中高一貫校でも高校受験はできる?外部受験する際に絶対に知っておくべきことと対策を紹介
「私立中学に入学したものの、今のレベルより上の公立高校や私立高校に入り直したい!」
私立中学の教員として、こういった相談を保護者や生徒から受けることがあります。
中高一貫校から高校受験することは可能ですが、実際に高校受験に踏み切る例は多くないです。
そこで本記事では、中高一貫校で15年の指導実績のある現役教員が、外部受験を行う際に絶対知っておくべきことと、対策を紹介します。
また、中高一貫校から高校受験を検討する理由は様々です。
お子さんの状況にあわせて、以下の記事も覧ください。
【校風が合わないから環境を変えたい場合】
【勉強についていけず、転校や高校受験を検討している場合】
このページの目次
中高一貫校から高校受験は可能!ただし安易な考えで判断するのは危険
中高一貫校から高校受験を行うことは可能です。
しかし、この選択肢を選ぶ際は、慎重に判断する必要があります。
なぜなら、中高一貫校では外部受験するカリキュラムを組んでいないからです。
通常のカリキュラムとは別の準備・対策が必要になるのです。
安易に高校受験を決断すると、準備不足に陥ってしまい、結果的にお子さんに不必要なストレスや負担をかけてしまう可能性があります。
中高一貫校から高校受験を行う際に絶対知っておくべきこと
中高一貫校から高校受験を行う際に、絶対に知っておくべきことは主に以下の2つです。
- 中高一貫校から高校受験することのリスク
- 今の学校の成績だけでは受験の判断はできないこと
それぞれ詳しく解説します。
内部進学する権利を失う
外部受験をした時点で、内部進学の権利を失うケースがほとんどです。
こっそり受験すれば大丈夫では?と思う方もいるかもしれません。
しかし、受験には内申書が必要になるため、不可能です。
高校受験を行い、不合格だった場合、不本意な高校に入学せざるを得ません。
そんな可能性もあることを理解していなければなりません。
高校受験のための環境は公立中学よりも悪い
中学受験のときを思い出してください。
- 学校には私立中学を目指す友達がいる。
- 塾に行けば勉強のためのピリッとした環境がある。
そんな環境の中だからこそ、最後までモチベーションを保つことができたのだと思います。
一方で、中高一貫校では
- 学校に同じ目標を持つ友達がいるかも分からない。
- 友達は部活、勉強、行事と学校生活を楽しみ、土日には遊びに行く。
- 内部進学があるため、中3になっても学校内の雰囲気はのんびりしている。
公立中学であれば、高校受験する仲間もおり、中3にもなれ徐々に雰囲気が引き締まっていきます。
中高一貫校には、仲間も高校受験の雰囲気もありません。
この環境の中でモチベーションを維持し続けるのは、非常に難しいです。
中学受験のときとは異なり、1人ぼっちの戦いになることを理解していなければなりません。
中高一貫校の場合、内申点が不利になることがある
公立高校の受験では、学科試験の点数だけではなく、内申点も重視されます。
しかし、中高一貫校で高い内申点を取ることは容易ではありません。
その理由は以下の通りです。
- 中高一貫校では公立中学の1.2倍速で授業が進むため
- 授業内容やテスト内容がハイレベルになるため
私立中学に通ったことで内申点が不利になるというリスクを理解していなければなりません。
中高一貫校で高い内申点を取るためには
- 勉強習慣が身についていること
- 中高一貫校ならではの勉強方法が身についていること
が鍵になります。
学校のサポートは得られない
公立中学では以下のように学校のサポートが当たり前にあります。
- 模試受験の連絡
- 出願のサポート
- 志望校や成績に関する相談・面談
一方で、中高一貫校には上記のようなサポートは全くありません。
正直なところ、中高一貫校の先生は高校受験のための必要書類や手続きはほとんど知らないと考えた方がいいでしょう。
そのため、以下が必要になります。
- 自分で情報をとってくること
- 学校に早めに相談すること
- 必要な書類などの情報を自ら先生に伝えること
中高一貫校にとってはイレギュラーな手続きのため、書類などの確認や準備に時間がかかることは覚悟しておきましょう。
今の成績が悪くても諦めることはない
どうしても成績のことは気になりますよね。
- 今の学校で平均点すら取れていない。
- 入学当初は良かったが、徐々に下がってきている。
など、今の成績が芳しくないと「やはり高校受験は無理かな?」と考えてしまうかもしれません。
しかし、今の成績だけで判断するのは時期尚早です。
単純に、ハイレベルな授業と定期テストに対応できていないだけかもしれません。
その場合、勉強法を見直すことで成績が上向く可能性も十分にあります。
中学受験を乗り越えてきたお子さんなので、地力はあるはず。
あるとき、見違えるように成績が伸びていく生徒もよく見かけます。
こういった生徒のほとんどが「勉強のやり方がわかった」「勉強時間の確保ができるようになった」という生徒です。
それでも、高校受験を目指すための戦略
中高一貫校からの高校受験は多くのリスクが伴います。
また、お子さんの負担も大きいため、はっきりいっておすすめしません。
しかし、それでも「今のレベルより上の公立高校や私立高校に入り直したい!」という想いが強いなら、絶対に以下のような「戦略」を立てて臨んでください。
- 高校受験のための環境を作る
- 中1〜中3前半:学校の勉強に集中する
- 中3の春休み:中学の総復習、夏休み:志望校対策をする
- 中3の2学期から:学校の勉強と高校受験の両立に全力を尽くす
- 模試を受験する
高校受験のための環境を作る
中学受験と中高一貫校からの高校受験の大きな違いは「環境」です。
- 中学受験のときにいた仲間がいない
- 中学受験のときにいたサポートや相談に乗ってくれる人がいない
このような環境では、最後までモチベーションを維持し続けるのは難しいでしょう。
大人でも、不利な環境で自分の意思を貫き通すのは難しいです。
ましてや多感な中学生です。
まずは環境を整えることが大事です。
しかし、学校と家庭が中心の生活では、環境を作るのは非常に難しいと感じます。
できれば学校と家庭以外で、塾などの環境をもう1つ準備するのが望ましいでしょう。
中1〜中3の1学期:学校のテスト勉強に集中する
当たり前ですが、高校受験で出題される内容は中学校の学習内容です。
中高一貫校では科目にもよりますが、中2の終わり〜中3の1学期には中学の学習内容が終わります。
そのため、この時期の定期テストの勉強は高校受験に直結するのでとても重要です。
また、中高一貫校の定期テストではハイレベルな問題も出題されます。
この「ハイレベル」とは「高校入試レベルの問題」であることも多いです。
実際、私が定期テストを作るときには、以下を意識しています。
- 問題集や授業で扱う基礎的な学習内容の定着を問う
- 高校入試レベルの問題で思考力を問う
中1〜中3の1学期までは、学校の勉強に集中しましょう。
中3の春休み:中学の総復習、夏休み:志望校対策をする
長期休み期間中の集中的な学習は不可欠です。
春休みには、中学の学習内容の総復習を行いましょう。
積み上げ型の勉強が必須となる、数学、英語、理科から手をつけ始めるのが良いです。
明らかな苦手科目があれば、苦手科目から取り組みます。
中3の夏休みには、志望校対策に取り組みましょう。
中高一貫校からの高校受験はデメリットも多いですが、早く中学の学習内容を終えられるのはメリットです。
夏休みから志望校の過去問を解き、復習する、といった志望校対策に注力しましょう。
中3の2学期から:学校の勉強と高校受験の両立に全力を尽くす
中3の2学期には、多くの科目で高校の学習内容に入っていることでしょう。
高校受験だけを考えれば、学校の勉強が意味ないものだと思えてしまいますが、
- 英語、数学、理科など、高校の学習内容が中学の深い理解につながること
- 高校進学後の学習が、少しでも楽になること
を考えれば非常に意味があります。
そこで、学校の勉強と受験勉強の両立に全力を注ぎましょう。
負担が大きいのも事実です。
場合によっては、部活や習い事などを少し控える必要があるかもしれません。
模試を受験する
自分の立ち位置を知るためや、弱点を知って勉強の指針を立てるためにも模試受験は必須です。
- 公立高校模試であれば5月頃から
- 私立高校の模試であれば9月頃から
実施される場合が多いです。
お住まいの地域の模試情報は掴んでおきましょう。
塾を選ぶなら、中高一貫校の勉強に適した個別指導塾を
中高一貫校から高校受験を目指す場合、適した塾を選ぶことが受験環境を作るための最適解の1つです。
残念ながら、中高一貫校から高校受験を目指す専門塾はほぼ存在しないでしょう。
しかし、内申点を取るためにも、学習内容の定着を図るためにも、定期テスト対策が大事です。
そこで、
- 中高一貫校ならではの勉強法に適した塾
- 個別指導で、個々人の事情に応じたオリジナルの対策を一緒に考えてくれる塾
が、ベストな選択肢になるでしょう。
また、個別指導のため、高校受験のための個々に応じた学習プランのサポートを行うこともできます。
少しでも不安に感じている方はぜひ一度相談してください。
「今のレベルより上の公立高校や私立高校に入り直したい!」という想いを実現させましょう。
投稿者プロフィール
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中高一貫校で15年間指導してきました。10年間は高校3年生の大学受験指導を、次の5年間は主に中学で指導してきましたので、大学受験を見据えた中学からの学力形成に知見があります。私自身も中高一貫校を卒業しました。
せっかく努力されて入学した学校なので、充実した時間を過ごせるよう情報発信という形でサポートしていきます。
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