一次方程式とは? 基本+文章題の解き方と、教え方のポイントを徹底解説|中学数学
一次方程式とは何か? 解き方と、中学生に教える際のポイントを、基礎からやさしく解説します。
解き方のポイント
①式変形はax=bの形を目指す
②文章題では、求める値をxとおき、日本語を数式化する
解き方・教え方がわかる事典|中学・高校数学
このページの目次
一次方程式とは
まずは、「一次方程式」がどういうものなのか、定義の説明から始めます。
なんとなくイメージがつかめれば大丈夫ですので、気軽に読み流してください。
方程式とは
方程式とは、未知数を含む等式のうち、未知数が特定の値に限定できるものをいいます。特定の値に限定できるとは、「解をもつ」と同義です。
例えば、3x-1=2x+3の解はx=4、x2=9の解はx=±3となります。
一次方程式とは
一次方程式は、項のなかで最大次数が1である方程式をいいます。次数とは、文字の個数のことです。
例えば、3x3+6は3x・x・x+6となり、xが3つあるので、次数は3です。2x4+x3+4x=x-8などは、最大次数が4なので4次方程式です。
一次方程式は、xの個数が1つなので、3x+2=4x-3やx-5=2などが該当します。
一次方程式の解き方は?
ax=bの形を目指す!
式変形をした結果、2x=6や3x=1といった、ax=bの形にできれば、x=b/aとなります。
式変形をする際のポイントは、以下の二つです。
移項を使おう!
式変形のゴールであるax=bは、左辺にx、右辺に数値が来ていますので、xが含まれているものを左辺へ、それ以外の数値を右辺にまとめればよいことになります。
例えば、一次方程式3xー2=x+4を見てみましょう。
xが含まれているものを左辺にまとめるということは、右辺のxが邪魔です。どうすればよいかというと、右辺からxを消すために、右辺からxを引けばよいのです。
ただ、左辺と右辺は”=”でつながれていますから、右辺からだけxを引いたのでは、釣り合いがとれません。同様に、左辺からもxを引く必要があります。
3xー2ーx=x+4ーx
→2xー2=4
次に、数値を右辺にまとめましょう。
左辺の-2を消すためには、両辺にそれぞれ2を足せばよいのです。
2xー2+2=4+2
→2x=6となります。解は、x=3ですね。
ちなみに、移項する際は、見た目のうえでは正負が反転します。慣れてきたら、一足飛ばしに次のように計算してもよいでしょう。
3xー2=x+4
→3xーx=4+2(xがーx、-2が2になっている)
係数や数値を整数にしよう!
小数や分数が混ざっている場合、移項やb÷aの計算が煩雑になってしまいます。
それぞれの項の係数や数値を整数値にしてから解くようにしましょう。
①0.5xー2.1=0.2x+3.6
この場合、両辺にそれぞれ10をかけることで、整数値に直すことができます。
(0.5xー2.1)×10=(0.2x+3.6)×10
5xー21=2x+36
5xー2x=36+21
3x=57
x=19となります。
②1/2xー1/3=3/4x+1/6
この場合、分母を払うために、分母の2、3、4、6の最小公倍数である12を両辺にそれぞれかけることで、整数値に直すことができます。
(1/2xー1/3)×12=(3/4x+1/6)×12
6xー4=9x+2
6xー9x=2+4
ー3x=6
x=-2となります。
練習問題
以下の練習問題に挑戦してみてください。
基本
①6=3x-6
②6ー2(4xー4)=3(xー3)+1
小数
③0.7xー1.4=0.3x+0.2
④2.6x=0.05(2xー5)
分数
⑤1/4xー3/5=ー2/3xー5/6
解答
①3xー6=6
3x=6+6
3x=12
x=4
②6ー2(4xー4)=3(xー3)+1
6ー8x+8=3x-9+1
ー8xー3x=-8-14
-11x=-22
x=2
③0.7xー1.4=0.3x+0.2
7xー14=3x+2
4x=16
x=4
④2.6x=0.05(2xー5)
2.6x=0.10xー0.25
260x=10xー25
250x=ー25
x=ー1/10
⑤1/4xー3/5=ー2/3xー3
(1/4xー3/5)×60=(ー2/3xー5/6)×60
15xー36=ー40x-50
55x=-14
x=ー14/55
一次方程式の解き方を教えるポイント
まずは、ax=bの形を目指すことを伝えてください。
方針としては、左側にx、右側に数値がくるように移項を使います。
移項の説明をする際は、単に正負が逆転するということだけでなく、なぜ逆転するように見えるのかを、きちんと教えてあげてください。
また、分数が混ざっている場合は、最小公倍数の考え方を使うことになります。お子さんが忘れているようであれば、そちらも合わせて教えてあげるとよいでしょう。
一次方程式の文章題を教えるポイント
一次方程式そのものが解けるようになれば、次は一次方程式の文章題を攻略しましょう。
基本的には、日本語を数式に置き換えるイメージです。
最初に、何を未知数xとおくか考えましょう。答えとして求める値をxとおくとやりやすいことが多いです。
お子さんの横について実際の問題を眺めながら、「問題文のこの部分は、どのような数式で表せるだろう?」という問いかけをしてあげてください。
それでは、例題を見てみましょう。
〈例題〉1個110円のみかんと1個140円のりんごを合わせて10個買ったとき、値段は1190円であった。このとき、みかんを何個買ったか。
みかんの個数をx個、りんごの個数をy個とすると、次のような式が成り立ちます。
110x+140y=1190
ただ、この式だけではxの値は求められません。
もうひとつ、「みかんとりんごを合わせて10個買った」という条件を数式化しましょう。
x+y=10となります。すなわち、y=10ーxと表せますね。
これを先ほどの式に代入すると、
110x+140(10ーx)=1190となります。
110x+1400ー140x=1190
-30x=1190ー1400
-30x=-210
x=7
これで答えが出ました。
文章題から読み取れる条件を漏れのないよう数式化していくことがポイントです。
概要が理解できれば問題演習を重ねよう
教えてもらっている状態で問題が解けたとしても、独力でできなければ意味がありません。分かった気になっているだけ、ということもあります。
思考力が問われる数学であっても、反復練習は非常に大事です。簡単な問題から標準レベルの問題まで、段階を踏んで解いていくようにしましょう。
解けた問題には○、解けなかった問題には△や×をつけ、2周目以降では△や×の問題を中心にやり直すようにしてください。
オススメの問題集は、『中学校3年間の数学が1冊でしっかりわかる問題集』(かんき出版)や『チャート式中学数学 シリーズ』(数研出版)です。
お子さんの理解が進まないパターン3選とその対処法
教えてもなかなか理解してもらえない
根気よく何度も例題レベルの問題を一緒に解いてください。
ヒントを出しながら解いてもらい、徐々にヒントの量を減らすというのも有効です。
また、文字数xに慣れていないという場合は、xを〇や△に置き換えてあげましょう。例えば、3x+4=7を、〇〇〇+4=7などと置き換えます。
教えるとその場ではできるのに、お子さん一人で問題を解くと間違いが多発
このパターンは、さらに以下の2パターンに大別できます。
①問題演習が足りていない
→問題演習で基礎レベルから順番に解いていきましょう。
②教えられた時は分かった気になっている
→どこでつまずいているのかを分析、理解できていないポイントを再説明しましょう。その後、説明したポイントが理解できているかを測れる問題を演習できるとベストです。
一次方程式の難所は、移項時の正負逆転と、文章題における日本語の数式化です。丁寧に学習を進めてあげてください。
教えようとすると、ちょっとした間違いを指摘しただけで機嫌が悪くなり、うまくいかない
思春期で親子関係が難しく、接し方にデリケートな配慮が必要な場合があります。
1つ指摘するときは1つ以上ほめることを意識しましょう。ほめる内容は、学習を着実に進められている点などにするのがオススメです。
そして大事なことは、「根気強く、粘り強く」です。保護者の方が不機嫌になったり、イライラしたりしないように心がけてください。
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投稿者プロフィール
- 中高一貫校に勤めて10年になる中堅教師。卒業生を3度送り出し、中学生・高校生問わず指導経験が豊富です。自身も中高一貫校出身なので、中高一貫校のことを知り尽くしています。勉強に苦しむ生徒に向き合い、試行錯誤をする日々。そんな教師生活から得られた知見をお伝えし、全国の子供たちの力になれたらと思います。
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