【大学受験】理科の選択科目は何がいい?現役教師が解説!
高1の2学期になると、文系・理系の選択、それに伴う理科や社会の選択をしなければなりません。
「理科の選択科目は何を選べばいいかわからない」
「大学受験に有利な理科の科目ってあるの?」
とお困りの保護者の方もいらっしゃるでしょう。
結論から申し上げますと、大学受験に有利な理科の科目はありません。お子さん次第です。
しかし、理科の選択は、科目の特徴を踏まえた上で、受験大学や本人と科目の相性を考慮しなければなりません。
そこで本記事では、15年の指導歴を持つ現役理科教員が、理科の選択方法について紹介します。
「理科の選択を失敗した」というお子さんの失敗談も紹介するのでぜひお役立てください。
このページの目次
文系・理系の選択科目
高1の秋〜冬に高2以降の文理選択を行い、それに伴い理科の科目を選択します。
理科には、「基礎科目」と「発展科目」があります。
基礎科目は以下の4つです。
- 「物理基礎」
- 「化学基礎」
- 「生物基礎」
- 「地学基礎」
その上位科目である、通称「発展科目」は以下の4つで、文系・理系で選ぶことのできる科目が異なります。
- 「物理」
- 「化学」
- 「生物」
- 「地学」
文系は「基礎科目」から2つ、理系は「発展科目」から2つ選ぶ
文系の場合、「基礎科目」である「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」から2科目選択します。
ただし、学校によっては、先生がいないため開講されなかったり、選択する人数が少なかったりして開講されない科目も。
比較的「化学基礎+生物基礎」を選択する生徒が多く、地学基礎は開講されない学校が多い傾向があります。
理系の場合、「発展科目」である「物理」「化学」「生物」「地学」から2科目選択します。
「化学が必修」で「物理か生物のどちらかを選択する」ケースが多いです。
理系でも、地学は開講されない学校が多いです。
理科の科目の特徴
一言で理科と言っても、各科目でその特徴や勉強方法が大きく異なります。
科目選択を行うにあたり、まずは特徴を把握しておきましょう。
物理・物理基礎
物理・物理基礎は計算が中心で、数学に近い科目です。
数式を用いて現象を表します。また、数学の三角関数を使う場面も多く、微分・積分の考え方が物理の理解に役立つ場面が非常に多いです。
ただし、計算ができても現象の理解ができていないと得点できないので、現象の理解もとても大事です。
できるようになるまで時間がかかることがあります。
一方、基本原理は非常にシンプルなので、理解できるようになると高得点が狙えます。
生物・生物基礎
生物・生物基礎は暗記中心で、社会に似ている科目です。
ただし、単純に暗記科目と思ってはいけません。
大学受験レベルになると、知識問題だけでなく、考察問題が出題されます。
大学個別の試験では記述を求められることもあります。この点も社会と同様です。
最初は勉強した分だけ点数につながりやすいですが、考察問題は難易度が高く、満点を取るのは比較的難しいと言えるでしょう。
化学・化学基礎
化学・化学基礎は物理と生物の中間のイメージの科目です。
物理と同様に現象を理解した上で、計算が求められる問題や、生物と同じようにたくさんの知識を暗記した上で、考察を要求する問題も出題されます。
また、発展科目の化学は理論化学、無機化学、有機化学の3分野に分かれています。
有機化学は比較的問題のパターンが決まっているのが特徴です。
無機化学では覚える知識は多いものの、生物に比べれば少ないため、勉強を進めていけば比較的点数が安定しやすいでしょう。
地学・地学基礎
地学・地学基礎が開講されている学校は少ないです。
しかし、意外と点数が取りやすいと言われています。
そのため、学校で授業を受けていないものの、独学で勉強して共通テストで地学を選択するお子さんが一定数います。
ただし、選択する人が少ないため良質な参考書の数が限られていることに注意しましょう。
選択科目の選び方を3つ紹介
選択科目の選び方は人それぞれ異なるので、こう選べば良いという正解はありません。
そこで、多くの人が実践する選び方を3つご紹介します。
大学受験に必要な科目を選ぶ
文系の場合、どの科目を選んでも大学受験で必要な科目を満たすことが可能です。
理系の場合、生物を選択することで受験できない学部や大学があります。
例えば以下の通りです。
- ほとんどの工学部
- 理学部の一部の学科(物理学科など)
- 一部の薬学部(2024年現在では、東北大学、金沢大学、富山大学、静岡県立大学)
- 一部の医学部(2024年現在では、北海道大学、群馬大学、金沢大学、名古屋市立大学、愛媛大学、九州大学、佐賀大学)
これらの学部や大学の受験を考えている場合は、物理を選択する必要があります。
ただし、例外もあるので、必ず各大学の入試要項を確認しましょう。
数学・社会も考慮に入れて得意科目を選ぶ
得意科目で選ぶのも良い方法です。
文系の場合、高1時点での物理や化学、生物の定期テストの点数を比較してみると良いでしょう。
理系の場合、これだけでは不十分です。
特に、考慮しておきたいのは理系の物理・生物は、高1と高2で学習のギャップがあることです。
高1の物理(物理基礎)は、中学の延長の内容が多く、特に電気分野は中学の学習内容とほとんど変わらないため、難易度はそこまで高くありません。
しかし、高2・高3になると一気に現象が複雑になり、数式が登場する機会も増えます。
そのため、高1に比べて高2・高3になると計算力の差が顕著に出やすいです。
また、生物は暗記科目ではありますが、大学入試レベルになると「考察や記述」が求められます。
考察や記述の問題について、共通テストの問題や二次試験の問題を一度見てみると良いでしょう。
令和6年度の大学入試共通テスト「生物」では、P73の第2問の問2が考察問題です。
物理は数学、生物は社会に似ている科目であることから、数学と社会の定期テストの点数や好みも考慮することをお勧めします。
大学入学後の学びに必要な科目を選ぶ
大学入学後の学びに役立つ科目を選ぶのも良いでしょう。
例えば、医学部などの医療系に進学した場合、生物の勉強が必要になるから、生物を選択した方が大学進学後の学びに有利という意見も聞かれます。
しかし、入学者の声を聞いていると、大学入学後の勉強で十分対応できると聞きます。
そもそも高校で選択できる科目もそこまで多いわけではありません。
入学後のことを考えるより、大学受験でしっかり得点できる可能性のある科目を選択した方が良いです。
理科の科目選択の失敗談
科目選択に失敗して後悔したり、中には高3進級時に選択科目を変更したりするお子さんもいます(学校によっては変更できない場合もあります)。
そうなると、大学受験にとって大きなタイムロスになってしまうでしょう。
ここからは、理科の科目選択の失敗談を3つ紹介します。
学校の雰囲気や、周りの友人の雰囲気に流されて決めた
進学校の場合、理系の多くの生徒が物理を選択している、というケースがあります。
そこで、周りの友人がみんな物理を選択するからといって、自身との相性を考慮せず、物理を選択するケースが見られます。
しかし、進学校に在籍しているからといって、全員が物理を得意になれるわけではありません。結局は個人の問題です。
また、選択科目が違っても友人関係には全く影響ありません。
周りに流されず自分で決めることが大事です。
物理の方が満点がとりやすいから、物理を選択した
共通テストにおいて「満点が取りやすいのは物理である」と耳にして、物理を選ぶお子さんもいます。
物理の方が満点が取りやすいのは事実です。
令和6年度の大学入学共通テストにおいて物理で満点得点者は受験者の2%程度(50人に1人)。
一方、生物はわずか0.05%(2000人に1人)と大きな開きがあります。
しかし、このような選び方は危険です。
物理は、高得点者も多いですが、低得点者も多く、差がつきやすい科目です。
一方で、生物は平均点付近の人数が多く、高得点者も低得点者も少ない、差がつきにくい科目です。
物理を選んだからといって、全員が満点を取れるわけではなく、物理が苦手科目となってしまった場合、得点差をつけられてしまうこともあります。
特に成績不振者が物理を選択する場合、物理にあった学習方法を身につけなければ、大きく差をつけられてしまうでしょう。
選択科目を決めた後にも迷い続ける
選択科目を決めた後に、まだ迷い続けるお子さんがいます。
特に、選択した科目の成績が悪かった場合に「やっぱり他の科目にすればよかったかも」と考えてしまい、勉強が手につかず、さらに成績が下がることがあります。
一度決めたら、その科目をやり続ける覚悟が必要です。
成績が悪くなると隣の芝が青く見えることがありますが、それは幻想です。
とにかく今、悩めるだけ悩み、考えられるだけ考えることが必要です。そうすれば覚悟を持って決断できます。
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自分に合った理科の選択ができれば、明るい未来が待っているわけではありません。
結局2択でしかないので、いずれにしろ最後には「覚悟」を持って科目選択をするしかありません。
覚悟を決めたら、正しく勉強ができるかどうかが大事です。
特に理系は、高2になれば学習内容がより高度になります。
また、中高一貫校に在籍している場合、理系理科はかなり速いスピードで進み、高3の頭や半ばまでに教科書の内容が終わります。
成績不振者は、このスピードについて行くことや、ハイレベルな学習内容についていけるように、早めに中高一貫校独自の学習方法を身につけるべきです。
特に、物理は苦手科目になりやすく、差がつきやすい科目です。
早めの対策が大学入試の合否に直結します。
- 学校の問題集を中心に、個別の学習計画を立案
- 1コマ120分(演習90分+復習30分)と十分な勉強時間を確保
- 家での宿題は一切なし
と、中高一貫校に通う成績が伸び悩むお子さんに最適な環境があります。
まずは資料請求してみてください。
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投稿者プロフィール
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中高一貫校で15年間指導してきました。10年間は高校3年生の大学受験指導を、次の5年間は主に中学で指導してきましたので、大学受験を見据えた中学からの学力形成に知見があります。私自身も中高一貫校を卒業しました。
せっかく努力されて入学した学校なので、充実した時間を過ごせるよう情報発信という形でサポートしていきます。
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