都立の中高一貫校と私立校との違いとは?入試方法・学費・進路徹底比較
東京都内には、「都立」「私立」の中高一貫校がおよそ200校あります。
志望校選びは、在学中の6年間だけでなく将来も左右するかもしれない、重要な選択です。
その際、都立と私立の違いが分かっていなければ、入学後に後悔する可能性もあります。
そこでこの記事では、都立と私立の中高一貫校の違いについて、詳しくご紹介します。
「都立と私立の中高一貫校は何が違うの?」
「都立校と私立校を併願したいけれど、どうやって選べばよいか分からない」
といった悩みをお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
このページの目次
都立中高一貫校と私立校の数
都立の中高一貫校と私立の中高一貫校を比較する前に、それぞれの数を確認しておきましょう。
まず都立の中高一貫校は、中等教育学校が5校・併設型が5校の全部で10校あります。
中等教育学校とは、中学・高校の6年間を半分に分け、前期課程・後期課程として教育を行う学校のことをいいます。
後期課程からの生徒募集はしません。
併設型とは、中学と高校を継続して一貫教育を行う学校のことです。
中学から進学する場合、試験不要で進学できます。
高校からの生徒は高校入試を実施し、受け入れを行います。
ただし、都立の併設型の場合、高校からの募集はありません。
【都立中高一貫校】
中等教育学校 | 併設型 |
---|---|
小石川中等教育学校 桜修館中等教育学校 立川国際中等教育学校 南多摩中等教育学校 三鷹中等教育学校 |
白鷗高校・附属中学校 両国高校・附属中学校 武蔵高校・附属中学校 富士高校・附属中学校 大泉高校・附属中学校 |
対して、私立の中高一貫校は併設型だけでも都内に約150校あります。
数の違いを考えると、都立の中高一貫校へ入学する方が狭き門であることは明らかです。
都立中高一貫校と私立校の違い
数において、これだけの差がある都立と私立の中高一貫校は、このほかにも、入試の日程や倍率・学費など異なる点があります。
これらの違いを比較してみましょう。
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入試日程
都立中高一貫校の一般枠入試は、毎年10校がすべて同じ日(2月3日)に行われます。
そのため、都立校同士の併願はできません。
私立の中高一貫校は、入試日が一定ではありません。
日程さえ重ならなければ、都立+私立・私立+私立の併願も可能です。
入試方法
都立中高一貫校では一般的な入学試験は行わず、学校から提出される「報告書」と「適性検査」によって、入学者が選抜されます。
適性検査は、科目関係なく小学校で学んだ内容をもとに、思考力や判断力・表現力を問う問題が出題されます。
問題内容は、都立の中高一貫校の共同作成問題、もしくは各校独自の問題です。
一方で、私立の中高一貫校は、4教科それぞれの学力をみる「入学試験」が行われます。
私立の場合は、小学校で習っていないジャンルの問題が出題されることもあり、志望校に合わせた対策が必要です。
とはいえ私立校でも、年々適性検査を行う学校が増えてきています。
そのため、都立中高一貫校を目指す受験生も、私立校との併願がしやすくなりました。
学費
都立と私立の中高一貫校の最大の違いは、6年間にかかる費用です。
都立の場合、中学校・中等教育学校の前期課程では、入学金・授業料はかかりません。
それ以外の学費は以下のようになります。
都立校 | 私立校 | |
---|---|---|
入学金 | ― | 25万円~40万円 |
授業料 | 中学3年間は不要 それ以降11万8,800円/年 |
40万円~60万円/年 |
その他 | 給食費 学用品購入 修学旅行積立て など |
給食費 学用品購入 修学旅行積立て 寄付金(任意) など |
都立校では6年間の合計が100万円~150万円程度なのに対し、私立校では500万円~700万円かかります。
この金額の差が、志望校選択の大きな壁となっているケースも見られます。
ただ、令和2年より、保護者の年収により私立高校の授業料無償化が始まりました。
また、無償化の対象とならない中学の授業料も、地域で補助金制度や軽減事業が行われている場合もあります。
特待生制度や奨学金制度を活用する方法も考えられるでしょう。
これまでと比べ、都立と私立の授業料の差が縮まっているといえます。
進路
都立中高一貫校の偏差値は50台後半から60台後半とハイレベルな学校ばかりです。
そのため、卒業後も国公立大学への進学者が複数人います。
【都立中高一貫校の国公立大学現役合格者数(2022年度)】
学校名 | 合格者数 |
---|---|
小石川中等教育学校 | 87人 |
桜修館中等教育学校 | 54人 |
立川国際中等教育学校 | 63人 |
南多摩中等教育学校 | 60人 |
三鷹中等教育学校 | 53人 |
白鷗高校・附属中学校 | 58人 |
両国高校・附属中学校 | 71人 |
武蔵高校・附属中学校 | 69人 |
富士高校・附属中学校 | 40人 |
大泉高校・附属中学校 | 43人 |
それに対し私立の中高一貫校では、偏差値が30台から70台と学力に幅があり、進学先もさまざまです。
それだけ、私立の中高一貫校の方が、選択肢の幅が広いと捉えることもできます。
都立中高一貫校と私立校で教育に違いはあるのか
東京都教育委員会によると、都立の中高一貫校を次のように説明しています。
「6年間の一貫教育の中で、社会の様々な場面、分野において人々の信頼を得て、将来のリーダーとなり得る人材を育成することを目的とする学校です。」(※)
つまり個性や創造性を伸ばしながらも、社会に貢献できる人材を育てることが目的だということです。
そのため、ほかの都立中学・高校と比べ、論理的に物事を考える力を養うための授業や、さまざまな知識を身につけるためのバラエティ豊かな授業が積極的に行われています。
ただし、学校ごとに力を入れている内容は異なるため、本人に合った授業内容の学校を選ぶ必要があるでしょう。
それに対し、私立の中高一貫校は、学校ごとに独自の校風や伝統があります。
国際教育・キャリア教育など学校によって、多種多様な指導を行っており、その教育理念に賛同する保護者がお子さんを入学させているのです。
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(※引用:東京都教育委員会 都立中高一貫教育校(中等教育学校及び併設型中高一貫教育校)とは)
都立と私立の中高一貫校を受験する際の注意点
中高一貫校を受験する際は、もちろん費用や偏差値も気になりますが、都立と私立の違いではなく、学校の個性を見て決めることが重要です。
どの中高一貫校も、学校ごとの特色があります。
せっかく入学しても、その校風が合わないこともあるでしょう。
まずは、特徴をしっかり調べ、どの学校が合っているか判断しましょう。
また、都立校と私立校を併願する場合、どちらも適性検査を選択したほうが、少ない負担で対策できます。
適性検査以外に一般入試の対策も行うのは、かなり負担がかかることを理解しておきましょう。
まとめ
都内の多くの中高一貫校の中から、自分に合った志望校選びをするのは難しいものです。
「都立」と「私立」の中高一貫校には、入試方法や日程・学費などに大きな違いがあります。
これらのことを参考に、ご本人に合った志望校を選びましょう。
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