図形の証明とは? 証明問題の解き方と、教え方のポイントを徹底解説|中学数学

中学数学における証明問題の代表は、三角形の合同を利用した問題です。中学生に教える際のポイントを、証明の基本的な書き方からやさしく解説します。

解き方のポイント

①仮定と結論を押さえる

②仮定を使ってどのように結論を導けばよいか、結論から逆算する

③書き方の型を知る

証明問題とは

証明問題では、仮定だけでなく、先に結論が与えられています。

証明の流れは、以下の通りです。

問題文の条件として与えられている仮定+既知の事柄→結論

仮定をもとに既知の事柄を組み合わせて、結論が成り立つことを証明するわけです。

実際に、以下の例題を解いてみましょう。

四角形ABCDにおいて、AB=AD・BC=DCのとき、∠CAB=∠DACを証明しなさい。

さて、まずは仮定から結論を得るために用いる既知の事柄をどうするか考えましょう。

ここでは、「三角形の合同条件」と「合同な図形の性質」とを使います。

中学数学の証明問題では、既知の事柄としてよく使用しますので、必ず押さえておくようにしてください。

三角形の合同条件と合同な図形の性質を使うのであれば、どの三角形とどの三角形に着目しているかをまず明記します。今回は、三角形ABCと三角形ADCとが合同であることを使うので、冒頭に「△ABCと△ADCにおいて」と書きます。

なお、アルファベット順に△ABCと△ACDとしないように気をつけてください。対応している点同士が同じ位置にくるように書きましょう。今回はAとA、BとD、CとCがそれぞれ対応しています。

次に、仮定を書きます。今回は、AB=AD、BC=DC。また、あとで引用するのでそれぞれ引用番号を振っておきましょう。一般的に、①・②・③……と振ります。

次に、三角形の合同条件を使うため、辺ACが共通であることに着目します。問題文で明示されていない事柄なので、理由と合わせて書くようにしてください。「共通な辺なのでAC=AC」などと書きます。また、引用番号③を振りましょう。

ここまでくれば、いよいよ三角形の合同条件を使います。どの条件を使ったかを明示するのがポイントです。

これで△ABCと△ADCが合同であることが示せたので、合同な図形の性質を用います。どの条件を使ったかを明示して、結論を書きましょう!

最後に(証明終)とつけるのを忘れないようにしてください。

以下に模範解答例を示します。

(証明)

△ABCと△ADCにおいて、

仮定より、AB=AD……①

BC=DC……②

共通な辺なのでAC=AC……③

①、②、③より、3組の辺がそれぞれ等しいので、△ABC≡△ADC

よって、合同な図形では対応する角の大きさは等しいので、∠CAB=∠DAC
(証明終)

証明問題の解き方を教えるポイント

三角形の合同条件を理解しているかを確認しよう

まずは以下の三角形の合同条件を押さえましょう。

1:3組の辺がそれぞれ等しい(三辺相等)

2:2組の辺とその間の角が等しい(二辺夾角相等)

3:1組の辺とその両端にある角が等しい(二角夾辺相等)

実際に三角形を書いてそれぞれの条件をイメージすることが大切です。

証明の書き方の練習はスモールステップで!

まずは解答の構成として、仮定+既知の事柄→結論という流れになることを意識してもらいます。

結論から逆算し、既知の事柄として何を使うかを考えるのがポイントです。

合同条件を使った証明は、ある程度書き方の型が決まっています。

上記の例題の解説のように、流れを小分けにして1行ごとに解説してあげてください。

概要が理解できれば問題演習を重ねよう

教えてもらっている状態で問題が解けたとしても、独力でできなければ意味がありません。分かった気になっているだけ、ということもあります。

思考力が問われる数学であっても、反復練習は非常に大事です。簡単な問題から標準レベルの問題まで、段階を踏んで解いていくようにしましょう。

解けた問題には○、解けなかった問題には△や×をつけ、2周目以降では△や×の問題を中心にやり直すようにしてください。

オススメの問題集は、『中学校3年間の数学が1冊でしっかりわかる問題集』(かんき出版)『チャート式中学数学 シリーズ』(数研出版)です。

お子さんの理解が進まないパターン3選とその対処法

教えてもなかなか理解してもらえない

根気よく何度も例題レベルの問題を一緒に解いてください。

ヒントを出しながら解いてもらい、徐々にヒントの量を減らすというのも有効です。

最初のうちは証明問題を1から書くのではなく、穴埋め問題として取り組んでもらうというのもよいでしょう。

教えるとその場ではできるのに、お子さん一人で問題を解くと間違いが多発

このパターンは、さらに以下の2パターンに大別できます。

①問題演習が足りていない

→問題演習で基礎レベルから順番に解いていきましょう。

②教えられた時は分かった気になっている

→どこでつまずいているのかを分析、理解できていないポイントを再説明しましょう。その後、説明したポイントが理解できているかを測れる問題を演習できるとベストです。

証明問題の難所は、書き方に慣れることです。丁寧に学習を進めてあげてください。

教えようとすると、ちょっとした間違いを指摘しただけで機嫌が悪くなり、うまくいかない

思春期で親子関係が難しく、接し方にデリケートな配慮が必要な場合があります。

1つ指摘するときは1つ以上ほめることを意識しましょう。ほめる内容は、学習を着実に進められている点などにするのがオススメです。

そして大事なことは、「根気強く、粘り強く」です。保護者の方が不機嫌になったり、イライラしたりしないように心がけてください。

子どもに教えるというのは、なかなかにストレスが溜まる作業です。保護者の方の息抜きも必要でしょう。根を詰めてやりすぎると、保護者の方もお子さんもしんどくなってしまいます。

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投稿者プロフィール

青木 ユウ
青木 ユウ
中高一貫校に勤めて10年になる中堅教師。卒業生を3度送り出し、中学生・高校生問わず指導経験が豊富です。自身も中高一貫校出身なので、中高一貫校のことを知り尽くしています。勉強に苦しむ生徒に向き合い、試行錯誤をする日々。そんな教師生活から得られた知見をお伝えし、全国の子供たちの力になれたらと思います。

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