中高一貫校とは? 進学系中高一貫校の教育カリキュラム、学習システム事典

笑顔で友達と話す中高一貫校生

中学・高校の6年間を一貫した教育課程で学べる、中高一貫校。

特に大学受験を目標にする、進学系の中高一貫校、私立中学では、学習難易度が高く、学校外での学習(自宅での予習、復習、宿題、演習など)が不可欠です。

中には授業についていけずに落ちこぼれてしまう生徒もいます。

中高一貫校専門塾として蓄積してきたノウハウから、中高一貫校の教育カリキュラムの特徴や、学習のポイント、生徒が抱えやすい学習面の問題について、包括的に紹介します。

中高一貫校のスタイルによる違い

「教育の選択肢を増やす」中高一貫校の多様性

中高一貫教育は、文部科学省で推進されており、平成11年4月から導入されています。主旨を次のように説明しています。

従来の中学校・高等学校の制度に加えて,生徒や保護者が6年間の一貫した教育課程や学習環境の下で学ぶ機会をも選択できるようにすることにより,中等教育の一層の多様化を推進し,生徒一人一人の個性をより重視した教育の実現を目指すものとして(中略)中高一貫教育を選択的に導入することが可能となりました。

中高一貫教育の概要と設置状況 – 文部科学省

すなわち、「中等教育の多様化推進」を行い、家庭および子ども自身の選択肢を増やすことが目的です。

実際のところ、学力を重視する学校もあれば、部活動や探究学習、社会で活躍するための力を重視する学校もあります。

入学して子どもが得られる体験・教育という観点では千差万別であり、「中高一貫校」だからと一括りにできません。

大学進学を大きな目標とする、進学系の中高一貫校

その中でも、大学への進学に強みを持つ中高一貫校は、大きく2つに分けられます。

  1. 難関大学合格を目指す進学校
  2. 大学付属校

中高一貫校というと多くの人がまずイメージするのが、難関大学や、ネームバリューのある名門大学の合格を目指すタイプの進学校でしょう。

中高6年間の勉強を、5年間で終えてしまう、先取りカリキュラムを採用しているケースが多いのが特長です。

学習の難易度は上がりますが、大学入試に対応した実力をつけるための演習の時間を多く取れるため、大学受験に有利な環境となっています。

当記事「進学系中高一貫校の教育カリキュラム、学習システム事典」では、こちらのタイプの中高一貫校について、主に取り扱います。

大学付属の中高一貫校は、系列大学への進学を前提としたカリキュラムをとります。

大学受験をせずに進学できるため、進学校ほどの勉強の厳しさはないケースが多くなります。

ただし、系列大学への進学率が100%ではないこともありますので、必ずしも希望どおりに大学進学ができるわけではありません。勉強が厳しくないとは言っても、学校内での競争に勝つ必要はあります。

中高一貫校のカリキュラムの特徴「大学受験に有利」

中高一貫校が有利なポイント

大学入試に繋がる、内容の濃い授業

大学受験、入試を目標とする中高一貫校・私立中学が有利なのは、先取りカリキュラムだけではありません。

まず、学習内容の濃さが挙げられます。授業が大学入試レベルの内容になるように意識されていますので、授業についていき、定期テストで良い点数を取ることが、そのまま大学受験へと繋がっていきます。

公立の中学・高校の生徒であれば、学習塾でカバーするような内容を、学校の授業で学べるということです。

大学推薦枠が多い傾向

近年の大学入試は、一般入試と推薦入試の比率が半々程度であり、推薦入試での大学進学も多くなっています。

中でも指定校推薦は、その高校の合格実績に基づいて、大学側が推薦枠を用意します。当然、合格実績が良い中高一貫校は指定校推薦枠が多くなります。

推薦入試では評定が重要になりますので、レベルの高い中高一貫校内での競争に勝ち抜く必要があり、簡単ではありませんが、単純に推薦枠の多さで言えば、中高一貫校は有利な場合が多いと言えます。

クラスメイトや先輩の存在

中学受験を突破してきた生徒だけが集う、進学系の中高一貫校では、人間関係もプラスに働く場合があります。

まず、学力や学習意欲の強いクライメイトの存在です。高校受験がないため中だるみするケースもあるのですが、大学受験が近づけば自然とスイッチが入り、刺激を受けることができます。

上の学年の先輩も、魅力的に映る場合があります。自身の将来をイメージできる、良いモデルケースを間近に見られ、学習意欲に繋がっていきます。

【「中高一貫校・私立中学が有利なポイント」についてのより詳しい解説記事】

先取りカリキュラムの解説

大学受験・入試を目標とする中高一貫校、私立中学では、英語・数学を中心に先取りカリキュラムを採用します。

一般的な公立の中学・高校であれば6年間で学ぶ内容を、5年間で終え、残りの1年間で、大学入試のための演習を重ねます。

学力は通常、実際に問題を解く「演習」の量に比例して向上します。十分な量の演習ができる中高一貫校生は、大学受験で圧倒的に有利です。

しかしながら、授業進度の早さや、大学入試を意識した内容の濃い授業内容に対応するには、生徒側にも努力が必要で、簡単ではありません。

特に中学時代に勉強についていけないと、そのあとの勉強もわからなくなり、落ちこぼれてしまうケースがあります。

いちど落ちこぼれてしまうと、授業はどんどん先に進んでしまうため、リカバリーが難しくなります。先取りカリキュラム、授業進度の早さが、デメリットにもなりかねないわけです。

【「先取りカリキュラムのメリット、デメリット」についてのより詳しい解説記事】

高校受験がないのも、中高一貫校の大きな特徴です。

非中高一貫校では、中学3年生は、高校受験を目標とした勉強をすることになりますが、それがない分、大学受験に備えたり、長所を伸ばしたり、時間を有効活用できます。

先取りカリキュラムをとる中高一貫校では、中学3年から高校の学習内容に入ります。

大学入試の準備が本格的に始まるということです。学校の授業や定期テストに本腰を入れて取り組むには、良いタイミングです。

【「高校受験がない中高一貫校生の中学3年生の過ごし方」についてのより詳しい解説記事】

英語力養成を目標に、英検2級を目指すのも戦略の一つです。

英検2級は、先取りカリキュラムの中高一貫校生と言えども、高校1年レベルの難関です。

英検2級を中学3年生で取得できるなら、英語の土台の一足早い完成を意味します。大学入試へ向けての大きなアドバンテージになります。

【「中高一貫校生の英検事情や、勉強法・対策」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校での学習のポイント「家庭学習が不可欠」

授業を聞いているだけでは好成績を望めない仕組み

大学入試を意識した、難易度の高い授業内容にもかかわらず、6年間の内容を5年間で終える先取りカリキュラムが実現可能なのは、基礎・基本を積極的には扱わずに授業を行うからです。

一般的な学校の授業では、基礎・基本の解説や演習に時間を取り、生徒の理解を促します。

しかし、学習水準の高い中高一貫校では、基礎・基本は、生徒が学校外(自宅)で予習・復習を行う前提としており、多くの時間を費やしません。

学習内容の濃さ、難易度の高さもあり、中高一貫校生の成績は、自学自習をしっかりこなせるかどうかで左右されます

進学系の中高一貫校では、ただ授業を聞いているだけでは好成績は望めない仕組みに元からなっている、という事実を知っておくことが重要です。

【「中高一貫校での家庭学習の重要性」についてのより詳しい解説記事】

宿題・課題が多い

習った知識を定着させ、実力に変えるためには、実際に問題を解く「演習」が欠かせません。

また、大学受験を目標とする中高一貫校では、それだけ定期テストの難易度も高くなります。

生半可な理解では、良い成績は取れないようになっており、この観点からも、しっかり演習をこなす必要があります。

演習は、学校の授業内だけでは時間が足りず、不十分です。そのため、宿題・課題が出されます。

中高一貫校では、一般的な学校よりも多くの宿題・課題が出されることになります。

やはりここでも自宅での自学自習がしっかりできるかどうかが問われます。

【「中高一貫校で宿題・課題が多い理由と対応策」についてのより詳しい解説記事】

定期テスト対策

大学受験を目標とし、先取りカリキュラムを採用する進学系中高一貫校の定期テストで、しっかりと良い点数を取るためには、次のステップが必要です。

  1. 学校外での自学自習をしっかりこなす
  2. 基礎・基本事項を疎かにしない
  3. 限られた時間を効率良く使って学習する

まずは、予習・復習をしっかりやって授業についていくことが大前提です。

さらに宿題をこなして、十分な量の演習をし、実力をつけます。

最終的には、1日に使える限られた時間の中で、どのような勉強をどれくらいするか、で差がつきます。

お子さん単独で困難な場合も少なくないため、勉強のポイントを熟知した大人によるサポートがあることが望ましいと言えます。

【「中高一貫校の定期テスト対策」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校の英語カリキュラム、英語教育の特徴

大学受験・入試で、英語は大きな難関となります。

そのため進学系の中高一貫校、私立中学では、英語は高校2年生までに大学入試の範囲を終えます。授業が早く進むため、1回の定期テストのテスト範囲も広くなります。

また、難易度の高い検定外教科書(中高一貫校用教科書)が使用され、難易度も高くなっています。

大きな違いは、扱う英単語の数です。検定外教科書では中1〜中3の3年間で1600語〜1800語のところ、検定外教科書では中1〜中2の2年間で2300語と、非常に多く、それだけ勉強が大変になるのが特徴です。

学習のポイントとしては、中学英語がカギになります。

中高一貫校では、中学・高校の切れ目なく、中学の始めから難易度の高い授業が展開されます。最初から大きな山場であり、中学英語で、授業にしっかりついていき、定期テストで着実に点数を取れるように学習していくことが重要です。

【「中高一貫校「英語」の教育・学習」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校の数学カリキュラム、数学教育の特徴

進学系の中高一貫校、私立中学では、数学も先取りカリキュラムで進みます。文系は高校1年、理系は高校2年までで、大学入試の範囲を終えるのが目安になります。

検定教科書を重視せず、『プライム数学シリーズ』(Z会)『体系数学シリーズ』(数研出版)といった、難易度の高い中高一貫校向けの教材が使用されるのも特徴です。

演習用副教材についても、『クリアー数学』(数研出版)など、難度の高いものが選ばれます。

数学では、覚えた公式等で実際に問題を解く「演習」の重要性が更に大きくなります。どれだけ演習ができたかで、実力に差がついてしまいますので、しっかし自学自習で対応しましょう。

【「中高一貫校「数学」の教育・学習」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校の塾の必要性

中高一貫校生でも塾が必要なケースがある

中高一貫校生には、公立中学生・高校生と同様の意味合いでは、学習塾は必要ありません。

なぜなら、授業レベルが高いため、授業についていき、定期テストで良い点数を取りながら実力をつけていけば、大学入試に対応できるからです。

塾が必要になるのは、次のケースです。

  1. さらに上を目指す中高一貫校生
  2. 学校の授業についていけていない中高一貫校生

国公立大学や、医学部を目指すケースや、現在の偏差値からさらに上のランクの大学を目指すケースでは、プロのサポートが心強い味方になります。

また、成績不振の場合ですが、原因は、必要な勉強=自宅での自学自習の不足です。

お子さんの独力での改善が難しかったり、思春期ならではの反発等が原因で家庭でのサポートが現実的ではないケースでは、学習塾が有力な解決策になりえます。

【「中高一貫校生でも塾が必要なケース」についてのより詳しい解説記事】

実際、文部科学省発表の「令和3年度子供の学習費調査」によると、私立中学生は53.9%、私立高校生は38.3%が学習塾へ通っています。

【「私立の中高一貫校生の通塾率」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校生は、学習塾選びに注意が必要です。

第一に、中高一貫校では学校の授業についていくことが重要ですので、学校の勉強をサポートする補習塾である必要があります。

オリジナル授業で学力向上を目指すタイプの集団指導塾では、勉強が迷走してしまう可能性があり、向きません。

個別指導の補習塾タイプが最適解ですが、学校ごとにカリキュラムが異なる点を考慮しなければいけません。ノウハウがない塾では、定期テスト対策ができないわけです。

中高一貫校特有の事情に精通し、豊富なノウハウを蓄えている専門塾を選びましょう。

【「中高一貫校生には補習塾が最適」についてのより詳しい解説記事】

「中高一貫校専門 個別指導塾WAYS」は、500校以上の中高一貫校生の指導実績がある専門塾です。

学校によって教材が異なる中高一貫校のカリキュラムに完全対応しています。詳細はこちらでご確認ください。

大学受験では塾利用がスタンダード

中高一貫校生と言えども、大学受験が目前に迫った高校3年生では、学習塾の利用がスタンダードです。

なぜなら、目標とする志望校と、自身の学力にギャップがある場合に、生徒の独力や、家庭のサポートのみで、効果的な対策ができるケースは稀だからです。

経験豊富なプロの視点に基づき「こうすれば実力が上がる」というノウハウの元で勉強できるというのは、大きな利点です。

また面倒見がよいと言われる中高一貫校でも、ブラック労働が指摘される教師の働き方改革の影響で、以前ほどの全面サポートを約束できる学校は減ってきているとの観測もあります。

家庭のサポートで問題なく対応できる自信がある場合は別ですが、そうでない大半のケースでは学習塾の活用が現実的となっています。

【「中高一貫校生の塾なしでの大学受験」についてのより詳しい解説記事】

中高一貫校でよくある学習面の問題

燃え尽き症候群、急激な環境変化への戸惑い

中高一貫校に入学後、それまでの中学受験勉強での頑張りが嘘のように、まるで勉強をしなくなるケースが珍しくありません。

一つは俗に「燃え尽き症候群」と言われるもので、私立中学の合格そのものがゴールとなってしまうケースです。

お子さん本人の意志がないまま受験に取り組んでしまったり、中高一貫校入学の目的についてしっかりコミュニケーションしていなかったりして、解放感から勉強をしなくなってしまいます。

また、単純に小学校から中学校へ変わった環境の変化についていけていないケースもあります。

小学校では、日々の宿題に取り組むくらいで、自学自習をして実力をつけるという意識はないのが普通です。

しかし中高一貫校では、家庭での予習・復習など、自学自習が絶対に欠かせません。

やるべき勉強ができていないので、成績が低迷してしまいます。

【「燃え尽き症候群ほか中学受験後に勉強しなくなる原因」についてのより詳しい解説記事】

中だるみ、思春期ならではの反発

中高一貫校生は、高校受験がないため、次の大目標は大学受験。子どもにとっては、はるか未来の話です。

現実味のある目標がないため、中だるみをしてしまうケースは少なくありません。

入学当初は緊張感もあり、それなりに勉強をしますが、中1の夏休みから中だるみが始まり、中3終わりまで続くケースが多いと言われます。

現実的には、中だるみしている子供に、親が出来ることは、ほとんどないと考えるべきです。

思春期真っ只中の子に「勉強しなさい」と言ったところで、反発されてしまうのが通常です。

親子関係の極端な悪化は、学習意欲を損なう結果に繋がりかねません。子供は親から愛されている実感がなければ「自分をもっと成長させたい」とは思えないためです。

【「中高一貫校生の中だるみ、思春期ならではの反発対策」についてのより詳しい解説記事】

勉強についていけていない場合は早めの対策が必要

中高一貫校生は、高校生になれば、大学受験が視野に入り、学習意欲が高まるケースが多いので、成績がそこまで落ち込んでいないのであれば、無理に勉強させる必要はありません。

ただし、中学時代に定期テストで平均点以下にまで低迷してしまった場合は、早急な対策が必要です。

最低限の勉強ができていない状態では、学習意欲が高まったとしても、取り戻すことは簡単ではないためです。

具体的にすべきことは、予習・復習、そして宿題など、学校外での勉強の時間を少しでも増やすことです。思春期の反発がありうまくサポートできない場合は、学習塾の活用が現実的です。

【「中高一貫校の落ちこぼれ「深海魚」」についてのより詳しい解説記事】

【「勉強についていけない中高一貫校生のサポート方法」についてのより詳しい解説記事】

成績低迷なら!ポテンシャルを発揮できるようサポートする中高一貫校専門塾

中高一貫校専門 個別指導塾WAYS」は、自宅学習が苦手であるがために、本来のポテンシャルを発揮できていない中高一貫校生のための学習塾です。

大学受験を目標とする中高一貫校では、授業についていき、定期テストで良い点数を取ることが、最大の入試対策になります。

WAYSは中高一貫校特有の事情に最適化した指導システムを取っており、授業についていき、定期テストで良い点数を取るための指導を行っています。

成績アップ事例、料金体系など詳細は、無料Webパンフレットでチェックできます。今すぐダウンロードできますので、ぜひご覧ください。

 

投稿者プロフィール

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中高一貫校専門 個別指導塾WAYS 編集部
中高一貫校生の定期テスト対策から大学受験・内部進学までをトータルサポートする個別指導塾。
中高一貫校用教材に対応することで各中高一貫校の定期テストの点数に直結した指導を行います。
低料金で長時間指導が受けられるため、家で勉強できない中高一貫校生でも塾の指導時間内で成績を上げることが可能です。
英語、数学をメインに指導を行っています。

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