私立中学校で勉強についていけない子どもには、親が勉強の環境を整えてあげることが大切!

個別指導塾で指導を受ける女子高生

「私立中学受験を頑張って勉強をしたので、第一志望に合格できたけれども、中学に上がってから、成績が伸びない」

「学校からの宿題も自分から進んで取り組もうとはしなくなっている」

「学校の授業にもついていなくなっている」

このような様子が見られた子どもに対して、どう対策をしていけばいいか、分からない保護者の方も多いのではないでしょうか。

そんな方に向けて、本記事では私立中学で勉強についていけなくなる子の原因、特徴、対策方法を解説します。

私立中学で勉強についていけない4つの原因

私立中学校の生徒が勉強についていけなく理由として、次の4つが挙げられます。

  1. 私立中学は授業の進度が速い
  2. 授業の難易度が高い
  3. 部活で勉強時間がとれない
  4. 受験が終わって意欲が低下している

以下、それぞれの項目について、詳しく解説していきます。

1.私立中学は授業の進度が速い

私立中学校での授業の進度は、一般の公立中学校よりも速いです。

公立中学校では、学習指導要領に準拠して授業が行われます。

特別な場合を除いて、1学年先の学習をするような先取り学習は行われません。

私立中学でも学習指導要領に書いてあることは教えますが、各学校ごとに教育課程が組まれ、先取り学習も行われます。

公立中学校と私立中学校授業時数を比較してみると、私立中学校の授業進度が速いことが見えてきます。

文科省から出ている中学校学習指導要領(平成29年告示)を見ると、総授業時数「1015」となっています。

1週当たりの授業時間数がおよそ30時間(1時間:50分授業)と分かります(別表第二 第七十三条関係より)。

実際には、1週当たり30~34時間の公立中学校が多いようです。

私立中学校では、各学校によって違いはありますが、33~37時間となっています。

吉祥寺女子中学校を例に挙げてみると、公式ホームページでは、数学の学習で「中学2年生の3学期には、中学の学習内容はすべて終了し、高校の内容に進みます」とあります。

この速い授業の進度についていけなくなれば、勉強にも遅れが出てしまうことになるでしょう。

2.授業の難易度が高い

公立中学校では、先に紹介したように学習指導要領に準拠して授業が行われます。

各学校が、採用しているその学年の教科書にある内容を教員が指導し、たとえば中学2年の数学では、生徒は連立方程式や一次関数を勉強します。

私立中学では、実際の学年より上の学年の内容を学習する「先取り学習」をするのが一般的です。

先の私立中学の吉祥寺女子中学校の数学の授業内容を見ると、連立方程式、一次関数を中学1年生の間に教えることになっています。

このように見てくると、私立中学の授業の難易度が高いことが分かります。

3.部活で勉強時間を確保できない

勉強についていけなくなる理由の1つとして、「部活のために、勉強時間がとれなくなる」ことが挙げられます。

たとえば、平日の部活の時間が、中学で17時、高校で17時30分まで行われる学校があります。

なかには、このあと、塾で夜9時、10時と夜遅くまで勉強する生徒もいるでしょう。

こうなると、疲れて、授業に集中できなくなり、ついていけなくなってきます。

4.私立中学受験が終わって意欲が低下している

中学受験を乗り越えたことで、目標がなくなり、勉強への意欲が低下してしまうことがあります。

「私立中学入試の合格」そのものがゴールになっていたときに、起こりがちです。

お子さんは「なぜ、まだ勉強を続けないといけないのか」と考えてしまうのです。

勉強についていけなくなる子の特徴

勉強についていけなくなる子の「特徴」を知っておくと、子どもの変化に気づきやすくなり、早めに対策できます。

ここでは、どのような「特徴」がある子が、勉強についていけなくなりやすいのかをまとめました。

  1. そもそも勉強が嫌い
  2. 本や長文を読むのが苦手で読むことを嫌がる
  3. 分からないことを自分から質問しないで、そのままにしてしまう
  4. 完璧主義で間違うことを極端に嫌がる

詳しく解説していきます。

そもそも勉強が嫌い

私立中学で勉強についていけなくなる子の「特徴」として、そもそも勉強が嫌いということが挙げられます。

勉強よりも好きなこと(運動・ゲームなど)があるときに、起こりがちです。

勉強以外の好きなことに夢中になりすぎて、勉強する時間がなくなり、学校の授業、勉強についていけなくなってしまうのです。

本や長文を読むのが苦手で読むことを嫌がる

長文を読むのが苦手な子は、勉強についていけなくなる可能性があります。

長文を見ただけで読むのに時間がかかると思い、「面倒くさい」と感じてしまうのです。

自分の意見と合わない文章だから読みたくないというような子も、勉強についていけなくなりがちです。

学校の教科書や試験問題などは、図や表もありますが、文章が基本となっているので、勉強するうえで「読む」ことは欠かせません。

文章や長文を読むことに苦痛を感じてしまうと、勉強する意欲が低下してしまい、ついていけなくなってしまうのです。

「分からないこと」を自分から質問しないで、そのままにしてしてしまう

学校の授業中に、「分からない学習内容」が出てきたとき、先生に質問できない子も勉強についていけなくなる可能性があります。

これは、私自身も経験したことですが、「分からない学習内容」が出てきても、家に帰ってから、自分で勉強すれば何とかなると思ってしまうのです。

どうせ、塾や通信教育などの教材で勉強すればいい、そうすれば分かるようになるだろうと。

ところが、自分で勉強しても理解できないのです。

そもそも、分からないところは苦手な部分であることも多く、勉強そのものに取りかかろろとしなくなっています。

その結果、理解できないままになり、学校の授業、勉強についていけなくなってしまうのです。

完璧主義で間違うことを極端に嫌がる

勉強についていけなくなる子の特徴として、間違えることを極端に嫌がる様子が見られる子が挙げられます。

たとえば、国語の問題で、「次のア~オの中から正しいものをひとつ選びなさい」という問題があったとします。

正解はアなのにイと書いて×をもらうだけで、イライラし始めます。

1問間違えるごとに、イライラ仕出し「もうやだ!」「やらない!」となってしまうのです。

こうなると、次の問題に取り組もうとしなくなります。

取り組まないので、どんどん、勉強に遅れが出て、ついていけなくなるのです。

私立中学で勉強についていけない子どもへの対処法

それでは、勉強についていけなくなっている子に対しては、以下の4つのことを行うのがおすすめです。

  1. 親や学校の先生に相談しやす環境を整える
  2. 勉強習慣を付ける手助けをする
  3. 勉強の楽しさを教え、味あわせる
  4. 勉強に集中できる環境を整える

詳しく解説します。

子どもが親や学校の先生に相談しやすい環境を整える

最初にできることは、子どもが親や学校の先生に、何でも言える雰囲気をつくってあげることです。

たとえば、子どもの話を聞くときに「いや、それは違うよ」など、いきなり批判しないことです。

いきなり批判されると、話しにくくなってしまいます。

一度は共感してあげつつ、「そうなんだね。じゃあ、こうしてみたらら」という姿勢で、聞いてあげるのが良いでしょう。

子どもが、学校の先生にも相談しやすくするには、まず、親が学校の先生と相談しておくと良いでしょう。

授業中の様子、宿題の提出状況、ノート、発言、今後の課題など様々なことを聞いておきましょう。

子どもに勉強の習慣がつく手助けをしてあげる

2つめの対策は、「勉強習慣を付ける手助けをする」ことです。

最初は、勉強でなくても構わないので、とにかく机に向かう習慣をつけることが大切です。

机に向かう習慣ができたことろで、今度は、勉強に取り組ませます。

ここで、いきなり長時間、勉強させる必要はありません。

最初は、とにかく勉強する習慣だけがつけばいいのです。

5分、10分だけでも毎日継続して、勉強できれば大丈夫です。

勉強の楽しさを教え、味あわせる

勉強についていけなくなっている子は、学習内容が理解できていないので、「勉強をつまらなく」感じているでしょう。

「勉強って楽しかったんだ!」と思わせてあげることが、大切になってきます。

そのために、「知らなかったことを知る楽しさ」「間違えた部分を分かるようにする」のが勉強だということを教えてあげます。

「知らなかったことを知る楽しさ」では、「へえ! そうだったんだ!」という思いを持たせてあげられると良いでしょう。

たとえば、新聞紙を42回折ると月に届いてしまうなどのエピソードです。

20回目で高さ100mになり、42回で44万kmになり、月に届くという話です。

「間違えた部分を分かるようにする」では、エジソンの電気の発明のエピソードなどを例に出して、教えてあげると良いでしょう。

エジソンが電球を発明するまでに、何度も失敗した話です。

最後まであきらめずに取り組んだことが、現在みんなの生活の役に立っています。

勉強ができるようになると、自分の考えも持てるようになり、ときにはエジソンのように人の役に立つことができるようにもなります。

勉強に集中できる環境を整える

勉強に必要な参考書など、すぐ手にすることができる環境を作ってあげましょう。

たとえば、子どもがテレビを見ていて「○○ってどういう意味だろう?」と思ったときに、リビングのテーブルにいつも国語辞典があれば、すぐに調べられます。

すぐそばになければ、探すだけで「勉強についていけない子」の兆候にあるように、「面倒くさい」となってしまいます。

国語辞典や地図帳など、すぐに手にすることができる位置にあることが大切なのです。

他にも、子どもと親とで一緒にを勉強できる環境をつくってあげると良いでしょう。

ただ、いつもいつも、親が子どものそばにいるわけにもいきません。

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投稿者プロフィール

須貝 誠
須貝 誠
小学校や塾で子どもたちに教えてきた経験が多くあります。中高一貫校を受験する子どもたちも塾で指導してきました。勉強をどのようにすればよいのかの「勉強法」も教えてきました。そんな経験から、多くの子どもたちが効率よく勉強を行い、成績を伸ばしていけるようにサポートしたいと考えています。

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