高校で習う探究学習とは?テーマや事例、重要視される理由を解説

教科書を手に、会話している女子生徒
探究学習は、2022年度から高校の授業に追加されました。まだ導入されて間もないため、親御さんの中には「探究学習はどんな学習をするのか詳しく知らない」という方もいるのではないでしょうか。

また、授業の内容は高校に委ねられているため、高校生のお子さんがいたとしても、どんなことをやっているのかよくわからない方も少なくないでしょう。

そこで、本記事では、探究学習の概要や取り扱うテーマ、事例などを紹介します。
探究学習が高校の授業に追加された背景も解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

高校の探求学習とは「総合的な探究の時間」

参考書や教科書を広げて勉強している女子生徒
探究学習とは、自ら課題を見つけて、教科の枠に捉われることなく、幅広い知識を使って解決に導く学習活動のことです。

通常の教科学習と違い、正解がない問題に取り組むため、答えよりもプロセスが重要視されます。
周囲と協働しながら「どうすれば解決できるか」を考える経験は、社会に出てからも役に立つでしょう。

なお、探究学習の正式な科目名は「総合的な探究の時間」です。従来の「総合的な学習の時間」が、学習指導要領の改訂により、2022年度から「総合的な学習の時間」に変更されました。

探究学習が重要視される理由

自ら課題を発見し、解決する力を養成する必要性が高まっているため、高校の授業で探究学習が追加されました。

これまでは、あらかじめ答えが用意されている問題を正確かつスピーディに解ければ良しとされていました。

しかし、デジタル化が急速に進む現代では、単純なタスクが自動化されるようになったこともあり、求められるスキルが変わりつつあります。

不確実性が高まる現在を生き抜いていくためには、主体的かつ教科横断的なアプローチで課題を解決していかなければならないのです。

探求学習を進める4つのステップ

文部科学省が推奨している探究学習の進め方は以下の通りです。

  1. 課題の設定
  2. 情報の収集
  3. 整理・分析
  4. まとめ・表現

まずは、子どもたちは自分に関係のあるテーマの中から課題を設定します。
次は情報収集です。インタビューやインターネット、書籍などで情報を集めます。
情報を整理する際に活用するのが表計算ソフトです。表やグラフに変換した上で、分析を実施します。
最後に、まとめた内容を新聞やポスター、Webサイトなどに落とし込みます。
以上が、探究学習を効果的に進める4つのステップです。

高校で扱う探求学習のテーマ(例)

CHECK
探究学習で扱うテーマは高校に委ねられています。ここでは、代表的な探究学習のテーマを紹介します。

  • 地域課題
  • SDGs
  • ものづくり

地域課題

地域課題を探究学習のテーマに掲げる高校が多い傾向にあります。子どもたちが普段生活している場所なので、当事者意識をもって取り組めるからです。
具体的なテーマは以下の通りです。

  • 人口減少
  • 人手不足
  • 空き家の増加
  • コミュニティの希薄化
  • 路線の廃止

課題を解決するために、地域住民にインタビューしたり、企業や自治体と協働したりして解決策を考えます。

SDGs

SDGsも探究学習では定番のテーマです。SDGs(Sustainable Development Goals)とは、持続可能な開発目標の略称です。
2030年までに達成すべき17の目標が掲げられており、2015年に開催された国連サミットで採択されました。

具体的なテーマはSDGsの目標をもとに設定されるのが一般的です。具体例は以下の通りです。

  • 貧困問題
  • 人や国の不平等
  • エネルギー問題
  • 生涯学習
  • 海洋資源の保護

SDGsをテーマに設定すれば、日本だけでなく世界が抱えている課題を把握できます。子どもたちの視野を広げられるメリットもあるのです。

ものづくり

理数教育に力を入れている高校では、ものづくりを探究学習のテーマに設定するケースも多いです。
企業でいうところの商品開発に該当します。具体例は以下の通りです。

  • 作業自動化ツール
  • 便利グッズ
  • お助けロボットの作成

モノづくりの場合、試行錯誤を繰り返しながらアイデアを形にできるのが魅力です。

高校で行われた探究学習の事例

事例
実際に、高校ではどのような探究学習が行われているか気になる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、3校の事例を紹介します。

  • 多摩大学附属聖ヶ丘高等学校
  • 広尾学園高校
  • 都立国際高校

多摩大学附属聖ヶ丘高等学校

東京都多摩市に校舎を構える多摩大学附属聖ヶ丘高等学校は、多摩市と協働で探究学習を行っています。

探究学習を行うゼミは全部で8つあり、あるゼミは多摩市の団地商店街を振興させることを目的として、セレクトショップの運営を行いました。取り扱い商品は、商店街で販売しているお菓子です。

店舗との交渉に苦戦したものの、最終的に4店舗と契約することに成功しました。地域のお祭りに参加した際は、1日で約5万円の売上に貢献しました。

そのほかのゼミでは、東京ヴェルディとのスポーツイベントや防災、環境美化などの探究学習に取り組み、実社会で役に立つ深い学びを体験しています。

広尾学園高校

東京都港区に位置する広尾学園高校は、医進・サイエンスコースで探究学習を実施しています。同校の大きな特徴は「学問の楽しさを最優先していること」です。

幹細胞や環境化学、現象数理など6つの研究チームに分かれて、自分が面白いと思ったテーマで研究活動を行っています。興味・関心があるテーマを研究するメリットは、主体的に学べる点です。

例えば、生物の分野である細胞培養をテーマに設定している生徒の場合、研究するプロセスで化学の知識が必要になれば、積極的に習得に励みます。同じように、海外の学術論文を読む際に、英語力の必要性を再確認すれば、進んで勉強に取り組めます。

課題に対する答えを導き出す過程で、教科横断的な学びを実現しているのです。

都立国際高校

東京都目黒区にある国際高校は「ドキュメンタリーからはじめる探究ステップゼロ」という書籍をもとに、探究学習を行っているのが特徴です。

生徒はバリアフリーや人権問題、仕事・貧困に関するドキュメンタリーを見て、興味のあるテーマに分かれます。

貧困をテーマに設定した生徒たちは、経済格差について発表し、相手に伝わりやすいように、数字やデータを使ってプレゼンしました。

発表のあとは質疑応答です。生徒たちは持っている知識を総動員して「なぜ?」の答えを考えます。何度も議論を重ねることで、発表前よりもさらに思考を深められています。

まとめ|高校で習う探究学習について解説しました

探究学習によって、子どもたちは、自ら課題を発見し、解決する能力を養成することが可能です。
不確実性がますます高まる中で、未来を切り拓いて行くためには欠かせないスキルです。
高校で習う探究学習を有意義なものにできれば、社会に出て、活躍できる人材になれるでしょう。

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