原子と分子の違い・性質・構造の特徴は?基本と教え方を徹底解説|中学理科
中学理科で習う原子・分子は、化学式や化学反応式を学ぶ土台になる概念です。
どのように理解しておくのがよいのか、中学生に教える際のポイントを、基礎からやさしく解説します。
ポイント
①原子は物質を構成する最小単位
②分子は物質の性質をもっている状態での最小単位
③元素は原子の種類を表したもの
④単体は1種類の元素からなる物質
⑤化合物は複数の元素からなる物質
なお、次の単元については、以下の記事をご覧ください。
○化学式・化学反応式
このページの目次
原子の性質と構造
原子の3つの性質
原子とは、物質を構成する最小単位の粒子のことです。分子も単体も化合物も、すべて原子からできています。
たとえば、水素(H2)の原子はHです。
原子の性質として以下の3つを押さえておきましょう。
・化学変化によってそれ以上分けられない
・化学変化によってなくなったり、新しく生まれたり、別の原子に変化したりしない
・種類ごとに大きさと重さがある
原子の構造
原子は、原子核と、その周りを回る電子とで構成されています。原子核には、陽子と中性子が存在します。
・陽子……+の電気を帯びた粒
・中性子……+やーの電気を帯びていない粒
・電子……ーの電気を帯びた粒
陽子と電子の数は等しいため、原子は電気的に中性です。
元素とは
同じ種類の原子のことをまとめて元素と呼びます。
たとえば、水素原子Hのうち、中性子の数が異なるものが存在します。質量が変わってくるため、原子としては区別されますが、種類(元素)としてはどれも同じという扱いになるのです。
分子の性質
分子は、性質を表す最小単位の粒子のことです。
たとえば、水素分子H2は水素原子Hが2つ結びついてはじめて、水素としての性質を持ちます。
どれだけの原子がどのように結びついて分子になるのかは、元素ごとに異なります。
単体と化合物の違い
一種類の元素で構成されているものを単体、複数種類の元素で構成されているものを化合物と呼びます。
たとえば、酸素O2は元素Oのみで構成されているので単体です。また、銅Cuや鉄Feといった金属は、無数の原子によって構成されており、分子に区切ることができないので単体に属します。
一方で、水H2Oは元素HとOで構成されているので、化合物です。
元素周期表
質量の小さい順に原子を並べ、整理した表が元素周期表です。
詳しくは高校化学基礎で学習しますが、ある規則性に基づいて並べられています。
下表は、覚えておくべき元素のみをピックアップしたものです。
簡単ではありませんが、原子番号1~20までに加え、鉄(Fe)・銅(Cu)・亜鉛(Zn)・銀(Ag)を暗記しましょう。
お子さんに教える際のポイント
定義を整理して伝える
原子や分子など、目に見えないものを扱う単元ですので、ポイントを整理してあげてください。
①原子・分子の違い
②原子の構造(陽子・中性子・電子)
③単体と化合物の違い
④元素と原子の違い
元素周期表の覚え方
元素周期表の暗記は、正攻法でやると骨が折れます。
原子番号1~20番までに関しては、次のように覚えるとよいでしょう。
水兵リーベ(水素の「水」、ヘリウムの「兵」、リチウムの「リ」、ベリリウムの「ベ」)
僕の船(「B」の「ぼ」、「C」の「く」、「N」+「O」の「の」、Fの「ふ」、Neの「ね」)
七曲がり(「Na」の「な」、「Mg」+「Al」の「まがり」)
Ships(「Si」の「Shi」、「P」の「p」、「S」の「s」)
クラークか(「Cl」+「Ar」+「K」の「クラーク」、「Ca」の「か」)
概要が理解できれば問題演習を重ねよう
教えてもらっている状態で問題が解けたとしても、独力でできなければ意味がありません。
分かった気になっているだけ、ということもあります。きちんと定義を理解したうえで暗記しているか、反復して確認しましょう。
なお、元素周期表の暗記チェックについては、化学反応式の基本問題などを使うことも可能です。
オススメの問題集は『中1理科をひとつひとつわかりやすく。改訂版』(Gakken)や『ハイクラステスト 理科』(受験研究社)です。前者が基礎~標準、後者が標準以上レベルです。
お子さんの理解が進まないパターン3選とその対処法
教えてもなかなか理解してもらえない
原子・分子、陽子・中性子・電子、単体・化合物の違い、原子・元素の違い。
目に見えず、イメージしにくいものを理解しなければなりません。
定義の意味を何度も伝え、確認してあげてください。
元素周期表も暗記です。
教えるとその場ではできるのに、お子さん一人で問題を解くと間違いが多発
このパターンは、さらに以下の2パターンに大別できる。
1、理解したうえで暗記することができていない
少し違う角度から問われると対応できなくなります。言葉の定義を繰り返し確認しましょう。
2、教えられた時は分かった気になっている
どこでつまずいているのかを分析し、理解できていないポイントを再説明して暗記するよう促してあげてください。そのポイントが理解・暗記できているかを測れる問題をチョイスして演習するとよいでしょう。
教えようとすると、ちょっとした間違いを指摘しただけで機嫌が悪くなり、うまくいかない
思春期で親子関係が難しく、接し方にデリケートな配慮が必要な場合があります。
1つ指摘するときは1つ以上ほめることを意識しましょう。ほめる内容は、学習を着実に進められている点などにするのがオススメです。
そして大事なことは、「根気強く、粘り強く」です。保護者の方が不機嫌になったり、イライラしたりしないように心がけてください。
子どもに教えるというのは、なかなかにストレスが溜まる作業です。保護者の方の息抜きも必要でしょう。根を詰めてやりすぎると、保護者の方もお子さんもしんどくなってしまいます。
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投稿者プロフィール
- 中高一貫校に勤めて10年になる中堅教師。卒業生を3度送り出し、中学生・高校生問わず指導経験が豊富です。自身も中高一貫校出身なので、中高一貫校のことを知り尽くしています。勉強に苦しむ生徒に向き合い、試行錯誤をする日々。そんな教師生活から得られた知見をお伝えし、全国の子供たちの力になれたらと思います。
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