英語の準動詞(不定詞・動名詞・分詞)とは?|英語の紛らわしい用語辞典
英語が苦手なのは「英単語」か「英文法」に大半の原因があります。
言い換えれば、ここの苦手を解消すれば、英語の理解度が一気に高まります。
歴30年のベテラン英語教師が、英語が苦手な中学生のお子さんをお持ちの保護者の方に向けて、英語を教えるためのポイントを整理しました。
今回の記事では、準動詞と言われる「不定詞」「動名詞」「分詞」を解説しています。
紛らわしい用語辞典|「自動詞と他動詞」「時制」「助動詞」「受動態」
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紛らわしい用語辞典|英語の比較(比較級・最上級・原級)、仮定法
このページの目次
不定詞
不定詞とは?
不定詞とは<to+動詞の原形>のカタマリで、他の品詞(=名詞・形容詞・副詞)の役割を持たせたものです。
主語や時制などの限定を受けないことから不定詞と呼ばれます。
不定詞は果たす役割によって
- 名詞的用法
- 形容詞的用法
- 副詞的用法
があります。
不定詞・動名詞・分詞を理解する上では、意味のカタマリを意識するのが大事です。 意味のカタマリには があります。 このカタマリが名詞・形容詞・副詞のいずれかの働きをしているかを見極めましょう。
不定詞(名詞的用法)
不定詞<to+動詞の原形>のカタマリが名詞の役割をするものが、名詞的用法です。
名詞的用法では次の2つのポイントを理解しましょう。
- 主語・補語・目的になる
- 「〜すること」の意味になる
英文で確認します。
▪️主語 To undersatnd this book is difficult.「この本を理解することは難しい。」 ▪️補語 His dream is to become a painter.「彼の夢は画家になることです。」 ▪️目的語 I like to collect wacthes.「私は腕時計を集めることが好きです。」
不定詞(形容詞的用法)
不定詞<to+動詞の原形>のカタマリが形容詞の役割をするものが、形容詞的用法です。
形容詞的用法では次の2つのポイントを押さえましょう。
- 名詞の直後において名詞を修飾する
- 「〜するための(名詞)」「〜するべき(名詞)」の意味になる
英文で確認します。
I want something to drink.「私は飲むための何かが欲しい。」→「私は何か飲み物が欲しい」 I have some homework to study.「私はするべき宿題がある」
不定詞(副詞的用法)
不定詞<to+動詞の原形>のカタマリが副詞の役割をするものが、副詞的用法です。
副詞的用法では次の3つのポイントを押さえましょう。
- 主に文を修飾する
- 基本的には文の最後に置かれる
- 次の4つの意味がある
- (目的)「〜するために」
- (感情の原因)「〜して」
- (判断の根拠)「〜するなんて」
- (結果)「(そして)〜する」
英文で確認します。
▪️目的 He uses his computer to watch a movie.「彼は映画を見るために自分のコンピューターを使う。」 ▪️感情の原因 I am happy to see you again.「あなたにまた会えて、私はうれしいです。」 ▪️判断の根拠 She must be angry to say such a thing.「そんなことを言うなんて、彼女は怒っているに違いない。」 ▪️結果 The actor lived to be ninety.「俳優は生きて(そして)90歳になった。」→「科学者は90歳まで生きた。」
結果を表す表現は代表的な次の2つを覚えておきましょう。
- live to be 〜「〜まで生きる」
- grow up to be 〜「成長した〜になる」
不定詞の用法の見分け方
不定詞の3つの用法を見分けることができれば、正確に意味がとれるようになります。
不定詞の用法の見分け方を順を追って説明します。
まずは、<to+動詞の原形>の不定詞のカタマリを見極めます。
その上で、次の3つの手順で用法を見分けます。
- 文の要素になれば名詞的用法
- 文の要素にならなくて直前の名詞を修飾すれば形容詞的用法
- 文の要素にならなくて直前の名詞を修飾しなければ副詞的用法
1〜3を順に解説します。
不定詞<to+動詞の原形>のカタマリが主語・補語・目的語になっていれば名詞的用法です。
この用法では、主に動詞の前後に来ます。
英文で確認します。
▪️主語 To be a scientists is my dream.「科学者になることが私の夢です。」 ▪️補語 My dream is to be a scientist.「私の夢は科学者になることです。」 ▪️目的語 I want to be a scientist.「私は科学者になりたい。」
不定詞<to+動詞の原形>のカタマリが文の要素になっていない場合は、形容詞的用法か副詞的用法になります。
その上で、直前の名詞を修飾すれば形容詞的用法です。
直前に名詞がなくて、基本的に文の最後に置かれて、文を修飾している場合は副詞的用法です。
それぞれ英文で確認します。
▪️直前の名詞を修飾 I have a plan to study abroad.「私は留学する計画がある。」→形容詞的用法 ▪️直前に名詞がない・直前に名詞があっても修飾しない・文の最後に置かれて文を修飾 I work hard to support my family.「私は家族を養うために一生懸命に働く。」→副詞的用法
不定詞の否定
不定詞を否定するときは不定詞の前にnotを置きます。notは否定する語の前に置かれる特徴があるのを知っておくと、理解しやすいですね。
<not to +動詞の原形〜>が意味のカタマリになる感覚を押さえましょう。
英文で確認します。
You must be careful not to catch a cold.「風邪を引かないようにあなたは気をつけないといけません。」
更に、「動詞を否定する」のか「不定詞を否定する」のかで意味が変わるので、要注意です。
こちらも英文で確認します。
▪️動詞を否定 My mother didn’t tell me to go to Ken’s house.「母は私にケンの家に行くようにとは言わなかった。」 ▪️不定詞を否定 My mother told me not to go to Ken’s house.「母は私にケンの家に行かないようにと言った。」
不定詞の意味上の主語
不定詞の意味上の主語とは、不定詞が表す動作の主語のことです。
例えば、
I want to be a doctor.「私は医者になりたい。」の to be a doctor「医者になる」の主語は I(=「私」)です。
一方で、
I want my son to be a doctor.「母は私に医者になって欲しい。」の to be a doctor「医者になる」の主語は my son(=「私の息子」)です。
このように、「不定詞が表す動作の主語は何か?」を考える視点が必要になります。
不定詞の意味上の主語は次の2つで表せます。
- for A→Aが不定詞の意味上の主語
- 動詞の目的語→目的語が不定詞の意味上の主語
不定詞の意味上の主語を理解する前に、意味上の主語がないケースから説明します。
次の3つケースです。
- 文の主語と同じ
- 文脈から明らか
- 一般の人
それぞれ英文で確認します。
▪️文の主語と同じ She woke up early to catch the first train.「彼女は始発電車に乗るために早起きした。」 「始発電車に乗る主語」=she(文の主語と同じ) ▪️一般の人々 It is important to keep early hours.「早寝早起きをするのは大事です。」 「早寝早起きをする主語」=一般の人々 ▪️文脈から明らか His dream is to be a professional soccer player.「彼の夢はプロサッカー選手になることです。」 「プロサッカー選手になる主語」=彼(文脈から明らか)
続いて、不定詞の意味上の主語です。次の2つの方法で示します。
- for A→Aが意味上の主語
- 動詞の目的語→目的語が意味上の主語
英文で確認します。
▪️for A It is difficult for children to solve the problem.「子供達がこの問題を解くのは難しい。」 「この問題を解く主語」=children ▪️動詞の目的語 I asked my friends to help me with my homework.「私は友達に宿題を手伝ってくれるように頼んだ。」 「宿題を手伝う主語」=my friends
動名詞
動名詞とは
動名詞とは<動詞のing>のカタマリが名詞の役割をするものです。
次の2つのポイントを押さえましょう。
- 「〜すること」の意味
- 主語・補語・目的・前置詞の目的語になる
英文で確認します。
▪️主語 Understanding this book is difficult.「この本を理解するのは難しい。」 ▪️補語 Her dream is becoming a painter.「彼女の夢は画家になることです。」 ▪️目的語 I like collecting watches.「私は腕時計を集めるのが好きです。」 ▪️前置詞の目的語 I’m good at singing a song.「私は歌を歌うのが得意です。」
動名詞の意味上の主語
動名詞の意味上の主語とは動名詞の動作をする主語のことです。
例えば、
I like singing songs.「私は歌を歌うのが好きです。」
「歌を歌う」主語=私 文の主語と同じです。
文の主語と動名詞の主語が異なるときは
- 所有格+動名詞
- 目的格+動名詞
で動名詞の意味上の主語を表します。
英文で確認しましょう。
▪️所有的+動名詞 I like his singing songs.「私は彼が歌を歌うのが好きです。」 文の主語=「私」「歌を歌う」主語=彼女 ▪️目的格+動名詞 I like my daughter singing songs.「私は娘が歌を歌うのが好きです。」 文の主語=「私」「歌を歌う」主語=娘
動名詞の否定
動名詞の否定は動名詞の前にnotを置きます。<not+動名詞>で「〜しないこと」の意味です。
英文で確認します。
Not sleeping well isn’t good for your health.「十分に寝ないことは健康に良くない。」
動名詞と不定詞の使い分
不定詞(名詞的用法)と動名詞はいずれも名詞の働きをします。
2つの使い分けは意味(ニュアンス)に注目すると理解しやすくなります。
- 不定詞(名詞的用法)は「未来志向」→「(こらから)〜すること」
- 動名詞は「過去とのつながり」「反復」→「(過去に)〜したこと」「(今まで)〜していること」
英文で確認します。
▪️不定詞 I want to study abroad.「私は(これから)海外留学したい。」 ▪️動名詞 I enjoy playing tennis.「私は(今まで続けていた)テニスを楽しんでいます。」
<動詞+動名詞>の表現は頻出するので覚えましょう。
- avoid 〜ing「〜するのを避ける」
- enjoy 〜ing「〜して楽しむ」
- finish 〜ing「〜し終える」
- give up 〜ing「〜するのをあきらめる」
- mind 〜ing「〜するのを気にする」
- miss 〜ing「〜しそこなう」
分詞
分詞とは?
分詞とは名詞の前後に置いて、名詞を修飾する働き、つまり形容詞の働きをします。
分詞には「現在分詞」と「過去分詞」の2つがあり、意味で使い分けます。
- 現在分詞「〜ing」→分詞の動作を「している」場合に使う:「〜している名詞」
- 過去分詞「〜ed」→分詞の動作を「された」場合に使う:「〜された名詞」
名詞の前後に置かれます。次の2つのケースを理解しましょう。
- 分詞が1語で名詞を修飾する場合→名詞の前に置く
- 分詞が2語以上で名詞を修飾する場合→名詞の直後に置く
英文で確認します。
▪️分詞が1語で名詞を修飾する場合 I met a running man.「私は走っている男性に会った。」 I replaced the broken window.「私は壊れた窓を取り替えた。」 ▪️分詞が2語以上で名詞を修飾する場合 I met a man running in the park.「私は公園で走っている男性に会った。」 I replaced the window broken by the boys.「私はその少年たちに壊された窓を取り替えた。」
分詞構文
「現在分詞」「過去分詞」で始まるカタマリを文頭・文末に置いて、文を修飾する構文のことです。
簡潔で多様な表現ができるのが特徴です。
分詞構文の意味は
- 「〜する時に」
- 「〜するので」
- 「〜しながら」
などがあります。
英文で確認します。
▪️現在分詞の分詞構文 Walking along the street, I met an old friend of mine.「通りを歩いていると旧友に出会った。」 文の主語(=I「私」)が分詞構文の動作を「している」 ▪️過去分詞の分詞構文 Seen from the sky, the rock looks like a bear.「空から見ると、その岩はクマのように見える。」 文の主語(=the rock「その岩」)が分詞構文の動作を「された」
分詞構文の否定
分詞構文を否定する場合は、分詞の前にnotを置いて<not+分詞構文>で表します。
「〜ないので」「〜ないときに」などの意味になります。
英文で確認します。
Not knowing her address, I couldn’t write a letter to her.「彼女の住所を知らなかったので、私か彼に手紙を書けなかった。」
独立分詞構文
分詞構文の主語が文の主語と違う場合は、分詞構文の主語を示します。<主語+分詞構文>になり、独立分詞構文といいます。
英文で確認しましょう。
▪️分詞構文 Opening the door, I went into my house.「ドアを開けて、私は家に入った。」 ドアを開けた主語は「私」(文の主語と同じ) ▪️独立分詞構文 My father opening the door, I went into my house.「父がドアを開けて、私は家に入った。」 ドアを開けた主語は「私の父」(文の主語と違う)
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中学英語、特に中学で習う英文法を習得しないまま高校に進級してしまうと、高確率で英語が苦手になります。
中学までは扱う英文のレベルがそこまで高くないので、文法が曖昧でも、言い方は悪いですが、フィーリングで読み取れるかもしれません。
しかし、高校からはそうはいきません。是が非でも、中学英語はしっかりマスターして欲しいです。
保護者の方がお子さんに教えるのにも限界があります。
内容も難しくなりますし、お子さんも思春期を迎え反発するかもしれません。
何よりも、保護者の方も忙しくて、そこまで手が回らないのが現実だと思います。
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投稿者プロフィール
- 中高一貫校指導歴30年のベテラン教師です。勉強が得意な生徒から苦手な生徒までたくさんの生徒を指導してきました。念願叶っての中高一貫校だと思います。充実した6年間を過ごして欲しいものです。ベテランならではの視点で悩みに寄り添ったアドバイスを心がけます。ちなみに2人の子供も中高一貫校に通っています。保護者としての目線も大事にします。
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