専門家に聞いた!ネットトラブルを事前に防ぐ お悩み相談会

「子どもがスマホ依存にならないためには?」

「SNSで仲良くなった人と会いたいと言われた場合は?」

「子どもの高額課金を防ぐためには?」

 

こんなお悩みを抱えている中高生の保護者の方は多くいるのではないでしょうか。

小学生でも一人一台、スマホを持っている現代社会において、中高生のネットトラブルやお悩みは他人事ではないはずです。

 

今回はそんな保護者の方が抱えるお悩みを専門家の小木曽健さんにお答えしていただきました。

スマホ依存になる前に!ルール作りが効果的

Q.中学1年生の子どもが家にいる間、ずっとスマホを触っていて、SNSや動画投稿サイトなどを見ています。

スマホ依存にならないように、親としてできることはありますか。

(中学1年生/男子 保護者)

 

A.問題は「ずっとスマホを触っている」ことではなく、その結果どんな弊害が起きているのか、いないのかです。

例えば飲酒に置き換えた場合、毎日たくさん飲む人でも、心身ともに健康、日常生活や人間関係にまったく問題が起きていない人は、アルコール依存症ではありません。

逆に少量の飲酒でも問題を起こしてしまう、そしてそれを止められないのなら「依存症」です。

スマホの場合も、ずっと触っているという「行動」ではなく、その結果起きる「弊害」に着目します。

睡眠不足、視力悪化、成績低迷……そういった弊害が起きているのなら、それらを直接解決できるようなルールを作って守らせて下さい。

スマホを禁止したからと言って起きている問題が解決するとは限りません。

SNSの詳細設定を怠ってはいけない理由とは

Q.動画投稿サイトを見ていると、女子高校生が学校の制服を着て踊っている動画が上がっていることがあります。

ネットに個人が特定できるような動画を上げることの危険性を伝えたいのですが、どのように教えればよいのでしょうか。

(高校1年生/女子 保護者)

 

A.学校の制服で踊る動画自体はさほどリスクではありません。

それがリスクなら、学校の制服を着て外を歩く、通学することの方がもっと危険でしょう。

「制服」「顔出し」「名前」が犯罪を増加させるというデータは存在せず、それらが原因で犯罪が起きた事案も確認されていません。

ただ、そういった動画を安易に大量に投稿しているアカウントは、10代に近づきたい変質者から「脇が甘い子なんだな」と判断され注視されるので、相対的にリスクが高まるのは事実です。

フォロー外のアカウント、年齢の離れた相手からのDMが届かない設定、フォローされない設定を促して下さい。

それらが未設定であることの方がリスクです。

SNS上の知り合いに会いたいと聞かされたら?

Q.高校生の子どもが今度、SNSで仲良くなった人とリアルで会おうとしています。

本人は怖くない人だからと言ってきますが、親としては危険な目に遭ってほしくないので、止めたいです。どのように説得すればよいのでしょうか。

(高校2年生/女子 保護者)

 

A.ネットは誰でも簡単に「男が女」に「大人が子ども」に「犯罪者が善人」になれる道具です。

今や音声の通話ですら、年齢や性別を変えて会話することが可能です。

つまりネットを介している以上、相手が「怖くない」人かどうか見極めるのは、大人でも不可能なのです。

会ってみて怖そうだったらすぐ逃げるよ、と反論する子もいますが、手慣れた人間にとって、子どもに袋を被せワゴン車に押し込む時間は1〜2秒でしょう。

何が起きたか分からぬうちに車は走り出します。

それでも会うというのであれば、初回は親が同行する等、必ず条件を付けて下さい。

子どもが初対面の相手に会うというのはそれだけリスクのある行為です。

保護者が知らない間の課金を未然に防ぐには?

Q.子どもがスマホのゲームアプリにハマって、ゲーム内課金をしたいと言ってきます。

私の知らないところでいつの間にか多額請求が来ていたなんてことにならないためには、子どもとどんなルールを決めればよいのでしょうか。
(中学1年生/男子 保護者)

 

A.必要なのはルールではなく設定です。

課金は ①キャリア課金 ②コンビニでプリペイドカード購入 ③アカウントにクレカ情報を登録 のいずれかでしか発生しません。

①は携帯会社で停止の手続きをすればOK。また②がお小遣いの範囲を超えることはありません。

問題は③で、お子さんに頼まれ課金のためにカードを登録。その後カード情報を削除せずに放置していたら、勝手に課金されてしまったというケース。

これはお子さんにクレカを手渡すようなものなので、問題が起きないはずがありません。必要な支払いが済んだらすぐにカード情報を削除して下さい。

ちなみにappleやgoogle等が無料で公開している管理アプリを使えば、課金を遠隔で把握したり、許可制にすることも可能です。

「暴言」や「誹謗中傷」は普段の生活から

Q.子どものメッセージアプリの使い方が不安です。

ネットいじめに繋がるような、友達に対しての汚い言葉や悪口など書いていないか確認したいです。

定期的にメッセージアプリを覗いて管理した方がよいのでしょうか。
(中学3年生/男子 保護者)

 

A.「暴言」や「誹謗中傷」はメッセージアプリのせいで書かれている訳ではありません。

問題となるような書き込みをしてしまう子なら、日常生活も同じはずです。

アプリだけ監視しても無意味なのです。

重要なのは、違法でも犯罪でもない「暴言」や「誹謗中傷」により、いとも簡単に人が死ぬこと、またネットだろうが現実だろうがコミュニケーションがいかに難しく、どれくらい伝わらないものか、親が自分の経験をしっかり伝えてあげることです。

同時に自分が傷付いた時にはしっかり自分を癒すこと、周囲に助けを求めることも重要だと伝えて下さい。

ネットリテラシーを養うには家庭での教育が求められる?

Q.SNSやネットを子どもから切り離すのではなく、正しく使って欲しいと考えています。

現在の学校教育の中ではネットリテラシーや情報社会に関してどのような授業が行われているのでしょうか。
(高校2年生/男子 保護者)

 

A.外部講師による講習や情報科の授業は実施されていますが、全体的には実践レベルに至っていないのが実情です。

ですが、そもそもネット関連の問題はそのほとんどが放課後や私生活の領域で起きており、ネットリテラシー教育の主役はあくまで家庭、学校はサポート役ということも知って頂きたいです。

これはお子さんがネットで違法な攻撃にさらされ、権利を侵害されるような状況に陥った時に、最後にお子さんを守れるのは親御さんだけ、という意味でもあります。

宿題をAIにやらせてない?AIとの向き合い方

Q.最近話題の生成AIは子どもが自分で考えることを阻害することにはならないのでしょうか。

国語の宿題で出された教材の感想を考えるときに使うこともできてしまいます。学習において生成AIの正しい使い方などはありますか。
(中学2年生/男子 保護者)

 

A.すでに教員間でもAIの不適切利用は話題になっています。

幸いにも現時点では、出来が良すぎるという理由でバレている状況ですが、今後AIが「生徒っぽい文章」を書けるようになるのは時間の問題です。

将来的には、AIが代行できそうな宿題は出されなくなる、と考えています。電子端末の出現で、私たち大人も漢字が書けなくなりました。

ネットの出現で「記憶力」の価値も低下しています。

同じように「AIが代行できる程度の思考」はAIに任せる時代がやってくるはず。

そうなった時に、ただAIから吐き出されたものを消費するだけの人間になるか、あるいはそこから新たな発想を得られる人間になるか、AI時代に求められるのは後者のような能力でしょう。

フィルタリングの有無ではなくて、フィルタリングの強弱?

Q.現在、子どものスマホにフィルタリングをかけています。

そろそろフィルタリングを外そうかなと考えているのですが、外す前に子どもに注意しておくことなどはありますか?
(高校3年生/男子 保護者)

 

A.フィルタリングはその強弱をチューニングできるので、使用する・解除するの二択以外に、制限を弱めるという選択肢もあります。

気になるアプリだけ制限の残すといった使い方が可能ですので、心配な場合は検討してみて下さい。

すでにそれらを経たうえで完全解除を検討している、ということであれば、高3でフィルタリングを設定してくれている時点で、親子の意思疎通がしっかり成立している関係だと思いますので、あとはお子さんをネットの海に一人で送り出す覚悟を持って、見送ってあげて下さい。

まとめ|ネットトラブルを回避するためには事前対策が重要!

ネットトラブルが起きる前に保護者と子どもの間でルールを設定することが大切です。

既にルールを設けている家庭でも、スマホやゲームの利用時間やSNSの設定を定期的に見直してもいいかもしれません。

またネットリテラシーの教育は学校よりも、家庭での適切な指導が子どもを守る最も重要な手段になってきます。

インターネットを上手く扱えるようにするためにも、これらの取り組みを通じて、子どもに安全なネット利用を促しましょう。

今回、お悩みに回答して下さった専門家の小木曽健さん

講演や書籍、メディア出演などを通じて、ネットで絶対に失敗しない方法から、炎上の「火消し」、フェイクニュースの見破り方まで幅広く発信中。著書は「11歳からの正しく怖がるインターネット」「炎上しても大丈夫! 今日から使える企業のSNS危機管理マニュアル」(晶文社)、「ネットで勝つ情報リテラシー」(筑摩書房)ほか多数。全国の学校・企業・官公庁向けに40万人、2000回以上の講演実績あり

投稿者プロフィール

アバター画像
中高一貫校専門 個別指導塾WAYS 編集部
中高一貫校生の定期テスト対策から大学受験・内部進学までをトータルサポートする個別指導塾。
中高一貫校用教材に対応することで各中高一貫校の定期テストの点数に直結した指導を行います。
低料金で長時間指導が受けられるため、家で勉強できない中高一貫校生でも塾の指導時間内で成績を上げることが可能です。
英語、数学をメインに指導を行っています。

関連記事

中高一貫校生のための
スペシャルな情報をお届け!

中高一貫校生の知りたいを毎週お届けします!

中高一貫校生の「定期テスト対策」や「内部進学対策」、「大学受験対策」まで幅広く網羅した”スペシャル”な情報を毎週お届けします!
他にも、ブログではお伝えしきれないコアな内容もご紹介いたします!

LINE友だち追加する
中高一貫校生必見!最短で成績下位層から抜け出す方法

450校以上の中高一貫校生を指導してきたWAYSのノウハウをご紹介!定期テストの対策はもちろん、内部進学から大学受験まで、他では手に入らないここだけのお得な情報を詰め込んだ資料をお届けいたします。

資料をダウンロードする
まずは無料の学習相談へお気軽にご参加ください

無料学習相談では、中高一貫教育のプロがそれぞれの生徒さんの要望に寄り添って学習プランをご提案いたします。
他塾では思うように成績が伸びなかった生徒も、WAYSでは最適な解決策を見つけられる可能性がございます!

学習相談に参加する

サービス紹介

キーワード検索

気になる情報をすぐに検索できます
例)
「成績アップ (学校名)」
「英語 勉強法」など