電流と電圧の求め方は?抵抗とは?基礎の総まとめ&教え方を徹底解説|中学理科
中学理科で習う電流と電圧をどのように理解しておくのがよいのか、中学生に教える際のポイントを、基礎からやさしく解説します。
ポイント
①電流=1秒間で回路に流れる電子の数
②電圧=回路に流れる電子のもつ力(勢い)
③抵抗=電流の流れにくさ
④オームの法則:電圧(V)=電流(A)×抵抗(Ω)
このページの目次
電流と電圧の違いとは
電流とは
電流は、1秒間の間に回路に流れる電子の数のことだと理解しておきましょう。
単位はA(アンペア)で、1A=1000mAです。
電圧とは
電圧とは、回路に流れる電子のもつ力(勢い)のことです。
電圧という勢いを利用して、豆電球や抵抗器などの抵抗を通り抜けると考えてください。
単位はV(ボルト)。
電源から電圧を与えられて流れ出た電流は、電源にかえってくるまでの間に、電圧を全て使い切って戻ってきます。
直列回路における電流と電圧の考え方
電流
電流の強さはどこも同じです。
電圧
電圧がどこの抵抗器でどれだけ消費されるかは、抵抗の強さによって変わります。大きければ多く電圧を消費します。
各抵抗器で消費される電圧を足した値が、電源から与えられた電圧です。
並列回路における電流と電圧の考え方
電流
電流は並列回路の部分で分散します。また、分散の仕方は抵抗器の抵抗の強さで決まります。
電圧
電圧は、電源にかえってくるまでの間に全て消費されるので、並列回路では回路がもう一本増えている扱いになります。
並列回路では電圧は分散せず、同じ値になります。
オームの法則
オームの法則とは
オームの法則とは、
電圧(V)=電流(A)×抵抗(Ω)
のことを指します。
変形すると、
電流(A)=電圧(V)/抵抗(Ω)
抵抗(Ω)=電圧(V)/電流(A)
となります。
練習問題
①抵抗の大きさが20Ωの電熱線Aと40Ωの電熱線Bとを下図のように直列につないで、ある電圧を加えたところ、点Cで0.5Aの電流が流れた。このとき、次の値を求めなさい。
ⅰ、電熱線A・B・電源にかかる電圧の大きさ
ⅱ、回路全体の抵抗の大きさ
〈解説〉オームの法則を使う。
ⅰ、
直列回路では、電流の大きさはどこも一定なので、電熱線A・Bのいずれにも0.5Aの電流が流れている。
電熱線Aにかかる電圧は、
0.5×20=10V
電熱線Bにかかる電圧は、
0.5×40=20V
電源にかかる電圧は、
10+20=30V
ⅱ、
回路全体の抵抗の大きさは、全体の電圧が30Vで電流の大きさが0.5Aなので、
30÷0.5=60Ω
(あるいは、電熱線AとBの抵抗を足して、20+40=60Ω)
②抵抗の大きさが20Ωの電熱線Aと40Ωの電熱線Bとを下図のように並列につないで、10Vの電圧を加えた。このとき、次の値を求めなさい。
ⅰ、電熱線A・B・点Cに流れる電流の大きさ
ⅱ、回路全体の抵抗の大きさ
〈解説〉オームの法則を使う。
ⅰ、
並列回路では、分岐前も分岐後も電圧は一定なので、電熱線A・Bのいずれにも電圧10Vがかかっている。
電熱線Aに流れる電流の大きさは、
10÷20=0.5A
電熱線Bに流れる電流の大きさは、
10÷40=0.25A
点Cに流れる電流は、電熱線AとBに流れる電流を合わせたものなので、
0.5+0.25=0.75A
ⅱ、
回路全体の抵抗の大きさは、全体の電圧が10Vで電流の大きさが0.75Aなので、
10÷0.75=40/3Ω
③抵抗の大きさが8Ωの電熱線Aと6Ωの電熱線Bと12Ωの電熱線Cとを下図のようにつないだ。電熱線Bにかかる電圧が24Vのとき、次の値を求めなさい。
ⅰ、電熱線B・Cを流れる電流の大きさ
ⅱ、電熱線Aにかかる電圧の大きさ
ⅲ、回路全体の抵抗の大きさ
〈解説〉オームの法則を使う。
ⅰ、
電熱線Bを流れる電流の大きさは、
24÷6=4A
並列回路なので、電熱線Cを流れる電圧の大きさも24V。
よって、電熱線Cを流れる電流の大きさは、
24÷12=2A
ⅱ、
ⅰより、並列回路で分岐する前の電流の大きさは
4+2=6A
直列回路では電流は一定なので、電熱線Aには、6Aの電流が流れている。
したがって、抵抗が8Ωの電熱線Aにかかる電圧は、
6×8=48V
ⅲ、
電源の電圧は、Aにかかる電圧とBにかかる電圧を合計すればよいので、
24+48=72V
回路全体に流れる電流は6Aより、回路全体の抵抗の大きさは
72÷6=12Ω
お子さんに教える際のポイント
直列回路と並列回路における電流と電圧の違いを理解できるかがポイントです。
電流や電圧がどういったものかを押さえたうえで、図を書いてください。
電圧は抵抗を乗り越えるためのエネルギーだというイメージを持ちましょう。
オームの法則を用いた練習問題を反復するのがオススメです。
概要が理解できれば問題演習を重ねよう
教えてもらっている状態で問題が解けたとしても、独力でできなければ意味がありません。
分かった気になっているだけ、ということもあります。
きちんと言葉の意味を理解したうえで計算式を立てているか、反復して確認しましょう。なんとなく出てきた数字を使って式を立てているだけ、というケースは意外にも少なくありません。
問題演習では、簡単な問題から標準レベルの問題まで、段階を踏んで解いていくようにしましょう。
解けた問題には○、解けなかった問題には△や×をつけ、2周目以降では△や×の問題を中心にやり直すようにしてください。
オススメの問題集は『中1理科をひとつひとつわかりやすく。改訂版』(Gakken)や『ハイクラステスト 理科』(受験研究社)です。前者が基礎~標準、後者が標準以上レベルです。
お子さんの理解が進まないパターン3選とその対処法
教えてもなかなか理解してもらえない
電流と電圧の違いを理解するのは簡単ではありません。
具体的な状況を図に書き示しながら教えるのがオススメです。
面倒かもしれませんが、慣れないうちは図をお子さんにしっかりと書いてもらってください!
教えるとその場ではできるのに、お子さん一人で問題を解くと間違いが多発
このパターンは、さらに以下の2パターンに大別できます。
1、理解したうえで暗記することができていない
少し違う角度から問われると対応できなくなります。
基本問題から何度でも解き直しをしましょう。
電流や電圧、抵抗器の数値を変えてもう一度解いてもらうだけでも反復練習としては十分です。
オームの法則を使ってなんとなく計算式を立てていないかを確認してください。
2、教えられた時は分かった気になっている
どこでつまずいているのかを分析し、理解できていないポイントを再説明して暗記するよう促してあげてください。
そのポイントが理解・暗記できているかを測れる問題をチョイスして演習するとよいでしょう。
教えようとすると、ちょっとした間違いを指摘しただけで機嫌が悪くなり、うまくいかない
思春期で親子関係が難しく、接し方にデリケートな配慮が必要な場合があります。
1つ指摘するときは1つ以上ほめることを意識しましょう。ほめる内容は、学習を着実に進められている点などにするのがオススメです。
そして大事なことは、「根気強く、粘り強く」です。保護者の方が不機嫌になったり、イライラしたりしないように心がけてください。
子どもに教えるというのは、なかなかにストレスが溜まる作業です。保護者の方の息抜きも必要でしょう。根を詰めてやりすぎると、保護者の方もお子さんもしんどくなってしまいます。
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投稿者プロフィール
- 中高一貫校に勤めて10年になる中堅教師。卒業生を3度送り出し、中学生・高校生問わず指導経験が豊富です。自身も中高一貫校出身なので、中高一貫校のことを知り尽くしています。勉強に苦しむ生徒に向き合い、試行錯誤をする日々。そんな教師生活から得られた知見をお伝えし、全国の子供たちの力になれたらと思います。
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