、うまくいかない
思春期で親子関係が難しく、接し方にデリケートな配慮が必要な場合があります。
1つ指摘するときは1つ以上ほめることを意識しましょう。ほめる内容は、学習を着実に進められている点などにするのがオススメです。
そして大事なことは、「根気強く、粘り強く」です。保護者の方が不機嫌になったり、イライラしたりしないように心がけてください。
子どもに教えるというのは、なかなかにストレスが溜まる作業です。保護者の方の息抜きも必要でしょう。根を詰めてやりすぎると、保護者の方もお子さんもしんどくなってしまいます。
よくある質問
Q. 原子と分子は、どちらが小さいですか?
ある分子と、その分子をつくっている原子を比べると、原子のほうが小さい粒です。たとえば水分子H2Oは、水素原子2個と酸素原子1個が結びついてできています。
Q. 原子と分子と電子の違いは何ですか?
原子は物質をつくっている最小の粒、分子は原子が結びついてできた、物質の性質を持つ最小の粒です。電子は、原子をつくっている粒の1つです。原子の中心にある原子核のまわりを回っていて、マイナスの電気を帯びています。
Q. 元素と原子の違いは何ですか?
原子は1つ1つの粒のことで、元素は原子の種類を表す言葉です。たとえば、中性子の数が違う水素原子も、種類としては同じ「水素」という元素にまとめられます。
Q. 分子をつくらない物質には、どんなものがありますか?
塩化ナトリウムや酸化銅が、代表的な例です。水や二酸化炭素のように1個ずつの分子として存在するのではなく、多数の原子が集まってできています。銅や鉄などの金属も、分子をつくらない物質です。
Q. 家で教えても、子どもが理解してくれないときはどうすればいいですか?
原子や分子は目に見えない粒なので、言葉だけで説明しても、イメージが伝わりにくい単元です。問題を解かせてみて、どこで間違えているかが分かれば、間違えた部分に絞って教え直せます。無料の学習相談では、現在の学習状況を伺い、WAYSへの入塾後にどのような指導で課題の解決を目指すかをご説明します。
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