総合型選抜(大学入試)でのレポートの書き方|アドミッションポリシーの理解が最重要
大学入試の総合型選抜において、レポート・志望理由書・活動報告書等が、選考内容に含まれる場合があります。
レポートの作成のポイントと、具体的な書き方を徹底解説します。
このページの目次
レポート作成で最重要なのはテーマ・切り口選び|アドミッションポリシーを理解する
レポートを上手に書くことよりも、大学に合っている人間だとアピールできるかどうかが重要
一般入試では、テストの点数が重要視されます。一方で総合型選抜では、テストの点のかわりに、大学に合っている人物かどうかで選抜されます。
そもそも評価されるポイントがまったく違うのだ、という事実を理解しましょう。
レポート作成というと、うまく書けるかどうかを気にしてしまいがちです。
しかし現実には、「私はこの大学に合っている人間です」と大学側にアピールする観点から、適切なテーマ・切り口を選べるかどうかが、何よりも重要です。
どんなに上手にレポートを書けたとしても、テーマ・切り口が合っていなければ、まったく評価されません。
手がかりとなるのは、アドミッションポリシーと、入試選抜要項です。
総合型選抜では、どのような人物像が求められているのかが、あらかじめオープンに提示されています。
「志望大学名 アドミッションポリシー」などのワードでインターネット検索をしてみましょう。
中央大学の総合型選抜の事例
一例として、GMARCHの一角を担う中央大学を取り上げ、法学部の総合型選抜の事例を見てみましょう。
中央大学法学部のアドミッションポリシーで強調されているのは、その大半が、社会で現実に起きている課題の問題解決能力についてです。
養成する人材像
法学部は、中央大学の建学の精神である「實地應用ノ素ヲ養フ」という教育理念に基づき、「実学重視」の観点から、国内外の多様な社会において生起する諸問題を、具体的に解決する能力を身につけた人材を養成します。
すなわち、法学・政治学の体系的理解に基づいて問題状況を分析し、実際の解決に結びつけることのできる人材です。
卒業するにあたって備えるべき知識・能力・態度(法律学科)
「基礎的な法的知見」
法学を中心とした社会に対する体系的理解に基づき、現実に起こる具体的な紛争・問題における利益対立の状況を分析することができる。
「問題解決能力」
具体的な紛争・問題に対してバランスのとれた法解釈を提示する能力を基盤として、その知見を新しい立法の提案、契約書など合意文書の作成、組織内の規則の作成などに結びつけることができる。
「批判的・創造的態度」
既存の学問的成果を習得しつつも、真摯な批判的態度をもって学び、新たな創造に向かうことができる。
出典 : 中央大学法学部 アドミッションポリシー
※赤字は編集部による
続いて、中央大学法学部の2025年度「チャレンジ入学試験(総合型選抜)」の入学試験要項を見てみましょう。
出願書類として、志望理由書の提出が、全員に義務付けられています。
レポートの内容として指定されているのは、次の通りです。
①あなたがこれまでに実践してきた活動について説明してください。(1,000 字程度)
②あなたが関心のある事柄や社会問題について記述してください。(1,000 字程度)
③大学で何を学び、どんな学生生活を送りたいか、具体的に説明してください。(1,000 字程度)
中央大学が重視しているのは、社会で現実に起きている課題の問題解決能力でした。②の課題はこれを端的に表しています。
①は、「これまでに実践してきた活動について説明」という課題ですが、対策を何もしなければ、単に「部活動で全国大会に出場しました」などと記載してしまうケースもあるでしょう。
しかし部活動での実績は、実社会での問題解決能力とはまったく関係がなく、大学側へのアピールにはなりません。
そこで、次のような三段論法戦略でレポートを構成する手があります。
中央大学法学部の総合型選抜|レポートのテーマ・切り口設定の一例
①中学・高校とボランティア活動を重ねてきたが、社会的弱者の立場の弱さを実感している。
②ボランティア活動の経験から、社会的弱者が法律の知識が乏しいために状況を改善できない現状があり、社会問題だと感じている。
③中央大学法学部の「実学重視」の環境で研鑽を重ね、目の前で困っている人の課題を、現実に解決できる法律家になりたいと考えている。
部活動で全国大会に出場したという事実も、もちろん大きな実績ではありますが、中央大学法学部の総合型選抜においては、どちらが評価されるかというのは、明白です。
このあたりが、総合型選抜において、レポートを上手に書くことよりも、適切なテーマ・切り口選びが最重要であるとする理由です。
レポートの具体的な書き方
適切なテーマ・切り口を決める
解説してきたとおり、総合型選抜のレポート作成では「どう書くか?」よりも「なにを書くか?」が最重要です。
どのようなテーマ、切り口、内容でレポートを構成するか、アイデアを整理していきましょう。
まずは、大学卒業後のキャリアイメージを具体化するところがスタートです。
キャリアを実現するために、志望大学の環境が最適であることを確認します。もし最適とは言えないのであれば、そもそも志望大学選びから再考すべきかもしれません。
次に、志望大学のアドミッションポリシーを確認し、何が評価されるかを確認し、自分のこれまでの活動を結びつけます。
「私は将来にこのような仕事をしたいので、志望大学の環境が最適である。またそのために中高でもこのような活動を実際にしてきた」
以上のような流れがイメージできた段階で、実際にレポートを書き始めましょう。
主張を要約して伝える
なにを書くか、レポートの内容を定めることができたら、次に重要になるのは、自分自身の主張の要約です。
指定の文字数に収まるように、しかし選考者に端的に主張を理解してもらえるように、うまく文章を構成する必要があります。
少ない文字数の課題であるほうが、楽そうに思えますが、実際には逆です。
文字というのは、情報伝達の手段ですから、長い文章を書けることにあまり意味はなく、いかに少ない文字数で適切に伝えられるかが、能力が問われるポイントです。
少ない文字数で適切に伝えるのには、高度な抽象化能力、および文章力が必要になります。
論説文の基本は、序論・本論・結論の三段構成です。
序論……何の話なのかの説明、前提となる情報の提示、問題提起
本論……筆者の主張や、その対論
結論……主張の結論
なお、事例として紹介した中央大学法学部のレポート課題は、1,000文字程度という設定でした。
これくらい少ない文字数で説明しなければならない場合は、序論を書く余裕はありませんので、本論から入る必要があります。
いきなり本題に入り、必要な背景情報を提示しながら、結論にたどり着くイメージです。
具体的な文章の構成の仕方、要約のコツやトレーニング方法は、次の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
選考者の存在を意識して文章を書く
レポート課題は、正しい解答の提示が求められるペーパーテストとは、根本的に異なります。
なにより、誰かが読んで、内容を理解した上で判断をし、選考の材料とする点に、意識を向ける必要があります。
まずレギュレーションは絶対に守りましょう。1,000文字程度という課題なのに、3,000文字のレポートを出せば、要項が読めないのか、それとも規定文字数にまとめる能力がないのか、など、受験者の資質を疑われます。
選考する側は、ただでさえ大量の受験者のレポートを読まねばならず、倍率が1倍以上であれば取捨選択をしなければならない立場です。
少しでも落とす材料はないか?という視点で、レポートを見ていると思うべきです。
手書きの場合は、丁寧に文字が書かれているか。パソコン等で作成する場合は、読みにくフォーマットになっていないか。
選考者に不必要なストレスを与えないことも、意識をする価値があります。
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