私立中学でも留年はある?留年の仕組みと対策を中高一貫校の現役教員が解説
受験勉強を乗り越えて私立中学に入学したものの、
「定期テストの点数が想像以上に悪かった。このままでは留年してしまうのは?」
「長期で欠席を続けており、主席に数が足りず留年してしまうのでは?」
など、悩みを抱えている保護者の方もいるのではないでしょうか?
結論から申し上げると、たとえ私立中学でも留年することはほとんどありません。
しかし、現状が変わらなければ、高校進学時に他校受験を勧められたり、高校進学後に留年したりする可能性があります。
そこで、本記事では、中高一貫校で15年の指導実績のある現役教員が、
- 留年の仕組み
- 留年しないための学習対策
を紹介します。
お子さんんお成績に不安がある保護者の方の不安が少しでも和らいでくれれば嬉しいです。
このページの目次
私立中学でも留年がほとんど見られない理由
留年の正式名称は「原級留置」(げんきゅうとめおき、げんきゅうりゅうち)といいます(以降、留年と表現します)。
私立中学に限らず、日本の中学校では、学校の判断により生徒を留年させることが可能です(小中学校管理規則 第7条より)。
一方で、成績や出席日数に関わらず、子供が特定の年齢に達したら毎年4月に全員が進学させるといった「方針」もあります。(「年齢主義」:文部科学省)
この方針を採用している学校がほとんどなので、留年制度はあるものの、一般的には留年する生徒はほとんどいないのです。
例外的に、長期休みがあった場合や長期で海外に住んでいた場合、学校から留年が打診されるケースがあります。
しかし、本人の同意なしに強制的に留年になることはないのが実態です。
私立中学の場合は、学校独自のルールがあるため問い合わせが必要
前述の進級の方針は、あくまでも「方針」です。
そのため、私立中学の場合は学校独自に留年の規定を設けている学校があります。
しかし、規定を公表している学校は稀なので、心配な場合はお子さんが通われている学校に問い合わせてみるのが良いでしょう。
また、留年者の人数についても、公表されているデータはないので、正確な実態は掴めません。
ネットで検索すると、経験談などの情報が散見されます。
しかし、不正確な情報であるため、鵜呑みにするのは危険です。
ちなみに、私が勤務している学校には中学で留年に関する規定はなく、留年者はいません。
高校での留年者も数名程度です。
このようなことを考えると、私の見解ですが、留年の規定のある学校でも、数年に1名程度の非常に稀なケースだと思います。
しかし、私立中学で成績不振を放置すると危険
私立中学での留年が非常に稀なケースだとしても、成績不振を放置しておくと危険です。
具体的には以下のような危険性があります。
- 内部進学出来なくなる
- 高校入学後に留年の可能性がある
内部進学できなくなる
中学で成績不振が続く場合、中2終わり頃~中3頭に外部の高校を受験することを勧められることがあります。
中高一貫校に入学して高校に内部進学できると見込んでいたものの、目的を叶えられなくなるのです。
実際に外部受験をするケースは私の学校でも年間で数名おり、よくあるケースです。
高校で留年してしまう
高校では進級に必要な単位数や出席日数が規定されているため、規定を満たせなければ、自動的に留年となります。
中学と違い、学習内容がより高度になり、進むスピードもさらに速くなります。
また、中学に比べて定期テストの平均点が低くなる傾向があります。
あくまでも一例ですが、私が中学で実施する定期テストでは、平均点は70〜85点くらいです。
一方で、高校生の平均点は60〜70点くらいで、ときには50点を下回ることもあります。
そのため、中学で成績不振だったお子さんにとって、高校で成績不振を取り戻すのは中学よりも難しいです。
このような状況もあり、私が勤務する学校でも、高校で留年してしまう生徒は毎年一定数います。
その多くが中学時から成績不振だった生徒です。
中学でも高校でも、留年しないために絶対にやるべきこと
たとえ私立中学でも留年するケースが稀だとしても、成績不振を放置することは問題を先送りにしているにすぎません。
先を見据えて今すぐ対策に踏み切る必要があります。
そのためにできる対策は以下の3つです。
- 課題、提出物を出す(タスク管理・スケジュール管理)
- 遅れを取り戻そうとせず、次の定期テストに向けて勉強する
- 英語、数学の遅れを取り戻す
課題、提出物を出す(タスク管理・スケジュール管理)
学校によっては課題をやって提出すると、定期テストに加点されます。
この加点を全て獲得することによって、通知表で赤点を免れるケースも多いです。
成績不振になっている生徒には、課題が提出できずに成績不振から抜け出せないケースがあります。
課題の把握と提出は、タスク管理とスケジュール管理です。
タスク管理とスケジュール管理ができると、やることが明確になるため、前向きに勉強に取り組むことができるケースをよく見ます。
遅れを取り戻そうとせず、今の学習内容に集中する
数学や英語などは積み重ねの科目です。
そのため、一度遅れてしまうと、その後の学習内容が理解しにくいという特性があります。
こうなると、この遅れを取り戻したくなり、新たな参考書を購入し、1から学び直させようとする保護者の方もいます。
しかし、今まで学習について来れなかったお子さんが遅れを取り戻しつつ、現在進行中の学習についていくことのは現実的ではありません。
まずは欲張らずに、今の学習だけに集中しましょう。
得意な科目だけに集中して勉強するのもいいです。
また、積み重ねの少ない暗記科目から始めるのも構いません。
成績が伴わないお子さんは勉強に対する自信がないケースがあるので、まずは小テストレベルでもいいので、小さな成功体験を積むことが大事です。
今の学習内容に集中し、成果が出るようになれば、お子さんは勉強に対する自信がつきます。
お子さんの意志があれば、英語・数学の遅れを取り戻す
今の学習に集中できるようになったら、積み上げ型の科目である英語や数学の遅れを取り戻しましょう。
しかし、今の学習に集中するだけでも大変な労力になります。
テストの点数に直接結びつかない遅れを取り戻す学習は、成果が見えにくい分、モチベーションが必要です。
そのため、遅れを取り戻そうとするのはあくまでも「本人の意志があれば」とすべきです。
留年するリスクを減らしたいならプロに任せるべき
私立中学では授業スピードが速く、内容がハイレベルです。
先に述べた「遅れを取り戻そうとせず、今の学習内容に集中する」ためには、私立中学の特徴にあった学習を行う必要があります。
また、「お子さんの意志があれば、英語・数学の遅れを取り戻す」ことは、お子さんの学習内容に踏み込むことになります。
思春期で繊細なお子さんにとって、保護者の方からの指摘は感情的に受け入れ難いこともあるはずです。
また、何をやれば遅れを取り戻すことができるのか、判断に迷うケースもあるでしょう。
その場合、プロに任せるのが最適解になります。
学習習慣のための仕組み作りや、中高一貫校の学習に精通したプロのアドバイザーがいます。
「お子さんの成績不振をなんとかしたい!」という想いをお持ちの保護者の方は、お一人悩まず、ぜひ一度不安な気持ちをお聞かせください。
投稿者プロフィール
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中高一貫校で15年間指導してきました。10年間は高校3年生の大学受験指導を、次の5年間は主に中学で指導してきましたので、大学受験を見据えた中学からの学力形成に知見があります。私自身も中高一貫校を卒業しました。
せっかく努力されて入学した学校なので、充実した時間を過ごせるよう情報発信という形でサポートしていきます。
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