【応用編】一次関数のグラフの変域と文章題とは?ポイントと教え方を解説|中学数学

一次関数におけるグラフの変域と文章題について、中学生に教える際のポイントを基礎からやさしく解説します。一次関数の応用編です。

解き方のポイント

①変域とは、xやyのとりうる値の範囲のこと

②文章題では、xやyの変域に留意しつつ、日本語をy=ax+bに置き換える

なお、基礎編では直線の式とグラフについて解説しています。詳細は下記の記事をご覧ください。

一次関数の変域とは

一次関数は一本の直線ですので、xはどのような値にもなり、また、yもそれに応じてどのようにも変化します。

そのなかで、xやyのとれる範囲を限定するというのが、変域の考え方です。無限に伸びる一本の直線の一部を切り取るイメージですね。

変域は、「変数のとれる値の範囲」という意味です。xの変域を定義域、yの変域を値域といいます。

例えば、一次関数y=x+2において、定義域が1≦x≦4のとき、値域は3≦y≦6となります。

また、y=ーx+2において、定義域が1≦x≦4のとき、値域は-2≦y≦1となります。

一次関数の文章題とは

一定の割合で水を入れる、一定の速度で移動するなど、一定の割合で物事を続けるという設定の場合、一次関数を用いることができます。

日本語の文章をy=ax+bに置き換えましょう。

例えば、4Lの水が入っているところに、毎分3Lずつ水を入れるとき、x分後の水の量yLは、y=3x+4と表せます。

さらに、19Lまでしか入らない水槽という設定であれば、5分後には水槽は満杯になります。

ということは、定義域は0≦x≦5(時間はマイナスにならない)、値域は4≦y≦19となります。

一次関数の変域を教えるポイント

まずは適当な直線の式を図示し、直線が無限に伸びることを確認します。

例えば、y=-2x+4のグラフを描画してみてください。

ここでは仮に、定義域が-2≦x<3であるとします。値域は-2<y≦8となります。

このとき、グラフ上では、変域内(-2≦x<3)の部分を実線、それ以外の部分を破線にするのが一般的です。

そして、実線と破線の境目の座標については、「≦」のように端の点を含む場合は黒丸、「<」のように端の点を含まない場合は白丸とします。

上記の例では、点(3、-2)は含まないので白丸、点(-2、8)は含むので黒丸としましょう。

合わせて、「変数のとれる値の範囲」のことを変域といい、xの変域を定義域、yの変域を値域と呼ぶことを伝えてください。

その他、様々な直線の式を用いて、変域の考え方に慣れてもらいましょう。

一次関数の文章題の解き方を教えるポイント

文章題の攻略は次の2パターンです。

①文章題の言葉→直線の式(→グラフ)

②文章題の言葉+グラフ→直線の式

ポイントは、x・yをどうおいて、日本語の文章をどのように数式化していくか、です。

最初のうちは、解説の意味を読み解くところから始めてもよいでしょう。

以下、例題を挙げておきます。解説では、どのように考えているかまで書いていますので、お子さんに教える際の参考にしてください。

〈例題1〉文章題の言葉→直線の式(→グラフ)のパターン

水が100L入った水槽から、一定の割合で水槽が空になるまで水を抜く。6分後に水槽の水は64Lになった。10分後に水槽の水の量は何Lになっているか。

〈例題2〉文章題の言葉+グラフ→直線の式のパターン

Aさんは家から1200m離れた駅まで歩いて向かった。Aさんの姉はAさんより10分遅れて自転車で出発した。

次の図は、Aさんと姉がそれぞれ進む様子を、Aさんが家を出発してからの時間をx分、家からの距離をymとして表したものである。

姉がAさんに追いついたのは、Aさんが家を出発してから何分後か。また、家から何mの地点か。

【解説】

〈例題1〉

一定の割合というのが、変化の割合aを表していますので、毎分aLの水が抜かれているとおきます。

また、水を抜いた時間をx分、水槽の水の量をyLとして、y=ーax+100とおけるかどうかがポイントです。

6分後に水槽の水は64Lになっているので、64=ー6a+100となり、a=6です。

あとは、y=ー6x+100x=10を代入すればOK。答えは、40Lです。

〈例題2〉

姉がAさんに追いついた地点は、Aさんの進む様子を表す一次関数のグラフと、姉が進む様子を表す一次関数のグラフとの交点だといえます。

Aさんの進む様子を表す直線の式を求めましょう。

グラフより、原点(0、0)を通るので、y=axとおけます。

点(20、1200)を通ることから、a=60となるので、y=60x……①

次に、姉が進む様子を表す直線の式を求めましょう。

グラフより、点(10、0)と点(15、800)を通ることから、xが5増加する間に、yは800増加していることがわかります。

変化の割合aは、800÷5=160なので、y=160x+bとおけます。

(x、y)=(10、0)を代入して0=160・10+bより、b=ー1600となるので、y=160xー1600……②

①と②の交点では、①の(x、y)と②の(x、y)の値は同じになるはずです。

したがって、y=60x=160xー1600が成立します。

160xー1600=60x

移項すると、160xー60x=1600となり、100x=1600より、x=16です。

これを①に代入すると、y=960となります。

以上より、姉がAさんに追いついたのは、Aさんが家を出発してから16分後で、家から960mの地点です。

概要が理解できれば問題演習を重ねよう

教えてもらっている状態で問題が解けたとしても、独力でできなければ意味がありません。分かった気になっているだけ、ということもあります。

思考力が問われる数学であっても、反復練習は非常に大事です。簡単な問題から標準レベルの問題まで、段階を踏んで解いていくようにしましょう。

解けた問題には○、解けなかった問題には△や×をつけ、2周目以降では△や×の問題を中心にやり直すようにしてください。

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お子さんの理解が進まないパターン3選とその対処法

教えてもなかなか理解してもらえない

根気よく何度も例題レベルの問題を一緒に解いてください。

ヒントを出しながら解いてもらい、徐々にヒントの量を減らすというのも有効です。

一次関数の文章題では、解説の1行1行の意味を押さえることが大切です。

どのように日本語を数式化しているかを理解しましょう。

様々なパターンの問題がありますので、とにかく数をこなし、慣れることが大事です。

教えるとその場ではできるのに、お子さん一人で問題を解くと間違いが多発

このパターンは、さらに以下の2パターンに大別できます。

①問題演習が足りていない

→問題演習で基礎レベルから順番に解いていきましょう。

②教えられた時は分かった気になっている

→どこでつまずいているのかを分析、理解できていないポイントを再説明しましょう。その後、説明したポイントが理解できているかを測れる問題を演習できるとベストです。

変域をグラフ化することと、文章題における日本語を数式化すること。この二つが難所です。丁寧に学習を進めてあげてください。

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投稿者プロフィール

青木 ユウ
青木 ユウ
中高一貫校に勤めて10年になる中堅教師。卒業生を3度送り出し、中学生・高校生問わず指導経験が豊富です。自身も中高一貫校出身なので、中高一貫校のことを知り尽くしています。勉強に苦しむ生徒に向き合い、試行錯誤をする日々。そんな教師生活から得られた知見をお伝えし、全国の子供たちの力になれたらと思います。

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