公立中学から私立中学への「編入」ガイド|情報収集から手続き、編入試験対策まで解説

公立中学から私立中学への編入を検討する場合、最も重要なことは編入を希望する私立中学にお子さんが馴染めるかどうかです。

校風、通学の大変さ、学習進度など、事前によく調べておきましょう。

そして、編入試験や入学後の学習に備えておくことが大切です。

中高一貫校での指導歴10年以上のライターが、詳しく解説します。

編入可能な私立中学の情報を収集しよう

編入可能な私立中学を探す

当然ですが、すべての私立中学に編入できるわけではありません。

学校によって受け入れ可能な時期も決まっていますので、インターネットなどで「編入・転入に関する受け入れ情報」を参照しましょう。

「東京私立中学高等学校協会」「大阪私立中学校高等学校連合会」のホームページなどで、地域ごとに調べることができます。

なお、「日本私学研究所」の転入学・編入学・入試・修学支援情報に都道府県別にまとめられていますので、参考にしてください。Dの欄に〇がついている都道府県に関しては、学校の情報が簡単に手に入るようになっています。

○がついていない都道府県で探す場合は、個別に学校のホームページをあたるしかないでしょう。

幸運にも編入可能な学校が多いようなら、通学時間で候補を絞ってみてください。片道90分程度が限度です。

校風や学習カリキュラムを調べよう

編入先の私立中学にお子さんが馴染めるかどうか。マッチングするかどうかが最も重要です。

校則や生活指導の厳しさ、学校行事における生徒の主体性など、学校ごとに特色があります。

少々の我慢は必要かもしれませんが、お子さんがあまりにも校風に合わない場合は、編入を諦めた方がよいでしょう。

可能であれば、お子さんと一緒に学校説明会やオープンスクールに参加するなど、十分な下調べをすることをオススメします。

また、その際、在学中の学校と学習進度で大きな差がないかなど、学習カリキュラムについても確認しておくことが大切です。

受け入れ条件を確認しよう

転勤・転居の場合や帰国子女であることなど、学校によっては受け入れ条件が設定されていることがあります。

各都道府県の私学連合会ホームページに記載されているもの以外にも細かな条件があるかもしれませんので、必ず募集要項に目を通すようにしてください。

必要書類を準備し手続きを進めよう

公立中学校から私立中学校への編入手続きは、以下の手順で進めることが一般的です。

  1. 編入を希望する私立中学に、編入可能かを問い合わせる
  2. 私立中学校から願書を取り寄せる
  3. 編入試験を受験する
  4. 在籍している中学校から転学照会書や在学証明書などの必要書類を発行してもらう
  5. 必要書類を私立中学校へ提出する

なお、必要書類は学校ごとに異なるため、不明な点があれば学校に問い合わせてください。

編入試験対策はややハイレベルな内容を!

私立中学の編入試験は非公開

私立中学の編入試験は、英・数・国の学科試験と面接試験が一般的です。

ただ、詳細については公表されていないことがほとんどで、難易度は不明です。

目安は、公立中学の定期テストできちんと得点できているかどうか

編入試験において学科試験が課されている理由は、編入後に学習面でついてこれるかどうかを確認するためです。

私立中学では概ねレベルの高い授業が展開されることを考えると、少なくとも公立中学で習った内容については、一通り押さえておく必要があるでしょう。

目安となるのは、やはり定期テストです。

公立中学の定期テストで苦戦しているようなら、編入先ではさらに大きな苦労をするはずです。

まずは定期テストでしっかり点を取れるような学習習慣を身につけましょう。

そして余裕があれば、先取り学習や応用演習をしてください。

面接対策も忘れずに!

面接が実施される最大の目的は、生徒が学校にマッチしているかどうかを確かめることにあります。

アピールする点としては、主に以下の2つです。

①なぜその学校に編入しようと思ったのか

②編入後、どのようなことをしたいか

①は、ほぼ間違いなく問われる内容だといってもよいでしょう。

数ある選択肢の中から、なぜA中学に編入しようと思ったのか、その理由を答える必要があります。

「私は〇〇がしたい→△△があるA中学であればそれが実現できると考えた」という答え方が一般的です。

A中学でないとダメだ、まで言い切るのは難しいですが、A中学が一番自分に合っている、くらいは言えるようにしておきましょう。

また、①と重なる部分がありますが、②を明確にしておくことも非常に大切です。

現在在籍している学校のネガティブな面を強調するのではなく、編入後の生活が前向きなものであることをアピールしてください。

編入後の生活はガラッと一変。サポートは学習面を中心に!

地元の公立中学から私立中学に編入した場合、生活はガラッと一変してしまいます。

完全に慣れるまでに、半年ほどの期間が必要になるでしょう。

ここからは、保護者にできるサポートについて解説します。

私立中学の授業進度に追いつけるかが分水嶺に

最も重要なのが、学習面でついていけるかどうかです。

主に以下の4つの変化に留意しましょう。

①授業内容・扱う教材のレベルが上がる

②小テストの負担が増える

③課題の量が増える

④周りの生徒の学力レベルが上がる

①~③に対応するには、日々の学習量を増やさなくてはなりません。

そのためには、整理整頓をして学習環境を整え、学習習慣を改善する必要があります。

1日の終わりに、今日1日でどのような勉強をしたのか、何ができなかったのかなどを聞くなど、適宜声をかけてあげてください。

勉強する場所を保護者の目が届きやすいリビングに移すというのも手です。

なお、意外にも大きなプレッシャーになるのが④です。

公立中学とは異なり、私立中学には勉強のできる生徒が相当数集まっています。

学力の高い生徒をお手本にするのが理想ですが、現実はそのように上手くはいかず、劣等感を抱いて自己肯定感を下げてしまう生徒が少なくありません。

そのまま放置すると、勉強に対して諦念を抱くことにもなりかねませんので、学校の先生と連携し、励まし続けることが大切です。

学習面以外の部分にも気を配ろう

学習面以外に気にかけておいた方がよいのは、以下の4つです。

①友人はできたか

②クラスに馴染めているか

③学校に馴染めているか

④通学には慣れたか

一番大事なのは、①です。

仲の良い友人さえできてしまえば、クラスや学校にもおのずと馴染んでいくでしょう。

お子さんが学校生活について話すとき、具体的な個人名が挙がってくるようになれば安心です。

ただし、家庭の様子だけではわからないこともありますので、心配なことがあれば学校に連絡してみてください。

なお、意外と盲点になるのが④です。

特に、電車を乗り継ぐなど、遠方の私立中学に通うことになった場合は注意が必要です。

慣れるまでは疲労が蓄積しやすく、心身のトラブルにつながります。

総じて真面目なお子さんほど無理をしがちですので、気にかけてあげるとよいでしょう。

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定期テスト対策の参考にもなりますので、ぜひご一読ください。

投稿者プロフィール

青木 ユウ
青木 ユウ
中高一貫校に勤めて10年になる中堅教師。卒業生を3度送り出し、中学生・高校生問わず指導経験が豊富です。自身も中高一貫校出身なので、中高一貫校のことを知り尽くしています。勉強に苦しむ生徒に向き合い、試行錯誤をする日々。そんな教師生活から得られた知見をお伝えし、全国の子供たちの力になれたらと思います。

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