中高一貫校生の総合型選抜・学校推薦型選抜(公募制推薦、指定校推薦)合格の5つのポイント

大学入試の入試形態の一つである推薦入試。一般入試とは全く異なり、問われるのは「大学とのマッチング」です。

ただ、前提として、学校の評定をしっかりととっておく必要があります

定期テストが難しい中高一貫校だからこそ、対策には十分に時間をかけなければなりません。

中高一貫校での約10年の教師経験を元に、推薦入試ならではの志望理由のアピールのコツから、学校の評定に深く関わる定期テストの点の上げ方まで、合格のポイントを詳しく解説します。

このページの目次

総合型選抜・学校推薦型選抜(推薦入試)の種類と入試形態の特徴

総合型選抜入試

総合型選抜入試は、旧AO入試とも呼ばれる試験です。

志望理由書や調査書、面接や小論文試験に加え、学力(大学入学共通テストなど)も含めて総合的に合否を判定します。

重要なのは、受験生が大学側の求める人物像に合致しているか、です(大学側の求める人物像については、大学ホームページでアドミッション・ポリシーを確認してください)。

ただし、コンテストなどの入賞実績があれば、書類審査が免除され、面接のみで受験できる場合があります。

学力や評定がどこまで問われるのか、大学が発出している受験要項できちんと確認するようにしましょう。

総合型選抜入試の対策法のポイントを解説

学校推薦型選抜 – 公募制推薦

学校推薦型選抜は、総合型選抜入試とは異なり、学校長(学校)の推薦を必要とします。

校内選考で推薦の認可がもらえなかった、ということがないよう、評定や平常点には留意しておきましょう。

選抜方法については、総合型選抜入試と同様のケースが多いです。

評定平均などの出願条件をクリアしてさえいれば、誰でも出願することができます。ただし、1校2人までといった人数制限を設けているところもありますので、注意が必要です。

学校推薦型選抜 – 指定校推薦

指定校推薦入試は、大学側が指定した高校に在籍している生徒のみが受験できる、学校推薦型入試です。

合格率は高めですが、合格すれば入学を確約する専願入試となります。

各高校に与えられた枠数は限られていますので、校内選考を勝ち抜かなければなりません

校内選考では、評定平均や部活動の実績などが考慮されます。

校内選考で指定校推薦を勝ち取るためのポイントを解説

大学付属校からの内部進学

内部進学とは、一般選抜を行わずに付属の大学へ進学することを指します。

ただし、付属校でも、全員が内部進学できるとは限りません。

推薦枠よりも志望者のほうが多い場合、学校内での競争に勝つ必要が出てきます。

人気学部に進学したいなら、準備をしっかりとしておくことをオススメします。

内部進学試験を勝ち抜く方法を紹介

総合型選抜・学校推薦型選抜で評価されるのは「過去の努力」と「未来への展望」

受験生と大学がマッチしているかどうかが重要

推薦入試で最も重視されるのは、受験生がその大学に合っているかどうか、受験生が大学の求めている人物かどうか、です。

例えば、学びたいことを専門にしている先生が志望大学に在籍していない場合は、明らかにマッチング失敗といえます。

数ある大学の中からなぜその大学を志望したのか。

志望理由をきちんと語れるようにしておくことが大事です。

学びたいことに展望があるか

学びたいことが独善的で発展性の見込めないものであった場合、推薦入試を勝ち抜くのは厳しいでしょう。

持っておくべきなのは、大学での学びが学問や社会にどのように貢献できるかという視点です。

さらに、大学での学びを通して、自身がどうなりたいかも考えておく必要があります。

「ただ純粋に好きだから建築をやりたいんです」では、展望を語ったことにはなりません。

「何でもいいから建築がやりたい」では、本当に大学とマッチングしているか、判断がつかないのです。

展望を語るにはどうすればよいのか。

私は、自分の過去を掘り起こすことが大事だと思っています。

例えば、建築をやりたいと思ったきっかけが「発展途上地域に橋をかけるプロジェクトに参加している卒業生の講演を聴いた」ことだとどうなるでしょう。

「発展途上地域の発展につながるインフラ関係の建築がしたい」が、展望になります。

学びへの熱い想いは、具体的であればあるほどよいのです。

高校で頑張っていたか

高校での活動をアピールするポイントは、学習・部活動・課外活動の三点です。

学習については、実用英語検定といった試験資格を取得するほか、調査書記載の評定平均を高くするといった方法が有効です。

部活動では、大会での入賞などが評価されます。

課外活動は、物理オリンピック出場やボランティア活動参加など、様々なレベル感がありますが、少なくとも志望学部・学科に関連する活動に従事するのがよいでしょう。

生徒主導の学校行事などがあれば、そちらで何かしらの成果を得る、というのも一つの方法です。

総合型選抜・学校推薦型選抜の合格には入念な準備が必要。合格の5つのポイント

推薦入試は、受験機会を増やすことができる貴重な入試制度です。

ただし、思いつきで受験して簡単に合格するような試験ではありません。

試されるのは、受験大学への熱い想いです。付け焼き刃の準備はすぐに見破られてしまうもの。

推薦入試を突破するには、少なくとも半年以上前から準備をしておくことをオススメします。

学びたいことを深めておく

まずは、学びたいことを語れるようにしておきましょう。

どのような研究分野が存在し、どこまで研究が進んでいるのか。他の分野との関わりはどの程度なのか。

そして、自分のやりたいテーマにはどのような発展性があるのか。

簡単なものであれば、大学レベルの知識をつけておきましょう。

例えば、近しい人に難病を患っている人がいて、その人のために再生医療の道を歩みたいと思っているとします。

ところが、ips細胞のことはおろか、高校レベルの生物の知識すらままならないとしたら、どうでしょう。

大学側としては、学びへの熱意を疑わざるをえません。

「ips細胞のことはよく勉強している。そのうえで自分は、ips細胞ではなく、間葉系幹細胞を用いた再生医療に難病治療の可能性を感じる。」

こうしたことを言えるようになるのが目標です。

面接や小論文などで付け焼き刃の知識だと思われないよう、時間をかけてしっかりと対策をしておきましょう。

大学の情報収集をする

数ある大学の中から志望大学を選んだ理由。

志望理由をきちんと語るには、大学のことをよく知っておかなければなりません。

自分が学びたいことについて論文発表をしている先生が在籍している、研究施設が充実している、研究成果の蓄積がある、などが志望理由につながります。

大学についてよく知っているということは、そのまま熱意として評価されるでしょう。

オープンキャンパスなどで研究室の見学会が開催されている場合は、できるかぎり参加してください。

インターネットに載っていない情報にこそ価値があります。

例えば、文学部の推薦入試に合格した生徒で、学部図書館に収蔵されている研究用の古文書の多さをアピールした生徒がいました。

大学のホームページで紹介されているアドミッションポリシーや学部の魅力に飛びつく生徒は少なくありませんが、それではライバルたちに差をつけることなどできないのです。

課外活動に参加する

可能であれば、課外活動に参加しましょう。

ただし、課外活動の中でも、評価されるものとされないものとがあります。

手軽なものを手当たり次第にやるよりも、志望学部・学科に関連するもののうち、それなりに能力が要求されるものを選ぶようにすることが大切です。

理学部物理学科であれば物理オリンピック、法学部法学科であれば模擬裁判などが該当します。

学校からは案内されないことが多いので、参加できそうなものを自分で調べるようにしてください。

小論文対策をする

小論文対策は、多くの受験生が後回しにしがちなものです。

指定校推薦であれば合格率が高いので推薦入試一本に絞れますが、その他の推薦入試の場合はそうもいきません。

どちらかといえば「一般入試が本番」となり、小論文対策はそこそこに、一般入試対策を継続するというパターンが多くなります。

たしかに小論文は自己採点がしにくいため、自学には向いていません。

しかし、意外と点数差がつきやすい科目なのです。

推薦入試ではなく一般入試の例にはなってしまいますが、大学入学共通テストでボーダーを大幅に下回った生徒が、国公立大学医学部の後期試験でひっくり返したことがあります。

それも、一度きりではなく複数回起きました。

学校の先生やプロに添削を頼むなどして、しっかりと対策を進めてください。

その際、オススメなのは添削者を一人に絞ることです。

色々な人に様々な視点からアドバイスを受けた方がよいように思うかもしれませんが、添削者によって指摘が食い違ったりするとお子さんはどうすればよいかわからなくなってしまうでしょう。

合格させる力をもった一人の人に添削を頼むのが最良の方法なのです。

大前提として、評定をとっておく!

あと一つ重要なのが、高校の調査書にも記載される評定です。

評定は最大5.0ポイントで表記されますが、それとは別に「学習成績概評」という欄も設けられています。

 

評定 学習成績概評
5.0〜4.3 A
4.2〜3.5 B
3.4〜2.7 C
2.6〜1.9 D
1.8以下 E

 

大学によっては、「評定が4.0以上」「学習成績概評がB以上」といった条件を課しているところがあります。

評定が低いということは、それだけ受験できる大学の選択肢を狭めてしまうことになるのです。

評定の算出方法 = 履修した科目の評定値合計 ÷ 科目数

高校1年生・高校2年生の評定値は、学年末評定が参照されますが、高校3年生は時期によって異なります。

秋に行われる推薦入試の場合は1学期の評定、1月以降に行われる入試では2学期の評定がそれぞれ参照されます(ちなみに、既卒生の場合は、全学年の学年末評定を用いて算出)。

なお、評定平均値は5段階評価の数値が基本です。

10段階評価を採用している高校では、各科目の評定を5段階評価に修正して計算し直します。

修正方法は高校によって異なりますので、学校側にあらかじめ確認しておくのがよいでしょう。

評定を上げるカギは定期テストにあり

評定は、定期テストや小テストの成績、課題の提出状況や授業態度などによって総合的に判断され、決定されます。

ただ、中高一貫校で最も重視されるのは、定期テストの成績です。

推薦入試を検討し始めたのなら、少なくとも評定を意識し、直近の定期テストから良い点数がとれるようにする必要があるでしょう。

なお、推薦入試における評定の考え方について、下記の記事で詳しく解説しています。

評定が低い場合の対策についても紹介していますので、ぜひご覧ください。

現在、推薦入試は、親世代とは比べものにならないほど拡大しています。

大学入試を考えるうえで、避けて通ることはできません。

知っておきたい大学推薦入試の実情を下記にまとめました。ぜひご一読ください。

落ちこぼれている場合に総合型選抜や公募制推薦、指定校推薦は可能?

すでに高1・高2の成績が悪く評定が期待できない場合

①評定の比重が低い総合選抜型入試や公募推薦入試を狙う

調査書以外に、様々な選抜方法が併用されている入試を探しましょう。

面接や小論文、プレゼンテーションや学科試験などが課されているものが該当します。

ただし、出願条件として評定平均が求められる場合があります。入試要項を参照し、お子さんに出願資格があるかどうかを確認するようにしてください。

また、学校長(学校)の推薦が必要な公募制推薦入試や指定校推薦入試については、評定が低いと校内選考を突破できず、推薦をもらえない可能性が高いです。

いずれにせよ、推薦入試頼みになってしまわないよう、一般選抜入試の準備と並行して対策を進めた方がよいでしょう。

なお、全国大会やコンテストで入賞しているなど、何かしら秀でた一芸があれば、推薦入試に合格できる可能性が高まります。

その場合は、評定を少しでも上げる努力をしながら、自身の一芸とマッチする大学・学部を探しましょう。

②一般選抜入試に切り替える

一般選抜入試では合否に評定がほとんど影響しません。

ですので、一般選抜入試に注力するのも有効です。

推薦入試の受験をすっぱり諦めてしまうことで、一般選抜入試の準備に時間をかけることができます。

なお、その際、志望大学を私立大学に絞り、使用科目を減らして勉強するというやり方があります。

もちろん、大学入学共通テストを全科目受験した方が、圧倒的に受験大学の選択肢が多くなりますので、あくまで応急的な方法として検討してください。

中学から続く成績不振が原因で推薦入試を選択しようとしている場合

お子さんが中3~高1のケースです。

まずは、お子さんが推薦入試にどれだけ本気かを確認しましょう。

志望学部や学科すら決まっていないようなら、単に勉強から逃げようとしているだけという可能性があります。

中途半端な志望と準備で合格するほど、推薦入試は甘いものではありません。

ただ、話し合いの結果、お子さんが本気で推薦入試合格を目指すのなら、まだ十分に間に合います。

受験する可能性のある推薦入試をいくつか想定し、それに向けて小論文対策や課外活動などを進めてください。

そして、評定平均が重要ですので、定期テストの点数アップと宿題・課題の提出を目指しましょう。

なお、定期テストの点数が上がることで、自信を取り戻して一般選抜入試でさらに上の大学を志望することにした、というケースもあります。

ですから、ひとまずは定期テスト対策に重点を置き、成績不振から脱却するよう、声かけを続けていくのがオススメです。

定期テストの点数を上げる方法!経験10年以上の教員が紹介

中高一貫校生の推薦入試において、定期テストの成績が重要とは言っても、中高一貫校の定期テストは範囲が広く、問題の難度も高めです。

在籍生徒の学力レベルも高いので、高い評定をとるためのハードルは、公立の学校よりも格段に上がってしまいます。

中途半端な対策では通用しないため、真剣に定期テスト対策をする必要があるのです。

次の記事で、定期テストの点数を上げるためのポイントを3つ書いています。

  1. 勉強量を確保する
  2. 基礎基本を大事にする
  3. 軽重をつけた勉強を意識する

10年以上中高一貫校で教員をしていますが、定期テストの成績が上がるかどうかは、この3つができるかどうかです。

推薦入試・指定校推薦のために対策必須!定期テストの成績低迷は「中高一貫専門塾」で解決できる

最後に、中高一貫校の定期テスト対策に特化した指導を行っている、「中高一貫専門 個別指導塾WAYS」を紹介します。

WAYSは、中高一貫校のハイレベルな定期テストに完全対応。

ただ「教えて終わり」ではなく、講師がいなくともお子さんが「自分で」問題を解けるようになることにこだわります。

指導内では、演習している問題について生徒に説明してもらい、理解度をチェック。ラスト30分で間違えた問題の解き直しを行い、さらに次回の指導冒頭では確認テストを実施し、知識の定着をはかっています。

さらに、定期テストまでに、テスト範囲を3周できるように指導計画を立て、お子さん個々の状況に寄り添います。

実に9割以上の塾生が成績アップ!WAYSの定期テスト対策のノウハウを解説

WAYSが達成した定期テストの成績アップ事例

明大中野高校2年生 | 数学 勉強時間の大幅増加で50点→81点

高校1年生の7月に入塾。学校の課題はほとんど未完成のまま、定期テスト対策も前日のみ取り組むという程度でした。

学校教材を1周もできないまま、テストに臨んでいたのです。

1コマ120分の長時間指導を基本にしているWAYSでは、週3回通うだけで1日平均1時間弱の勉強時間を確保できます。

そして徐々に勉強する体力をつけることで、塾以外での勉強時間も増やすことができました。

学習習慣を身につけて勉強時間を確保し、学校教材を周回することで成績アップを実現した例だといえるでしょう。

大妻中野高校2年生 | 英語 わずか3か月の計画的な勉強で24点→63点

高校2年生の4月に入塾。

英語が苦手で、授業内容をいまいち理解することができておらず、テスト対策は学校の問題集をなんとなく1周しているだけでした。

毎日1時間半~2時間ほど勉強していましたが、計画性がなく、英語を後回しにしていたのが原因です。

そこでWAYSではプロの講師が生徒と一緒に学習計画を策定。

特に英語については、「定期テストまでに問題集を3周する」ことを目標に、綿密な計画を立てました。

あとは基礎内容を復習しつつ、計画通りに学習が進むようにサポートしました。

無理なく成績を上げられる学習計画をきちんと完遂したことで成績アップを実現した例だといえます。

高輪高校1年生 | 数学 反復演習の徹底により60点アップを実現

高校1年生の8月に入塾。

学習習慣があまり身についておらず、自分が解けるようになるまで教材を周回するということが徹底できていない生徒でした。

WAYSの主な取り組みは、以下の2点です。

①繰り返し解くことの大切さを伝え続け、学習姿勢を変える

②反復練習をしてもらい、「できる」ようになるまでサポートする

泥臭くも定着度の高い学習習慣を身につけたことで、成績アップを実現しました。

定期テスト対策で92.9%が成績アップを実現しているWAYSの秘密をお読みになりたい方は、ぜひ下記の記事をご覧ください。

推薦入試のための評定平均UPは中高一貫校専門塾WAYSへ

「中高一貫専門 個別指導塾WAYS」には、定期テスト対策だけでなく、評定平均UPに特化したコースがあります。

WAYSは、下記の三つの強みを柱とし、多くの生徒の評定アップに貢献してきました。

①専門塾として、500校以上の中高一貫校の指導ノウハウを蓄積し、学校ごとに異なるカリキュラムや教材に完全対応。

②ハイレベルな中高一貫校に必要な演習の量を確保できる120分指導&平均的な個別指導と同料金で4倍以上の指導時間を実現。

③「わからない」から「わかる」。そして「わかる」から「できる」ようになるための指導を徹底。

推薦入試の最低ラインである評定平均3.5。

このあたりで伸び悩んでしまうという生徒は、少なくありません。

が、WAYSであれば、さらに上の評定を目指せます。

他の受験生を上回り、入試をより有利に進めるために。

ぜひ、WAYSの評定アップ対策コースをご検討ください。

投稿者プロフィール

青木 ユウ
青木 ユウ
中高一貫校に勤めて10年になる中堅教師。卒業生を3度送り出し、中学生・高校生問わず指導経験が豊富です。自身も中高一貫校出身なので、中高一貫校のことを知り尽くしています。勉強に苦しむ生徒に向き合い、試行錯誤をする日々。そんな教師生活から得られた知見をお伝えし、全国の子供たちの力になれたらと思います。

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