なぜ役に立たないことを勉強しなければいけないのか 前編
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なぜ役に立たないことをべんきょうしなければいけないの?
小学生、中学生、高校生(そして場合によっては大学生)の一部は「なぜ役に立たないことを勉強しなければならないんだ」とのたまうものです。
この問に保護者の方はどう答えるのでしょうか。大抵は「くだらないことを言っていないで勉強しなさい」といったところでしょうか。
上の回答は、問いたてそのものを否定するものなので、もし子どもが反抗期なら、「それ見ろ!答えられない。やっぱり役に立たないことなんて勉強しなくてもいいんだ」などと増長する可能性もあります。
そこで今回は、「なぜ役に立たないことを勉強しなければいけないのか」という問いを真面目に考えてみます。
そもそも本当に役に立たないのか
当たり前ですが、勉強している内容が将来役に立つならば、この問たては成立しません。「役に立つじゃん」でおしまいです。
では、実際学校で学ぶことは役に立つのでしょうか。算数などを例に取ると、「四則演算ならばともかく中高の数学なんて実社会で何の役にも立たない」と回答する保護者の方も多いのではないでしょうか。
仮にそうであるならば、「社会で生きていくうえで学校で学ぶことは役に立たないものもある」ということになります。
そもそも役に立つとはどういう意味なのだろうか
しかし、そもそも役に立つとはどういうことなのでしょうか。上の例で言えば、数学は役に立たないということになりましたが、そもそも役に立つの基準は何でしょう。
私が好きな海外TVドラマにこのような台詞があります。
We all use math every day;
to predict weather, to tell time, to handle money.
Math is more than formulas or equations;
it’s logic, it’s rationality,
it’s using your mind to solve the biggest mysteries we know.
TVドラマ Numb3rs 冒頭より引用
一応訳を書いておきます。
我々全員、毎日数学を使っている。
天気を予想するにも、時間を知るにも、お金を使うにも
数学は単なる公式や方程式以上のものだ
それは論理であり、理性である。
それは我々が知っている最大の謎を解くための知性に働きかけるものだ。
上の文章は、少なくとも数学を使っている人間からすれば、まったくもって自明な真実に過ぎません。数学というのは、我々が生きていくうえで常に使われているものということを、多くの学生が知らないだけです。
株価の変化の予測には微分や確率論の知識が必須ですし、GPSによる座標計算には、曲がった平面を扱う、リーマン幾何学が使われています。コンビニの商品の仕入れなども、数学による予想を立てて行っているのです。数学は極めて身近なところにも、遠く遠大なところにもあふれているのです。
実際、アメリカの学生は数学の実社会への有用性を理解していることを反映してか、数学を用いて保険モデルを作るアクチュアリーという職業が「学生に聞く憧れの職業ランキング1位」に輝いています。
アメリカでは「数学使うとか、超クール!」と思われているようです。
井の中の蛙大海を知らず状態になっていないか
そもそも将来の選択肢の広さを理解していない学生が、自分の狭い狭い知識の中で「将来役に立つか否か」と論ずる事自体にどれ程の意味があるのでしょうか。
彼らは自分が学んでいることが役に立つか否かなど分かるはずがないのです。学校という箱庭に閉じ込められているのだから当たり前ですね。
まとめ
「なぜ役に立たないことを勉強しなければならないのか」と問いには、「狭い世界の中で役に立たないと結論付ける前に、本当に役に立たないのかきちんと調べてから物を言いなさい」とでも返答すればいいのです。今は数学を例に取ってますが、数学が何の役にも立たないと言っている人間は「自分は数学を何かに役立てる知識も能力もありません。」と吹聴しているようなものです。本来恥ずかしいことで、間違ってもしたり顔で他人に言うべきことではないのです。
勿論、「数学を使えるけど、自分の意志で使わないんだ」という人もいるでしょう。そういう生徒は、数学で良い点数を取っているはずです。
次回予告
「いろいろ調べたけど、やっぱり学校の勉強なんて何の役にも立たないぞ!」 ドヤ顔で回答する中高生。その時我々はなんと答えるべきなのか? 次回、「なぜ役に立たないことを勉強しなければならないのか 後編」お楽しみに!!
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英語、数学をメインに指導を行っています。
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