現代文の要約のコツ|当てはめれば立派な要約文ができる「作文フォーマット」付き
「要約」は、定期テスト、大学入試、小論文にレポート作成と、中学・高校・大学のあらゆる場面で役に立つテクニックです。
要約をする力は、数学で計算をたくさんするほど実力が上がるように、たくさんの文章を読み、実際に要約をしてみることで、伸びていきます。
お子さんが、国語の現代文のテストで要約が苦手な場合に、やり方とコツをレクチャーする方法を解説します。
このページの目次
「要約」の力をつけるべき理由
「要約」は日常でも役立つ「一生モノ」スキル
そもそもの話、お子さん自身が要約の重要性を認識できなければ、学ぼうとする意欲がわかず、必要な練習もできないため、要約する力は伸びません。
幸いなことに、数学の難解な公式とは違い、要約は日常生活、社会生活の中でも、とても役に立つ重要なスキルです。
たとえば、私たちが生きる上で「誰かを説得する」という作業が欠かせませんが、要約=要点を整理してまとめる力があれば、主張を伝えやすくなります。
要約=主張の要点を整理すること
家族旅行で東京ディズニーリゾートに行く計画を立てるときを考えてみましょう。
いきなり「ディズニーホテルを予約してほしい。家族4人で50万円くらい」と言われても、お財布の紐を握るお父さんは、「高すぎる!そんなのありえない」と驚いてしまうでしょう。
だからこそ、次のように要点を整理して伝える必要があります。
- お盆休みの家族旅行の行き先の話
- 東京ディズニーシーに新しいエリアができて、すごい完成度だというので、何としても行きたい
- 新しいエリアで自由に遊ぶには、専用チケットが必要だが、特定のディズニーホテルに泊まらないと入手できない
- ディズニーホテルは大人気でまったく予約できないので、公式宿泊プランを購入する必要があり、お盆なら家族4人で50万円くらいになる
「ディズニーで50万円」だけ聞けば、たかがテーマパークで遊ぶのにそんな大金を払うのはバカバカしいと多くは拒否されてしまうでしょう。
しかし、相手が理解しやすいように、要点を取りまとめて、わかりやすく伝えることで、少なくとも主張をしっかりわかってもらうことができます。
学業はもちろん、社会に出てからも必要不可欠
要約する力がつけば、日々のコミュニケーションはもちろん、定期テスト(現代文の長文読解など)、大学入試の小論文、大学でのレポート作成と、学業の役に立ちます。
大人になってから会社でプレゼンテーション(提案)をしたり、仲間や賛同者を集めようとしたりするときにも、要約の力があれば、主張を相手に理解してもらえる可能性を高められます。
現代文の要約のコツ – 要約文を作る前に整理すること
ポイント1:何の話なのかを明確にする
長文を読んでいくと、いろいろと気になるキーワードや、印象に残る文章が出てくると思います。
しかし、最初に考えるべきは「これは全体として何の話なのか?」です。
たとえば、NHK高校講座「第26回 要約の方法」で、昔話『浦島太郎』を30字以内で要約する課題が紹介されています。
ぜひあなたも考えてみてください。
『浦島太郎』は、「若者が亀を助けた話」でしょうか、それとも「亀を助けたら龍宮城に行けた話」でしょうか。あるいは終盤の教訓的要素を重視するなら「ダメと言われたことをやってしまって、すべてを失った話」でしょうか。
こうした「物語」の場合は、解釈は自由なので、考える人の数だけ答があります。
しかし、国語の現代文で読む「論説」には、筆者の主張があります。
筆者は何の話をしているのか?を考え、明確にするのが、要約の第一歩です。
先ほど紹介した「ディズニーで50万円」の話題であれば、まず「お盆休みの家族旅行の行き先の話」だと伝えることで、スムーズにその後の話に入っていけます。
同じように、要約でも、まずこれは何の話なのかが、読み手(テストの採点者)にわかるようにしましょう。
ポイント2:なにが問題なのか?を考える
続いて、筆者が主張するにあたって、背景にどんな問題や、解決すべき課題があるのかを考えます。
ディズニーの話題で言えば、「東京ディズニーシーの新しいエリアで遊びたいが、必要な専用チケットが手に入らない」というのが、解決すべき課題です。
ここまで整理できると、「筆者は1について話題にしていて、背景に2という問題があるから、主張を行っている」という状況が客観視できます。
ポイント3:文章を3つ(序論、本論、結論)に分けて考える
さらに論説文の骨格について考えてみます。
文章の基本構成は、序論、本論、結論の三段構成だと言われます。
- 序論……何の話なのかの説明、前提となる情報の提示、問題提起
- 本論……筆者の主張や、その対論
- 結論……主張の結論
テストで論説文が登場したら、一通り読んでみたあと、序論、本論、結論の区切りを探しましょう。
要約文を考えるときは、序論、本論、結論をバランス良く並べられると良いでしょう。
現代文の要約のコツ – 要約文を作成するときの注意点
コピーではなく「作文」する
要約というのは、筆者の主張を汲んで、要点を整理することです。
論説文の文章を、切った貼った(コピペ)して作り上げるのではなく、自分のオリジナルの文章で説明します。
文章作成能力を鍛える意味でも、イチから自分で文章を考え、作り上げてみましょう。
主張と根拠を探す
具体的に、要約文にどんな内容を入れていくかを検討します。
まずは筆者の「主張」です。先ほど、「何の話なのか」「何が問題なのか」を整理しました。
そこに対して、筆者の個人的な意見や見解が書かれている部分が主張です。
主張を補強する「根拠」も見つけましょう。筆者が、なぜそう思う・考えるのかの理由です。
筆者の主張が「ツチノコは本当にいる」であった場合、「ツチノコを見たという証言がいくつもあった」というのが根拠になります。
「キーワード」や「キーセンテンス」を見つけ、要約に組み入れるのも効果的です。文章中で何度も使われている言葉やフレーズを探しましょう。
筆者の主張が書かれた文章のため、最も重要な部分といえます。
「重要なのは」「~なのではないか」「~だと考える」等、筆者の強調や主観が入っている表現は、キーセンテンスの目印になる可能性が高いので、意識します。
対論、反対意見を探す
多く場合、自身の主張を、逆または別の主張と対比しながら、論説を進めていきます。
比較対象があることで、よりわかりやすくなり、また自身の主張を際立たせられるからです。
要約の文字数にもよりますが、対論・反対意見も、要約に入れられないか検討しましょう。
見つけ方は、主に2つです。
1つは「しかし」「だが」「ではなく」などの逆説表現です。
そのあとに筆者の主張が続くため、「しかし」「だが」等の手前には、対論・反対意見があるケースが増えます。
2つめは、「~だと思われている」「従来は~」「今までは~」などの部分です。
過去の常識や思い込みが記されており、これを否定する形で筆者の主張が語られます。
当てはめれば立派な要約文に!作文フォーマット
- 対論・反対意見の紹介
- 筆者の主張と、その根拠
- 結論
という流れがフォーマットになります。
まずは、序論、本論、結論の三段を意識しながら、3文で説明できないか考えてみます。
A(対論・反対意見)という意見がある。しかし、筆者はB(根拠)という理由で、C(筆者の主張)だと考えている。そのためD(結論)と言える。
例のように、「しかし」で2文目につなげ、「そのため」で結論につなげると、自然な流れになります。
要約文の作文になれないうちは、当てはめながら考えてみましょう。
文章が出来上がったら、必ず頭から読み直して、違和感のない自然な文章になっているか確認します。主語と述語があるかどうかもチェックしてください。
文字数によっても作り方は変わります。
たとえば、要約文のレギュレーションが、40字、100字など少ない場合は、対論・反対意見は削り、筆者の主張から入る必要が出てくるかもしれません。
また、固有名詞や具体例は、要約には不要な場合がほとんどです。もっと大きな視点で、話の流れの全体像をつかみ、伝えることを意識します。
要約する力をつける方法|たくさんの文章を読み、実際に要約をしてみる
理屈で理解できたとしても、実際に国語の現代文のテストで、得点になる要約ができるかというと、簡単ではないでしょう。
要約する力をつけるには、
- 日常的に多くの文章を読む
- 要約の練習を重ねる
という2つの行動が不可欠です。
文章力についても、才能だと思っている人は少なくないですが、実際には、「たくさんの文章を読み、たくさんの文章を書く」ことによってのみ、向上させられるスキルです。
近年は、調べ物をするときに、SNSやYouTubeを使うケースが少なくありません。
しかし、これらコンテンツはすでに要約されたものです。ストレスなく結論を受け取れるように作られたものですので、読解力、要約力、文章力といった能力は伸びません。
SNSやYouTube、そしてAIが手軽に要約を示してくれる時代で、便利ではありますが、読解力、要約力、文章力を伸ばす観点からは、あえてアナログに触れるということが重要になってきます。
本を読む習慣をつける、中高生新聞をとる、調べ物をするときに本を使用するなど、長文に触れられる環境を作ってあげてください。
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