私立中学の英語教育は公立中学の1.5倍速&単語数も多い!対応するための勉強法も

私立中学と公立中学の英語教育の違いを、特に私立中学の英語の授業の特徴に焦点を当てて紹介します。また、きちんと対応していくための勉強法・学習法を、暦30年以上のベテラン教師が解説します。

私立中学・中高一貫校に入学以来、英語の難しさにお子さんが戸惑っていませんか?

中学校学習指導要領に則った公立中学の授業とは違い、私立中学は大学入試のためのオリジナルカリキュラムで授業が進みます。

当然、進度も難易度も公立中学とは比較になりません。

大学受験対策を考えると、学校の授業にしっかりとついて行くのが大事になるのですが、学力差がでやすいので注意も必要です。

私立中学と公立中学の英語教育の違い

公立中学でも英語の授業時間数は増加傾向

それまで選択科目(実際にはほぼ全学校で履修)だった英語は、2002年から必修化。

その後、2008年の学習指導要領改定によって、英語の授業時間数はこれまでの年間105時間(週3時間)から140時間(週4時間)に増加。

この改定で3年間の授業時間数は、全教科の中で英語が最も多くなりました。

出典:平成20•21年改定学習指導要領(文部科学省)

私立中学の英語の授業時間数はさらに1.5倍以上

私立中学の英語の授業時間数は、学校によって多少の違いはありますが、平均で、1週間に6〜7時間

週あたりの時間数が多いだけでなく、長期休暇中の課外授業などでも英語の授業があります。

公立中学でも授業時間数は増加傾向ですが、それでも、公立中学の1.5倍以上の時間数で進みます。その分、先取りでカリキュラムを実施。

中学2年生までに公立中学の3年間分の学習を終了し、中3からは高校の学習が始まります。

私立中学は難易度の高い専用教材を使用

公立中学では、検定教科書(=中学校学習指導要領に則る)を使用。義務教育で誰もが学ぶべき内容を学習します。

一方、私立中学では、中高一貫校専用教科書(=中学校学習指導要領の範囲外)を使用。大学受験のための内容を学習します。

検定教科書と中高一貫校専用教科書の最大に違いは語彙数。下表でその他の違いをまとめています。

検定教科書 中高一貫校専用教科書
単語数 中1〜3:1600語〜1800語 中1〜2:2300語 中3〜高2:2700語
英文の内容 海外の多様な文化などを紹介 大学入試を意識した社会的テーマ
4技能 4技能の育成 ハイレベルで4技能の育成

4技能とはReading「読む」Listening「聞く」Writing「書く」Speaking「話す」の4つの技能

さらに、副教材も違います。公立中学は高校受験用の教材、私立中学は大学受験を視野に入れた教材を使用。

私立中学の主な文法用問題集として、

などがあります。

私立中学は生徒の学力のアベレージが高く授業やテストが難しい

公立中学では生徒間の学力差が大きく、苦手な生徒に合わせてレベルが下がる傾向。義務教育の目的が社会で必要な基礎的な能力を養うためだからです。授業やテストは基礎・基本が中心。

私立中学は受験に合格した生徒ばかりなので、学力のアベレージが高く、レベルが下振れしません。大学進学を目標にしているので、授業やテストは標準〜応用まで扱われます。

私立中学は授業以外のグローバル教育が充実している

私立中学では、グローバル社会での活躍を見据えて、授業以外の英語教育が充実しています

例えば、ネイティブスピーカーによるオールイングリッシュ授業・英検対策講座・海外研修(海外修学旅行)・英語キャンプ(留学生との英語を使った宿泊型研修)・オンライン英会話・英語スピーチコンテストなどがあります。

これで解決!私立中学の英語授業についていくための勉強法

毎日の予習→授業→復習のサイクルが不可欠

私立中学の英語授業は非常に充実しており、学校の授業にしっかりついていくのが最大の大学受験対策になります。

ただし、学力差が付きやすく、対応できずに英語に苦手意識を持つ生徒も少なくありません。

私立中学では、毎日、英語の授業があります。毎日の授業の、予習→授業→復習のサイクルが重要です。

予習:ついていけないときは復習重視が効率的

学校によっては、「本文(英文)を写す」→「単語を調べる」→「本文(英文)を和訳する」

のように指定されているかもしれません。

この方法だと、既習の単語を覚えていないと、調べる単語の数が多くなり、既習の文法を理解していないと本文を訳せません。

つまり、既習範囲をマスターが前提になっています。この前提が崩れていれば、時間だけかかる効率の悪い勉強になるので、注意が必要です。

実際に、こうした予習に対応できずに、英語の勉強をあきらめる生徒が出てきます。その生徒のほとんどは、残念ですが、英語についていけなくなってしまいます。

英語が苦手な人は、復習重視の方が効率的です。予習は、教科書に目を通して、自分がどこがわからないかをチェックしておく程度に留めておくのがおすすめです。

授業:予習が前提。予習でわからなかった点を意識して受ける

先生の解説は写しておいた英文に書き込みます。板書だけでなく、口頭で説明した箇所も書き漏らしのないように。「書き込み=大切なところ」なので、テストに出題されるポイントです。

自分の和訳を添削します。「間違ったところ=理解が不十分なところ」なので、重点的に復習しましょう。

音読では、音の変化(リエゾン)(例えば、”get up”は「ゲットアップ」ではなく、「ゲラッ(プ)」と読まれる)に注意します。「発音できる音=聞き取れる音」です。正確に発音できるようになると、聞き取りが上達します。

ペアワークなどの活動は積極的に取り組みましょう。英語は実技科目的な側面もあるので、実際に英語を使うことで自分に染み込んできます。

このように、授業は予習に基づいて進みます。予習がままならないと、授業を理解できないまま進むので、気をつけましょう。

英語が苦手で予習がままならない人は、教科書には目を通しておいて、どこがわからないかをチェックしておきます。わからないところを中心に授業を聞きましょう

予習に時間をかけない分を、次に解説する方法で、復習に時間をかけて、わからなかった所をしっかり理解していくのが大切です。

復習1:授業で習った単語を必ず覚える

単語の勉強は、次の4つを意識して学習しましょう。

  1. 発音
  2. クイックリスポンス
  3. コロケーション
  4. スペル

単語は発音で覚えます。発音できない単語は聞き取れません。聞き取れない単語だとリスニングに役立ちません。ローマ字読みで覚えるのはNGです。

クイックリスポンスを意識します。クイックリスポンスとは単語の意味をすぐに思い浮かべることです。

「えっと〜、何だっけ〜」のように、思いつくまでに時間がかかるようでは、読むスピードが遅くなり、リスニングのペースについていけません。

英語を読むスピードのことをwpm(words per minute)=「1分間で読む単語数」といいます。一般的に、英文を読む時間は、試験時間の4割。残りの6割の時間が問題を解く時間です。

時間内で問題を解くためには120wpmで英文を読めなければいけません。

英検を例にしてみます。

【3級】文字数:約1600語・試験時間:50分→120wpmで読むと読解時間が14分→残り36分が解答時間+ライティング

【準2級】文字数:約2500語・試験時間:75分→120wpmで読むと読解時間が21分→残り54分が解答時間+ライティング

さらに、英検のリスニングは【3級】115〜150wpm【準2級】120〜140wpm(パートによって異なる)で読まれる英文が放送されます。

速さに対応するのは、リーディング・リスニングの観点からも非常に重要です。

コロケーションを意識します。コロケーションとはつながりやすい単語のことです。例えば、bicycle =「自転車」より、ride a bicycle =「自転車に乗る」と覚える方が表現の幅か広がります。

スペルは書けるようにします。中学で習う単語は基本単語ばかりです。これから繰り返し出てくる単語なので、スペルを間違えないようにしましょう。

ちなみに、fiveは「フィブ」ではなく「ファイブ」と読みます。ローマ字風の読み方でスペルを覚えるのはNG。スペルによって読み方が変わるのが、英語を難しく感じる原因の一つです。

復習2:授業で習った英文法をしっかり理解して、学校指定の文法問題集を解く

英文法は、ただ理解するだけでは不十分。使えるようになるまで、自分に染み込ませるのが大事です。

ポイントは繰り返し。一度解いて終わりではなく、少なくとも3回は繰り返しましょう。

英文を音読しながら(同時に意味を思い浮かべて)英文を書き写す勉強法を音読筆写といいます。英文法で習った英文は音読筆写を繰り返すことで自分に染み込んできます。

英語は積み上げ教科です。

単語と英文法はきちんと習得しないと、これから先に習う内容が理解できなくなります。

英語が苦手な人は、単語を覚えていない、英文法を理解していない、だから理解できない状況になってしまっているのがほとんどです。

中学英語は英語学習の根幹。中学時代に単語と英文法の勉強をサボってしまうと後で必ず苦労することになります。

復習3:教科書本文(英文)を4技能を意識して復習

  1. 本文を読んで意味がわかる(=Reading)
  2. 聴いて意味がわかる(=Listening)
  3. 本文の日本語訳を英語で書ける(=Writing)
  4. 英語で言える(=Speaking)

ようになるまで練習します。

具体的には音読が効果的です。4技能を伸ばす音読を詳しく解説します。

次の英文は、『ニュートレジャー(NEW TREASURE ENGLISH SERIES THIRD EDITION STAGE 2)』からの引用です。

According to a survey published in 2017, some researchers think that computers will be better than humans at most tasks by 2060.

引用:NEW TREASURE ENGLISH SERIES THIRD EDITION STAGE 2Z会編集部

この英文を音読しながら、意味を頭に思い浮かべると、

調査によると / 2017年に出版された / 思っている研究者がいます / コンピューターが上手になるでしょうと / 人間よりも / ほとんどの作業で / 2060年までに。

になります。

このように、意味を取りながら音読するには、英語の語順のまま理解しなければいけません。この音読を繰り返すと、スムーズに英文の意味が取れるようになります。

また、音声を真似して発音しましょう。正しく発音できるようになれば、英文を聞き取れるようになるからです。

音読の練習を繰り返すと、やがて英文を覚えてしまうはずです。すると、日本語を見ながら英文を話せたり書けたりできるようになります、

このように本文(英文)の音読を繰り返して、自分に染み込ませるのが効果的な勉強方法です。

私立中学の英語は大学受験に最適化されているだけに対応が難しい

さて、私立中学の英語がハイレベルな内容なのは理解できたと思います。親世代が公立中学校で学んだ中学英語とは全く違います。

大学受験に最適化していて、授業についていくことが最大の受験対策です。しかし一方で、学力差ができやすいので気は抜けません。そして、一度、つまずくと立て直すのが大変です。

厳しい言い方ですが、英語が苦手な人は英語の勉強を避けてきた人です。でも、してこなかっただけで、能力不足という訳ではないのです。

安心してください。ここで説明した方法で勉強すれば、授業に対応できるようになります。授業についていければ、必ず成績が上がります。

ただ、一人で対応するのが難しいと感じませんか?これまで英語の勉強を避けてきた人が一人で対応できるかどうかが問題です。

一人で英語の勉強ができないなら中高一貫校専門個別指導塾WAYSが解決策

一人で対応できないなら「中高一貫校専門 個別指導塾WAYS」に相談してください。

進度の早い私立中学校。放っておくと、ますます分からない範囲が広がってしまいます。気づいた時には手遅れに。早めの対策が最大のポイントです。

私立中学の英語は授業をペースメーカーにするのがベスト。授業を大事にして、定期テストの点数を伸ばすことに注力しましょう。中学時代は特別な勉強は必要ありません。

大手進学塾は、塾独自のカリキュラム。地元塾は、公立中学を対象に高校入試の指導をしています。私立中学のオリジナルカリキュラムに対応した塾は意外に少ないのです。

WAYSでは92.9%の生徒の成績UP。私立中学生の定期テストの点数が上がる理由

WAYSは私立中学の先取りカリキュラムや私立中学専用教科書に対応しているので、私立中学生の定期テストの点数を引き上げています。

成績アップ

WAYSは同程度の料金で、通常の個別指導塾の4倍の指導時間を確保。豊富な時間があるので、塾の指導だけで全ての指導を完結できます。これなら自宅学習の苦手な生徒も安心です。

WAYSは120分の指導で、前回の確認→内容の理解→演習(繰り返し)→確認テストというサイクルで指導。これがこのまま理想的な勉強方法なので、自学力が身につきます。自学力さえ身につけば、学習サイクルを独力で回せるようになります。

私立中学生・中高一貫校生に特化した、WAYSの指導方法はこちらの記事を参考にしてください。

私立中学生が英語が苦手なのは、勉強していないのが原因です。この現実に目を向けましょう。一人で勉強できないのであれば、放っておかずに、WAYSに相談してください。

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投稿者プロフィール

ひろ先生
ひろ先生
中高一貫校指導歴30年のベテラン教師です。勉強が得意な生徒から苦手な生徒までたくさんの生徒を指導してきました。念願叶っての中高一貫校だと思います。充実した6年間を過ごして欲しいものです。ベテランならではの視点で悩みに寄り添ったアドバイスを心がけます。ちなみに2人の子供も中高一貫校に通っています。保護者としての目線も大事にします。

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