中高一貫校出身の海外留学経験者による匿名座談会!~私の留学はこうでした~

中高一貫校出身かつ英語圏に留学経験のある3名にお集まりいただき、留学について様々なトピックをざっくばらんに語っていただきました。

座談会参加者紹介

 

【名前】AZ さん

【出身大学】中京大学

【留学先】

短期:イギリス・ロンドン(中学2年次/1週間)

‏‎‏‎カナダ・バンクーバー(中学3年次/2週間)

オーストラリア・パース(高校1年次/3週間)

中期:アメリカ・クリーブランド(大学1年次/3か月間)

【留学形態】

短期:留学斡旋企業のプログラム

中期:大学のプログラム

【現在のご職業】大学3年生

【名前】モニカ さん

【出身大学】早稲田大学

【留学先】

中期:ニュージーランド・オークランド(中学3年次/3か月間)

長期:ニュージーランド・タウランガ(高校1~2年次/1年間)

【留学形態】いずれも学校のプログラム

【現在のご職業】社会人1年目/外資系企業勤務

【名前】K(ファシリテーター兼参加者)

【出身大学】早稲田大学

【留学先】

短期:カナダ・バンクーバー(高校2年次/2週間)

長期:カナダ・バンクーバー(大学3年次休学/1年間)

【留学形態】

短期:留学斡旋企業のプログラム

長期:私費留学

【現在の職業】大学3年生

※以下、敬称略

コロナ禍は費用にも影響?海外留学のリアル

ーそもそもなぜ留学をしようと思いましたか?

【AZ】
大学の学部で必修プログラムだったのでアメリカに3か月留学しました。もともと高校を休学して1年間カナダに留学する予定が、コロナ禍の影響で白紙になってしまったんです。そこで、進学先は留学制度が整っていて、カリキュラムに留学が必修で組まれている大学にしようと決めました。

【K】
AZさんは高校2年生でコロナ禍が始まった世代ですね。

【AZ】
そうですね。高校2年次の冬出発で考えていましたが、夏あたりに留学を斡旋してくれる団体の方からキャンセルの連絡をいただいたので、進路を考え直して大学で留学をすることになりました。

また、それ以前にも中2と高1の時にイギリス、カナダ、オーストラリアに短期でホームステイしたこともあります。初めてホームステイしたイギリスで「意外と自分の知っている英単語でもネイティブスピーカーとコミュニケーションを取れるんだ」ということに気が付き、カナダやオーストラリアでも同様にホームステイしました。特にオーストラリアでは現地校に通うことができて良い経験になりましたね。

【モニカ】
私は小学校の頃から英会話教室に通っていて英語に触れる機会が多くあったので、できる限り早い中高時代の段階で留学したいと考えていました。グローバル教育に力を入れている中高一貫校に入学して、留学のプログラムがあったので、特に迷うことなく行ってみようと思い留学しましたね

【K】
私は異文化に触れてみたかったもののAZさんやモニカさんほど留学制度が整っている中高に通ってはいなかったので、興味のあったカナダにまずは短期で行ってみました。そこで関わった人たちが親切で、気候条件や風土も自分に合っていると感じたので次は大学を休学して1年間同じ場所に留学しました。

私はまた訪れたいと感じるくらいカナダをとても気に入っていますが、お二人がなぜその留学先を選んだのかも気になります。

【AZ】
短期でイギリス、カナダ、オーストラリアに行ったことがあったので、3か月行くならまだ行ったことのない国にしようと思いアメリカにしました。

【モニカ】
私の場合、学校のプログラムで行き先はもともとニュージーランドに決まっていたので選択肢はなかったですね。中3の時にオークランド、高1~2の時にタウランガとそれぞれ異なる都市に行きましたが、後者の1年間の留学では、できる限り英語だけで生活できるように日本人が少ない田舎の都市を学校側が選定したのだと思います。逆にオークランドはニュージーランドの中ではかなり都会で日本人も比較的多いので、そこは安心感を持って過ごせたと思います。

 

▲通っていた高校の写真(モニカ)

ー費用はどれくらいかかりましたか?

【AZ】
大学に支払ったのが220万円で、あとは寮での自炊費用や生活費を含めて3か月で合計250万円くらいでしたね。ちょうどドル対円のレートが上がっていた時期だったので、全体として費用がかさんだタイミングだったと思います。

【モニカ】
私の場合は一年間で300〜350万円くらいでした。当時は円高だったので、今留学するなら400〜450万円近くになっているかもしれません。

【K】
コロナ禍前と後の留学では費用面ではかなり差が出ますよね。私は1年間で450万円くらいでしたが、レートを比較すると高校で2週間行った時は1カナダドル=約80円、大学で1年間行ったときは1カナダドル=約110円でした。少しでも円安が緩和されれば今よりも留学に行きやすくなりますね。

留学で英語への意識がガラリと変わった!新しい言語の世界に飛び込んだ瞬間

ー留学前と後の英語力を比較して、大きな変化はありましたか?

【AZ】
私は大学受験よりも前に英検2級まで持っていました。感覚的に言うとネイティブとの日常会話は普通にできるくらいで。やはりまだ自分の意見を的確に伝えたり議論したりするのが難しいレベルだったと思います。

アメリカに3か月留学して帰国してからは、文化や政治、国際開発などの内容の講義を英語で受けたり、留学生と英語でコミュニケーションをとったりしています。帰国してから英検などのテストは特に受けていませんが、英語を実生活で活かせるようになったことで自分の世界が広がったなとは感じています

【モニカ】
私は英検2級を持った状態で高1の時に留学に行きました。通っていた中高一貫校の仕組みで留学クラスとして一つのクラスが確立されていたので、英検は毎回マストで受けていました。また、中学校では英語の授業だけでなく音楽や美術の授業もネイティブの先生によって行われていて英語に触れる機会は多かったので、留学前でもある程度英語力を培うことができていたと思います。

とはいえ、英語の日常会話ではギリギリ聞き取れはしても、自分の言いたいことを発信できないといった状態でした。帰国後は高校時代に英検一級まで取得し、大学に入ってからはブランクはあるもののTOEICで915点を取ることができました。

【K】
私は、高校2年次の短期留学では異文化に触れる楽しさを知っただけで、特に英語力を上げることを目的とはしていませんでした。ただ、私の学校でも毎年英検の受験が推奨されていたので、高2で英検準1級を取得しました。

大学3年次に行った1年間の留学前後ではTOEICのスコアが775点から885点まで上がりました。もちろんテストでハイスコアを取ることも重要ですが、何よりも臆することなく英語を使えるようになったという点では、やはり生きた英語に触れることは大きな意味を持ちますね

【モニカ】
そうですね。もちろん4技能(「読む」「書く」「話す」「聞く」)の向上もありますが、留学を通して自分から英語を発信するのが怖くなくなったのは大きな変化だったと思います。

【AZ】
あと、留学前の英語力についてはやはり中高一貫教育の利点が活かされていますね。私の出身校がグローバル教育に力を入れていたというのもありますが、英語のネイティブスピーカーの先生と関係を6年間で築けて、廊下ですれ違ったら少し会話をするなどの機会があったのも影響しているのかなと思います。

【K】
私も同感です。見知った相手に対してだと比較的気軽に英語を話すことができると思うので、先生とずっとコミュニケーションを取り続けられるのは話す力の維持や向上に役立っていました。

 

ー中高時代に長期留学することで大学受験に影響はありましたか?

【モニカ】大学受験に関しては、そこまで大きな苦労したところはなかったです。というのも、中高一貫のプログラムで、高校3年間で学習する内容を2年間にまとめて、1年留学に行くという形でもともとカリキュラムが組まれていたので、ある程度日本の勉強をしっかりとできる状況で行けました。むしろ英語に対してアドバンテージを持てることが受験においてはプラスだと私はとらえていました

【K】
私は中高一貫校に通うなかで1年間丸々留学に充てると受験勉強に充分な時間が取れなそうだなと個人的に考えていたのですが、時間が足りないと感じたことはなかったですか?

【モニカ】
なかったです。私は英語、国語、社会(世界史)で受験しましたが、英語に関しては勉強量は少しで済みますし、国語や社会は暗記科目のような側面が大きいので、1年で十分リカバリーできるかなと。1年間日本を離れることによるビハインドはほぼなかったです。ただ、理系に進みたい場合帰国後の受験勉強はなかなか難しいかもしれません。

ホストファミリーや学生との交流、成功の秘訣は?

ー現地での人々(ホストファミリーや学校の友達)との交流は上手くいきましたか?

【AZ】
短期でそれぞれイギリス、カナダ、オーストラリアに行った時はすべてホームステイでしたが、総合的にすべて「当たり」なホームステイでした。優しくてコミュニケーションも頻繁に取ってくれて、ご飯も美味しくてっていう感じで。ホームステイは当たり外れがあるというか、家庭によりますね。私と一緒に行っていた子で、やはりご飯がベジタリアン寄りで合わなかったケースもありました。

友達はすぐにできたかなと思います。私も英語を学びに行っていますし、現地には日本文化とか興味ある子もいますし、そういった子たちが結構話しかけてくれたりするので、すぐにできましたね。

【モニカ】
私も2回ともホームステイでしたが、AZさんも言うようにホームステイ先は当たり外れがすごく激しいです。中学の時のホストファミリーは子供3人と大型犬がいる賑やかな家族で、結構外に出かけることも多くアウトゴーイングな家族でしたが、高校の留学の時のホストファミリーはあまり合わず、最終的にホストチェンジしました。

ただ、どのホストファミリーも交流しようとはしてくれるので、日本のお土産を持っていったり、まずは子供に話しかけてみたり、会話の切り口は結構いろいろ見つかると思います。

【K】
合う合わないはあってもとりあえずこちらから交流してみるとフレンドリーに接してくれることも多いですよね。私が行ったカナダは留学生が特に多い国なのでホストファミリーの母数がそもそも多く、食事も多国籍ですし特に問題ないだろうと思っていましたが、2回目の時はやはり合わなくて。それでもなるべくコミュニケーションを取るようにして適応する努力はしていました。運だと割り切ることも大切かなと。

【モニカ】
そうですね。友達に関しては、最初は留学生同士で繋がって後々友達の輪が現地の生徒にも派生していったみたいなイメージです。私の通っていた現地校にはヨーロッパ圏からの留学生も多かったので、最初から現地の輪に飛び込むよりも楽ではありました。私は海外の高校へのイメージとして友達同士で固まるよりも個々で行動する大学のような感じなのかなと思っていました。でも実際は意外とランチを食べるグループなどは固まっていて。なのでそこにいきなり入るのではなく先に留学生と仲良くなって、そこからのつながりで現地の友達を作っていました。

【K】
私は最後までほぼ留学生同士で仲良くしていました。一口に留学生とはいえそれぞれが持つバックグラウンドは多種多様なので、ただ話しているだけでも自分の視野は広がったと思います。もし大学で現地の友達を作りたければ、校内外のアクティビティに参加したり、可能であれば正規生と同じ講義に出て積極的にコミュニケーションを取ったりすることが必要だと感じました。

▲オーストラリア・パースのビーチにてホストシスターと撮った写真(AZ)

ー滞在中ホームシックにかかりましたか?気になる治安は?

【AZ】
数回留学していますが、一度もなかったです。逆に、充実していた時間を過ごせていたので終盤になると帰りたくないなと思うこともありました。たまに食事が恋しくなるくらいですね。

【モニカ】
私もそこまでホームシックにはならなかったです。人によっては急に家族と離れてしまったり、特に中学生はまだ遠くに一人で来ることも少なかったりするので、不安なところもあるのかなとは思います。

【K】私は一度だけありましたね。1年間の滞在中に一時帰国をしたのですが、それを終えて再びカナダに渡ったのがちょうど雨季に入るタイミングで。まだ暑かった日本からいきなりどんよりした気候の肌寒いカナダに戻ったので、その時だけは日本に帰りたいと思いました。

【AZ】
治安の面では、特にアメリカに行っていた際は気を付けなければいけないことが多かったです。少し治安が悪い地域に位置していたので、現地で通っていた語学学校の先生からは一人で出歩かないようにと何度も言われていました。あとやはり大麻などの薬物が合法か違法かが州や地域によって違うので、そういった部分も気になってはいました。

【K】
アメリカは銃社会なのも留学生にとっては懸念点ですよね。

【AZ】
それもありますね。大学生になってからの留学だと自由度が増して行動範囲も広くなるので、それによって発生する危険にも注意する必要があると思います。逆に中高時代の留学では団体で行くことが多く、引率者もいるので治安面では安心かもしれません。

【モニカ】
ニュージーランドは治安に関しては心配する必要はそこまでないと思います。自然豊かなだけあって、逆に人がいなさすぎて怖いと感じることはたまにありました。もし滞在中に問題が起こったら各地区に何人か日本人コーディネーターの方々がついていたので、何かあったら保護者や学校の先生ではなくその現地のコーディネーターに頼る形で解決していました。最初の頃は特に頻繁に学校やステイ先に来て面談してくれたので安心して生活できていましたね。

【K】
先ほどAZさんも言っていましたが、大学生ならではの危険もあると思います。カナダでも大麻の所持が合法化されているので、ダウンタウンなど人が多い地域に行くと匂いではっきりとわかるくらい使用されています。もし周りから勧められても自分は絶対に手を出さないようにはしていました

▲バンクーバーで7月中旬ごろ夜9時半に撮った写真(K)
夏のピーク時には日照時間が16時間になることもある

異文化体験で広がる視野!留学から得た大切な教訓

ー留学を通して得たことは何ですか?

【AZ】
留学先の国の文化や国民性に触れることができると同時に、現地で接した人たちから自分の国について聞かれることで自国をより深く知れると思います。今後更に国を跨いだ人の往来が増えたり世界のグローバル化が進んだりする中で、自分の国に誇りを持ちつつ、違うバックグラウンドを持つ人たちと接して多様性を持つことは大切だと感じています

【モニカ】
私は留学を通して大きく二つのことを学べたと感じています。

一つ目はチャレンジすることが怖くなくなったことです。日本で過ごしていた時は学校の先生に言われたから何かをするという形で受け身の状態でいることが多かったです。日本の教育システムがそうさせている部分も多いとは思いますが、海外では自分から発信しないと何を考えているかわからなかったり、自分から動かないとアクティビティに参加できなかったりするので、自発的にアクションを起こす力はかなり身につくと思います。

二つ目は自立ができるという点です。1年間中高で親元を離れて海外で生活するのは貴重な経験でしたし、私にとってとてもチャレンジングなことでした。ホストファミリーとはいえやはり家族とは違う存在なので、異なった環境下で自分で生活することで自立する力も身につけることができたと思います。

【K】
私は以前より何事も気楽に捉えられるようになりました。海外で生活すること自体、当初はうまくいかないことも多かったです。そういう経験を積むことで自分の中のハードルが下がり、失敗することは珍しくはない、何事も失敗してもまた挑戦すればいい、という考え方ができるようになりました

また、AZさんも言うように国外に出ることで改めて自国の良さに気づけたことも大きいですね。多様性尊重という観点からは、異文化に目を向ける前にまずは自国文化を理解することでより視野が広がると思います

▲スクールボール(プロムのようなもの)の時に撮った写真(モニカ)

ー留学経験は、ご自身の現在の姿にどのように反映されていますか?

【AZ】
現在大学で学んでいることの一つに国際開発学があるのですが、それをより深く学ぶためにイギリスの大学院への進学を視野に入れています。国際開発学の起源がイギリスだからという理由もありますし、一度ホームステイをした経験があるので安心感も合わさってイギリスがいいなと。学生時代に数か国に留学したことで将来進む道の幅が広がったなと感じますね

【モニカ】
留学を通して英語を一つのツールとして使えるようになり、一生消えない大きな財産を手に入れた実感がありますね。今海外に展開していない企業がほとんどない分、英語を自分のものにできたことでチャンスが広がりますし、自分の挑戦できる可能性を広げられたと社会人になって改めて感じます。現在所属している部署の中に外国人の方は多くいますし、メールや書類は全て英語表記なので、そういった部分でも英語を役立てられていると思います。

【K】
現在の日本はインバウンド需要がとても大きく日常生活でも海外からの観光客と接する場面は毎日ありますが、そういった状況下で英語はとても自分の実になっているなと感じますね。

言語はコミュニケーションツールなので、ただ難しい単語を用いたり発音を磨いたりするだけではなく、相手に伝わる英語を話すように心がけるようになりました。留学を通して本質の部分に気が付いてからは更に英語を好きになりましたし、今後はキャリアに活かせるようによりアカデミックなレベルで英語を使えるようにしていきたいです。

ー最後に座談会の感想をお願いします。

【AZ】
他の中高一貫校生と話す機会はあまりないので貴重な機会だったと思います。特に中高一貫校出身かつ留学経験がある人たちが集まって話ができたという点が良かったです。

【モニカ】
中高一貫教育だからこそ、受験を気にせずに中学生の時に留学に行けたり選択の幅を広げられたりと、様々な体験ができる部分を改めて感じました。

【K】
同じように中高一貫校出身とはいえ、それぞれ異なった道を歩んでいて興味深かったです。お二人の話を聞いたり自分の経験を振り返ることで改めて留学することの良さに気が付きました。

まとめ

海外留学の方法は三者三様です。ただ、共通して言えるのは「海外留学によって将来の選択肢が増える」ということです。一度日本や親元を離れて異国に飛び込むことで、見える世界はまた違ったものになるでしょう。

言語習得以外の観点からも、海外留学は若い皆さんにとって非常に有意義なものです。当記事が様々な不安や懸念を抱いていて留学に踏み切れない方への後押しとなることを願っています。

投稿者プロフィール

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中高一貫校専門 個別指導塾WAYS 編集部
中高一貫校生の定期テスト対策から大学受験・内部進学までをトータルサポートする個別指導塾。
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英語、数学をメインに指導を行っています。

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