中高一貫校生の大学受験の進路の決め方|学年別するべきこと&やってはいけないNG例

先生と女子高生

中高一貫校では、6年間で大学受験を目指した指導を行っています。

長く感じるかもしれませんが、実際はあっという間に過ぎてしまうものです。

気づいたら、大学受験はもうすぐそこ。「まだ志望校も固まっていないのに」と焦ってしまうことにもなりかねません。

6年間もあるからこそ、どのタイミングで何をするべきかを知っておきたいですよね。

中高一貫校教師歴30年のベテランライターが中高一貫校生の大学受験で志望校の決め方を3ステップで解説します。

大学受験の志望校を決めるための簡単3ステップを紹介

志望校の決め方を3ステップで紹介します。お子さんが志望校が決まらずに悩んでいるなら、アドバイスをしてあげましょう。

【ステップ①】自分を知る・社会を学ぶ

まずは自分のことについて深く考えることから始めましょう。特に自分の中にある、ポジティブな面に目を向けて欲しいです。

例えば、

「自分の得意なことは何だろう?」

「自分の好きなことは何だろう?」

「自分は将来はどんな人になりたいのだろう?」

など、自分自身の強みを知るところがスタート地点です。

続いて、社会について考えてみましょう。

学校で習ったこと、ニュースで見たこと、今だけでなく、10年後、20年後の社会がどうなっているか想像してみます。

【ステップ②】将来の目標が定まる

「自分の好きなことや得意なことを、これからの社会でどうやって活かすのか?」

その問いに対する答えが大学で学ぶべきことです。

学ぶべき分野が分かれば、志望学部や学科が見つかります。

医療に関心がある人は、医師だけが目標ではありません。医療ビッグデータから新たな治療法を発見するデータサイエンス、行政の観点から医療を支えることもできるかもしれませんね。

「どの分野なら自分の強みを活かすことができるか?」

多様な視点のヒントを与えるのも親の役割です。

【ステップ③】志望校を決める

学部が決まったら最後は志望校選びです。

「偏差値は?」「学費は?」「所在地は?」など、気になる項目をチェックすることになります。

まずは、国立私立で学費が違いますし、所在地によっては一人暮らしが前提になるかもしれません。

この辺りの条件は家庭の方針によるでしょうから、親子でしっかり方針を固めてください。

ここが固まればあとは具体的な志望校選びを進めていくことになります。

『旺文社パスナビ』のようなサイトから検索したり、知っている大学から調べてみます。

まずは1校でも興味の持てる大学を見つけましょう。

いきなりベストな大学が見つからなくても、そこから大学のいろいろな情報が入ってくるものです。それから絞り込めれば十分です。

ここだと思える大学が見つかれば、HPで確認して、オープンキャンパスなどに実際に足を運んでみてください。

【学年別】中高一貫校生の大学受験の進路選択でするべきこと

続いて、中高一貫校生が大学選びでするべきことを学年毎に紹介します。

すでに済んでしまった学年もあるかもしれません。後戻りはできませんが、今からでもできることから始めてみてください。

中学:経験重視と早めの準備

経験重視で関心の幅を広げる

自分の関心の幅を広げるのが中学時代では最も大切です。

「自分の事」「社会の事」「将来の事」などなど、深く考えることができれば理想です。

時間にゆとりのある中学時代だからこそ、経験を重視したいですよね。

自分の成績にとらわれずに大学を見れるのもこの時期だけです。高校生になると、自分の偏差値がわかります。

どうしてもバイアスがかかって、「自分には無理…」とはじめから諦めてしまいがちです。

それでも、可能性は無限大。実際に足を運んでみることで、大学に憧れてモチベーションが上がるケースは少なくありません。

高校からの進路決めに早めに備える

高校に進級する前に、お子さんの学校の進学実績は把握しておいてください。

志望校を目指すにはどれくらいの学内順位が必要かがわかります。その順位は意識させたいですよね。

また、指定校推薦の枠も確認しましょう。目指す大学の指定校推薦枠あれば、そちらを目指すのは現実的です。

いずれにしても、高校に進級してすぐに成績は伸びません。中学から早めの準備が大事になってきます。

高1:文理選択

文理選択は自分軸が鉄則。安易な妥協は選択肢を狭める結果に

多くの高校で高2から文系と理系に分かれます。高1の段階で文理選択をしなければいけません。

高校に進級したばかりですが、すでに進路選択の必要があります。何も考えずに過ごしていると、この段階で間違いかねません。

大半の高校では、取得単位の関係で高3から文理の変更はできません。

よくある失敗例が2つあります。

「数学が苦手だから文系」あるいは「英語が苦手だから理系」のように消去法で文理選択をするパターンです。

「嫌いだから」「苦手だから」と諦めてしまっては自分の可能性を狭めてしまいます。この先も嫌いなことや苦手なことから避けてばかりになってしまいます。

あるいは、「就職が良さそうだから理系」「親が勧めるから理系」「友達が文系だから文系」のように、なんとなく他人に流されて選択するのも後悔の原因になります。

受験はうまくいかないことの連続です。自分軸で決めないと、覚悟が固まらずに、困難を乗り越えることができません。

「大学で学びたい分野(=学部)」から文理選択をするのが正しいやり方です。

また、カリキュラム次第では、科目選択も必要です。文系なら社会は日本史か地理、理系なら理科は物理か生物のいずれかを選択をします。

2人に1人が推薦入試で大学進学する時代だからこそ、高1からの評定も大事

入試制度を調べてみましょう。

一般入試だけでなく、学校推薦型選抜(公募推薦・指定校推薦)や総合型選抜など、いろいろな入試制度があります。

特に学校の指定校推薦枠は把握しておきましょう。推薦では高1の評定から審査されるので、1年生と言えども学校の成績は大事です。

【中高一貫校生の推薦入試のリアルを解説しています】

高2:志望校確定

オープンキャンパスに足を運んで、自分の目で大学の雰囲気を確かめよう!

理想を言えば、高2時点で志望校を固めて受験勉強を本格化して欲しいです。

1学期を目安に志望校を固め、夏休みを利用して、オープンキャンパスに参加してください。

実際にキャンパスを行って、大学で学んでいる自分の姿を想像してみましょう。きっとモチベーションが上がるはずです。

オープンキャンパスは定員制になっており、有名大学はすぐに定員に達してしまうので要注意。オープンキャンパスに行けなければ、学園祭などに行ってみるのも良いですね。

受験科目の絞り込みは要注意。選択肢を狭めるリスクもあり

受験勉強を始めるにあたって、まずは過去問に目を通してみます。

解けない問題がほとんどかもしれませんが、この差を埋めていくのが受験勉強です。

この段階で難易度や傾向を掴んでおけば、対策の方向性が見えてきます。

志望校が固まれば、受験科目も決まってきます。安易な受験科目の絞り込みは併願校の選択肢が狭くなる可能性があるので要注意です。

【中高一貫校生の受験勉強の塾活用を解説しています】

高3:諦めない受験勉強と併願校の選定

最後の最後まで粘る。志望校を下げてモチベーションまで下がるのはNG

高3からは志望校合格に向けて勉強あるのみです。

受験勉強は上手くいかないことの連続です。順調に成績が上がる人の方が少ないかもしれません。

模試の判定が悪いと、どうしても弱気になってしまいます。「志望校を下げなくても大丈夫?」と不安になるものです。

そもそも現実的な志望校でないと苦しいのは事実です。

学校から5名程度しか受からない大学を、下から数えた方が早いような順位の生徒が目指していたら、言い方が悪いですが、現実的ではありません。

しかし、もしも現実的な志望校で、お子さんが勉強のモチベーションが保てているようなら、志望校を下げずに最後の最後まで粘って欲しいです。

志望校を下げてしまうと、モチベーションまで下がってしまいがちです。

結果的に想定よりも下のレベルの大学しか受からないケースは少なくありません。

併願校を決める

最終的には併願校を決めることになります。志望校と同じ(あるいはそれよりも少ない)受験科目の大学から選ぶのがセオリーです。

浪人は可能なのか?滑り止めはどこまで受けるのか?などを考慮しながら併願校を決めることになります。

高3からはタイトなスケジュールが待っているので、ある程度併願校まで含めた大学探しをしておくと慌てずに済みます。

【高3からの受験スケジュール】

推薦学内選考:9月

推薦入試:11月

私立大学出願:12月末〜1月上旬

共通テスト:1月中旬

国公立大学出願:1月末〜2月上旬

私立大学入試:2月〜2月下旬

国公立前期:2月下旬

国公立中期:3月上旬

国公立後期:3月中旬

これだけはダメ!志望校選びのNGパターンを解説

大学名にこだわりすぎて自分軸で決めない

お子さんだけでなく、親御さんも大学名にこだわりすぎる傾向があります。

「GMARCH以上の大学には…」「自分の偏差値がこのくらいだから…」のように偏差値やネームバリューにこだわりすぎるのは良くありません。

もちろん大学にこだわるのは大事ですが、本当に学びたいことが学べるかが大切です。

なぜかと言うと、大学入学がゴールではないからです。自分が学びたい分野でないと大学に入ってからも勉強のモチベーションの上がりません。

大学名で就職活動をして、そのまま終身雇用という価値観は変わりつつあります。

志望校について考え始めるのが遅すぎる

できるだけ早い段階から志望校については考えましょう。

親が勧めた大学を何となく志望していると、勉強のモチベーションは上がりません。

お子さんが本気で行きたい大学を見つけることが受験の最大の秘訣だと思います。

中高一貫校で30年教師をしていますが、「行ける大学に行く」よりも「行きたい大学を目指して勉強する」生徒の方が合格を勝ち取っています。

やはりお子さんの本気度が何よりも大事です。

約半数の生徒が推薦入試で大学に進学する時代です。評定は1年から基準に含まれます。1.2年の評定が悪くて推薦を諦めざるを得ない人は少なくありません。

いずれににしても、「受験勉強にフライングはない」と言いますが、早めの準備が本当に大事です。

【推薦入試の現状を解説しています】

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投稿者プロフィール

ひろ先生
ひろ先生
中高一貫校指導歴30年のベテラン教師です。勉強が得意な生徒から苦手な生徒までたくさんの生徒を指導してきました。念願叶っての中高一貫校だと思います。充実した6年間を過ごして欲しいものです。ベテランならではの視点で悩みに寄り添ったアドバイスを心がけます。ちなみに2人の子供も中高一貫校に通っています。保護者としての目線も大事にします。

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