多くの公立中学校では、検定教科書の『NEW CROWN(ニュークラウン)』を採用していますが、中高一貫校ではほとんど使用されていません。
中高一貫校生にとっては、『ニュークラウン』は馴染みの薄い教科書ですが、上手に活用すれば、英語の基礎固めに有効です。
中高一貫校英語教師歴30年のベテランライターが
- 『ニュークラウン』をほとんど使用していないケース
- 『ニュークラウン』をメインテキストとして使用しているケース
の2つのパターンで、活用方法を解説します。
このページの目次
中学英語検定教科書『ニュークラウン』の特徴:4技能をバランスよく基礎力養成
『ニュークラウン』は『NEW HORIZON(ニューホライズン)』と並んで代表的な英語の検定教科書です。
レッスンは以下の順で構成されています。
- 英文
- 基本を身につける「GET」ページ
- 身につけたものを活用する「USE」ページ
- 最終確認の「まとめ」ページ
学習指導要領に基づいた構成で、標準的なレベルの英文です。テーマは、SDGs、環境問題、異文化理解など多岐にわたり、興味を持ちやすい内容になっています。
『ニュークラウン』のメリット:基本的な英語で4技能をバランスよく学べる
中学生で身につけなければいけない英語を、無理なく学べる構成になっています。
中学生でも興味を持てるようなストーリーで、英語を読みながら、国際理解が深まります。
抽象的、専門的な内容ではなく、内容理解で苦労せずに、英文そのものの理解に注力できます。
デジタルコンテンツが充実しており、教科書内のQRコードから、音声を使った学習機能が充実しています。
英語4技能をバランスよく学べる構成も、コミュニケーションを重視したい生徒には魅力的です。
『ニュークラウン』のデメリット:大学受験を見据えると物足りないレベル
一方で、大学受験を見据えると、難易度が不十分です。
大学受験で問われるような、専門性や抽象度の高い英文を読み取るためには、もう数段階、レベルUPが必要になります。
結果的に、高校から一気にレベルが上がるので、高校英語でつまずいてしまうこともあります。
中高一貫校の『ニュークラウン』の活用法:サブテキストとメインテキストの2パターンを解説
全ての中高一貫校で検定教科書は必ず配布される:使用しないケースもあり
中学校は義務教育なので、検定教科書は無償で配布されます。
しかし、多くの中高一貫校では、中高一貫校専用教科書をメイン教材としており、結果的に、『ニュークラウン』は配布されるだけで、学校ではほとんど使わないケースも少なくありません。
【代表的な中高一貫校専門教科書】
- 『NEW TREASURE(ニュートレジャー)』(Z-KAI)
- 『NEW PROGRESS IN ENGLISH 21(プログレス21)』(エデック)
【中高一貫校の教科書を解説した記事】
中高一貫校専用教科書「ニュートレジャー」との違い:英文法と語彙で大きなレベル差
『ニュークラウン』(検定教科書)と『ニュートレジャー』(中高一貫校専用教科書)の違いを紹介します。
例えば、仮定法は『ニュークラウン 3』『ニュートレジャー ステージ 3』で扱われており、標準的な進度だと、中学3年生で習います。
それぞれ例文は、
If I had wings, I could fly.”
『ニュークラウン 3』より引用
- If Nancy went to bed early, she wouldn’t fall asleep in class.
- If I weren’t tired, I would help you with your homework.
『ニュートレジャー ステージ3』より引用
このように、同じ仮定法過去の例文ですが、明らかにレベルが違うのがわかると思います。
更に、『ニュートレジャー』では、仮定法過去完了・If節のない仮定法・未来のことを表す仮定法まで習うので、深みも違っています。
- I feel sick today. I wish I had taken some medicine last night.
- If it were not for the smartphone, I wouldn’t be able to meet you on time.
- If it should rain, we wouldn’t arrive at the station in time.
『ニュートレジャー ステージ3』より引用
これだけレベル差があるので、『ニュークラウン』は基礎固めには有効ですが、大学受験を見据えると物足りない印象は拭えません。
【活用法①】配布されるだけでほとんど使用しないケース
メインテキストとして、中高一貫校専用教科書『ニュートレジャー』『プログレス21』などを使用するケースです。
このケースでは、授業についていけていれば、『ニュークラウン』を活用する必要は特にはありません。
敢えて言えば、『ニュークラウン』はデジタル教材が充実しているので、リスニング用の教材として、音声を活用してみてもよいでしょう。
一方で、英語が苦手な人は、『ニュークラウン』を中学英語の基礎固め用として有効に活用できます。
『中1英語をひとつひとつわかりやすく。』(学研)などの高校受験用の英文法テキストで復習します。中1〜3まであるので、自分が必要な学年を使用してください。
英文法を固めた上で、『ニュークラウン』の英文(「USE」Read部分)を読んでみましょう。
ポイントは、英文を和訳しないでも、英語の語順のまま意味が取れれるようにすることです。
最後は、英文をしっかり音読をしましょう。デジタルコンテンツが充実しているので、音声に合わせて音読します。
音読をしながら、英文の意味が取れれば、英語の語順のまま英文が理解できているはずです。
ここまで仕上げれば、英文法を理解した上で、基礎レベルの英文を読みこなせる力が身についています。
【英語の語順のまま英文を理解する】
My dream is to invent a time machine. If I had one, I would visit great inventors across the ages. It is something I have been thinking of for a long time.
『ニュークラウン3』からの引用
My dream is 「私の夢は〜です」→ to invent a time machine「タイムマシーンを作ること」→ If I had one「もしタイムマシーンがあれば」→ I would visit great inventors「私は偉大な発明家を訪問だろう」→ across the age「時代を超えて」・・・・
このように、英語の語順(不自然な日本語ですが十分に意味が取れるはずです)のままで、英文を読み取っていきます。
私の勤務校では、『ニュートレジャー』がメインテキストで授業展開をしていますが、躓くケースで多いのが、「中1の最初」と「中3」です。 「中1の最初」は英語の学び始めの段階で、「be動詞」「一般動詞」「肯定文」「疑問文」「否定文」などを学びます。 内容自体は難しくないので、割と早いペースで進むのですが、しっかりと演習しないと定着しません。 この段階で、演習不足で躓いてしまえば、苦手が積み重なり、立て直しが難しくなってきます。 次に、「中3」です。この段階から、高校レベルの英文になり、中学英語がしっかり身についていないと、英文を読み取れなくなってしまうのです。 総じて、中学英語の基礎をしっかり固めておかないと、どこかのタイミングで英語でつまづいてしまうのです。 中高一貫校では、高校受験がないので、中学英語を復習する機会がありません。 中学英語は内容的には決して難しくはないのですが、しっかり演習をしておかないと定着できません。 ボトルネックになっているのが、中学英語という人が多いので注意が必要です。
【中高一貫校生の中学英語の復習を解説した記事】
【活用法②】メインテキストとして活用しているケース
メインテキストとして、『ニュークラウン』を使用しているケースでは、『新中学問題集英語』などのハイレベル問題集を併用している学校が多いはずです。
学校の授業を完璧に理解するのが基本なので、学校のペースに合わせてしっかりと取り組んでいきましょう。
ただし、『ニュークラウン』『新中学問題集英語』も高校受験用なので、大学受験を見据えると物足りないと感じる人は、先取りするのがオススメです。
具体的には、単語と長文読解の先取りです。
『ターゲット中学英単語1800』(旺文社)で中学レベルの単語を押さえて、『英単語ターゲット1200』(旺文社)で高校初級レベルの単語を覚えましょう。
その上で、英検をペースメーカーにして、先取りしましょう。中学卒業までに準2級を取得できれば、高校初級レベルの英語力が身についたことになります。
【中学生のための英単語学習を解説した記事】
WAYSで『ニュークラウン』を使った成績アップ事例3選を紹介
『中高一貫校専門個別指導塾WAS』では、これまでに500校以上の中高一貫校の指導実績があり、それぞれの学校のカリキュラムに対応した指導が強みの個別指導塾です。
『ニュークラウン』を使用している中高一貫校の指導実績も十分で、これまでに多くの生徒の成績アップを達成してきました。
いくつか実例を紹介します。
高輪中学校1年生 | 英語演習30点→58点
中学1年生の11月に入塾した生徒の実例です。
運動部を掛け持ちして精力的に活動する一方、勉強はほとんどせず、成績は下降の一途をたどっていました。
高輪中学の英語のテストは、主に『ニュークラウン』から出題されます。
そこでWAYSでは、英文法の反復学習に加え、構文を理解したあとで単語に意味を込めて発音し、音読しつつ英文全体の内容を把握するように指導しました。
また、英文の音読を重視し、自社開発した英語音読アプリ『OwnTalk』を使い、『ニュークラウン』の例文の発音練習をしてもらいました。
こうした地道な積み重ねの結果、定期テスト28点アップを実現することができたのです。
巣鴨中学校1年生 | 英読56点→72点、英文作24点→53点
中学1年生の10月に入塾した生徒の実例です。
巣鴨中学校1年生の英語は『ニュークラウン』と必修テキストを使っています。
この生徒の場合、家庭学習の習慣がなく、勉強時間と勉強量が圧倒的に不足していました。
小テストは毎回のように不合格で、英単語が満足に書けないという状況でした。
試験前に慌てて知識を詰め込む状態になっており、曖昧な知識のままテストを受けて、点数を落としていたのです。
そこでWAYSでは、下記の2点をテスト対策として行いました。
・小テストで合格できるよう準備をする
→返却された小テストは満点をとるまで解き直す
・必修テキストを周回し、文法単元をマスターする
また、指導の始まりには前回の学習内容についての確認テストをおこない、指導終了間際には「今日学習したこと」を確認しました。
こうした確認の徹底が、学習内容の定着度を高めます。
結果、入塾から3か月間で英語の成績をしっかりと伸ばしてくれました。
青山学院中等部2年生 | 英語24点→47点
中学2年生の7月に入塾した生徒の実例です。
入塾時は家で学習する習慣がなく、効果的な勉強法がどういうものかも理解できていませんでした。
青山学院中等部2年生の英語の授業では、教科書『ニュークラウン』と学校配布プリントを使っています。
ですが、教科書に準拠したワークブックが配布されないため、『ニュークラウン』内の文法の演習量を確保できません。
そこでWAYSでは、別の学習教材を用いて文法事項の演習を積んでもらいました。
また、勉強法を以下のように指導しました。
- ノート、または裏紙に問題を解く
- 大問ごとに細かく丸つけをする
- 間違えた場合は問題集にもチェックをつける
- 問題集のテスト範囲を1周解き終わったら、チェックのついている問題をもう一度解く
定着度を意識した反復演習が、点数アップにつながった事例です。
『中高一貫校生専門個別指導塾WAYS』は、すべての教材に対応した指導が強みの個別指導塾
『中高一貫校専門個別指導塾WAYS』では、中高一貫校で使われるすべての教材に対応した指導を行っています。
『ニュークラウン』に限らず、オリジナル教材や配布されるプリントなどを活用するため、効率よく定期テストの点をアップさせることが可能です。
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投稿者プロフィール


- 中高一貫校指導歴30年のベテラン教師です。勉強が得意な生徒から苦手な生徒までたくさんの生徒を指導してきました。念願叶っての中高一貫校だと思います。充実した6年間を過ごして欲しいものです。ベテランならではの視点で悩みに寄り添ったアドバイスを心がけます。ちなみに2人の子供も中高一貫校に通っています。保護者としての目線も大事にします。