総合型選抜のプレゼンテーション対策|構成、時間配分、原稿・スライド制作のポイント
総合型選抜による大学入試で、プレゼンテーションが課される場合の対策のポイントを紹介します。
ひとくちにプレゼンテーションと言っても、求められる内容や、形式は様々です。
入試要項をよく読み込み、本番で焦ることのないようにしっかり準備しましょう。
このページの目次
プレゼンテーションとは|主張がきちんと伝わるかどうかが最重要
プレゼンテーションとは、聞き手に何かしらの手段で情報を伝え、主張を理解してもらったり、行動を促したりするための手段です。
多くの場合、口頭でのスピーチが中心になります。スライドや、紙の資料を活用できることもあります。
まず理解しておきたいのは、プレゼンテーションにおいては、きちんと喋れたかどうか? は評価ポイントではない、という事実です。
一言一句間違えずに喋れたとしても、相手に伝わらなければ、まったく意味がありません。たとえば、つまらないスピーチを延々とされても、聞き手は眠くなるだけです。
逆に、うまく喋れなかったとしても、きちんと主張が伝わっていたのであれば、大勝利です。
もちろん、堂々とスピーチができれば、アピールになるのは事実です。しかし、受験生の多くがプレゼンテーションに慣れていないことを、試験官もわかっています。
うまく喋れないことを気にしすぎないようにしましょう。
プレゼンテーションでは「伝わること」のみが正義である、と理解しておくことが大切です。
「うまく喋れるか」ではなく「何を伝えるか」で大半が決まる
では、総合型選抜でのプレゼンテーションで、何を伝えればいいのでしょうか。
総合型選抜とは、その大学・学部に合った人物かどうかが問われる選抜方式です。
ヒントは、各大学・学部が公開しているアドミッションポリシー(求める人物像)にあります。
総合型選抜では、「私はアドミッションポリシーに合致した人物です」とどれだけアピールできるかで、合否が決まります。
たとえば、プレゼンテーションの発表テーマが「高校時代に力を入れて取り組んだこと」だとします。
高校3年間、部活動に取り組んできた受験生であれば、部活動についてスピーチしようと思うでしょう。熱心に練習を重ねて、全国大会に出場できた、と話すかもしれません。
しかし、アドミッションポリシーに「多様な価値観を尊重し、協働する力」とあったとしたら、全国大会出場という実績だけでは、総合型選抜では何のアピールにもなりません。
総合型選抜でアピールしたいのであれば、「様々な考え方の部員がいて、衝突もおきたが、長所を活かし合えるように根気強くミーティングを重ね、結果として全国大会にできた」というようなストーリーこそ、有効です。
つまり、総合型選抜におけるプレゼンテーションでは、うまく喋れるか以前に、「なにを喋るか」「どのように喋るか」のほうが圧倒的に重要なのです。
プレゼンテーションそのものの練習ももちろん大切ではありますが、まずアドミッションポリシーをよく分析し、研究することがスタートです。
プレゼンテーションの構成
制限時間に合った分量の見極め方
総合型選抜でのプレゼンテーションでは、「3分以内」「10分程度で」など、制限時間が設けられるケースが大半です。
どれくらいの分量がいいのか、と頭を悩ませると思いますが、これは実際にスピーチをしてみる以外に、だいたいこれくらいだろうという勘をつかむことはできません。
スマートフォンのストップウォッチ等を活用して、喋ってみて「案外、時間がかかるな」とか「もう少しエピソードを追加したほうが良さそうだ」と把握しましょう。
基本的には、時間が足りないと感じるケースのほうが多いはずです。
時間内に収めようと早口になり過ぎてしまうようであれば、プレゼンテーションにおける最重要事項「きちんと主張が伝わるかどうか」という観点から、悪影響となります。
本当に伝えたいことは何か? を精査して、主張すべき内容を絞り込んで、伝えることに専念できる分量にしましょう。
プレゼンテーションの始め方
所属する高校名と氏名を名乗ったら、その次に、どのような内容からスピーチを始めればいいでしょうか。
意外かもしれませんが、「何の話をするのか」から始めます。
発表する当人は、プレゼンテーションの内容について、長い時間の試行錯誤を経ていますので、当たり前になりすぎてしまうのですが、聞き手はそうではありません。
1日に何十人もの受験生のプレゼンテーションを聞くわけですから、これから何の話が始まるかをわかりやすく提示してもらえると、すんなりと聞く体制に入れます。
「高校3年間、熱心に活動してきたサッカー部のエピソードを紹介します」
などと、端的に提示しましょう。
続いて、聞き手の興味を引き付けることを、最優先とします。
くれぐれも、順を追って頭から話そうとしないでください。
試験官も人間ですから、たくさんの受験生の話を、すべて均等に聞けるわけではありません。
「お、この受験生の話はおもしろそうだ」と思ってもらえれば、話に集中してもらうことができます。
たとえば、
「実は、様々な部員がいる中で、意見の衝突があり、一時は険悪なムードにもなりましたが、最終的には団結できて、全国大会に出場できました」
などと話を始めれば、どのような経緯があったんだろうと興味を持ってもらうことができます。
原稿・スライド作成
スピーチ内容の原稿は、伝える内容の精査には有効ですので、慣れないうちは原稿を作成したほうがいいでしょう。
ただし、できればプレゼンテーション本番では、原稿は「何を喋るかのカンペ」の扱いとし、自分の言葉でスピーチすることを目指してください。
なぜなら、「書いてあることをただ読んだだけ」の印象を与え、目線も手元に落ちたままになってしまいますし、プレゼンテーションとしては下の下となってしまうからです。
スライドや資料の併用が許されている場合は、最大限に活用します。
ここで留意しておきたいのは、なぜ書類審査ではなくプレゼンテーションで審査しているのか、という点です。
スライドや資料ですべてを説明しようとしないでください。
スライドですべて説明すれば良いのであれば、書類審査で十分なのです。
書類審査ではなくプレゼンテーションを課しているということは、スライドはあくまでもスピーチを補助する役割が意図されています。
なにより、文字や数字ぎっしりのスライドが出来上がってしまい、非常に見にくいため、聞き手の頭には一切入っていきません。
プレゼンテーションにおける最重要事項「きちんと主張が伝わるかどうか」という観点から、0点のスライド・資料となってしまいます。
プレゼンテーションにおけるスライドの役割は、大きく次の2つです。
- 最も重要な主張を強調する
- データや事実など重要事項を、視覚的にわかりやすく伝える
どのようなスライドが優れているのかは、経験則によるところも大きいです。
感覚をつかむために、TEDや、有名人のスピーチ、プレゼンテーションなどを、YouTubeで探して研究してみるのがおすすめです。
また、プレゼンテーションの練習をスマートフォンで動画撮影して、見返すのも有効です。
客観的に自分がどう見えているか、スライドや資料を有効活用できているか、確認して対策を進めましょう。
プレゼンテーションは練習がモノを言う
数回の練習で、見違えるように上達する
プレゼンテーションでは、たとえうまく喋れなかったとしても、きちんと主張が伝われば、成功です。
とは言っても、うまくスピーチできなかったらどうしようと、不安になり、そこばかりに頭がいってしまう受験生は少なくないはずです。
だからこそ、練習が重要です。
うまく喋れないのは、喋る訓練をしていないから。数回の練習だけでも、見違えるように上達します。
ただし、完璧は目指さないようにしましょう。
単純な得意・不得意、資質の違いもあり、大人であってもスムーズに喋れない人もいますから、どんなに練習をしても、一定以上はうまくならないのが普通です。
大学側も、努力の跡がしっかり見えれば、完璧なスピーチまでは求めていません。
研究発表やプレゼンテーションのコンテストへ参加して経験を積めるとベスト
プレゼンテーションの上達を目指すなら、経験に勝るものはありません。
幸いにも、総合型選抜では、中学・高校時代の学校外での活動実績や、コンテンスト等の受賞実績も、アピールになる場合があります。
アドミッションポリシーを分析して、有効活用できそうであれば、研究発表やプレゼンテーションのコンテスト等にチャレンジして、経験を積めれば一石二鳥です。
たとえば受賞できなかったとしても、経験は大きな自信になり、総合型選抜の本番で余裕をもってプレゼンテーションできる可能性が高くなります。
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