【基本編】一次関数とは?直線の式・グラフの基本と教え方を徹底解説|中学数学
一次関数とは何か? 直線の式とグラフについて、中学生に教える際のポイントを、基礎からやさしく解説します。
解き方のポイント
①直線の式の基本形はy=ax+b(aは変化の割合を表す)
②y=ax+bをグラフ化するとき、aはグラフの傾き、bはy軸とどこで交わるかを表す
なお、応用編であるグラフの変域と文章題については、下記の記事をご覧ください。
このページの目次
一次関数とは
まずは、「一次関数」がどういうものなのか、定義の説明から始めます。
なんとなくイメージがつかめれば大丈夫ですので、気軽に読み流してください。
一次関数がy=ax+bの形で表されることを押さえましょう。
関数とは
一方の値を定めると、もう一方の値が定まるとき、yはxの関数であるといいます。
例えば、y=x+3において、x=2を代入するとy=5となります。また、x=-2を代入するとy=1となります。
一次関数はy=ax+bと表せる
一次関数は、項のなかで最大次数が1である関数のことをいいます。次数とは、文字の個数のことです。xの右肩についている数字が次数を表します。
例えば、y=2x-3は一次関数、y=x2+3x-1はy=x・x+3x-1となり、最大次数が2なので二次関数、y=x3+2x2ー5x+2は、y=x・x・x+2x・xー5x+2となり、最大次数が3なので三次関数です。
一次関数はy=ax+bの形で表すことができます。
aを変化の割合(グラフでいうところの傾き)といいます。xが1増えるとyはa増え、xが2増えるとyは2a増えます。
一次関数(y=ax+b)をグラフにしてみよう!
bはy切片でaが傾きを表す!
y=ax+bにおいて、aの値に関係なくy=bになるのは、x=0のときです(y=ax+b=a・0+b=b)。
つまり、y=ax+bは、xy座標上の点(0、b)を通ります。bはy軸上にありますので、これをy切片といいます。
また、aをグラフの傾きといいます。
まずは比例の単元で出てきたy=axのグラフを思い出しましょう。
例えば、y=2xのとき、xが1増えるとyは2増え、xが1減るとyは2減るので、以下のようなグラフ(青)になります。
これは、原点(0、0)を通っていますが、y=2x+bの場合は、(0、b)を通るので上下に平行移動することになります。
b=4の場合(y=2x+4)は、以下のようなグラフ(黄)になります。
例題
次の一次関数のグラフをそれぞれ描画してみてください。
①y=-2x+4
②y=1/2x+2
答えは以下の通りです。
①
xに色々な値を代入し、yの値を求めてみましょう。
点(ー4、12)・点(0、4)・点(2、0)・点(4、-4)などのうち、任意の2点を直線で結べばOKです。
②
xに色々な値を代入し、yの値を求めてみましょう。
点(ー6、-1)・点(-2、1)・点(0、2)・点(4、4)などのうち、任意の2点を直線で結べばOKです。
一次関数の解き方を教えるポイント
まずは概要の理解から
y=ax+bが一次関数の基本形であることを伝え、y=2x+1などの簡単な式に実際に数値を代入してみてください。
なお、aを変化の割合(グラフでいうところの傾き)と呼ぶことを伝えましょう。
次に、一次関数のグラフを描画する前に、導入として、比例を表すy=axのグラフを書いてもらいます。y=2xやy=3x、y=ー2xなど、グラフを複数描画することで、aの値を変えるとグラフの傾きが変わることを実感しましょう。
また、aを傾きと呼ぶことも伝えてください。
続いて+bが加わることで何が変わるかを実感してもらいます。y=2x+bの場合、y=2xのグラフをbだけ上下移動したものだということを図示してあげてください。
同時に、x=0のとき、aがどのような値をとってもy=bとなることを伝え、y=ax+bのグラフが(x、y)=(0、b)を通ること、bをy切片と呼ぶことを伝えればOKです。
王道の基本問題で練習を!
A:次の一次関数のグラフを書いてみよう。
①y=ー2x+4
②y=1/2x+2
B:次の直線の式を求めよう。
①傾きが2で点(3、8)を通る。
②変化の割合がー2で点(ー2、3)を通る。
③xの増加量が2のとき、yの増加量がー6。また、x=3のとき、y=ー2である。
④2点(ー1、4)(3、ー4)を通る。
以下、Bの解説です。
①
y=ax+bとおく。
傾きが2なので、a=2。
点(3、8)を通るので、y=2x+bのxに3、yに8を代入すると、8=2・3+bとなり、b=2である。
したがって、答えはy=2x+2
②
y=ax+bとおく。
変化の割合がー2なので、a=ー2。
点(-2、3)を通るので、y=ー2x+bのxに-2、yに3を代入すると、3=-2・(-2)+bとなり、b=-1である。
したがって、答えはy=-2x-1
③
y=ax+bとおく。
xの増加量が1のときのyの増加量が変化の割合である。
xの増加量が2のとき、yの増加量がー6なので、変化の割合は-3である。よって、a=ー3。
x=3のとき、y=ー2であるから、y=-3a+bに代入すると、-2=-3・3+bとなり、b=7である。
したがって、答えはy=-3x+7
④
y=ax+bとおく。
〈解法1〉変化の割合を出して先にaを確定する
xが-1から3まで4増加するとき、yは4から-4まで-8増加している。
よって、変化の割合aは-2。
点(ー1、4)を通るので、y=ー2x+bのxに-1、yに4を代入すると、4=-2・(-1)+bとなり、b=2である。
したがって、答えはy=ー2x+2
〈解法2〉連立方程式を立ててaとbを一気に求める
2点(ー1、4)(3、ー4)を通るので、
ーa+b=4……ⅰ
3a+b=ー4……ⅱ
ⅱーⅰより、4a=ー8となるので、a=ー2
ⅰにa=2を代入すると、ー(ー2)+b=4より、b=2
したがって、答えはy=-2x+2
直線の式を求める問題を解く際は、どの文字にどの数値を代入すればよいのかを丁寧に確認することが大切です。
概要が理解できれば問題演習を重ねよう
教えてもらっている状態で問題が解けたとしても、独力でできなければ意味がありません。分かった気になっているだけ、ということもあります。
思考力が問われる数学であっても、反復練習は非常に大事です。簡単な問題から標準レベルの問題まで、段階を踏んで解いていくようにしましょう。
解けた問題には○、解けなかった問題には△や×をつけ、2周目以降では△や×の問題を中心にやり直すようにしてください。
オススメの問題集は、『中学校3年間の数学が1冊でしっかりわかる問題集』(かんき出版)や『チャート式中学数学 シリーズ』(数研出版)です。
お子さんの理解が進まないパターン3選とその対処法
教えてもなかなか理解してもらえない
根気よく何度も例題レベルの問題を一緒に解いてください。
ヒントを出しながら解いてもらい、徐々にヒントの量を減らすというのも有効です。
直線の式をグラフ化する際にイメージがつかみにくいようであれば、直線の式に様々な値を代入して座標上に点をとってもらってください。
とにかく数をこなし、慣れることが大事です。
教えるとその場ではできるのに、お子さん一人で問題を解くと間違いが多発
このパターンは、さらに以下の2パターンに大別できます。
①問題演習が足りていない
→問題演習で基礎レベルから順番に解いていきましょう。
②教えられた時は分かった気になっている
→どこでつまずいているのかを分析、理解できていないポイントを再説明しましょう。その後、説明したポイントが理解できているかを測れる問題を演習できるとベストです。
直線の式のグラフ化と、与えられた条件から直線の式を求めること。この二つが一次関数の難所です。丁寧に学習を進めてあげてください。
教えようとすると、ちょっとした間違いを指摘しただけで機嫌が悪くなり、うまくいかない
思春期で親子関係が難しく、接し方にデリケートな配慮が必要な場合があります。
1つ指摘するときは1つ以上ほめることを意識しましょう。ほめる内容は、学習を着実に進められている点などにするのがオススメです。
そして大事なことは、「根気強く、粘り強く」です。保護者の方が不機嫌になったり、イライラしたりしないように心がけてください。
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投稿者プロフィール
- 中高一貫校に勤めて10年になる中堅教師。卒業生を3度送り出し、中学生・高校生問わず指導経験が豊富です。自身も中高一貫校出身なので、中高一貫校のことを知り尽くしています。勉強に苦しむ生徒に向き合い、試行錯誤をする日々。そんな教師生活から得られた知見をお伝えし、全国の子供たちの力になれたらと思います。
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