中高一貫校「生物」の学年順位を上げる方法|上位の生徒が実践している勉強法を紹介
生物の成績を上位に引き上げたいと考えるお子さんのために、中高一貫校で現役の理科教員が、生物の成績を上げる効果的な学習法を紹介します。
生物は「基本的な知識の定着」と「生物現象の仕組みや、プロセスを理解」することで、成績を上位に引き上げることが可能な科目です。
暗記科目と捉えられがちですが、単なる暗記だけでは通用しません。
暗記だけではなく、理解することに焦点を置いて、重要なつながりや応用力を身につけることが大事です。そのためには学校の問題集に加えて、市販の講義形式の参考書を活用して、勉強の「質」を上げることが必要です。
本記事では、生物の定期テストの得点UPの秘訣を余すところなく紹介します。お子さんが、思ったように生物の成績が上げられずに悩んでいるなら、この記事を参考にしてアドバイスをしてあげてください。
このページの目次
勉強の「質」を上げて、生物の定期テストの点数を成績を伸ばす
勉強の「質」を上げて生物の定期テストで点数を伸ばすためには、基本的な勉強方法を押さえたうえで、それをさらに効果的に進める工夫が必要です。以下に、生物の基本的な勉強方法を3つのポイントにまとめます。
授業を通じて現象を理解する
生物の学習では、教科書やノートに書かれている内容だけでなく、授業を通じて具体的な現象を理解することが重要です。
必要な知識を暗記、理解する
生物は暗記すべき知識が非常に多いため、暗記ができないと得点に繋がることはありません。
学校の問題集を2〜3周解く
問題集を繰り返し解くことで、知識を定着させ、問題を解く力を養います。
成績が中程度の場合、これらの基本的な勉強方法は、すでに実践できている可能性が高いです。しかし、さらに成績を向上させるためには、勉強の「質」を上げることが求められます。
「生物は暗記科目」と認識する人がいるかもしれませんが、生物は単なる暗記科目として捉えてはダメです。暗記ではなく「理解する」ことに意識を向けて勉強をすることが、生物の勉強の「質」を上げる鍵になります。
現象の理解の「質」を上げる方法=講義系の参考書を並行して読み、理解を深める
生物を単なる暗記科目として捉えてはいけない理由は、生物現象のプロセスの複雑さにあります。
例えば、植物が行う光合成のプロセスに「カルビン・ベンソン回路」というものがあります。この名前を「暗記」していても、光合成のことを理解したことにはなりません。
生物の学習で求められるのは、
「カルビン・ベンソン回路とは、『葉緑体の”ストロマ”という場所で起きる反応で、空気中の二酸化炭素が取り込まれ、酵素”ルビスコ”の働きで固定されます。そして、”ATP”と”NADPH”のエネルギーを使いながら、”グルコース”が作られる過程』のこと。」
これを自分の言葉で説明できること、つまり、生物の現象を「理解すること」なのです。
生物の現象をより深く理解するためには、学校の授業に加えて「講義系の参考書」を活用し、自分で説明できるレベルを目指すことが重要です。
講義系の参考書を活用して生物現象をより深く理解する
生物現象を自分の言葉で説明できるようになるには、学校の授業だけに頼るのではなく、「講義系の参考書」を並行して読むと効果的です。以下に、おすすめの参考書を挙げます。
上記の参考書は苦手な人でも分かりやすい内容になっています。
生物が好きで、なぜそういう現象が起きるのか?ということを、詳しく理解したい人には「生物合格77講【完全版】2nd edition」(東進ブックス)がおすすめです。
ただし、高1・2には難しいような教科書を超える内容も記載されているため、この本を全て理解しようとすると負荷が大きいので注意が必要です。
学校の授業では先生が分かりやすく説明してくれますが、これらの参考書で、他の視点から解説を読むことで、より深い理解に繋がります。
講義系参考書の使い方〜理解を目的に活用する〜
講義系参考書は、ただ読むだけで理解できるようになるわけではありません。むしろ、読んで内容が分かると「理解できたつもり」になってしまいます。
「理解できたつもり」にならないために、具体的な使い方を以下に挙げます。
授業中に手元に置いて、分からない内容を補う
授業中、先生の説明を聞いて分からない場合には、その場で参考書を開き、補足的に読むことで理解を深めることができます。
授業後に復習として読む
授業のあった日に復習として参考書を読むことで、授業で学んだ内容をよりしっかりと定着させることができます。
読みながら、自分なりに説明する
理解ができている状態とは、「自分で説明できる」状態です。参考書を一読した後は、独り言でも良いので、自分なりに学んだ内容を説明してみましょう。
暗記・理解の「質」を上げる方法
生物現象を理解することは重要ですが、もちろん知識を暗記することも、欠かすことはできません。
知識を効率よく暗記し、さらに現象の理解を深めるためには、記憶の定着を意識した学習法を、取り入れることが重要です。
積極的に思い出そうとする〜リトリーバル練習〜
単に情報を何度も見たり書いたりするだけでは、記憶は定着しにくいです。代わりに、一度学んだ内容を思い出そうとする「リトリーバル練習」を行うことで、記憶の定着率を大幅に向上させることができます。
【リトリーバル練習の具体例】
- 問題集を解く
- 学習内容を自分の言葉で説明する
- 覚えた内容を白紙に書き出す
【リトリーバル練習にならない行動】
- 教科書やノートをただ眺める
- 内容を書き写すだけの作業
- 線を引いた部分を繰り返し読む
記憶をより定着させるためには、「思い出せそうで、思い出せなくて辛い」という脳に負荷がかかる状況を作り出すことが効果的なのです。
一方、脳に負荷をかけない暗記法(ただ読むだけ、写すだけ)は、記憶が残りにくい傾向にあります。
詳しくは「スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術」(あさ出版)を参照ください。
繰り返し思い出す〜エビングハウスの忘却曲線を意識した繰り返し〜
記憶の定着には、繰り返しの復習が不可欠です。
人間の脳は、一度学んだ情報を急速に忘れてしまう性質があります。そのため、学習した内容を繰り返し思い出しながら復習することで、記憶が強化され、長期記憶へと移行します。
このプロセスは、エビングハウスの忘却曲線によっても示されています。
忘却曲線に基づいた効果的な復習方法として、間隔を空けながら繰り返すことが挙げられます。復習の間隔を徐々に広げることで、忘れる速度を遅らせ、記憶が安定します。
【実践例】
- 授業直後に、授業内容や暗記事項を思い出しながら書き出す
- 帰宅後に、同じ内容を再度思い出しながら復習する
- 次の授業開始前に、前回の内容を復習し、思い出す練習を行う
復習の回数を増やすことで記憶が定着しやすくなりますが、1回の復習時間は長く取る必要はありません。5〜10分程度で十分です。
ただし、リトリーバル練習を意識して、自分で思い出しながら書き出すことで、記憶の定着率がさらに高まります。
生物の暗記は「単語+図」のセットが基本
生物を学習するときは、単語だけを覚えるのではなく、「単語+図」として言葉とイメージをセットで記憶することが重要です。
学習の際には「フォトサイエンス生物図録」(数研出版)などの資料集を手元に置き、図を見ながら単語やプロセスを確認する習慣をつけましょう。
問題演習の「質」を上げる方法
「生物が苦手」と感じる人の多くは、インプット(覚えること)に偏りがちで、アウトプット(使うこと)を軽視する傾向があります。
しかし、理解したこと、覚えた知識は、アウトプットを通じて初めて記憶に定着します。そのため、問題演習を通じて、覚えた内容を実際に使う場面を意識することが重要なのです。
学校で使っている問題集の問題を「説明できる」までやる
生物は、学校指定の問題集を最大限に活用することが基本です。
たとえば、「リードα生物・生物基礎」(数研出版)、「セミナー生物・生物基礎」(第一学習社)、「エクセル生物・生物基礎」(実教出版)などは、基礎から応用まで幅広く問題が掲載されており、これ一冊で十分な学習が可能です。
しかし、前述したように、生物では「理解できていること」が重要であるため、単に問題が「解ける」だけでなく、「解き方を説明できる」ことを目指ことが重要です。
そのため、問題演習の際には、以下のことを実践すると良いでしょう。
自分で問題の解説をする
単に答えを出すだけではなく、どの知識を使い、なぜその解き方を選んだのかを説明できるようになることが重要です。
講義系参考書を横に置いて確認する
問題を解く際には、講義系参考書を参照し、解法の根拠をしっかりと理解するようにしましょう。
疑問を放置しない
解説を読んでも分からない問題や、参考書を見ても説明できない問題があれば、必ず先生に質問して疑問を解消することが大切です。
問題集を2〜3周解く重要性と具体的な取り組み方
問題集を2〜3周解くことは、知識の定着を図り、応用力を向上させるために非常に効果的です。
しかし、ただ漠然と繰り返すのではなく、それぞれの周回で明確な目的を持ちながら取り組むことが重要です。以下に具体的な進め方を示します。
1周目:理解度の確認と苦手分野の把握
1周目では、問題を解くことで現在の自分の理解度を確認することが主な目的です。そのため、問題を解きながら正解したものと間違えたものをしっかり仕分けします。
2周目:弱点克服と知識の定着
2周目では、1周目で間違えた問題を重点的に解き直すことが中心となります。
この際、ただ解き直すだけでなく、間違えた原因を丁寧に分析することが重要です。例えば、基礎知識の不足、問題文の読み違え、計算ミスなど、ミスの原因を特定してから復習を行いましょう。
3周目:説明できるようになることがゴール
3周目のゴールは、問題の内容を説明できるようになることです。他人に説明しても、独り言のようにぶつぶつと説明しても構いません。
説明することを意識すると、知識の抜けやあいまいな部分が浮き彫りになり、それを補完することで理解がさらに深まります。
生物学習で効果を上げる「図を書く習慣」のすすめ
生物を学ぶ際、図を書くことは理解と記憶の両面で大きな効果を発揮します。
細胞の構造や代謝経路など、複雑な内容を図にすることで、全体像が整理され、言葉だけでは難しいプロセスもスムーズに理解できます。
また、図を書くことで視覚的な記憶が定着し、テストの際にも内容を思い出しやすくなります。
さらに、自分で図を描く作業は、理解できていない部分や知識の抜けを確認する良い機会にもなります。
応用力を鍛えるためにも、普段から教科書や資料集を参考に、シンプルで分かりやすい図を作る習慣をつけましょう。
学年順位が上位の生徒が実践している「勉強の仕方」や「心構え」
生物に関すること以外に、意識すべきことを紹介します。
ミスを防ぐための工夫
成績が中程度で留まっているお子さんは、ミスによる失点が上位者に比べて多いです。
生物のテストでミスを防ぐには、問題文の読み間違いを防ぐことと、見直しを徹底することが大切です。
問題文を丁寧に読み、設問の意図を正しく理解することで誤答を減らせます。
また、解答は早めに終わらせ、残った時間を見直しに充てる習慣をつけましょう。見直しでは、設問に対する答えが正確か、書き間違いや抜け漏れがないかを確認することがポイントです。
定期テストで100点を取るつもりで勉強している
演習時に分からない問題があった場合、そのままにしていては100点は取れません。先生に質問するなどして、分からないことを放置しないようになります。
また、それほど多くありませんが、生物にも計算問題があります。
計算ミスがあると100点は取れません。計算ミスに気をつけて練習するようになります。
しかし、実際のテストではどうしてもミスがあったり、初見の問題が解けなかったりします。それはそれで復習すれば良いので、100点取れなくても落ち込む必要はありません。
ただ、100点を取るつもりで勉強する姿勢が重要なのです。
「質」とともに「量」を増やすために、早期から学習計画を立てている
「質」を上げようとすると、問題を解く量が増え、1題にかける時間も増えるはずです。
それでも、成績上位層のお子さんは確実にこなしています。彼らは本当によく勉強しています。
ただし、勉強時間を作るために、睡眠時間を削るのは集中力の低下につながるので良くありません。そもそも、そのような勉強方法では長続きしません。
生物の問題演習などはスキマ時間などに勉強しにくいので、テストまでの日数を逆算して、計画的に早めに勉強に取り掛かる必要があります。
また、集中できる環境を見つけるのも、勉強時間アップに役立ちます。学校の図書館や自習室、塾の自習室、個別指導塾で勉強する人も少なくありません。
保護者ができることは多くない!「なぜ、この勉強が必要なのか?」理解できるようにサポートを
基本的には勉強の主体はお子さんであるため、保護者の方ができることはそう多くありません。
一番重要なのは、成績を上位に上げることに対して、お子さんと共通認識を持つ必要があります。
特に、中高一貫校の場合、学校の授業と定期テスト対策が直接受験対策につながります。
成績上位を目指すことは、難関大学対策にもつながるメリットがあります。
そのためには、今までやっている学校のカリキュラムに沿った勉強が最重要です。
そこに、補助的な参考書を使うことで勉強の「質」を上げることができます。ただ、急に参考書を買い与えても、お子さんは戸惑うだけなので、共通認識が必要です。
ただし、必ずしも結果が出ない場合もあります。
その原因は、生物現象を理解できていないかもしれませんし、解法の理解が浅かったり、学習計画が本人のキャパを超えているかもしれません。
お子さん本人や保護者の方が原因を分析するのが難しく、プロの客観的な目線が必要です。結果が出ず悩むくらいであれば、早めにプロに相談するのが好ましいです。
思うように結果が出ない場合は、プロのサポートも選択肢。中高一貫校専門の個別指導塾「WAYS」
「中高一貫校専門 個別指導塾WAYS」は、成績向上を目指す保護者にとって頼もしい存在です。
定期テストで上位を狙うには、中高一貫校のカリキュラムに沿った学習が最重要です。WAYSは、学校の授業を妨げず効率的に学力を伸ばすため、中高一貫校のカリキュラムに合わせた指導を行っています。
また、生物の成績向上の核は、「自分で説明できるレベル」まで理解することです。WAYSでは生徒に説明させるスタイルを採用して、「理解できているか」を確認しているのも特徴です。
このように「わかる」から「できる」へと導く指導により、問題解決力を育成し、自力で学べる力を養います。これにより、授業理解と学習スキルの両方を確実に向上させることが可能です。
WAYSの指導を受けた中高一貫校生の92.9%が成績向上を達成しており、多くの保護者からも高い評価を得ています。
WAYSの詳細や料金体系、大学合格実績については、今すぐこのページからWebパンフレットをご請求ください。
投稿者プロフィール
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中高一貫校で15年間指導してきました。10年間は高校3年生の大学受験指導を、次の5年間は主に中学で指導してきましたので、大学受験を見据えた中学からの学力形成に知見があります。私自身も中高一貫校を卒業しました。
せっかく努力されて入学した学校なので、充実した時間を過ごせるよう情報発信という形でサポートしていきます。
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