志望校合格を勝ち取るための最後のステップが、過去問対策です。
過去問対策を効果的に行うことができれば、合格に確実に近づけるはずです。
塾のカリキュラムで基礎固めが終わる、小学6年生の2学期(夏休み明けの9月)を目安に、過去問対策を始めるのがセオリーです。
現役の中高一貫校教師で、自身の子供も中学受験をしたライターが、過去問対策のスケジュールと効果的な取り組み方を解説。この記事を参考に、志望校合格を勝ち取って下さい。
このページの目次
過去問演習を始めるタイミング:小学6年生の9月
過去問を解き始める時期は、小学6年生9月が一般的です。
見方を変えると、この時期までに、基礎固めを終了し、入試問題にチャレンジできる実力をつけておく必要があると言えます。
小学6年の9月に過去問対策を始める理由は次の2つです。
- 塾の中学受験カリキュラムの範囲学習が小6の夏休みで終了する
- 問題傾向を分析して対策する時間が確保できる
理由1:中学受験カリキュラムの範囲学習が小6夏休みに終了する
塾のカリキュラムでは、小学校6年生の夏休みで範囲学習が終わり、基礎固めが終了します。
2学期からは、発展問題や入試問題の演習が始まります。
なぜなら、基礎固めが終わったこのタイミングで、一度、志望校に合格できる実力が身についているか(あるいはどれくらいギャップがあるか)、確かめる必要があるからです。
【中学受験のおおよそのスケジュールを解説した記事はこちら】
理由2:対策する時間を十分に確保できる
小学6年生の9月に、志望校のレベルとの実力差を見極めて、出題傾向を把握しておくと、対策する時間を十分に確保できます。
残りの5ヶ月でしっかり合格できる力をつけましょう。
逆に、過去問対策が直前期になると、対策の時間が十分に確保できません。
過去問対策のスケジュールの全体像
過去問対策の大きな流れは以下の通りです。
※1月から入試が始まる場合は前倒しでスケジュールを消化してください。
小4〜小6夏休みまで:受験校選定
小学校6年生の夏休みまでに、過去問の演習の準備を進めます。具体的には次の2点です。
- 塾のカリキュラムに合わせて基礎固め
- 志望校の選定
9月からの過去問対策に備えて、塾のカリキュラムに合わせて基礎固めをします。
同時に、志望校(本命校・併願校・安全校を含む)の見通しを立ておきましょう。
【私立中学校の志望校の選び方を解説した記事はこちら】
小6の5月〜8月:過去問入手
この時期に、志望校の過去問を入手します。必要年数の目安は次の通りです。
- 本命校:5〜10年分
- 併願校:3〜5年分
- 安全校:1〜2年分
新年度版は、3月から9月頃に刊行されます。本命校は、4・5年生の時から購入しておくと、年度数が増えます。
古い年度のものは、インターネットのオークションサイトなどを確認すると良いでしょう。
学校見学会などで実際の入試問題が配布されているケースもあります。
特に解答用紙の実物があると直前期の予行演習で役立ちます。
小6の9月:本命校・併願校の1年分の過去問演習
時間を測って、受験本番のつもりで1年分解きます。目的は大きく次の2つです。
- 現時点での実力を測定する
- 出題傾向や難易度を把握する
そのうえで、今後の勉強の方針を立てます。
受験までの約半年で、実力が足りていない部分を埋めたり、苦手な単元・問題を克服したりすることになります。
あくまでも、今後の学習に繋げるのが目的です。結果が良くなくても、自信をなくさないでください。
但し、厳しい言い方になりますが、あまりにもレベル差を感じる場合は、志望校の方向転換も必要になってきます。
小6の9月〜12月:本命校・併願校の過去問演習
本命校と併願校の残りの年度の過去問演習をします。
当然ですが、解いて終わりではありません。
間違った問題の解き直しと苦手分野の復習を徹底しましょう。
「演習→解き直し→次の年度の演習」のサイクルで実力を積み上げていきます。
小6の12月:安全校の1〜2年分の過去問演習
受験校を固める時期になります。この時期に、安全校の過去問を1〜2年分演習しておきましょう。
次の2点を確認してください。
- 合格点を取れるか?
- 問題傾向が本命校の出題傾向と合っているか?
安全校と子供の学力の相性を見極めるのが目的です。「合格点に届かない」「出題傾向があまりにも違う」ケースは安全校を見直す必要があります。
安全校と言えども、その学校を本命にしている受験生がいるので甘くみてはいけません。
過去問を解かずに本番に臨むのはNGです。ある程度、レベルや形式を体験しておかないと、思いがけずに実力を発揮できないケースもあります。
直前期は本命校の対策に追われるので、年内に見通しを立てておくと安心です。
小6の1月(直前期):本命校・併願校の過去問の総復習
これまでの演習で間違った問題と、苦手分野の問題を、総復習します。
間違った問題は必ずファイルをしておいて下さい。
直前期(冬休み〜受験日まで)が一番伸びる時期でもあります。
これまでの過去問演習で浮き彫りになった、「間違った問題」「苦手分野」「志望校で狙われやすい分野」などを完璧に押さえましょう。
最後は本番のシミュレーションです。
- 全教科を実際の時間割に合わせて解く
- 本番で使う筆記用具や時計などを使う
など、本番を想定した予行演習をして、自信を持って本番の試験に臨みましょう。
保存版|過去問対策の効果的な勉強方法ガイド
【手順①】事前準備
過去問を用意して、問題と解答用紙を実寸大でコピーします。
原本は何度も使えるように書き込まないようにしましょう。
【手順②】問題を解答
問題を解答します。解く順番は2年前から順に古い方へ解くと良いでしょう。
1年前のものは直前に解くために残しておくのがおすすめです。
必ず時間を測ります。
時間内で解答するのですが、分からない問題でも最後まで考えて、途中で諦めないようにしましょう。
時間が余ればしっかり見直します。本番の時間の使い方を想定してください。
静かな環境を用意しましょう。家族も子供の気が散らないように協力してください。
【手順③】問題を採点
問題を採点します。親が採点して、部分点を含めてできるだけ厳密に採点しましょう。
「誤字脱字がないか?」「固有名詞の漢字は書けているか?」「計算のケアレスミスはないか?」などしっかりチェックします。
得点を出して下さい。
合格者平均点が目標点ですが、合格点に到達した・しないで一喜一憂しないようにしましょう。
あくまでも復習が大事です。
【手順④】復習
復習をします。ここが最も大事なので、親もしっかりサポートしましょう。
①間違った問題の解き直し
間違った問題は、その日のうちに解き直します。
さらに、数日空けて2回目を解きます。
子供が一人で解けるようになれば合格です。
スムーズに解けるようになるまで、3回目、4回目…と繰り返します。
②間違った問題の分析
間違った問題を親がしっかり分析して、間違った原因を突き止めましょう。
算数の計算間違い→早く正確に解けるように解き直します。類題で確認するのも良いでしょう。 算数の解答の方針が間違う→解き方を押さえる必要があります。類題を使って解き方を押さえましょう。 国語の論理が捉えられていない→解答の根拠となる記述を本文中から見つけて、論理の流れを押さえましょう。 社会の知識が足りていない→覚えないと解けません。覚え直しをしましょう。
などのように、誤答の原因を分析して、その対策をしてください。
また、何年分も解いてみると、出題傾向や頻出分野がわかるものです。その分野の対策をしましょう。
親のサポートに限界があれば、家庭教師・個別指導を活用するのも有効です。
最後に、解けないかった問題は全てファイルに保存しておいて、直前に解き直しましょう。
以降は手順②〜④の繰り返し
以降は、上記の流れの繰り返しです。
手順②〜手順④までできたら、次の年度に進みます。
試験直前までに目標の回数が解けるように親がスケジュールを管理して下さい。
実際に、9月〜12月の4ヶ月で、週末は、約4回×4ヶ月=16回しかありません。
模試、講習など塾の予定を入れるとそれなりに忙しくなるので、優先順位をつけて対策をしましょう。
実例紹介|タイプが違う二人の子どもの過去問対策の体験談
長男の過去問対策:スケジュールを順調にこなして本命校に合格
この記事で紹介した流れで、過去問対策を実施しました。
長男の場合は、模試の本命校の判定が比較的良かったので、落ち着いて対策ができました。
9月に初めて過去問を解いたのですが、算数が難しいこともあり、まだ解けない問題が数多くありました。
しかし、このタイミングでしっかり確認できたのは良かったと思います。
12月の段階では合格者平均点を取れるようになっていました。1月に総復習をしっかりして、無事に本命校から合格をいただくことができました。
本命校とは別に併願校としてチャレンジ校を1校受験しました。この学校は模試の判定も芳しくありませんでした。
12月の段階で、過去問では合格最低点までも届かない状態でした。
この時点で、本命校の総復習に舵を切ったので、チャレンジ校の最後の詰めは甘かったと自覚しています。
残念ながら、(むしろ順当なのですが)チャレンジ校は不合格でした。
併願校(本命校よりレベルが下の安全校)の過去問を解いていましたが、合格者平均点はしっかり取れるようになっていたので、直前期も慌てることはありませんでした。
【実例】長女の過去問対策:模試判定は不安定も過去問対策が功奏して本命校に合格
長女は学力が高くなく、偏差値40台前半の本命校の判定は常に不安定でした。
過去問は9月に一度解いたのですが、この時期には全く基礎が固まっておらず、合格者最低点を超えることはできませんでした。
塾にお願いして、本命校の過去問を10年分入手しました。
書店では購入できなかったので大変に助かりました(但し、塾が保管していた問題で、解説が不十分だったので、教えるのに苦労したという弊害もありました)。
ここからはひたすらに親子で過去問対策をしました。
間違った問題は解き直して、類題などを解きます。
理科や社会では頻出する分野があるので、その分野の基礎問題をたくさん解きました。
長女は算数と理科が苦手だったのですが、国語と社会で合格者平均点を上回れるようになってきました。
出題傾向に合わせて基礎問題に注力したのが功を奏したのだと思います。
直前期にしっかりと総復習をして、最後の最後まで不安でしたが、なんとか無事に合格をいただくことができました。
投稿者プロフィール


- 中高一貫校指導歴30年のベテラン教師です。勉強が得意な生徒から苦手な生徒までたくさんの生徒を指導してきました。念願叶っての中高一貫校だと思います。充実した6年間を過ごして欲しいものです。ベテランならではの視点で悩みに寄り添ったアドバイスを心がけます。ちなみに2人の子供も中高一貫校に通っています。保護者としての目線も大事にします。
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