漢検は大学受験で優遇される?取得した方がいい高校生や注意点を解説
「漢検があれば大学受験に有利」と聞いたことがある高校生も多いのではないでしょうか。
残念ながら、漢検があれば大学受験が必ず有利になるというわけではありません。
一方で、漢検を採用している大学も多く、様々な優遇措置が設けられています。
本記事では、漢検の概要に加えて、どのような高校生が受けるべきなのか解説します。
このページの目次
大学受験で優遇される「漢検」とは
漢検とは、日本漢字能力検定の略称で、漢字の理解度を測定する民間試験です。漢字の読み書きや熟語、部首、筆順などの問題が、記述式を中心に出題されます。
1級から10級まで12段階の級が設けられており、自分の目標に合わせて受験することが可能です。
なお、2022年度の志願者数は1,536,399人と、人気のある検定試験です。
各級のレベル・対象漢字数
1級から3級までのレベル、対象漢字数などを紹介します。
級 | レベル | 対象漢字数 | 出題される漢字(例) |
1級 | 大学・一般程度 | 約6000字 | 埃、閾、喙、鎹、籙 |
準1級 | 大学・一般程度 | 約3000字 | 硲、鰯、恢、榎、奄 |
2級 | 高校卒業・大学・一般程度 | 2136字 | 崖、錮、芯、呪、緻 |
準2級 | 高校在学程度 | 1951字 | 寡、賜、淑、准、甚 |
3級 | 中学校卒業程度 | 1623字 | 喫、愚、欺、掃、癖 |
全ての常用漢字を読み書きできるレベルが漢検2級です。準1級以上になると、対象漢字数が大幅に増えるため、難易度も高くなります。
合格率
2022年度における漢検1~3級の合格率は以下の通りです。
1級 | 準1級 | 2級 | 準2級 | 3級 | |
第1回検定 | 9.6% | 13.7% | 28.5% | 35.6% | 50.6% |
第2回検定 | 6.7% | 18.3% | 29.2% | 38.2% | 50.3% |
第3回検定 | 13.0% | 11.1% | 28.9% | 38.5% | 47.5% |
公益財団法人 日本漢字能力検定協会「2022年度 受検データ」
漢検準1級以上の合格率は数%〜10%台なので難易度が高く、中学卒業程度のレベルである3級は、2人に1人が合格する割合です。
検定料
漢検の受験には費用がかかります。ここでは、漢検1~3級の検定料を紹介します。
受験級 | 検定料 |
1級 | 6000円 |
準1級 | 5500円 |
2級 | 4500円 |
準2級 | 3500円 |
3級 | 3500円 |
英検1〜3級の検定料が6900〜1万2500円なので、漢検は比較的リーズナブルな料金設定といえるでしょう。
入試で漢検を採用している大学・短大の割合は約55%
画像引用:公益財団法人 日本漢字能力検定協会
入試で漢検を活用している大学の割合は約55%です。2校に1校は漢検を評価に利用しているものの、難関大学や有名大学では採用事例が少ないのが現実です。
志望大学の募集要項を確認して、漢検が活用できないか調べてみるとよいでしょう。
大学受験における漢検の優遇措置
大学受験における漢検の優遇措置の代表例は以下の通りです。
- 入試の点数加算
- 試験の免除
- 出願資格の付与
- 合否の判定材料
入試の点数加算
指定の級以上であれば、入試の点数を加点する大学があります。
例えば、淑徳大学の総合型選抜では、漢検準2級以上であれば加点され、北九州市立大学の学校型推薦入試でも漢検が点数化されます。
推薦入試で加点されるケースが多い傾向にあり、難関大学で活用されている事例は少ないです。
試験の免除
採用している大学は少ないものの、試験の一部を免除している大学もあります。
例えば、流通経済大学の総合型選抜では、小論文やプレゼン動画、学力試験が求められますが、漢検2級以上を取得していれば、書類選考と面接のみで受験することが可能です。
出願資格の付与
出願資格の1つとして指定の級以上の漢検取得を条件に掲げている大学もあります。
例えば、東京国際大学の選抜方法には資格者 AO入試があり、出願資格の1つとして漢検2級以上の基準が設けられています。
こちらの優遇措置も採用している大学は多くありません。
合否の判定材料
合否を判定する際に漢検の取得状況を参考にしている大学もあります。主に推薦入試で活用されているケースが多いです。
合否を分けるラインに複数人いた場合に、資格の取得状況を考慮して判断されることが予想されます。
漢検を受けるべき高校生
漢検は、優遇措置はあるものの、難関大学や有名大学での採用事例は少ないのが現状です。
多くの受験生にとって有利に働くわけではないため、どのような高校生が漢検を取得すべきなのでしょうか。該当する高校生は以下の2パターンです。
- 志望校が漢検を採用している
- 漢字が得意
順番に解説します。
志望校が漢検を採用している
志望校の選考方法で漢検が採用されている場合は取得しておくべきです。
つまり、志望校の募集要項を読んで、漢検が採用されていない場合は、積極的に取得する必要はありません。
一般入試では採用事例が少ないため、総合型選抜や学校推薦型選抜、AO入試などの推薦入試が中心になるでしょう。
漢字が得意
すでに漢字が得意な高校生は、選択肢を増やすためにも、漢検を取得してもいいかもしれません。
3級は大学受験で使えないケースが多いので、高校卒業程度のレベルである2級を取得できそうであれば、検定を受けてみることをおすすめします。
受験までの残り日数によりますが、漢字があまり得意ではない場合は、漢検のためだけに時間を割くのは避けましょう。
大学受験のために漢検を受ける際の注意点
大学受験のために漢検を受ける際の注意点を3つ紹介します。
- 漢検ありきで大学受験に臨まない
- 他の勉強がおろそかにしない
- 検定の有効期限が定められてないかチェックする
漢検ありきで大学受験に臨まない
これまで解説してきた通り、大学受験で漢検を活かせるシーンは多くありません。
特に、偏差値60以上の難関大学では、採用事例がほとんどないのが現状です。
漢検ありきで受験するとなると、選択肢が大幅に狭まってしまうので注意しましょう。
「いざというときに役に立てばいい」ぐらいに考えておくのがおすすめです。
他の勉強がおろそかにしない
漢検を受ける際は、対策に時間をかけ過ぎて、他の勉強がおろそかにならないように注意しましょう。
当然ですが、漢検のみで合格できる大学はありません。検定対策に時間をたくさん使う必要があるのかについてよく考える必要があります。
志望校合格に向けた勉強計画を立てて、やるべきことに優先順位をつけるとよいでしょう。
検定の有効期限が定められてないかチェックする
民間の資格や検定は、有効期限が定められている場合があります。取得した級は生涯にわたって有効ですが、大学受験では使えないケースもあるので注意しましょう。
なお、有効期限は2年間に設定している大学が多いので、取得するなら高校2年生以降がおすすめです。
漢検の活用を検討しているのであれば、志望校の募集要項を読み込んで、条件を確認しておきましょう。
まとめ|漢検が大学受験で優遇されるのは一部に限定される
入試に漢検を採用している大学の割合は約55%と多い一方、難関大学や有名大学での採用事例は少ないのが現状です。
漢検を取得していれば、受験が大きく有利になるとはいえないため、受験に必要な場合や対策に時間をかけなくても取得できそうな場合に限って受験するのがおすすめです。
大学受験では、限られた時間をだれだけ効率的に使えるかが鍵になります。
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