「勉強へのやる気」がない中高一貫校生との向き合い方を解説
中高一貫校、私立中学校に通うお子さんが「勉強をやる気がない」「赤点が多くて心配」と悩む保護者のみなさんに、やる気を取り戻してもらうためのステップと、繊細な思春期の子どもとの接し方を解説します。
思春期真っ只中ですから、「勉強をしない」と叱っても反発し、親子関係を難しくしてしまうケースがあります。
また、親御さんご自身が仕事や家事で忙しく、子どもの勉強のサポートが難しい場合もあるでしょう。
お子さんが将来を自分ごととして捉え、自分で決めた目標に、道筋を立てて向かっていけるように環境を整えてあげることが重要です。
このページの目次
まず「なぜ勉強へのやる気がないのか」を知る
➀中学受験合格で気が抜ける
中高一貫校生、私立中学生は、中学受験で合格したことで気が抜けて、勉強へのやる気をなくすことがあります。
特に、中学受験の際に「勉強させられていた」「勉強のためにさまざまなことを我慢していた」などの思いがある子どもは、この理由に当てはまることが多いです。
中高一貫校の学習についていくだけでなく、数年後には大学受験が控えています。やはり最終的には、お子さん自身が、勉強の必要性を実感できなければ、よい結果を得ることは難しくなります。
②高校受験がない
中高一貫校は、高校受験をせずに高校に上がることができるため、中学に入学した時点ではわかりやすい目標がなくなります。
特に、中学生活に慣れてくる中1の夏休み頃から、中3の終わり頃までは、中だるみ状態になる子が少なくありません。
部活や趣味に熱中していて、「勉強は大学受験の時まではやらなくて大丈夫」と思っているケースもあります。
もちろん大学受験が視野に入ってくれば、自然とモチベーションが上がる子が増えてきます。
しかし、中学時代にずっと平均点を下回ったままでいると、基礎がしっかり理解できていないので、取り戻そうとしてもリカバリーが難しく、手遅れになってしまう可能性があります。
高校受験に変わる目標を設定し、少なくとも授業についていき、平均点を上回る成績を取れるようにしておきたいところです。
ただし、子ども本人が「この目標のためなら頑張れる」と思えるような目標でなければ、自主性は生まれないため、親が勝手に目標を決めるのはNGです。
③授業のレベルが高い
すでにご存知の方も多いと思いますが、中高一貫校、私立中学校の授業は、公立学校と比べて、授業が1.2倍速く進み、高校3年の1年間を大学受験対策にあてます。大学受験を見据えているので、内容も難しく、難易度が高くなります。
授業では、応用問題に多くの時間の時間を割くため、基礎基本は自宅での予習・復習が前提になります。
自学自習が苦手な場合、授業についていけなくなり、勉強へのやる気を失う子が出てきます。
「授業についていけないことを親に言えない」と思い悩む子どもも少なくありません。
思春期で親子のコミュニケーションも難しくなりますので、お子さんの学校生活によく気を配り、問題が起きているようであれば、お子さんと根気強く向き合う必要があります。
中高一貫校生の子どもの「勉強へのやる気」を取り戻す5つのステップ
➀生活リズムを整える
勉強へのやる気を取り戻すための第一段階として、まずは生活リズムを整えることから始めましょう。
「勉強へのやる気」と聞くと、勉強にばかり注目してしまいがちですが、生活リズムが乱れていると、勉強に取り組みづらくなります。
たとえば、夜更かしが習慣になっていて、睡眠不足が慢性化していると、勉強中に眠くなってしまい、集中できません。
また、眠気がある中で勉強すると、思うように勉強が進まないので、苦手意識が生まれ、勉強へのやる気が下がることも考えられます。
まずはお子さんと話し合って、睡眠時間をしっかり確保する大切さを確認します。親が頭ごなしに「〜しなさい」と言っても反発するだけですので、どう考えるかお子さん自身の意見も聞きながら進めます。
最終的に、忙しい中高一貫校の日々の中で、どうしたら睡眠時間を確保できるか、方法を考え、生活リズムを整えましょう。
②勉強する意味・楽しさを知る
「勉強は(嫌だけど)やらなければならないもの」という意識でいる限りは、よほど切羽詰まる状況にならなければ、勉強へのやる気は生まれてきません。
だからこそ「なぜ勉強するのか」の視点が大切になってきます。
子どもが将来を「自分事」として捉え、理想の人生をイメージし、そこから逆算して勉強する意味を見つけ、納得することが大切です。
親が一方的に「○○大学に入るため」「将来の就職のため」などと、勉強する意味を決めるのは絶対にNG。反発し、逆効果になる恐れがあります。
また、学ぶ楽しさを知れば、勉強の効率が飛躍的に上がります。人は誰しも、夢中になれるものに対しては時間を忘れて没頭し、多くを吸収できるからです。
勉強する楽しさをわかってもらうのは、簡単ではないかもしれません。なにかに熱中し充実感を抱く経験が大切ですので、動物や車、ファッション、メイクなど、どんなことでもいいので子どもが興味を持てる分野を深めるのが効果的です。
学校の「やらなければいけない勉強」ではなく、「自分が取り組みたい勉強」をすることで、知識を深めることの面白さに気づける可能性があるためです。
ほかにも、塾や家庭教師などを利用して、教え方が上手い先生の面白い授業を受ける方法もあります。
③目標を決める
勉強へのやる気を維持するためには、目標を立てます。
具体的な目標設定が難しければ、「こういう人生を送りたい」「◯◯という仕事に就きたい」など生活に引き寄せてイメージするよう促してみてください。
例として、次のような目標が考えられます。
- 仕事ができるカッコいい大人になりたい
- 家族旅行で行った沖縄に移住したい
- 好きなアイドルのグッズを思う存分買って部屋に飾りたい
そして、こういった目標は、実際の進路に落とし込むことが大切です。「家族旅行で行った沖縄に移住したい」という目標であれば、一例として次のように進路を考えることができます。
- 場所に縛られずに働ける仕事をしたい
- 学校で習ったプログラミングが面白かった
- プログラミングを専門的に学べる○○大学の○○学部に進学したい
ただし、こちらも勉強する意味と同じく、親が決めるのではなく子ども自ら考えることが重要です。
また、「目標はいつ変えても大丈夫だよ」と伝えると、お子さんは目標を考えやすくなります。目標を決められず困っている様子が見られたら、伝えてあげてみてください。
④目標達成のための道筋を立てる
目標を立てただけでは、「何をすればいいかわからない」状態になるため、目標達成のための道筋を考えます。
道筋の立て方は、「大きな目標を細分化して小さな目標をいくつも立てる」ことが大切です。そうすることで、目標からズレることがない道筋を考えられます。
例えば、進学のために英語の成績を上げる必要があり、そのために英単語を覚えなければならないとして、次のように目標を設定できます。
- 2年間で英単語を4000語覚えないといけない
- しっかりと覚えるためには最低でも単語帳を3周したい
- 大まかに計算すると「1日17語」のペースで覚える必要がある
- 「1日20語」「1週間140語」「1ヵ月600語」のペースで進める
「1日・1週間・1ヵ月」など小さな目標を立てる理由は、目標を何度も達成すると、前進している実感を得られ、勉強へのやる気がさらに大きくなるためです。
また、道筋を立てることも子ども本人にさせることが必須です。勉強のスケジュールを立てる練習にもなるので、親は極力見守るだけにしましょう。
⑤勉強の不安・心配事を相談できる人を作る
目標達成の道筋を明確にできたとしても、勉強のやり方がわからなかったり、成果が出ず悩んだりして、前に進めなくなる心配があります。
だからこそ、勉強の不安や心配事をいつでも気軽に相談できる相手を作っておくことが大切です。
親子の関係性によっては、親に相談するのを嫌がる子もいるでしょう。学校の先生も考えられますが、相性もあります。
必要に応じて、学校外の、塾や家庭教師なども選択肢として考えておくべきでしょう。
思春期で反発する子どもにどう接する?知っておきたいポイント4
中高一貫校生のお子さんに対して「勉強へのやる気を取り戻してほしい!」と思っていても、実際に行動するとなると難しく感じるかもしれません。
特に、思春期や反抗期のお子さんとどのように接すればいいかわからない方も多いでしょう。
前提:子どもの「思春期」を理解する
「勉強へのやる気」がない中高一貫校生の子どもとの接し方を考える上では、子どもの思春期について理解を深めることが大切です。
両価性は思春期を考えるキーワードのひとつです。両価性とは、例えば些細なことで母親を罵ったり壁を殴ったりしていた子どもが、ほんの数分後にはベタベタと甘えた仕草を見せるといった、一見矛盾した態度のことを言います。
思春期は親からの自立と親への依存の間で揺れる時期なので、両価性が高まります。子どもが、その揺れを社会生活に支障がない範囲で収められるように支援することが周囲の大人の役割になります。
(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「思春期のこころの発達と問題行動の理解」)
このように、不安定な思春期にいるお子さんには、親御さんの適切な支援が欠かせません。
また、親御さん自身も子どもが不安定な時期であることを認識した上で、お子さんと接する必要があるのです。
「子どもに勉強へのやる気を取り戻してほしい!」と思う気持ちが強いかもしれませんが、まずは「思春期で不安定な子どもを支える」ということを念頭に置きましょう。
➀子どもの味方であることを伝える
子どもが反抗期の場合、親も子どもの態度に苛立ち、険悪な関係になっている場合もあると思います。
そういった関係のままでいると、子どもは親の言葉に耳を傾けないため、親が何を言っても勉強へのやる気は取り戻せず、低迷した成績がズルズル続いていきます。
また、親からすると「親が子どもの味方であることは当たり前」と思うかもしれません。
ですが、日々勉強のことで叱られていたり、険悪な雰囲気であったりすると、子どもは「親は自分のことが嫌いなのかも」と思うこともあるのです。
そのため、少し気恥ずかしいかもしれませんが、「あなたの味方だよ」と言葉にして伝えることが大切なのです。
②日頃から肯定的な態度・声掛けを心掛ける
大人であっても、毎日注意されたり小言ばかり言ったりする上司の言葉に耳を傾けようとは思わないでしょう。
反対に、褒めたり励ましたりしてくる上司であれば、「自分のことを見てくれている」「この人についていこう」と思うはずです。
子どももまったく同じで、日頃の声掛けを少し変えるだけでも、子どもが抱く親の印象は大きく変わるのです。
小さなことからでよいので、「褒める・肯定する・共感する」を心掛けながら、お子さんとコミュニケーションをとるようにしてみてください。
③子どもの声に耳を傾けることを意識する
勉強へのやる気がない子どもを見ると、「○○した方が良いんじゃない?」「私は○○をモチベーションに勉強を頑張ったよ」など、アドバイスをしたくなることもあるかもしれません。
しかし、親が話してばかりだと子どもの思いや考えを引き出せなくなります。
さきほども解説した通り、子どもが勉強へのやる気を取り戻すためには、子どもが主体的に考えることが欠かせません。
そのため、子どもが上手く話せなくても、自分が話すことをグッとこらえて、子どもの言葉に耳を傾けましょう。
また、子どもが全く話さず沈黙が続いたとしても、子どもが話し始めるのを待つことが大切です。
逆に、子どもの話をさえぎって親が話をすると、「自分の話を聞いてくれない」「考えを押し付けてくる」という不信感につながることがあるので、注意しましょう。
④上手く接することができない場合は第三者を頼る
子どもと上手く接することができない、勉強の話になると冷静に話せないなどの状況の場合は、第三者を頼ることも1つの方法です。
子どもは自分の親だからこそ反抗的になりやすく、親は自分の子どもだからこそ口出しをしすぎてしまうことがあるためです。
また、冷静に状況を判断できる第三者を間に入れることで、コミュニケーションが円滑になることもあります。
特に、勉強の話題で上手くお子さんと話せない場合は、塾などの学習指導のプロに頼るのがおすすめです。
親子関係に難しさを感じる場合は、中高一貫校専門の個別指導塾「WAYS」が解決策に!
お子さんに勉強へのやる気を取り戻してもらうため、できそうなことから取り組み、根気強くお子さんと向き合いましょう。
しかしながら、中学生・高校生という思春期真っ只中の子が、親に反発するのは、人間の成長過程として当然のことです。
無理をすれば親子関係が難しくなってしまう可能性があります。だからこそ、私たち「中高一貫校専門 個別指導塾WAYS」のような塾が、解決策になる場合があります。
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投稿者プロフィール
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英語、数学をメインに指導を行っています。
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