【大学受験】英語長文読解の勉強法 完全ガイド|演習&復習方法・おすすめ教材を解説
英語教師歴30年のベテランライターが、英語の長文読解の勉強方法を解説します。
英語が苦手な人がいきなり長文読解に取り組んでも、なかなかうまくいきません。それは基礎力がしっかりと身についていないからです。
まずは単語と英文法の勉強から始めて、ある程度、この2つが進めば、英文解釈をします。英文解釈は英文の文法や構文を見抜きながら、一文一文を正確に訳す勉強です。
ここまで基礎力を固めてから、長文読解の勉強を始めましょう。理解度が上がるはずです。
英語を日本語に訳さず理解する「直読直解」の仕方から、英語脳を鍛える「音読」まで、長文読解で大事なエッセンスを紹介しています。
このページの目次
長文読解の勉強を始める前に知っておくべきこと
長文読解ができないのは基礎(英単語・英文法)が不十分だから
英語が苦手な人なら、「長文問題を解こうとしても、全く英文が読めない」「どこから手をつけていいか分からない」そんな経験があるはずです。
長文読解ができない原因は、英単語と英文法がわかっていないからです。この事をまずは踏まえておきましょう。
英単語も英文法も固まっていないのに、長文読解に取り組む人がいますが、これは完全にNGです。まずは、英単語と英文法を固めるのが先決です。
長文読解対策は勉強の順番が大事
英単語と英文法を固めたら、その知識を使って一文一文を読む勉強をします。これが英文解釈です。ここまでが長文読解のための基礎固めです。
英語の基礎力が固めないと、長文は読めるようにはなりません。
つまり、長文読解の勉強は順番が大事です。順番を間違えると、長文が読めるようにならないまま時間だけが過ぎてしまい、英語の苦手意識を持つことになってしまいます。
基礎固め:英単語・英文法・英文解釈の勉強法
【基礎固め①】英単語の勉強法
大学受験に必要な単語数は3400語〜4300語と言われています。この数を覚えないと、長文読解をしていても、知らない単語が出てきてしまいます。
例えば、1日10単語のようにコツコツ覚えたのでは、3000語を覚えるのに300日もかかります。この間は、単語で苦労することになりますよね。
そうならないためにも、早いペースで単語を覚える必要があります。大変かもしれませんが、ある程度単語を覚えれば、長文読解の理解度が一気に高まります。
効果的な単語の暗記法は、こちらの完全ガイドで紹介しています。
【基礎固め②】英文法の勉強法
英文を読むためには、5文型から始まる文法項目を全て理解しないといけません。
例えば、不定詞だけ理解しても、英文を読むには不定詞以外の文法も必要だからです。
文法は全範囲を理解して始めて効果が現れます。
そのためには、一冊の文法書に絞って全範囲を勉強するのが大事。英文法も早いペースを心がけましょう。
効果的な英文法の学習法は、こちらの完全ガイドで紹介しています。
【基礎固め③】英文解釈の勉強法
英単語と英文法をある程度固めたら、文法や構文をとりながら、英文を正確に読みとる英文解釈をします。
結局は、長文読解でも、一文一文を正確に読めなければいけません。
例えば、次の英文は、
The average life expectancy has increased. A person who reaches age 65 has an average life expectancy of about 14 more years.
『入門英文解釈の技術70』(桐原書店)からの引用
whoは関係代名詞で、who reaches age 65 までが、先行詞 A person を修飾する形容詞節になっていて、A person who reaches age 65 は「65歳に達する人」の意味になる。
と文法がわかれば、正確に意味がとれます。
フィーリングで英文を読んでいたような、英語が苦手な人には、最初は難しく感じるかもしれません。
入り口で挫折しないように入門レベルからはじめるのがコツ。段階的にレベルUPを目指せばOKです。
入門レベルの英文解釈用テキストは、次の2冊をお薦めします。
長文読解の勉強法(演習編)
ここまでで英語の基礎固めはできました。いよいよ長文読解に取り組みます。
ここからは、長文読解のポイントを解説します。
【ポイント①】英語の語順のまま読む
長文読解で一番大事なのは、英語の語順のまま読めるようになることです。
英語と日本語では語順が全く違うのですが、日本語に訳さずに理解します。英語の意味のかたまり(=チャンク)ごとに、英語の語順のままで意味を取るのが正しい読み方です。
例を挙げて解説します。
English is a language which is used by a lot of people all over the world
『大学入試 英語長文ハイパートレーニング 超基礎編』からの引用
英語が苦手な人なら、この英文を
English / is / a language / which / is / used / by / a lot of / people / all / over / the world
のように、一語ずつ理解しようとします。
これだと、
「英語」「です」「言語」「それは」「です」「使われる」…
このようになってしまい、一体何が言いたいのかわかりません。これを日本語の語順に当てはめるのは無理がありますよね。
一方で
English is a language / which is used / by a lot of people / all over the world.
このように意味のかたまり(=チャンク)を意識しながら、英語の語順のまま理解すると
「英語は言語です」「使われる」「多くの人々によって」「世界中で」
これなら、問題なく意味が分かりませんか?これが目指すべき読み方です。
さらに英文解釈をすれば which is used by a lot of people が a language を修飾する形容詞節とわかり、「多くの人々に使われている言語」と瞬時に理解できるようになります。
こうした読み方は、便宜的にスラッシュを入れて読むことから、「スラッシュリーディング」と言われることもあります。
長文読解が得意な人とそうでない人の最大の違いは、このように「スラッシュリーディング」で意味がとれるかどうかなのです。
次のテキストを使って、英語の語順のままの理解(=「スラッシュリーディング」)を勉強しましょう。こちらも基礎レベルから始めて、段階的にレベルUPを目指します。
【ポイント②】レベルを合わせる
長文読解は自分のレベルよりも簡単なものから始めましょう。
最初の数行から意味が分からないようでは、最後まで読み切ることができません。結局、訳を見てわかったつもりで終わってしまいがちです。これでは実力がつきません。
ほとんどの長文読解問題集はレベル別になっています。簡単なものから始めて、段階的にレベルUPを目指します。
【ポイント③】自力で解く
「レベルを合わせる」に通じますが、自分のレベルに合ったテキストで、しっかり考えて自力で解くのが大事です。
テキストによっては、解答時間の目安が指定されているかもしれませんが、現段階ではあくまでも目安です。
必要に応じてテキストに付いている単語リストを確認してもいいですが、それ以外は、自分で考え抜くことを意識します。
自分で考える習慣の積み重ねが、文脈を把握する読解力に繋がります。
長文読解の勉強法(復習編)
長文読解は演習して終わりではありません。
演習と同じくらいか、それ以上に復習が大事。実力UPに繋がる復習方法を解説します。
【ポイント①】対訳を参考にして英文を完全に理解する
対訳を参考にして、英文を完全に理解しましょう。
どこを質問されても大丈夫なところまで読み込み、英語の語順のままスラスラ意味がとれるレベルまで理解します。
英文を理解する際には、次のポイントを押さえましょう。
1.未知の単語は必ず覚える
一冊ノートを用意して、知らなかった単語は全てこの単語ノートに書き留めていきます。
いつでも見直して覚えていきましょう。単語学習に終わりはありません。
2.文法・構文を理解する
解説を読みながら文法や構文を理解していきます。
なんとなく訳せるレベルでは、次に出てきた時に読み取れません。
単語は違いますが、同じような文法や構文は繰り返し出てきます。
3.英語の語順のままで意味をとる
単語と文法・構文を押されたら、英語の語順のまま意味がとれるまで読みます。
日本語に訳さなくてもスラスラと意味がとれるレベルまで読み込みましょう。
【ポイント②】音読をする
意味を想起しながら音読すれば英語のまま理解できる
完全に理解した英文は、音読で自分の中に染み込ませていきます。
音読はただ読む(=空読み)だけではNG。
音読しながら頭の中で意味を思い浮かべるのが大事です。
そうすることで、自然に英語の語順のまま理解する練習になるからです。
さらに、何度も音読も繰り返せば、日本語に訳さなくても意味がわかってきます。
例えば、先程の例文
A person who reaches age 65 has an average life expectancy of about 14 more years.
を音読で読み込めば、
A person who reaches age 65 と読んだ瞬間に、「65歳になった人」と訳さなくても、「65歳になった人」をイメージできるようになります。以降も同様に訳さないでも、内容をイメージできるようになります。
「日本語に訳さなくても?できるはずがない」と思うかもしれませんが、音読をやり込めば脳が勝手に英語のまま理解し始めます。
英語の専門家が音読を薦めるのは、自身も日本語に訳さなくても理解できる、いわゆる「英語脳」を音読で身につけた実体験があるからなのです。
音読は回数よりも到達度が大事
次の3つのレベルが出来るようになるまで、音読をしましょう。
- レベル1:音読と同時に意味が思い浮かぶ→読解力UP
- レベル2:できるだけ速く音読して意味が思い浮ぶ→速読力UP
- レベル3:音声(CDやQRコード)に合わせて、正確に音読しながら意味が思い浮ぶ→リスニング力UP
音読の回数で区切るよりも、レベル3までできるように繰り返すのが大事です。
長文読解の勉強法(まとめ)
長文読解のテキストのレベルを上げていけば、理解が難しく、壁に当たるかもしれません。
その場合は、下記のように、一つ上のレベルの英文解釈テキストを挟むのも良い考えです。
【英文解釈(入門)】→【長文読解(基礎)】→【長文読解(標準)】→【英文解釈(標準〜応用)→【長文読解(応用)】…
もちろん、理解度や使える時間などを考慮して、各自でアレンジ可能です。
長文読解と英文解釈をスパイラルして、自分の志望校のレベルまでレベルUPを目指します。
最後は志望校の過去問対策をしっかり行いましょう。
【レベル別英文解釈用テキスト】 (入門〜基礎レベル) (標準〜応用レベル) (応用〜発展レベル)
【レベル別長文読解テキスト】 (日東駒専・中堅私大レベル) (GMARCH・関関同立・地方国公立レベル) (早慶・難関国公立レベル)
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投稿者プロフィール
- 中高一貫校指導歴30年のベテラン教師です。勉強が得意な生徒から苦手な生徒までたくさんの生徒を指導してきました。念願叶っての中高一貫校だと思います。充実した6年間を過ごして欲しいものです。ベテランならではの視点で悩みに寄り添ったアドバイスを心がけます。ちなみに2人の子供も中高一貫校に通っています。保護者としての目線も大事にします。
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