圧力の定義や単位、公式・求め方(計算方法)基礎事項と教え方を徹底解説|中学理科
中学理科で習う圧力をどのように理解しておくのがよいのか、中学生に教える際のポイントを、基礎からやさしく解説します。
ポイント
①力を受ける面積が小さいほど圧力は大きくなる
②圧力(N/m2・Pa)=力の大きさ(N)÷面積(m2)
なお、次の単元については、以下の記事をご覧ください。
浮力の定義、公式・求め方(計算方法)
このページの目次
圧力の求め方
圧力をイメージで捉えよう
平たいものと尖ったものを手のひらに当てると、尖ったものの方が痛いのはなぜなのでしょうか。
それは、尖ったものは平たいものに比べ、一点に力が集中するためからです。平たいものは接地面積が大きくなるので力(重さ)が分散するのです。
圧力は、力を受ける面積が大きくなると小さくなり、力を受ける面積が小さくなると大きくなります。
圧力の定義
圧力とは、一定面積にはたらく力の大きさのことです。
一定面積とは通常、1m2(100cm×100cm=10000cm2)のことを指します。
圧力(N/m2・Pa)=力の大きさ(N)÷面積(m2)
Nはニュートンと読み、1Nは、質量が100gの物体にかかる重力の大きさを表します。
また、Paはパスカルと読みます。hPa(ヘクトパスカル)という単位もあり、1hPa=100Paです。
練習問題
〈問題〉
①700gの物体にかかる重力の大きさは何Nか。
②4m2に120Nの力がかかっているときの圧力を求めよ。
③2m2に600gの力がかかっているときの圧力を求めよ。
④底面積30cm2で質量180gの物体が机に置かれている。机にかかる圧力を求めよ。
〈解答〉
①7N
質量が100gの物体にかかる重力の大きさを1Nと表すので、700÷100=7
②30Pa
120÷4=30
③3Pa
600gは6Nなので、6÷2=3
④600Pa=6hPa
180gは1.8N。30cm2は30/10000m2。
1.8÷30/10000=600
力の求め方
圧力の求め方から考える
圧力を求める式:圧力(N/m2・Pa)=力の大きさ(N)÷面積(m2)を変形すると、
力の大きさ(N)=圧力(N/m2・Pa)×面積(m2)
となります。
練習問題
〈問題〉
①面積3m2に圧力20Paが均一にかかっている。面積3m2にかかる力の大きさを求めよ。
②面積400cm2に圧力50Paが均一にかかっている。面積400cm2にかかる力の大きさを求めよ。
〈解答〉
①60N
3×20=60
②2N
400cm2は400/10000m2。
50×400/10000=2
お子さんに教える際のポイント
公式を教える前にイメージを伝える
「接地面積が小さい尖ったものが触れると痛い」というイメージから、力がかかる面積が小さいほど圧力が強くなることを理解してもらいましょう。
身近なものであれば、ペンなどが使えます。ペン先とそれ以外の平らな部分とで実際に試してみてください。
計算は小数ではなく分数を使うとミスが減る
cm2が出てくる問題など、小数が出てくる場合が出てきますが、小数で計算すると0の数をミスしてしまうことが少なくありません。
分数の約分を用いた方がミスは減りますので、分数で計算する癖をつけておくことをオススメします。
概要が理解できれば問題演習を重ねよう
教えてもらっている状態で問題が解けたとしても、独力でできなければ意味がありません。
分かった気になっているだけ、ということもあります。
きちんと言葉の意味を理解したうえで計算式を立てているか、反復して確認しましょう。なんとなく出てきた数字を乗算したり除算したりしているだけ、というケースは意外にも少なくありません。
問題演習では、簡単な問題から標準レベルの問題まで、段階を踏んで解いていくようにしましょう。
解けた問題には○、解けなかった問題には△や×をつけ、2周目以降では△や×の問題を中心にやり直すようにしてください。
オススメの問題集は『中1理科をひとつひとつわかりやすく。改訂版』(Gakken)や『ハイクラステスト 理科』(受験研究社)です。前者が基礎~標準、後者が標準以上レベルです。
お子さんの理解が進まないパターン3選とその対処法
教えてもなかなか理解してもらえない
まずは、イメージから入りましょう。平たいものと尖ったものとの差を理解するところからです。
次に公式の説明を丁寧にして、あとは問題演習をしながら理解を促してあげてください。徐々にヒントを減らし、お子さんが自力で解けるようにするとよいでしょう。
教えるとその場ではできるのに、お子さん一人で問題を解くと間違いが多発
このパターンは、さらに以下の2パターンに大別できます。
1、理解したうえで暗記することができていない
少し違う角度から問われると対応できなくなります。
公式をきちんと運用するためには、その公式が何を表しているかを理解することが大事です。
2、教えられた時は分かった気になっている
どこでつまずいているのかを分析し、理解できていないポイントを再説明して暗記するよう促してあげてください。
そのポイントが理解・暗記できているかを測れる問題をチョイスして演習するとよいでしょう。
教えようとすると、ちょっとした間違いを指摘しただけで機嫌が悪くなり、うまくいかない
思春期で親子関係が難しく、接し方にデリケートな配慮が必要な場合があります。
1つ指摘するときは1つ以上ほめることを意識しましょう。ほめる内容は、学習を着実に進められている点などにするのがオススメです。
そして大事なことは、「根気強く、粘り強く」です。保護者の方が不機嫌になったり、イライラしたりしないように心がけてください。
子どもに教えるというのは、なかなかにストレスが溜まる作業です。保護者の方の息抜きも必要でしょう。根を詰めてやりすぎると、保護者の方もお子さんもしんどくなってしまいます。
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投稿者プロフィール
- 中高一貫校に勤めて10年になる中堅教師。卒業生を3度送り出し、中学生・高校生問わず指導経験が豊富です。自身も中高一貫校出身なので、中高一貫校のことを知り尽くしています。勉強に苦しむ生徒に向き合い、試行錯誤をする日々。そんな教師生活から得られた知見をお伝えし、全国の子供たちの力になれたらと思います。
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