中高一貫校で部活に入るメリットデメリットを解説

サッカー部の練習風景
中高一貫校に入学した生徒の中には、部活に入るべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。

部活は最大で3年間続けるものです。さらに、一度入部するとすぐには辞めづらいため、慎重に判断する必要があります。

本記事では、部活に入るメリット・デメリットに加えて、勉強と両立する方法を解説します。

部活には絶対に入らないといけないのか?

文部科学省の学習指導要領によると、部活は「教育課程外の学校教育活動」に位置づけられており「生徒の自主的・自発的な参加が前提」です。

つまり、学校は生徒に部活を強制できません。

一方で、「全員部活」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

全員部活とは、全員が部活に入る制度のことです。

スポーツ庁の調査によると、約3割の中学が全員部活を採用しています。

<部活への所属方針>

中学校 高校
公立 私立 全体 公立 私立 全体
生徒の希望による 66.7% 78.1% 67.5% 73.0% 91.7% 77.8%
全員が所属し、活動にも原則参加 30.4% 15.6% 29.4% 15.0% 1.0% 11.4%
全員が所属し、活動への参加は生徒の意思による 1.9% 3.1% 2.0% 8.0% 6.3% 7.6%
その他 2.8% 6.2% 3.1% 4.0% 1.0% 3.2%

参照:スポーツ庁「平成29年度運動部活動等に関する実態調査報告書」

全体では約3割ですが、私立中学に限定すると、全員部活を採用しているのは18.7%です。

私立中学のうち78.1%が生徒の希望を尊重しているので、公立よりも部活に対する自由度は高いといえます。

なお、高校になると、全員部活を採用している学校の割合は少なくなり、私立高校では7.3%です。

部活のメリット5選

部活をやる代表的なメリットは以下の5つです。

  • やり抜く力(GRIT)が身につく
  • コミュニケーション能力が高まる
  • 信頼できる友人を作れる
  • 自己成長につながる
  • 社会に出たときに役立つ

詳しく解説します。

やり抜く力(GRIT)が身につく

部活を続けることで、やりぬく力(GRIT)が身につきます。

GRITとは、以下の頭文字をとった言葉で、ペンシルバニア大学教授のアンジェラ・リー・ダックワース氏が提唱しました。

  • GUTS:根性
  • Resilience:粘り強さ
  • Initiative:自発性
  • Tenacity:執念

困難な場面に直面しても、諦めずにやるべきことをやり抜く姿勢を表す概念です。

近年、ビジネスの現場で注目を集めており、社会で成功するためには、IQや学歴ではなく、GRITこそが重要だとされています。

部活では、うまくいかないことの方が多いでしょう。

「練習してもできるようにならない」「毎回あのチームには勝てない」と思っても、簡単に投げ出したりできません。

壁にぶつかったときに、試行錯誤してどうすれば乗り越えられるかを考えることで、自然とGRITが身につきます。

コミュニケーション能力が高まる

学年や性別、性格が異なる様々なメンバーと過ごすため、コミュニケーション能力が高まります。

中には気の合わないメンバーもいるかもしれません。

しかし部活では「大会で優勝する」といった1つの目標に向かって一致団結しなければなりません。

ときには他者を尊重し、ときには自分の意見を主張しなければならないときもあるでしょう。

「相手は今どんな気持ちなのだろう」「自分の考えを理解してもらうにはどのような言葉で伝えればいいか」を考えることで、円滑なコミュニケーションを図れるようになります。

信頼できる友人を作れる

学校を卒業しても関係性が途切れないような友人を作れます。

部活では3年間同じメンバーで過ごすからです。中高一貫校であれば、最大で6年間です。

同じ境遇に属し、喜びやつらさを分かち合えるので、関係性も深くなります。

自分が悩んだり、困ったりしているときに、相談できる相手がいれば、ストレスを抱え込むことなく中学校生活を送れるでしょう。

自己成長につながる

部活を続けることで、できなかったことができるようになります。

吹奏楽部であれば、演奏できなかった曲を弾けるようになる、陸上部であれば、100メートル走のタイムが速くなるなどが例です。

もちろん、必ずしも右肩上がりに成長できるわけではありません。

試行錯誤を繰り返しながら成長することで「やればできる」という自信をもてます。

自分に自信がもてれば、何事にも前向きに取り組めるようになるでしょう。

社会に出たときに役立つ

1つの目標に向かって、みんなで力を合わせて頑張った経験は実社会でも役立ちます。

他の従業員とコミュニケーションをとりながら試行錯誤を繰り返し、問題を解決していくプロセスは部活と同じです。

「部活は社会の縮図」といわれているように、学生でありながら実社会を疑似体験できるのです。

部活を経験することで、社会に出たときに「環境の変化に適応できない」といった事態を避けやすくなります。

部活のデメリット4選

部活に入るかどうか判断するには、メリットだけでなくデメリットも知っておく必要があります。

以下が代表的なデメリットです。

  • 自由な時間が少なくなる
  • ストレスがかかる
  • ケガするリスクがある
  • 金銭的な負担が増える

詳しく解説します。

自由な時間が少なくなる

部活の練習や試合に参加するため、自由な時間が少なくなるのがデメリットです。

特に、運動部は文化部よりも活動時間が長く、土日も部活に参加しなければならないケースもあります。

以下は、スポーツ庁の調査における部活の活動時間です。

<私立中学における部活の活動時間>

活動時間 運動部 文化部
平日1~2時間 39.8% 46.4%
平日2~3時間 37.4% 27.6%
平日3~4時間 9.7% 4.3%
土曜1~2時間 6.7% 5.0%
土曜2~3時間 21.6% 7.1%
土曜3~4時間 21.8% 8.2%
日曜1~2時間 2.1% 0.9%
日曜2~3時間 7.2% 1.1%
日曜3~4時間 10.3% 1.3%

参照:スポーツ庁「平成29年度運動部活動等に関する実態調査報告書」

部活によっては、自宅時間が19時を超える場合もあります。

部活をしていない生徒と比べると、勉強に充てられる時間も短くなります。

いかに部活と勉強を両立させるかが重要です。

ストレスがかかる

上下関係や特有のルール、顧問の先生との相性などでストレスがかかる場合があります。

特に、様々な地域から生徒が集まる中高一貫校では、顔見知りの友人がいないことも珍しくありません。

クラスでの人間関係を新たに構築していかなければならない上、部活という新しい環境に適応する必要もあります。

ストレスを溜め込み過ぎると学校に行くことさえ億劫になってしまうおそれがあります。

つらいときは無理せず休息して、趣味に没頭したり、友人と遊んだりして気分転換しましょう。

ケガするリスクがある

運動部の場合、練習や試合でケガをするリスクがあります。

学校も安全面には気を配っていますが、体を動かすスポーツをやっている以上、ケガのリスクをゼロにするのは不可能です。

ケガをしてしまうと、部活を続けられなくなるおそれがあり、勉強にも支障をきたします。

「運動前と運動後には、柔軟運動やストレッチを行う」「無理なことはしない」といったルールを設けて、安全面には常に注意を払いましょう。

金銭的な負担が増える

部活に必要な用具や備品などを用意するのに費用がかかります。

野球部であれば、ユニフォームやグローブ、スパイクなどが必要です。

吹奏楽部であれば、楽器を購入しなければならない場合もあるでしょう。

また、合宿や試合の遠征などで、交通費や宿泊費が発生するケースもあります。

入部する前に、3年間でどの程度の費用がかかるのかを把握しておく必要があります。

部活と勉強を両立するためのポイント

部活に熱中し過ぎて勉強がおろそかになってしまうお子さんも少なくありません。

ここでは、部活と勉強を両立するためのポイントを解説します。

  • 入部する前にリサーチする
  • 勉強計画を立てる
  • 効率的な勉強法を確立する

入部する前にリサーチする

入部前にリサーチしておけば、ミスマッチを防げます。

具体的には、以下の点は押さえておくのがよいでしょう。

  • 練習時間・頻度
  • 口コミ・評判
  • 雰囲気や人間関係
  • ルール

土日に練習はあるのか、テスト前は何日前から休みになるのか、坊主にしないといけないのかなど、気になる点を確認しましょう。

多くの学校では、正式に入部する前に体験や仮入部の機会を設けています。

興味があるという理由も大事ですが、長く続けられるかどうかも考慮して判断しましょう。

勉強計画を立てる

計画を立てて、勉強する時間を確保しましょう。

部活をしていない生徒と比べると、勉強に充てられる時間が短いだけでなく、体力的にも疲れて勉強がおろそかになってしまう可能性が高まります。

「時間があるときに勉強する」といった考えでは実効性が低いので、いつ何を勉強するかをあらかじめ決めておく必要があります。

「自宅では疲れて寝てしまう」「自分に甘えてしまって勉強が後回しになる」といった場合は、塾や家庭教師などがおすすめです。

強制的に勉強する時間を確保することで、学習習慣も身につきます。

効率的な勉強法を確立する

限られた時間を有効活用するには、効率的に勉強しなければなりません。

「寝る前に授業で習った範囲の教科書に目を通す」「通学中に電車の中で、英単語を暗記する」など、すき間時間を活用するのも手です。

何から手をつけていいかわからない場合や勉強の仕方がわからない場合は、部活の先輩にアドバイスをもらったり、塾で教えてもらったりするのもよいでしょう。

まとめ|部活のメリットとデメリットを解説しました

部活に入ることで、人間的に成長できる一方、平日は2~3時間程度を活動に費やさなければならないので、勉強がおろそかになってしまうおそれがあります。

入部する前にリサーチを行い、3年間続けられるのかを慎重に判断しましょう。

勉強と両立するのが難しいと感じたら、遅れをとらないうちに早めに対処する必要があります。

「中高一貫専門塾WAYS」では、中高一貫校生に特化して一人ひとりに合わせたカリキュラムで指導しています。

部活を行っているお子さんのスケジュールに合わせて勉強できるので、ぜひ検討してみてください。

投稿者プロフィール

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中高一貫校専門 個別指導塾WAYS 編集部
中高一貫校生の定期テスト対策から大学受験・内部進学までをトータルサポートする個別指導塾。
中高一貫校用教材に対応することで各中高一貫校の定期テストの点数に直結した指導を行います。
低料金で長時間指導が受けられるため、家で勉強できない中高一貫校生でも塾の指導時間内で成績を上げることが可能です。
英語、数学をメインに指導を行っています。

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