指定校推薦の校内選考ガイド|評定や欠席日数の影響度は?現役教師が実態を徹底解説
指定校推薦は、進路選択の大きなターニングポイント。
しかし、「選考基準がはっきりしない…本当に評定や欠席日数だけで決まるの?他にも何か考慮されるの?」
こんな疑問を抱く保護者の方へ。
現役の中高一貫校の教師が、校内選考の基準や重要なポイントを解説し、評定や欠席日数がどの程度影響するのか、透明性を持って詳しくお伝えします。
このページの目次
指定校推薦の校内選考の実態|「評定平均」が最重要視される
指定校推薦の校内選考の基準は「総合的に判断する」といった文言で、ブラックボックスになっているケースが多いです。
学校により事情は異なりますが、実態としては「評定平均」を最重要視するケースが多くなっています。
公平な選考のため「評定平均」が最重要視されるケースが多い
指定校推薦の校内選考では、評定平均が最も重要視されるといっても過言ではありません。
なぜなら、評定平均という明確な数値を基準にすることで、公平な選考が可能になるからです。
先生の主観や感情が入る余地を減らし、納得感のある選考を行うためにも、評定平均が最も重視されるのです。
また、多くの大学が、評定平均の基準を設けていることがほとんどであるため、大学の要求とも一致します。
校内選考で最も重視される「評定平均」とは
評定平均とは、いわゆる1〜5の段階評価をもとに算出される数値です。
各科目の評定を合計し、その平均値を「評定平均」と呼びます。
例えば、5教科(国・数・英・理・社)の評定がそれぞれ「4・5・3・4・4」だった場合、評定平均は (4+5+3+4+4)÷5 = 4.0 となります。
校内選考では、高1から高3の1学期までの、評定平均が用いられるのが一般的です。
この際、主要5教科(国・数・英・理・社)だけでなく、体育や芸術などの科目も含まれるため、全体のバランスが重要になります。
「評定平均」を決める要素
各科目の評定を決めるには、複数の要素がありますが、基本的には、定期テストや実力テストの成績が、最も大きく影響します。
その他、提出物の提出状況や、授業態度も評価の対象になりますが、それらは定期テストの点数に比べると、影響度が小さい場合がほとんどです。
ただし、何点取ればどの評価になるのかは、学校・教科・担当の先生によって異なります。
たとえば、ある学校では80点以上で評定「5」がつくこともあれば、別の学校では90点以上でやっと評定「5」となる場合もあります。
そのため、評定を上げるためには、定期テストの点数を上げることが最も確実な方法といえます。
校内選考で「複数人の評定平均が同じ」だったときの対応は学校によって異なる
校内選考で、評定平均が同じだった場合、一例として、以下のような項目が選考に用いられます。
- 定期テストや実力テストの学年順位
- 学校内外のアクティビティ
- 遅刻・欠席
- 生活態度・授業態度
定期テストや実力テストの学年順位:数値化されるので、選考に用いられやすい
学年順位も評定平均と同様に、数値での判断ができるため、選考に用いられやすい要素の1つです。
特に、同じ評定平均の生徒が複数いる場合、学年順位が高い方が優先されることがあります。
そのため、日頃の定期テストや実力テストで、できるだけ高い順位をキープすることが大切です。
学校内外のアクティビティ:継続性と成果が重要。自ら積極的にアピールする必要がある場合も
学校内外でのアクティビティとは、部活動やボランティア活動などです。
部活動では、単に所属しているだけでなく、
- どのような役割を果たしたか
- どのような経験をして、どう乗り越えたか
- 大会やコンテストでどのような結果を残したか
等が評価の対象になります。
また、学校外の活動でも、プロジェクトや研究、個人的なボランティア活動など、主体的に取り組んだことが、選考に有利に働くことがあります。
具体的な成果を明示できない場合は、写真を撮ったり、活動内容や学んだことを言語化したり、関わった人に推薦状を書いてもらうと良いです。
ただし、部活動の成果も含めて、選考する先生が必ずしも把握しているわけではありません。自ら積極的にアピールし、活動内容やその経験からの学びを伝えることが重要です。
遅刻・欠席についての注意点:無遅刻・無欠席は高評価
無遅刻・無欠席の生徒は、高く評価される傾向があります。
逆に、遅刻や欠席が多いと、校内選考の対象から外れることもあります。
学校によって基準は異なりますが、例えば「3年間で10日以内の欠席」など、一定のラインが設定されている場合があります。
これらの基準が明確に公表されているかどうかは学校によります。
中には、遅刻3回を欠席1回に換算する、といったルールを適用する学校もあるため、日々の出席状況には注意が必要です。
ただし、忌引きや感染症(インフルエンザなど)の出席停止は、カウントされないことが一般的です。また、持病やケガによる通院など、特別な事情がある場合は、考慮されることもあります。
生活・授業態度についての誤解:先生に気に入られようとする必要はないが、大きなマイナスは避けるべき
「推薦をもらうには先生に気に入られる必要がある」といった噂を耳にすることがありますが、これは誤解です。
選考の基準は、あくまで評定平均をはじめとした客観的な基準です。
ただし、不正行為(カンニングや提出物の盗用など)や、非行(いじめ、問題行動など)といった「大きなマイナス」がある場合は、選考対象外になる可能性が高いです。学校生活の基本的なルールを守り、誠実な態度を保つことが重要です。
もちろん、先生の手伝いを積極的にすることなどは、人間的な評価を上げる要素にはなりますが、それが直接推薦に影響するわけではありません。最も重要なのは、学業成績をしっかり維持することです。
指定校推薦の注意点5選
指定校推薦の校内選考に漏れた場合、リカバリーが難しい
指定校推薦は、一度校内選考を通過すれば、ほぼ100%大学に合格できます。
(一部の医学部の指定校推薦の場合、学力試験で不合格になる場合もあります。)
そのため、校内選考に出願した時点で、一般入試へのモチベーションが下がる場合があります。選考期間中は勉強が手につきにくくなり、もし選考に漏れた場合、大きなショックを受けることもあります。
さらに、校内選考に漏れた場合、他の指定校推薦にエントリーできない場合があります。
学校によっては、指定校推薦や一般推薦も含めて、1回しかエントリーできないというルールがあるため、事前によく確認しておくことが重要です。
指定校推薦を選択して、後悔することもある
指定校推薦を選択した生徒の中には、受験勉強を続ける仲間を見て「取り残された」と感じるケースがあります。特に受験期に周囲が本気で勉強している姿を見て、後悔することがあるようです。
また、理系の指定校推薦で進学した場合、入学後に学力が足りず、授業についていけなくなるケースも見られます。
しかし、指定校推薦で入学したことが、大学生活や就職で不利益になるかどうかは、結局は本人のその後の努力次第です。
目的意識を持って指定校推薦で進学した場合、充実した大学生活を送り、うまく進路を切り開いているケースも多くあります。
昨年度あった指定校が、今年も必ずあるわけではない
稀なケースですが、昨年度に指定校推薦枠があった大学が、今年は枠を提供しない場合があります。
そのため、過去の指定校推薦枠の実績だけで安心せず、最新の情報をしっかり確認することが重要です。
みんなが行きたがるような指定校推薦枠は、学年上位でないと取れない
早慶・MARCHのような上位校の指定校推薦枠は、必ず成績トップ層の生徒が希望します。
彼らは高校1年生の頃から指定校推薦を意識し、計画的に勉強を進めています。そのため、高校3年生から急に成績を上げようとしても、付け焼き刃では間に合いません。
本気で上位校の指定校推薦を狙うのであれば、高校1年生の段階から、高い評定を維持することが必須です。
学校によっては、必ずしも評定平均だけで決まらない場合も
すべての学校が公平な選考を行っているとは限らず、一部の学校では意図的に推薦生徒を決めるケースがあります。
- 進学コースには、指定校推薦枠が設定されておらず、一般コースの生徒のみが指定校推薦を受けられる
- 候補者が複数名になったとき、成績下位の生徒に枠が回ることがある(成績上位の生徒は、一般試験で合格してもらい、合格生徒数を増やす目的)
- 指定校推薦の情報が生徒に公表されず、先生が特定の生徒に直接声をかけることがある
このように、学校側が進学実績を高めるために、指定校推薦の枠をコントロールする事例が、残念ながら存在しています。
指定校推薦に向けて、保護者の方ができること
指定校推薦は、お子さんの進学や将来に大きな影響を与える選択です。そのため、保護者の方が適切なサポートを行うことが重要です。
お子さんとしっかりと話し合いを行うこと
人気校の指定校推薦を狙うには、高校1年生から、継続して高成績を取り続ける必要があります。そのため、事前にどの大学の指定校推薦枠があるのかを把握し、お子さんと話し合うことが大切です。
また、指定校の一覧表を見て、突然「指定校推薦を受けたい」と言い出すお子さんや、「指定校でいいんじゃない?」と提案する保護者の方もいます。
その場合、多くは受験勉強のプレッシャーから解放されたい気持ちが背景にあるため、しっかり話し合い、本当に指定校推薦を受けるべきかどうか、慎重に判断する必要があります。
高校1年時から、部活動や学外のアクティビティに積極的に参加させること
校内選考で有利になるアクティビティやその成果は、高校3年生になって急に取り組んでも身につきません。高校生活を充実させるためにも、勉強だけでなく、さまざまなアクティビティに積極的に参加させることが大切です。
ただし、お子さんの意思が重要なので、無理に参加させることは避けましょう。
家庭学習の環境を整える:結局一番大事なのは、定期テストの成績
指定校推薦の校内選考では、最終的にものを言うのは評定平均です。そのため、とにかく定期テストの成績を上げることが最も重要です。
特に中高一貫校では、家庭学習ができないと成績上位どころか、平均点を取るのも難しくなります。
そのため、学習環境を整えてあげることが大切です。例えば、リビングで勉強する場合は、集中しやすい環境を作る工夫をしたり、家庭での学習が難しい場合は、個別指導塾に通わせるなどのサポートを考えることが必要です。
中高一貫校で評定平均を上げるなら、中高一貫校専門の個別指導塾「WAYS」がおすすめ
中高一貫校専門の個別指導塾「WAYS」は、成績向上を目指す保護者にとって頼もしい存在です。
指定校推薦で校内選考を突破するためには、とにかく評定平均を上げることが1番の近道です。そして、評定平均を上げるためには、定期テストで高得点を取ることが必要になります。
定期テストで上位を狙うには、中高一貫校のカリキュラムに沿った学習が重要。
ただし、思うような結果が得られない場合、プロのサポートが不可欠です。
WAYSは、学校の授業を妨げず効率的に学力を伸ばすため、中高一貫校のカリキュラムに合わせた指導を行っています。
WAYSの指導を受けた中高一貫校生の92.9%が成績向上を達成しており、多くの保護者からも高い評価を得ています。詳しいWAYSの指導方法は、以下からご覧ください。
投稿者プロフィール
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中高一貫校で15年間指導してきました。10年間は高校3年生の大学受験指導を、次の5年間は主に中学で指導してきましたので、大学受験を見据えた中学からの学力形成に知見があります。私自身も中高一貫校を卒業しました。
せっかく努力されて入学した学校なので、充実した時間を過ごせるよう情報発信という形でサポートしていきます。
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