小学生の勉強時間は「学年×10分」と言われていますが、中学受験を目指す人は、この時間では不十分です。
学習塾での勉強に加えて、中学受験の準備を始める家庭が多い小学4年生で1〜2時間程度、小学6年生になると1〜5時間+αの自宅学習が必要と言われています。
ただし、勉強時間も大切ですが、中身が伴っていなければ意味がないため、1日に取り組む勉強量を決め、やるべき勉強が終われば切り上げるスタイルのほうが、効果は高いでしょう。
中高一貫校教師で、自身の2人の子供も中学受験をしたライターが、学年ごとの勉強時間と勉強が効果的になるためのポイントを解説します。
このページの目次
中学受験では小学校で習う以上の内容が出題されるため、多くの勉強時間が必要
中学受験では、小学生が、中学で習う内容の問題を解くことが求められています。
例えば、算数の試験では、中学生が解くような問題を、公式を使わずに、特殊算を使って解答しなければいけません。
当然、小学校で習うことだけでは、中学受験は対応できないので、塾で専用の対策をするのが現実的です。
塾のカリキュラムは小3の2月(新小4の春休み)から始まるので、小学4年生から本格的に勉強を始めることになります。
中学受験で目指す学校の大半は中高一貫校だと思います。 中高一貫校では、先取りカリキュラムを採用しており、中高6年分の学習を高2までの5年間で終わらせるのが標準的です。実際に、中2までに、中学3年分の学習を終わらせます。 この先取りカリキュラムが可能なのは、中学受験で中学内容まで踏み込んで勉強しているからなのです。 言い換えると、中高一貫校を目指すのであれば、小学生でも中学内容を勉強する必要があります。
中学受験の勉強を始める時期とおおよその流れはこちらの記事で解説しています。
小学校で習う内容に加えて、中学校で習う内容まで勉強するので、一般的な小学生の勉強時間では不十分になるのです。
小学4年生の勉強時間と、勉強のポイント
小4の勉強時間:1〜2時間|算数と国語をメインに
小学4年生で必要な勉強時間の目安は、次の通りです。
平日(塾のある日) | 1時間 |
平日(塾のない日) | 2時間 |
休日 | 1〜2時間程度 |
主な勉強内容は次の通りです。
- 塾の宿題
- 塾で習ったことの復習
- 間違えた問題の解き直し
塾に入っていない場合は、計算や読解をメインに取り組みましょう。小学校よりも先取りで勉強を進めてください。
小4の勉強のポイント:「毎日勉強するのが当たり前」の学習習慣を確立
①時間よりも分量で決める
勉強時間の目安は上記の通りですが、時間にこだわりすぎず、時間内でこなせる勉強量を想定して、分量を決めて勉強するのがおすすめです。
やるべき勉強が終われば、早めに切り上げましょう。その方が、集中できて効率が良くなるからです。
勉強時間だけを決めると、時間がくれば終わるので、ダラダラと勉強してしまうかもしれません。
②毎日勉強する
この時期は、学習習慣の確立が大事です。
勉強するのが当たり前になるように、毎日勉強しましょう。
「今日は塾も休みだから…」と勉強しない日を作るのはNGです。
③睡眠時間を削らない
塾で帰宅が遅くなって勉強時間が足りなくなったら、塾のない日や休日を使って調整してください。
夜遅くまで勉強して、睡眠時間を削るのはよくありません。小学生には、十分な睡眠が心身の健康に不可欠です。
「勉強を始める時間」と「就寝時間」を決めておくと、規則正しい生活ができます。
④勉強以外も大事
この時期は、勉強以外のことも大切です。
特に、外遊びやお手伝いを通して、多様な体験をしましょう。
勉強と言っても、生活と結びついた内容を学ぶのです。
また、好きなことをとことんする熱中体験も大切です。
好きなことをとことん極めていくプロセスは、勉強(将来の研究や仕事など)を極めていくプロセスに通じるものがあります。
小学5年生の勉強時間と、勉強のポイント
小5の勉強時間:1〜3時間|本格化する塾の勉強をフォロー
小学5年生で必要な勉強時間は次の通りです。
平日(塾のある日) | 1時間 |
平日(塾のない日) | 2時間 |
休日 | 2〜3時間 |
主な勉強内容は次の通りです。
- 塾の宿題
- 塾で習ったことの復習
- 間違った問題の解き直し
- 苦手分野の復習
- 塾のクラス分けテストや模試の対策
塾のカリキュラムは、小学校の内容が終了して、受験用の内容(特殊算や中学レベル問題)に入っていきます。
小学校で習わない内容の勉強が始まるので、勉強時間も増えてきます。
同時に、なるべく早めに入塾を検討するのをお勧めします。
小5の勉強のポイント:塾の学習を固める&繰り返しで完成度を高める
①塾の勉強をきちんと押さえていく勉強を心がける
塾に合わせて勉強をするのですが、塾の勉強内容のレベルが上がるので、それに伴ってしなければいけないことが増えるはずです。
するべきことをリストアップして、計画的に勉強をしましょう。
②難しいことや特別なことよりも基礎基本を重視する
塾で習うことを完璧にする意識で勉強をしてください。
塾でやっていない勉強やテキストをプラスするよりも、塾で習った内容の復習や、間違えてしまった問題の解き直しを徹底しましょう。
③難関中学を目指すなら上位クラスを目指す
難関中学を目指している人は、塾のクラス分けテストで上位のクラスを目指すことになります。
クラスが上がれば、勉強のレベルや分量が増えるので、自然と勉強時間も増えるはずです。
小学6年生の勉強時間と、勉強のポイント
小6の勉強時間:1〜5時間+α|発展問題や志望校対策
小学6年生で必要な勉強時間は次の通りです。
平日(塾のある日) | 1時間+α |
平日(塾のない日) | 3時間+α |
休日 | 5時間+α |
※+αは志望校などによって異なります。
主な勉強内容は次の通りです。
- 塾の宿題
- 塾で習ったことの復習
- 間違った問題の解き直し
- 苦手分野の復習
- 塾のクラス分けテストや模試の対策
- 志望校の過去問対策
9月以降は志望校対策が加わるので、勉強時間が増えます。
直前期は、ひたすら勉強することになるでしょう。
小6の勉強のポイント:塾で習うことの完成度を高めて、最後は志望校対策へ
①時間よりも分量を重視する
これまでと同様に、時間よりも分量を意識して勉強しましょう。
塾に合わせて勉強をするのですが、塾の勉強のレベルが上がるので、それに伴って勉強時間が増えるはずです。
また、志望校によっても勉強量は変わります。
時間で縛らずに、完成度を重視して、完璧を目指して勉強してください。
②9月以降は志望校対策をする
塾のカリキュラムでは、小6の夏休みで基礎固めが終わり、9月から発展問題や過去問演習が始まります。
9月以降は、塾の勉強にプラスして、志望校の過去問対策が加わるので、その分、勉強時間が増えます。
志望校の過去問対策に関しては次の記事で詳しく解説しています。
③大人の適切なサポートが不可欠
塾の講座も増えて、多くのことを勉強します。間違えてしまった問題や、苦手な分野を、一つひとつ潰していくのですが、時間がいくら合っても足りないくらいです。
子供だけで長時間集中して勉強するのが難しいケースもあります。
入試当日が迫ってくるので、時間を有効活用しなければいけません。
大人のサポートが不可欠ですが、親のサポートに限界があるケースは、個別指導や家庭教師を利用して勉強を効率化するのも良い考えです。
勉強時間を最大限に活かすには? 中学受験の自宅での勉強法ガイド
塾で取り組んだ内容の完成度を高めるイメージで行う
中学受験は小学校で習うことだけでは対応できません。専用の勉強が必要なので、塾のカリキュラムで勉強するのが現実的です。
その意味では、家庭学習は塾で習っていることを固めていくイメージで勉強します。間違った問題をそのままにしておいては実力がつきません。
塾のカリキュラムだと、
- 小4〜小6の夏休み:範囲学習・基礎固め時期
- 小6の2学期〜:発展問題・志望校対策
この流れを意識して勉強しましょう。
結局は、何時間勉強したかよりも、塾で習ったことをどれだけ仕上げられるかが大事です。時間よりも完成度を意識しましょう。
難関中学を目指すなら学習時間はさらに増える
難関中を目指す人は、クラス分けテストや模試で好成績をとって、上のクラスを目指すことになります。
結局は、塾で習っていることの完成度を高めることが大事です。
上位クラスに進むと、学習レベルや分量が増えるので、結果的に、学習時間が伸びます。
子どもがしっかり理解できているか、必ず親が伴走して確認する
集団授業を行う中学受験塾では、一人ひとりの細かなフォローには限界があります。
子どもがしっかり理解できているか、親がその都度確認しておかないと、理解できないまま進んでしまう恐れがあるわけです。
これでは、勉強時間を増やしても、結果が伴いません。
親が伴走して、答え合わせをしてあげたり、勉強内容を聞いたりしながら、子供の理解度をチェックしましょう。
《算数が苦手で親の伴走が不可欠だった|実例紹介》 長女は算数が苦手で、塾で宿題が出ても一人では対応できませんでした。 宿題をこなしても、自分では解けないので、答えを見て写すだけで、これではなかなか実力もつきません。 結局は、親がついて勉強してあげないと、学習時間が伸びないのと、効率が良くないのが悩みでした。 我が家は共働きで、常に長女の勉強を見てあげるだけの余裕がなかったのが正直な所です。 その意味では、勉強時間を伸ばすだけ、どれだけ勉強の精度を高めるかが大事だと痛感しました。 小6の9月以降は、親もなるべく都合をつけて一緒に勉強する時間を確保しました。 (それでも、平日は難しいので休日中心でした。平日は一人でもできる暗記物中心の勉強をしていました) なんとか志望校から合格をいただけて、親子でホッとしたのを覚えています。
勉強時間を増やし、質を高めるために必ずおさえておきたい2つのポイント
“憧れの志望校” があれば、勉強のやる気に繋がる
「ここに行きたい!」と思える憧れの志望校があれば、勉強のモチベーションになります。
親の意向や偏差値だけでなく、子供にあった校風の学校選びが大切になってきます。
勉強だけでなく、子供に合った志望校選びにも十分に時間をかけてください。
志望校の選び方はこちらの記事で詳しく解説しています。
自分で決めた勉強なら主体性を発揮!ある程度、子供に決めさせる
「あれしろこれしろ…」と親が全て指示してしまうと、子供がやらされている感を持ってしまうものです。
「子供が何がわかっていないのか?」「何を勉強すれば成績が伸びるか?」などを親子で話し合って、勉強内容をある程度、子供に決めさせましょう。
「今日はこの単元を勉強する!」など、自分で決めた事だと主体性を発揮して、勉強をやり遂げることができます。
自分の決めたことは、最後までやり遂げようとする心理が働くことは、心理学では、「一貫性の原理」と言われています。
中学受験で逆転合格するための勉強法ガイド(保存版)はこちら
投稿者プロフィール


- 中高一貫校指導歴30年のベテラン教師です。勉強が得意な生徒から苦手な生徒までたくさんの生徒を指導してきました。念願叶っての中高一貫校だと思います。充実した6年間を過ごして欲しいものです。ベテランならではの視点で悩みに寄り添ったアドバイスを心がけます。ちなみに2人の子供も中高一貫校に通っています。保護者としての目線も大事にします。
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