【高校物理の勉強法】平均点超えを目指す定期テスト対策を現役教師が解説!
「高校に入学してから、子どもが物理の授業についていけなくなった」
と、他の科目に比べて物理の成績が悪いことに、不安を感じている保護者の方はいませんか?
物理が苦手になる主な原因の1つは、物理特有の勉強法を正しく実践できていないことです。
しかし、正しい勉強法を取り入れれば、定期テストで平均点以上を取ることは十分に可能です。
そこで、中高一貫校で15年の指導経験を持つ現役の物理教師が、物理に特化した定期テスト対策をお伝えします。
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このページの目次
物理の定期テストで高得点を取るには「物理現象の理解+数学力」が不可欠
物理は自然現象を扱う科目です。
また、数式を使って物理現象を表すため、比較的数学に近い科目と言えます。
そのため、物理の定期テストで高得点を取るには、物理現象の理解に加えて、数学力が必要になります。
物理現象の理解の重要性
例えば、回路に流れる電流を求める際に、「オームの法則 :V=RI」という公式を用います。
「 V=RI」のそれぞれの文字に、V(電圧)=2.0V、R(電気抵抗)=4.0Ω、に数字を当てはめれば、I=0.50Aと電流の値を求められます。
一見すると、公式を覚えれば問題が解けるように思えますが、そうではありません。
電気回路内でどう電圧が加わっているかを理解していなければ、V=2.0Vであることは分からないのです。
このように、物理現象を理解していなければ、公式に当てはめる数値が分からないことがほとんどです。
数学力の重要性
物理現象を数式で表すため、数学の知識を利用する場面が多くあります。
sinやcosなどを使う場面は非常に多いので、三角関数の基本的な計算ができないと、物理の計算問題が解けません。
また、微分・積分について、これらを用いなくても問題は解けますが、考え方を理解していると物理現象の理解に役立ちます。
さらに、正確な計算力が必要です。
物理のテストでは、途中式がなく、最終結果だけを答案に記載することがほとんどです。
そのため、考え方が分かっても計算力がなければ得点できません。
物理の5分野の特徴と勉強法
物理には「力学」「波動」「熱力学」「電磁気学」「原子物理」の5つの分野で構成されています。
力学の勉強法
力学は「ものの運動を数式で表す」分野です。
例えば、ものを投げたときの運動や、2つのものがぶつかったときの運動、円運動や単振動を扱います。
力学は1つの現象を考えるとき、「力」や「エネルギー」など複数の考え方ができるのが特徴です。
複数の考え方ができるようになるには慣れが必要であるため、問題演習の量が攻略の鍵となります。
また、かなり数学力が必要となる分野でもあり、文字式の計算やグラフを多用するため、手を動かして計算する練習が必要です。
他の分野でも力学の考え方が活きるため、物理の中でも最も重要な分野です。
波動の勉強法
波動は「正弦波」と呼ばれる水面を進むような波を扱う分野と、音や光を扱う分野があります。
正弦波を扱う分野は、波全体の動きと、1点の振動の動きを2種類のグラフを使って表します。
そのため、グラフが表す動きを意識しながら、公式を活用していく勉強が必要です。
音や光は、現象とそれを表す公式をセットで理解する必要があります。
そのため、ただ単に公式を暗記しただけでは全く太刀打ちできないので、現象と公式をセットで理解することに努めましょう。
また、波動は他の分野との関連が比較的薄い分野になっています。
熱力学の勉強法
熱力学はものの温まり方や、気体の状態変化について扱います。
力学と関連した内容が多いため、力学をしっかり勉強した後に取り組むのがよいでしょう。
ものの温まり方は、エネルギーのやりとりだけで考えられるので、難易度は高くありません。
しかし、数値計算が求められる場合も多く、計算ミスに注意が必要です。
気体の状態変化は、「気体の温度・圧力・体積の変化」と「エネルギー」の2つの考え方ができるのが特徴です。
ほとんどの問題は、この2つの考え方で解けるので、どちらの考え方を使うかを意識しながら演習を行うと良いでしょう。
問題パターンが比較的少ないので、標準的な問題が解けるようになるまでは、比較的時間はかかりません。
ハイレベルな問題になると、力学と融合した問題が出題されます。
電磁気学の勉強法
電磁気学の学習内容は難しく、学校によっては高3の2学期以降に扱うため、苦手とするお子さんが多いです。
主に、静電気を扱う分野、電気回路を扱う分野、磁場や電磁誘導を扱う分野があります。
静電気を扱う分野はほとんど力学と同じです。
高3春休みに、力学をしっかりと勉強した後に取り組むと良いでしょう。
電気回路の分野は、現象の理解・公式の暗記をした上で、「回路の電圧や電流の関係式」を立式します。
目に見えない現象を扱うこともあり、この立式に苦労するお子さんが多いです。
解説が詳しい問題集を使って、演習量を確保しましょう。
磁場や電磁誘導の分野は、力学と電気回路を合わせた内容が多いため、これらの分野の復習をしっかりと行った後に取り組みましょう。
原子物理の勉強法
原子物理は、物理の中でも最後に学習する分野で、光を粒子として扱う分野や核分裂反応などを扱います。
この分野は、現象の理解が非常に重要です。
授業や参考書を利用して、現象を確実に理解するようにしましょう。
他の分野に比べて、難解な計算を求められるケースが少なく、現象が理解できればさほど難しくありません。
また、他分野と融合した内容が多いため、原子の学習に入るまでに、他分野の学習をしておきましょう。
問題パターンが限られており、学校で配られる問題集に載っている問題ができれば、入試レベルにも十分対応できます。
【物理の勉強法】定期テスト対策は「演習量の確保」と「補助的な参考書の利用」が重要
定期テストで物理の点数が取れない主な原因は2つあります。
1つが問題の演習量が足りないこと、もう1つは現象が理解できていないことです。
【演習量の確保】テスト3日前には問題集を1周終え、その後2〜3周解く
物理の定期テスト対策は、基本的には学校指定の問題集の完成度を上げることで十分です。
ただし、平均点以上を取るには、問題集を最低でも2〜3周は繰り返すことが必要になります。
テスト3日前までに、一通り問題集を解き終えることが目標です。
1周目は、初見で解けなかった問題を必ずチェックしておき、解答解説を読んで理解するように努めます。
2・3周目は、チェックをつけた問題のみで構わないので、解答を真似して自分で解答を作り、自力で解けるまで繰り返します。
平均点を取れていない人は演習量が足りていないので、このようにして、効率的に演習量を確保することが大事です。
【補助的な参考書の利用】おすすめの参考書を紹介
授業を通じて物理現象を理解できなかった場合、自力で物理現象を理解するのは困難です。
そこで、参考書を利用して理解に努める必要があります。
物理はたくさんの問題集や参考書が出版されていますが、物理現象の理解に適したものがあります。
おすすめの参考書は 「宇宙一わかりやすいシリーズ 宇宙一わかりやすい高校物理 力学・波動 改訂版(Gakken)」です。
「力学・波動編」と「電磁気・熱・原子編」に分かれており、「改訂版」が現行の指導要領に対応しています。
イラストが豊富で、授業で先生が話す内容や、板書するような内容が細かく書かれているので、非常に理解しやすいです。
もう1つは「橋元の物理をはじめからていねいに【改訂版】(東進ブックス)」です。
こちらは「力学編」「熱・波動原子編」「電磁気編」に分かれています。
どちらの参考書も定評があるので、本屋で手に取ってフィーリングが合うものを選びましょう。
人に勧められたものを買うだけではなく、自分の目で見て納得したものを購入した方が良いです。
物理が苦手な人の特徴
正しい勉強を実践できているけど、定期テストの点数が伸び悩むというお子さんが一定数います。
そして、物理の点数が伸び悩む人には共通した特徴があります。
作図と情報整理ができていない
物理では、作図と情報整理が最も重要です。
私が授業するときには「作図と情報整理さえできれば、解答の50%は終わったようなものだ」と生徒たちに伝えています。
例えば、以下のように作図をして、2つの物体の加速度を求めます。
物理が苦手なお子さんは、作図と情報整理をしていないケースがあります。必ず行いましょう。
できれば問題集に書き込むのではなく、可能な限りノートに図を書き直して、作図した方が良いです。
公式を覚えているだけで、理解できていない
物理が苦手なお子さんから「問題を見たときに、どの公式を使っていいか分からない」という声をよく耳にします。
この原因は、公式を覚えているだけで、公式を理解できていないからです。
公式を覚えているだけの状態は、公式を使って数値計算ができる状態や、よくある場面だけに公式が使える状態です。
例えば、「運動量保存の法則:前の運動量の和=後の運動量の和」という公式があります。
運動量保存の法則は、1つの例として「物体が衝突・分裂するときに使う」と最初に習います。
公式を覚えているだけでも、ただ物体が衝突している場面であれば、問題を解くことができるでしょう。
しかし、運動量保存の法則は「太陽と地球の運動」でも、実は公式を使うための条件を満たしているのです。
「太陽と地球の運動」は衝突も分裂も起きていないので、公式を覚えているだけでは、運動量保存の法則を使うという発想にはなりません。
つまり、公式を理解できている状態は、公式を使える場面を多く知り、公式を使える条件を理解しているのです。
公式を理解するには、2つの練習が必要になります。
まずは「なぜこの公式を使うんだろう?」と考えながらたくさんの問題を解き、公式が使える具体的な場面を多く知ることです。
公式が使える理由が分からないケースに出会ったら、次のステップに進みます。
次は、教科書や授業ノートに載っている「公式の導出過程」を書き写し、公式が使える条件を確認することです。
条件を確認しても、公式が使える理由が分からないケースも多いので、その場合は先生に質問しましょう。
「問題を解く→公式が使える条件を確認をする」ことを繰り返すことで、公式が理解できるようになります。
中学の頃は「公式は覚えるもの」だと理解しているお子さんも多かったでしょう。
高校の物理では「公式は理解するもの」と発想を変える必要があります。
単位を意識できていない
物理は文字式を使うことが多いです。
文字式で答えを出す場合、単位を理解していると、最終結果が合っているかどうか確認できます。
この確認によって、計算ミスを大きく減らすことができるので、自然と点数が伸びます。
解法を習得する意識がない
大学入試の標準レベルの問題は、解法がある程度決まっています。
物理が苦手なお子さんは解法を習得する意識が低く、なんとなく問題を解いているケースが見られます。
解法習得の意識が持ちにくければ、それに適した問題集を使うのもおすすめです。
おすすめの問題集は「物理のエッセンス(河合出版)」です。
問題集ではありますが、参考書的な使い方ができます。
先生が話しながら授業してくれているような書き方がされており、解説が詳しいです。
他にも「物理[物理基礎・物理]入門問題精講 三訂版(旺文社)」がおすすめです。
数学の問題集のように、例題と詳しい解説・解答例がセットになっています。
物理が苦手なお子さんは、個別指導塾でプロの手を借りるのが良い!
物理が苦手なお子さんにとって、物理独自の勉強法を確立することが絶対に必要です。
前述したように「テスト3日前には問題集を1周終える、その後2〜3周解くスケジュールを立てる」ことが平均点以上を取るためには肝心です。
しかし、スケジュールを立てるのが苦手なため、成績不振につながるケースをよく見かけます。
スケジュールを立てるのが苦手な場合、プロの助けを借り、スケジュール管理をすることが最善策です。
塾には様々な種類がありますが、おすすめなのが個別指導塾です。
集団指導塾は、塾独自の問題集を使って授業することが多く、その予習・復習を行うことが必要となります。
やるべきことが増えてしまい、お子さんにとって逆効果になってしまうケースも多いのです。
個別指導塾であれば、自分のペースで苦手分野を重点的に勉強できます。
中高一貫専門だから定期テストの点数を着実に伸ばせる!
プロの個別指導にも様々な選択肢がありますが、そのなかで最もおすすめなのが「中高一貫専門 個別指導塾WAYS」です。
90分の指導時間に加え、ラスト30分の解き直し+次回指導冒頭での確認テストにより、授業時間内で学習内容をしっかりと押さえます。
教材の持ち込みは自由なので学校指定の問題集に加えて、「物理のエッセンス」や「入門問題精講」などの問題集の持ち込みも可能です。
次の定期テストまでに、テスト範囲を3周できるように指導計画を立て、着実に演習を重ねることができるので、定期テストの点が伸びていくのです。
WAYSのノウハウと実績をもっと詳しく知りたい方は、ぜひ下記の記事も合わせてご覧ください
投稿者プロフィール
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中高一貫校で15年間指導してきました。10年間は高校3年生の大学受験指導を、次の5年間は主に中学で指導してきましたので、大学受験を見据えた中学からの学力形成に知見があります。私自身も中高一貫校を卒業しました。
せっかく努力されて入学した学校なので、充実した時間を過ごせるよう情報発信という形でサポートしていきます。
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